地域ぐるみで観光地化を目指す。岐阜・関市の「モネの池」

2018/03/05

地域ぐるみで観光地化を目指す。岐阜・関市の「モネの池」

フランス印象派の画家、クロード・モネの連作『睡蓮』に似ていることから市内の新名所として注目を集めている名もなき池(通称「モネの池」)。1年中見物客が途切れず、多いときは1日で5000人が訪れます。地域の活性化につなげるべく地元民が協力し、池の保全や観光地化に取り組んでいます。

中広

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多くの偶然が積み重なりモネの絵に似た池が誕生

スイレンやコウホネが浮かぶ池の中を悠々と泳ぎまわるニシキゴイ。関市板取にある根道神社の参道脇に、モネの描いた『睡蓮』のような美しい眺めが広がり、たくさんの見物客が次から次へと訪れます。

「ここは昔からあった湧き水の池。今から39年前の農地改革で池の周囲に柵や橋が整備されたのですが、その後も長いあいだ、地元でもあまり知られていなかったんです」と話すのは、板取地区の前自治会長である長屋公久さん。

転機が訪れたのは平成11年でした。池の隣で花苗の生産販売店「フラワーパーク板取」を開業した小林佐富朗さんが、地域の人と協力して池の周囲の雑草を刈り取り、「せっかく水のきれいな池なのに、何もないのは寂しい」とスイレンやコウホネを植えたのが始まりです。

中央のコイはハート、右下のコイは・が頭についています。1枚の写真に収めれば、「愛を勝ちとる」とインターネットで話題になっています

「コイは、たまたま自宅で飼えなくなった地元の人が持ち込んだもの。もともと観光目的でつくったのではなく、多くの偶然が積み重なって、モネの絵画を思わせる池になっていったんです」と小林さん。

平成27年ごろからブログやツイッター、インスタグラムなど、SNSを通じて池の情報が少しずつ拡散され始めました。同年10月下旬にテレビで取り上げられたのがきっかけで、一躍話題に。休日になると見物客が詰めかけるようになりました。

清掃活動や茶屋など、地域の人々で協力して「モネの池」を盛り上げています

地域の人々が協力し見物客の急増に対応

池の保全や見物客への対応を担うのは、板取地区の自治会と総代会、地域の有志の皆さん。

「たくさんの人が来てくれるようになってうれしい反面、もともとが観光地ではないため、最初はいくつかの問題が起きました」と長屋さんは振り返ります。

当初は見物客の急増に対して、トイレや駐車場の数が大幅に不足していました。駐車場は約50台分しかなく、池に向かう国道256号線で大渋滞が発生。自治会のメンバーだけでは手が足らず、地元警察に交通整理の応援を頼みました。池の周囲が無数の靴で削られて崩れやすくなり、池の中に土が流れ込んでしまうことも。水の濁りの原因になりました。

根道神社拝殿。「モネの池」は根道神社の参道脇にあります 5.子どもがしがみついている、全国でも珍しい狛犬です

救いの手を差し伸べたのは、地域の人々。近隣の空き地の所有者が、駐車スペースとして無償で開放したり、自主的に看板をつくったり、地元のアマチュアカメラマンたちがゴミ拾いを買って出たりと、たくさんの人が問題の解決に取り組みました。さらに行政が池の隣に観光案内所を設立するとともに、トイレの数を増設。昨年5月には、地元の和菓子店が販売所をつくり、「モネの池」にちなんだ和菓子を考案。地元の「板取錦鯉振興会」が稚魚から育てたニシキゴイ約15匹を提供するなど、地域が一丸となり、観光地化を進めてきました。

現在は駐車場を増やし、約350台の車が停められます。1日あたりの見物客数は平均で約2000人。何度も足を運ぶリピーターも増加し、多いときには1日で約5000人の見物客が訪れます。

市の統計によると、平成26年に266万人だった観光客数は、27年に286万人、28年には339万人まで増加。「モネの池」を中心とする板取川沿いの効果で、73万人の増加につながったと発表されました。

「モネの池」にスイレンを植えたお話が絵本になった「ちいさないけと はなやさん」。作者は岐阜県出身のりうんさんです

スイレンの花の見頃は6月中旬からの1カ月間

「モネの池」の魅力は、水の透明度と開花期間の長い花です。透明度の秘密は、池に流れ込む高賀山の湧き水です。高賀山は、微生物が育たない流紋岩類で構成されており、水の透明度が保たれています。また、絶え間なく流れ込む湧き水の水温は年間を通して14℃。水温が低いため、夏に咲くコウホネが枯れにくく、黄色からオレンジ、さらに赤色へと美しい色の変化が楽しめます。スイレンがきれいな花を咲かせるのは、毎年5月下旬から10月にかけて。とくに6月中旬からの1カ月間がピークです。

「6月中旬以降は板取地域全域がアジサイの花でいっぱいになりますし、夏に入ったら美しい里山の田園風景も楽しめるようになりますよ」と小林さん。今後は「モネの池」の盛り上がりを生かし、さらに広く地域全体の活性化につなげていきたいと前を見据えます。「車で15分ほど板取川の上流に向かえば、巨大株杉の群生地もありますし、30分ほど先の上流には川浦渓谷もある。『モネの池』を訪れた人たちに、もっとたくさんの板取の魅力を楽しんでほしいと思っています」

ぜひ足を運び、地元が誇る美しい風景を満喫してみてはいかがでしょうか。

Yahoo!ロコフラワーパーク板取
住所
岐阜県関市板取白谷440-1

地図を見る

電話
0581-57-9021
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

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