日本有数のおでん処・静岡を、おでんに詳しい人とハシゴしてみた

特集

今夜はおでんが食べたい!

2016/12/14

日本有数のおでん処・静岡を、おでんに詳しい人とハシゴしてみた

おでんが“ソウルフード”だといわれる静岡市。市内には日本有数の「おでん街」があり、そこには地元民はもちろんのこと県外からも多くの人が足を運び、常に賑わいを見せているといいます。昔ながらの味から創作系まで、静岡おでんの魅力に迫ってみたいと思います!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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なぜ静岡おでんが有名か、静岡市の人に聞いてみた!

こんにちは! ライターの小山田滝音です。おでんの聖地・静岡市にやってきました。そもそも、なぜ静岡市は“おでん処”なのでしょうか。というわけで静岡市役所広報課シティプロモーション係主査の藤澤翔さんにお話を伺いました。

静岡市全般のPRを担当する藤澤さん(写真右)とライター小山田。PR担当でありおでん好きでもある藤澤さんは、今回の企画にうってつけの人物
小山田
小山田
さっそくですが藤澤さん、なぜ静岡市はおでんが有名なんですか?
藤澤さん
藤澤さん
静岡ではずっとおでんが愛されてきたわけですが、「静岡市=おでん」というのが全国的に知られるようになったのは、10年くらい前から。当時お茶の間で流れていたビールのCMで紹介されたのがきっかけで、広く知れ渡ったと認識しています。
小山田
小山田
へー、全国区になったのは結構最近のことなんですね。
藤澤さん
藤澤さん
そうですね。今日はせっかく静岡に来ていただいたので、実際にお店をまわりながら静岡おでんについて詳しくお話できればと思います。
静岡おでん横丁のひとつ「青葉横丁」はJR静岡駅のすぐそばにあるノスタルジックな雰囲気溢れる飲み屋街。まるで昭和の時代にタイムスリップしてきたかのような錯覚に陥ります
藤澤さん
藤澤さん
静岡市内には、全国でも有数の「おでん街」が二箇所あります。今日はそのうちのひとつ「青葉横丁」をご案内しますね。ちなみに、おでんは今や静岡市のソウルフードになっているので、静岡市内のどこの飲食店でも静岡おでんが味わえると言っても過言ではありません。それでいて、それぞれ特徴も違います。

