「高円寺は日本のインド」説は本当⁉インドカレー散歩で徹底検証

特集

癖になる、インドカレーの奥深き世界

2017/02/14

「高円寺は日本のインド」説は本当⁉インドカレー散歩で徹底検証

サブカル界の神様・みうらじゅん氏は著書『青春の正体』でこう例えた。高円寺は「日本のインド」だと。しかもここ近年、高円寺ではインドカレー店が急増中とのウワサ…。高円寺発のゆるキャラ“サイケ・デリー”さんと高円寺のインドカレー店をめぐりながら「高円寺は日本のインド」説を検証する!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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みうらじゅん氏が選考員長として選んだ高円寺商店街連合公式のゆるキャラ「サイケ・デリーさん」が、一押しのインドカレー屋を案内してくれるぞ! 好物を前に眼光がすごいことに……

【検証に協力してくれた3店】

1.「妄想インドカレー ネグラ」
2.「カリーショップ 豆くじら」
3.「カレーハウス コロンボ」

「高円寺=日本のインド」? インドカレーを愛する“高円人”に聞き取り調査 

高円寺駅前。今のところインド人は見当たらない
キミらは、日本にインドがあること事をご存知だろうか? 僕はその街を勝手に〝日本のインド″と名付けた

引用元:『青春の正体』(KKベストセラーズ)

みうらじゅん氏は2005年に発売した著書『青春の正体』(KKベストセラーズ)で、高円寺についてこう記している。彼は若いころから高円寺を愛する生粋の“高円人”インドに縁を感じ、高円寺にも同じシンパシーを感じていた。

日本のインド高円寺は優しく僕を迎え入れてくれた。ここにいれば何も怖くないと母親のように僕を包んでくれた—

引用元:『青春の正体』(KKベストセラーズ)

昔ながらの商店街にド派手な古着屋が同居する、雑多でカオスな雰囲気こそ、この街の魅力。そんな高円寺がここ数年でますますインド化を進めているというウワサを聞きつけ、取材班はJR中央線に乗り込み高円寺の駅へと降り立った。

高円寺のゆるキャラ、サイケ・デリーさんも高円寺前にある噴水から誕生した説がある。※良い子は飛び込まないように

ここは高円寺駅南口の噴水広場。みうらじゅん氏の著書にも「高円寺駅前の噴水」が登場する。ある日、酒に酔った若者が高円寺の噴水で水浴びしていたのを目撃し、それを、ガンジス川で身を清めるヒンズー教徒の人々に例えた。

酔っ払いは噴水で水浴びしたのち、高円寺発のアジア雑貨屋「元祖 仲屋むげん堂」で着替えを購入していたという。この店は、「高円寺=日本のインド」を語る上で欠かせない重要店だとか

高円寺は本当に日本のインドなのか…。3軒のインドカレー店をめぐり、聞き取り調査を開始!

検証1.「妄想インドカレー ネグラ」

脱常識! 妄想力で作る自由すぎるカレー

前置きが長くなったが、高円寺商店街連合公式のゆるキャラ、サイケ・デリーさんとインドカレー店「妄想インドカレー ネグラ」の前で待ち合わせしたので向かう。聞けば、彼(彼女だったらごめんなさい! 性別不明)の行きつけらしい。

「待ってたデリー。ここが、僕の一押しのインドカレー屋さんデリー」
サイケ・デリーさん

サイケ・デリーさん

高円寺商店街連合公式ゆるキャラ

ゆるキャラはなんでもありなのだと、つくづく思わされる大胆な容姿! みうらじゅん氏の変態DNAが受け継がれたかのようなトラウマもののビジュアルに怖さを感じつつも、「妄想インドカレー ネグラ」に入店……! 

ちょ、ちょっとサイケ・デリーさん!? 「ハマって身動きが取れないデリ〜。助けてくだサイ…ケ……」

「妄想インドカレー ネグラ」はクラブイベントやフェスにも出店している人気店で、入口からしてインド度が高め! 

サイケ・デリーさんの挟まるカウンターの奥にはテーブル席がある。この“高円寺感”は必見!

