飲兵衛の聖地「東京都北区」をアラサー女子がおでん巡礼してみた

特集

今夜はおでんが食べたい!

2016/12/13

飲兵衛の聖地「東京都北区」をアラサー女子がおでん巡礼してみた

23区内唯一の酒造会社や豆腐・練り物屋の名店が存在する東京都北区。明治以降、ものづくりの街として栄え、工場が多数あったことから、そこで働く人々が街の味としておでんに親しんできたといいます。そんな“おでんの街”を、北区おでん本部実行委員長をナビゲートにアラサー女子が1日探訪します!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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アラサー女を口説くなら「北区おでん」が吉!?

高級フレンチやイタリアンでのディナーにテンションが上がるのは当たり前。それより、好きな人と赤提灯系の居酒屋で過ごすような“肩肘張らなさ”に味わいを感じ始めたフリーライター・皆本(31歳)です。生意気言ってすいません。贅沢は言いませんので、とりあえずステキな殿方、食事に誘ってください(切実)。

そんな折に耳にした「東京都北区のおでんがすごい」との声。「千円でべろべろに酔える」という意味の、いわゆる“せんべろ”な酒場が多いことで知られる同区の中でも特におでん屋で飲むのが楽しすぎる、との評判です。というわけで、予定は未定のデートの下見がてら北区をおでん縛りで探訪してみることにしました。

下町情緒あふれ、昼間から街として注目の集まる赤羽。葛飾区にある立石と共に、飲兵衛たちに空前の「赤羽・立石ブーム」をもたらしています

まずやって来たのは、東京都北区赤羽

工業の街として発展した北区は、労働者を中心におでんが街の食べ物として長年愛されてきたのだそう。かつては区内に30軒ほどあったというおでん専門店は、大型チェーンの出店が相次いだことによって一時期激減。しかし、赤羽のあるお店によって、再び“おでんの街北区”の気運が戻ってきたといいます。

“おでんの街北区”を復権させた赤羽「丸健水産」

JR赤羽駅東口改札より3分ほど歩くと、昔懐かしい雰囲気の商店街「シルクロード」の一角にお店が見えてきました。昼間からお客さんであふれ返るこちらが、立ち飲みおでんを通じて赤羽を盛り上げている「丸健水産」です。

偶然居合わせたお客さん同士で語らい合うなど、なんとも昭和レトロな雰囲気を感じさせる「丸健水産」。こんな地上の楽園が近くにある赤羽在住の飲兵衛たちの「QOL(クオリティオブライフ)の高さ」が羨ましい…
色は薄いながらも、味わい濃厚な出汁が染み込んだおでん種

同店のおでんは東京下町風で、鶏ガラでとった濃厚な出汁が格別と人気です。好きなおでんの具材を選ぶのも楽しいけれど、初来店の人におすすめが「おでんセット」(800円・税込)。おでん4品~5品(種類は選べません)と、缶ビールなどの飲み物1品が付いて、お手軽にほろ酔い気分になれる、飲兵衛には堪らないセットです。これは絶対に飲みすぎてしまう(確信)。

「おでんセット」(800円・税込)は、おでん4品~5品(種類は選べません)と日本酒のワンカップや缶ビールなどの飲み物1品がセットに

同店に集うお客様は、楽しい大人の飲み方を知っている粋人ばかり。女性ひとりでの滞在も気楽です。ワタクシも、箸とワンカップを運ぶ手が止まらない…そんな時、背後からこんな声が。

いつも外食はチェーン店ばかりのワタクシ。お店の趣深い雰囲気にテンションが上がって取材をしばし忘れ、一心不乱におでんをいただきました

「お嬢さん、恋もお酒も飲まれてはいけませんよ」

そ、その声は北区おでん本部実行委員会委員長・平田賢さんじゃないですか!