静岡おでん黎明期からの老舗おでん専門店「三河屋」

三河屋は約10年前にCMで紹介され、静岡おでんの火付け役となった
藤澤さん
藤澤さん
まずは、「三河屋さん」をご紹介しますね。ここは昭和23年(1948年)に屋台として創業、昭和42年(1967年)にこの場所へ移ってきたおでん専門店です。戦後、焼け野原と化してしまった静岡で、商売をしようと多くの人たちがこぞって屋台を開き、そこでおでんを提供したのがおでん横丁のはじまりといわれていますが、三河屋さんはその“黎明期”からやっている老舗中の老舗です。
オープンキッチンになっており、お客さんの目の前でおでんを作って提供する
藤澤さん
藤澤さん
こちらが店主の木口元夫さん。2代目のご主人になります。
同店を営む木口さん夫婦は、とっても気さくな方。このお二人に会いたくてやってくる常連客も多いとか
木口さん
木口さん
いらっしゃいませ。ここ三河屋では煮る、揚げる、焼くの3つの調理方法で料理を提供しています。まずは手始めに、煮て作った静岡おでんの代表「黒はんぺん」を食べてみてください。
静岡おでんを食べるときは、やはり黒はんぺんから味わいたい
小山田
小山田
おおー、これが静岡おでんの“主役”、黒はんぺんですね! 一度食べてみたかったんですよ。でも、なんで「黒い」んですか? はんぺんって白いのしか知らないので…。 
木口さん
木口さん
静岡以外のはんぺんは、スケトウダラなどのすり身を使っているから白いんですが、静岡の黒はんぺんは駿河湾で大量に捕れるイワシのすり身を使っています。
小山田
小山田
なるほど! この黒色はイワシ由来なんですね。
藤澤さん
藤澤さん
ちなみに静岡おでんは、こうやってだし粉と青のりを振り掛けて食べるのがポイントなんですよ。
静岡おでんは、だし粉と青のりを振り掛けて食べるのが主流。これがまたうまい
小山田
小山田
からし以外のものをおでんに付けて食べるのははじめてです。うん、だしが効いていてとっても美味しいですね。
木口さん
木口さん
ここでは、「だしが一番」という伝統的な静岡おでんを提供しています。静岡おでんには本来、だいこんもじゃがいもは入れません。だいこんを入れるとだしの味が変わってしまい、じゃがいもを入れると溶けて焦げてしまいます。最近では、“創作静岡おでん”というのが増えてきて、だいこんやじゃがいもを入れるお店も多いけど……。
小山田
小山田
伝統の味、とっても美味しいです! だしは、ちょっと濃い目に仕上げているんでしょうか。
木口さん
木口さん
静岡おでんのだしは、牛すじからとっていて、ベースは醤油。見た目は濃く見えますが、食べると思ったよりも濃くないんですよ。
小山田
小山田
くせになりますよ、この味は。それと、このだし粉ですが、こちらは何が使われているんですか?
藤澤さん
藤澤さん
だし粉には、イワシなどの削り節が使われています。ご主人もおっしゃっていましたが、駿河湾に面している静岡市は、漁業が昔から盛んで、イワシはよく捕れる魚の一種。先ほど、戦後に屋台が多くできた、とお話しましたが、昔から練り製品の製造が盛んだったので、おでん種に入れるものが多かったんです。それで屋台はおでん屋さんが多かったんですね。
小山田
小山田
そんな歴史があったんですね! 勉強になります。
木口さん
木口さん
あと、うちでは、フライで揚げた黒はんぺんもあるから、良かったらぜひ食べていってください。
黒はんぺんのフライには、ソースをたっぷり掛けて味わうべし
小山田
小山田
おでんのフライ、斬新ですね! それではいただきます。
初体験の黒はんぺん。揚げてもウマいです!
小山田
小山田
サクサクした食べ応え、最高です! これはお酒が進みまますね。もう一本注文してもいいですか?

三河屋

住所:静岡県静岡市葵区常磐町1-8-7
アクセス:JR静岡駅から徒歩約15分
電話:054-253-3836
営業時間:17:00~22:00
定休日:日曜日、月曜(月二回、要確認)

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

“創作静岡おでん”が魅力の居酒屋「おばちゃん」

2009年にオープンした”おばちゃん”。ユニークなお店として地元民にも評判が高いとか
藤澤さん
藤澤さん
続いてご案内するのは、“おばちゃん”こと「静岡おでんや おばちゃん 青葉横丁」です。ここは、ちょっと変わった種類のおでんを扱っているのが特徴です!
こじんまりとした店内にはおでんのいい香りが広がり、食欲がそそられる