カウンターには謎のインド人のイラストやクラブのフライヤー、ラジオ、ランプや本、置物など謎だらけ。そのごちゃごちゃ感が妙に落ち着く…。

サイケ・デリーさんの来店に、イラストのインド人もびっくりしているご様子
ニット帽とヒゲの似合うほっこりした雰囲気の店主・大澤さんが出迎えてくれた。サイケな店とのギャップがまたたまらない。そのやさしい話し方にも癒やされる

【高円寺=日本のインド説は本当!?】
サイケ・デリーさんの証言

カレーができあがるまで、通路に挟まるサイケ・デリーさんに、今回の散策の目的でもあるこの質問をぶつけてみた。

——高円寺は日本のインドなのですか!?

サイケ・デリーさん
サイケ・デリーさん
「昨年はスパイスカレー店がオープンラッシュだったデリー! それによって高円寺のインド化がさらに加速した模様デリー!」

こちらのお店も昨年オープンの新店。早くも名店の呼び声高い人気ぶりだ。

そして、やっと通路から抜け出したサイケ・デリーさんの前に、完成したカレーが登場!

「これが大好きなカレーデリ!」
メニューは「2種類の合盛りカレー」のみ。この日は「新ゴボウとパルミジャーノチーズのカレー」と、「エビとレンコンのビンダルカレー」の2種盛りだった。甘みの強い新ゴボウとチーズが相性抜群!

季節の野菜をベースにしたスパイスカレーがほぼ日替わりで登場。ほぼ、というのは、鍋が空になったら新しいカレーを作る「鍋替わりメニュー」だからだ。この日はパプリカやニンジン、キャベツ、パクチーがライドオンしていた。他では味わえないセンス抜群の自由なカレー。その妄想力に驚かされる。

——大澤さんは、どうしてインドカレー屋さんを作ったんですか?

大澤さん
大澤さん
「毎日食べたいものを考えた時にカレーだったんです。カレーを作ることも、一つの表現だと思っています。カレーで遊びたいんです」

そう話す大澤さんは、まさかのインド未上陸だという。本場で使っていないようなスパイスや食材を使い、日々イマジネーションの力で妄想しながらインドカレーを作るのだ。

大澤さん
大澤さん
「定番メニューを作らないようにしています。その時に仕入れた野菜や食材の組み合わせ、気候や気分によって、メニューを考えているんです」
思わずサイケ・デリーさんの舌もペロン。「早く食べたいデリ〜」
ルーとライス、副菜をよく混ぜて食べるのが「妄想インドカレー ネグラ」流。混ぜることで野菜のクセもまろやかになり、スパイス3種のコクも出るそうだ。「大胆に混ぜていただくデリ〜」(サイケ・デリーさん)
サイケ・デリーさん
サイケ・デリーさん
「スパイスの効いたカレーと根野菜が相性抜群デリ! インドを思い出すデリな……(妄想)」

【高円寺=日本のインド説は本当!?】
大澤店長の証言

店内のサイケな壁のペイントもかわいい。ペイントと同じポーズで決める店主の大澤さん
大澤さん
大澤さん
「ん〜、どうなんでしょうかね。インドに行ったことがないのでわかりません(笑)。はい、今後インドに行く予定もありません」

なるほど、大澤さんの妄想するインドと、高円寺はまだ異なるのかもしれない……。

ここで、カレーを食べてご機嫌なサイケ・デリーさんからお土産が!

オリジナルのご当地カレー「サイケデリ〜シャス‼ 高円寺グレービービーフカレー」(540円)。牛肉と玉ねぎ、グレービーソース(肉汁)を元に作られたうま味たっぷりのカレーで、お土産として人気

「ヴィレッジヴァンガード高円寺店」や「NewDays高円寺店」、高円寺の「セブン-イレブン」(一部除く)や杉並区役所のショップ、通販などで販売中だそう。

最後に舐なられると幸せが訪れる(ペロペロハッピーパワーと呼ばれる)ベロに「ペロ〜ン」してもらった
「また遊んでくだサイケ〜! バイバイデリ〜」。サイケ・デリーさん案内してくれてありがとう! 