ワンカップ片手におでんを楽しむ平田さん。平田さんは、もともと役者さんで、シンクロナイトスイミングのパフォーマンスも行うマルチな才能の持ち主です
皆本
皆本
いや~、800円でこんなにいい気分になれちゃうお店があるなんて赤羽住民が羨ましいです。立ち飲みスタイルも楽しくって。
平田さん
平田さん
このスタイルは、20年前に現在のご主人が先代の反対を押し切って始められたんですよ。根付くのに5年かかったそうですが完全に先見の明で、丸健水産の躍進によって「赤羽=立ち飲みが楽しい街」や、あらためて「おでんの街北区」といったイメージが定着するなど、北区とおでんを語るうえでは絶対に欠かせないお店です。
立ち飲みスタイルを導入、確立させたご主人。長蛇の列をもろともせず、おでんやお酒のオーダーを次々とさばく姿に思わず見とれてしまいます
皆本
皆本
立ち飲みが受け入れられるのに5年もかかったんですね。
平田さん
平田さん
「30分以上滞在した人は席を譲る」「他店で飲酒してきた人にはお酒は1杯のみ提供」といった今の丸健水産にあるルールは、文化をうまく定着させるために施してきた工夫の表れだと思います。
最近、赤羽近隣の職場勤務になったという彼とその彼女カップル。毎日行列が出来る丸健水産が気になっていたそう。やっと2人で訪れることができたと満面の笑みです!

丸健水産名物
「出汁割り」とは?

皆本
皆本
なるほど。お客さんはルールを楽しんで利用しているようにみえます。
平田さん
平田さん
そうそう。*名物のおでんの出汁で日本酒を割る「出汁割り」*だって、割り方のバランスや行列に割り入ってオーダーするタイミングなど、みなさん勝手を心得ている感じですよ。
「出汁割り」に挑戦したい人は赤羽の地酒「丸眞正宗」という銘柄のカップ酒をオーダーして。途中までお酒を飲んだ状態でカウンターに持っていくと、おでん出汁を注ぎ、最後に七味を振ってくれます

年末でお疲れ気味のアラサーの心身を癒す、深く優しい味わいの「出汁割り」。まさに五臓六腑に染みわたる美味しさです。この1杯から始めれば、この後2、3軒酒場をハシゴしても大丈夫そう!

丸健水産

住所:東京都北区赤羽1-22-8
TEL:03-3901-6676
営業時間:平日10:30~21:00、土・日・祝日10:30~20:30
定休日:第3水曜

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

お土産にしたら絶対モテる! 田端「佃忠蒲鉾店」

丸健水産で飲兵衛の街での“スマートな過ごし方”を完全に習得し、平田さんと共に次のおでんの名店へ。

赤羽からJR京浜東北線で4駅、夕暮れに差し掛かった時間に訪れたのは田端。「田端文士村記念館」があるこの街は、昔は文学者が多く住んでいたという“文豪の街”。また、丘陵地帯で平地が少ないため大型チェーンが出店しにくく、地域住民に愛されている個人商店が多い地域でもあります。

大型チェーン店が多く、近年観光地化されつつもある赤羽と異なり、地域密着型の商店が未だ多い田端。商店街もノスタルジックで居心地がいいです

平田さん曰く、昔ながらの隠れた名店が多いという田端でお伺いしたのは「佃忠(つくちゅう)蒲鉾店」。毎日、揚げたてのさつま揚げをはじめ、家族で手作りしたおでん種を販売する練り物屋さんです。

常時約50種類が並ぶおでん種。3代目の若旦那のおすすめは、ヘルシーさが人気の巾着「野菜詰め」(120円・税込)と優しい甘さの「すき焼き袋」(150円・税込)

飲食店への卸しやお酒の提供は行っていない同店のおでんは、心身に染み渡るような奥深い味。北区おでん関連のイベントは同店のおでんを中心に出店しているというのも納得の、ベーシックながら非常にレベルの高い味わいです。

基本は持ち帰りのみですが、お店の脇のベンチで熱々のおでんを頬張ることもできます。多幸感に包まれるワタクシ

ここのおでんを家に持ち帰って、あったかいお部屋で大切な人と一緒に食べたら幸せだろうな…なんてことをつい思ってしまいます。

店先で大学生カップルを発見。近くにある「六義園」のライトアップまでの隙間時間に、ネットで検索して同店を見つけたそう。夜は2人で鍋をするのでおでん種を買って帰るのだとか。こなれたデートをされています!