いらっしゃいませ〜。店主の杉浦孝です。

「おでんを通じて静岡はいいところだなと思ってほしい」と話す店主の杉浦さん
小山田
小山田
「おばちゃん」じゃなくてがっつり「おじちゃん」じゃないですか! でも、割烹着がとてもキュートですね。
杉浦さん
杉浦さん
ありがとうございます。うちの店ではいわゆる「静岡おでん」にはないさまざまな具材を入れています。約30種なのでかなり豊富といえます。ちなみに、静岡おでんの特徴として、全部の具材に串が刺さっているって気付きましたか?
小山田
小山田
本当だ。さっきは気付かなかったな。
杉浦さん
杉浦さん
でもうちは、創作おでん屋。こんな串に刺さっていないメニューも用意しています。
醤油ベースで煮込まれた「豚足」(378円)のおでん
小山田
小山田
豚足のおでん!? 確かに珍しいですね…。(おそるおそるひと口)これは! だしがしっかり染み込んでいて、柔らかくてとっても美味しいですよ! 
杉浦さん
杉浦さん
豚足以外にも、「ゆず味噌 こんにゃく」(162円)や「ロールキャベツ」(108円)なんかも用意していますよ。
小山田
小山田
どれもそそられますね。それにしてもお値段がすごく安いです。
杉浦さん
杉浦さん
ええ。屋台に値段表示がなくて不安な思いをしたことってありませんか? 私たちのお店では、リーズナブルな値段設定をし、しっかりと提示することで、安心して、お客様に静岡おでんを楽しんでいただくことを目指しているんです
小山田
小山田
昔の屋台ってそんなイメージありましたよね。
杉浦さん
杉浦さん
私たちは、子どもの頃からそこらじゅうの駄菓子屋さんで売られているおでんを食べてましたから、大人になってもこの横丁で気軽に食べてもらいたいと思っています。
小山田
小山田
駄菓子屋さんにおでん?
杉浦さん
杉浦さん
そうです。静岡あるあるですけど。だから僕らにとっておでんというのは、いつでもどこでも食べられる身近な料理でした。駄菓子屋さんは、当時から減っちゃいましたけどね……。
小山田
小山田
静岡の人たちにとっておでんは、大人から子どもまで楽しめる、身近な存在だったわけですね。そりゃ、ソウルフードなわけだ。
杉浦さん
杉浦さん
あとうちでは、お店に足を運んでくれた人全員に楽しんでもらうため、さまざまな仕掛けも用意しています。カウンターの「おみくじ」や「都道府県ノート」。都道府県ノートっていうのは、たとえば千葉県から来た人なら「千葉県」のノートに何かメッセージを残すんです。いわば(昔あった)駅の伝言板のような感じでしょうか。それ以外に被り物なんかもあります。
店内には富士山をかたどった被り物が。もちろん被らざるをえません
小山田
小山田
おでんも美味しいし、店内にはご主人のお気持ちが込められたユニークな仕掛けがたくさん! おがけさまで体も心もほっこり温まりました! 

静岡おでんや おばちゃん 青葉横丁

住所:静岡県静岡市葵区常磐町1-8-7
アクセス:JR静岡駅から徒歩約15分
電話:054-221-7400
営業時間:16:00~23:00(L.O.22:30)
定休日:なし