最初はトラウマになるかと思われた個性的なビジュアルも、別れる時は愛おしさすら感じてくる不思議……。これも高円寺マジックか。

検証2.「カリーショップ 豆くじら」

スパイスとやさしさで作られたツンデレなうまさ

続いて取材班は、先ほどサイケ・デリーさんに教えてもらったスパイスカレーの新店へ向かうことに。道すがらインドの面影を探しつつ高円寺散策を楽しんでみよう。

ここにもインド料理店が! やはり日本のインド説濃厚!?
ついにインド人発見か!? と思いきや、ネパールの人たちだった

カレー専門店「カリーショップ 豆くじら」に到着。高円寺で有名なバル「くじら」が、カレー好きの店主・榎田さんを中心にオープンさせたお店だ。

喫茶店のような雰囲気の外観

店内は縦長な造りで、奥のキッチンにいる榎田さんに入口の券売機で買ったチケットを渡すオーダースタイル。こちらではどんなカレーが食べられるのだろう?

カウンター席が多めでひとりでも入りやすい店内
カレーとスパイスを愛すイケメン店主・榎田さん
榎田さん
榎田さん
「『くじら』時代から、目指すのは食べて爽やかなカレーです。重たいカレーではなく、スパイスが効いた、お米に合うまた食べたくなるカレーが好きなんです」

そう話す榎田さんの横にはいくつものスパイスが並んでいた。

キッチンに並ぶ色とりどりのスパイスたち。卓上にもスパイス4種が置いてあり、自分だけの味にカスタマイズできる
「カリー2種盛り」(1200円 ※平日17時〜21時のディナータイムは1000円に割引サービス中)。今回は一番人気の「ペッパーチキンカリー」と女性に人気の「ラム肉とひよこ豆のキーマカリー」をオーダー
榎田さん
榎田さん
「メニューを考える時は同じ味だと面白くないので、クミン、ブラックペッパー、コリアンダー、クローブなどスパイスを調合して、実験のように相性を考えるのが楽しいんです」

まずブラックペッパーがこんなにカレーに合うことに驚く。スパイスの効いたカレーの反対側には、ほんのり甘さのあるやさしい味のキーマカリー。辛さとやさしさのそのツンデレ具合が最高で、どちらも交互に食べたくなる。

【高円寺=日本のインド説は本当⁉】
榎田店長の証言

榎田さん
榎田さん
「最近インドカレー店が増えて盛り上がってきましたね、高円寺。歩いているとインド化を感じることは多くありますよ」

「インド化を感じる」という貴重な証言をいただき、勇んで次の店へと向かう。

検証3.「カレーハウス コロンボ」

高円寺名物のカレーとママに会いに行く

インド説の検証には、高円寺カレーの原点を知らねばならぬ。そう感じた取材班が向かったのは、創業22年目の「カレーハウス コロンボ」。

店頭には、いくつもの手書きメニュー。オープン当時の高円寺では、手書きメニューも珍しかったそう
もはやここは高円寺ですらなく、インドなのか!?

一歩入「い」ると……、インドの民族衣装パンジャビスーツのよく似合うママ、猪俣さんが迎えてくれた。この格好で通勤も買い物もするというほどインドを愛しているママ。常連さんの手作りグッズやお土産であふれた店内は、なんだかほっこりする。

オープン5年目の時にインドへ行き、マサラというスパイスや、インドの魅力にどっぷりハマったそう。「インドは人間の原点」。言葉で言い表せないほどの不思議な何かがあるという

そんな猪俣さんは、店を開業する前はなんと和服を愛用していた。前職はアパレル関係で店長としてバリバリ働いていたらしい。それがいったいどうしてカレー店を?