佃忠蒲鉾店 田端銀座店

住所:東京都北区赤羽1-22-8
TEL:03-3901-6676
営業時間:9:30~19:30
定休日:日曜

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

“北区おでんの旅”の終着駅「集っこ」

赤羽・丸健水産で立ち飲みおでん、田端・佃忠蒲鉾店で昔ながらの練り物おでんを楽しんだ後は、飲兵衛であればきっともう1軒ゆっくり飲めるお店にも立ち寄って帰りたいところ! そこで、“北区おでんの旅”の最後、3軒目に訪れたのが、「田端駅」からJR京浜東北線で2駅の「王子駅」にある居酒屋「集(つど)っこ」です.。

JR「王子駅」から徒歩1分とアクセス良好。風情ある雰囲気と家庭的な料理、とっておきの日本酒に惹かれて、アラサー男女を中心に利用客が多いとか。これは“出会い”の匂いがします(期待感)。

駅前の飛鳥山公園には紙の博物館があり,“紙の街”として知られる王子は、実は日本醸造協会もあるために全国の酒蔵の方が集う街でもあります。そんな日本酒に縁のある王子で、厳選の日本酒とおでんをはじめとする家庭料理を売りにしているのがこちらのお店。実は、こちら、前出・平田さんが料理上手のお母様と一緒に、2009年7月にオープンさせたお店なのです。

看板メニューの「おでんおまかせ5点盛り」(810円・税込) 
皆本
皆本
こちらのおでんはホッと懐かしい味わいで、日本酒がグイグイ進みますね。
平田さん
平田さん
ありがとうございます。私の母の東京・下町の味をベースに、継ぎ足しの出汁で作ったこだわりのおでんです。私は日本酒学講師の資格を持っていて、おでんなどの家庭料理と日本酒とのマリアージュをお伝えしています。
皆本
皆本
おすすめいただいた銘柄「而今(じこん)」もハマりそうです。
おでんと並ぶ看板メニューの「王子牛すじ煮込みチーズ焼」(970円・税込)もぜひ。日本酒は好みに合わせて平田さんが見繕ってくださいます
平田さん
平田さん
香り立ちはフルーティーに感じられますが、口に含むと梨や白桃のような吟醸香があり、キリッとした味わいが広がります。華やかさから来るようなビシっとした表情を見せたかと思うと、優しい余韻も表現してくる飽きのこなさが、おでんという料理持つ滋味深さに合うかと。
皆本
皆本
「王子牛すじ煮込みチーズ焼」もトロトロのチーズと牛すじが堪りません。これは女性が好みそう!
平田さん
平田さん
うちは女性のおひとり様の利用も多いですよ、もちろん男性客もね。ちなみに、開店して7年半で4組のカップルが成立して、結婚したカップルさんもいますし、来年には2組が結婚するとかしないとか…。
皆本
皆本
結婚ですって!!(ガタッ)……すいません、取り乱しました。
平田さん
平田さん
いえいえ。結婚はともかく、常連の女性はみんな母に恋愛相談して成功していますよ。
皆本
皆本
お母さん、すごい! 近日中にぜひとも再訪させていただきます! 
平田さんと料理上手なお母さま、平田さん同様俳優業も行う妹さん。田端「佃忠蒲鉾店」の3代目も加わり、東京都北区おでんの夜は楽しく更けていきました!

集っこ
住所:東京都北区王子1-5-3
TEL:080-1306-8572
営業時間:17時~24時
定休日:日曜(祝日の場合は翌日休)

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

「おでんの街」との呼び声の通り、おでんの楽しみ方色々の東京都北区。おでん目当てに恋人と行くもよし、おでんを恋人へのお土産にするもよし、おでんを介して恋人をつくるもよし! 今年の冬は北区で思い思いにおでんを堪能してくださいね。

取材・文/皆本類

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