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

おでんを通じた交流が盛んな老舗居酒屋「おおむら」

2人の女将が切り盛りする、創業43年の名店
藤澤さん
藤澤さん
最後にご案内するのは、「青葉横丁 おおむら」。実は僕のよく行く店の一つでもあります(笑)。どこのお店もアットホームであることは間違いないんですが、ここはその感じがとりわけ強いと思います。「おでんを通してさまざまな交流が生まれる」ということをここで実感していただければ。
常連や一人客などで溢れ、初対面でもすぐ仲良くなるという
小山田
小山田
確かにアットホーム感がすごい(笑)。こういう雰囲気、個人的にかなり好きです。
藤澤さん
藤澤さん
わかります? ここは、ほぼ創業時から携わっているというあっちゃんと、姪っ子のくみちゃんの二人が切り盛りしています。
“看板娘”の『あっちゃん』(左)と『くみちゃん』
あっちゃん
あっちゃん
いらっしゃい。創業時からの味を受け継いでいるおでんの他に、新鮮なお刺身なんかもあるから、目一杯食べて、楽しんでいってちょうだいね。
くみちゃん
くみちゃん
もちろん静岡の地酒もあるので、そちらも是非。まずは何をお飲みになりますか?
小山田
小山田
せっかくだから静岡のお酒をいただこうかな…でも最初は、ビールで(笑)。
くみちゃん
くみちゃん
ビールの場合は、席の後ろにある冷蔵庫から勝手に取ってくださいね。
ビールは冷蔵庫から好みの銘柄をチョイス。こういう“セルフシステム”も妙に落ち着きます
藤澤さん
藤澤さん
ここでは、奥に座っているお客さんが冷蔵庫の近くに座っているお客さんに「ビール取って」なんて声を掛けることもよくあります。そんな風にして、お客さん同士が仲良くなっていくんです。
小山田
小山田
なるほど。これなら確かに、初対面の人でも仲良くなれそうですね。
藤澤さん
藤澤さん
その通りです。さて、メニューですが、おすすめはたくさんあるんですが…まずはビッグサイズの「厚揚げ」を食べてみてください。
10センチはありそうな超巨大な厚揚げはかなりアツアツ。舌がやけどしないようにご注意を…
小山田
小山田
さっきから気になっているんですが、テーブルに乗っているこれって何ですか?
テーブルには自家製の味噌が乗っており、おでんに掛けて食べるのが常連客の味わい方
あっちゃん
あっちゃん
自家製の味噌です。この界隈では、“創作静岡おでん”を提供するお店が年々増えていますが、ここではスタンダードな静岡おでんを提供しています。いろいろなお店をまわって、さまざまな静岡おでんを楽しんでもらえればと思いますが、うちではオーソドックスに、この自家製味噌で食べていただければと。
自家製味噌の上から、だし粉と青のりをかけて食べるのが、このお店の“正しい食べ方”
藤澤さん
藤澤さん
これ、僕のおすすめの一品でもあります。熱いうちに食べてみてください(前のめりで)。
切り分けはせずに、口いっぱいに頬張るのがこの店の正しい食べ方。やけどには要注意
小山田
小山田
アーッ!! アツいッス!! でも美味しいなぁ。なんていうか、魚の風味がかなり濃い感じですね。
藤澤さん
藤澤さん
でしょう(ニンマリ)。


……ん? あれ? あ!! 佐野じゃん!!(お客さんの中に偶然高校の同級生を見つけて)
小山田
小山田
取材中に高校時代の同級生を見つけるとか、すごい偶然ですね! ここには、新しい出会いもあれば、再会もある。なんて素敵なお店なんですか!
左隣のお兄さん(一般の方)からなぜか「サイン」をもらい、お客さんたちと記念撮影
小山田
小山田
いや〜いろいろな人と交流もできたし、満足です。美味しかった、というより楽しかったです! また来ます!

青葉横丁 おおむら

住所:静岡県静岡市葵区常磐町1-8-7
アクセス:JR静岡駅から徒歩約15分
電話:054-251-1828
営業時間:16:00〜22:30
定休日:日曜日、第2月曜日

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

静岡おでん レポートまとめ

藤澤さん
藤澤さん
静岡おでん、いかがでしたか? 今日は3店舗しかご案内できませんでしたが、ほかにもご紹介したいお店はたくさんあります。ぜひまた別の機会にご案内しますね。

最後に、静岡おでんの特徴をまとめます。

・一番の“顔”は「黒はんぺん」

・牛すじからとったダシを使っている

・おでんのベースは「醤油」

・メニューのほとんどが串に刺さっている

・イワシなどの削り節が入った「だし粉」と「青のり」を掛けて食べる

藤澤さん
藤澤さん
さらに、静岡おでんの歴史もおさらいしますね。

・駿河湾では、いわしなどが多く獲れ、練り製品の製造がもともと盛んだった

・もともと駄菓子屋におでんがあったが、戦後、市街地に屋台が並び、練り製品を具材にしたおでん屋台がはやり出した

・街の整備が進み、現在のおでん横丁や青葉おでん街に集約した

・市内の多くの居酒屋などでもおでんが提供されるようになった

・オリジナルの“創作静岡おでん”が出てきた

・10年前にCMで知名度が上がった

藤澤さん
藤澤さん
毎年3月には、「おでんフェア」という全国各地のご当地おでんを集めたイベントも開催しています。いわば“おでんサミット”、ですね。ぜひこちらにも足を運んでみてください!
全国を代表する静岡おでんが集まる「青葉横丁」、ぜひみなさんも訪れてみてください!

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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