猪俣さん
猪俣さん
「アパレル時代、服のコーディネートが得意だったの。それがカレーにも相通じるものがあって。カレーの食材やスパイスの特質を活かした考え方でイメージが沸いてきます。高円寺に初めて来たころは誰ひとりつながる人がいなかったけど、『ここだ!』と何か縁を感じたのよ」

な、なるほど…。ファッションセンスもカレーセンスも抜群のママが作ってくれたのは、高円寺の阿波踊りにちなんだ、その名も「The高円寺・粟お鶏カレー」。これまでカレーを作り続けてこられたのは、高円寺の皆さんのおかげで、そんな高円寺に恩返しがしたかったのだと話す。

「The高円寺・粟お鶏カレー」(910円)。 左は鶏ひき肉のピリカレー、右には骨つきチキンマイルドカレー

ライスは白米と“阿波(あわ)”入り十五穀米のブレンド。楕円形の器は、阿波踊りの際、踊り子さんがかぶる網笠をイメージしている。圧力鍋で煮込んだチキンはほろほろ柔らかく、ママと話しながらも、あっという間に完食してしまう。

会計の際に売価910円のうちの10円を専用瓶に入れる。それが高円寺阿波踊り振興協会に寄付されるのだ。平成28年分は7140円。つまり714食も食べられたことになる!

コロンボには今も、オープン当初からの常連さんが多く来店するという。当時は小学生だったお客さんが成人後も通い続け、コロンボ常連カップルが結婚を機に高円寺を出る前夜、高円寺での最後の食事にこの店を選ぶ。人生経験が豊富でやさしいママと話し、インドカレーを食べれば、誰もが常連客に愛される理由を理解するだろう。

【高円寺=日本のインド説は本当!?】
猪俣さんの証言

ーーインド、そして高円寺を愛するママ。高円寺の「日本のインド説」についてはどう考えますか?

猪俣さん
猪俣さん
「22年前は高円寺にカレー屋さんが2つしかなかったの。それが今ではこんなにたくさん。高円寺の日本のインド説には大賛成! これからもっともっとインド色を濃くして盛り上げてほしいわ」

結局、高円寺は日本のインドだったのかーー

結論、高円寺のインド化は急激に進んでいる。だが、まだ完成ではないようだ。サイケ・デリーさんの活躍も手伝って、これからますますインド化が進んでいくのかもしれない。

また、今回のインドカレー散歩でわかったことがもうひとつ。インドカレーは自由である、ということ。使用するスパイスも食材も自由だし、カレーを愛する店主さんがカレーを思って作れば、インドに行こうが行くまいが、それはインドカレーなのだ。店主の並々ならぬこだわりが凝縮され、独自の進化を遂げたインドカレーが食べられる町、高円寺。インドを妄想しながら、“高円人”となってインドカレーを思い切り楽しんでほしい。

\ハシゴした3軒/

Yahoo!ロコ妄想インドカレー ネグラ
住所
東京都杉並区高円寺南3丁目48-3

地図を見る

アクセス
高円寺駅[南口]から徒歩約5分
新高円寺駅[2]から徒歩約9分
阿佐ケ谷駅[北口]から徒歩約13分
営業時間
13:00~21:00
定休日
月曜日、火曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

Yahoo!ロコカリーショップ豆くじら
住所
中野区大和町1-31-4

地図を見る

アクセス
高円寺駅[北口]から徒歩約7分
野方駅[出口]から徒歩約16分
新高円寺駅[2]から徒歩約19分
電話
03-6671-3117
営業時間
12:00~21:00
定休日
基本無休ですがたまにあります。Twitterで確認して下さい。@mamekujira2016
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

Yahoo!ロコカレーハウス コロンボ
住所
東京都杉並区高円寺北2-41-15

地図を見る

アクセス
高円寺駅[北口]から徒歩約6分
新高円寺駅[2]から徒歩約17分
野方駅[出口]から徒歩約17分
電話
03-3338-1122
営業時間
11:30~23:30
定休日
木曜日(月末の木曜日は営業)
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材メモ/まず、みうらじゅん氏の著書『青春の正体』が面白い。ぜひ一読されたし。そして読書後に高円寺へ行き、インドカレーをハシゴし、おいしさと高円寺の面白さを実感してほしい。

構成=城リユア(mogShore) 取材・文=富澤春奈(mogShore) 撮影=midori


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