レストランにはまねできない。うまいものがそろう高田馬場のバー

レストランにはまねできない。うまいものがそろう高田馬場のバー

2016/04/08

“アナログ”とはレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくても居心地のいい空間とサービス! かつ良心的な値段。つまり人の手が感じられる「アナログ」で「アナ場」な店。第2回は高田馬場の「ループ」 。

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

バーだけど、ここで料理を食べないなんてもったいない!

高田馬場といえば低価格のチェーン店ばかりで個性的な店はめっきり姿を消している。

それでも早稲田通りと神田川にはさまれたディープなエリアには面白い店が残っている。この“謎の店”も初めて店の前を通った時から気になっていた。看板はない。が、表の壁に貼られたメニューを見るといかにも旨そうなのだ。フォワグラのポワレ・ジャポネーゼ、鶏の手羽先のコンフィ…。これってフレンチでしょ!

その後、ある店の移転パーティでナゾの店の店主・村上修平さんと出会った。開口一番「僕、何度かお見かけしています。青山の店で修業していたとき」。それは日本を代表する有名フランス料理店のキッチンだった。

看板こそないが、照明に照らされた扉にはワインのコルクを張り付けてある

野菜から魚、肉、締めの炭水化物まで“旨いもの”勢揃い

それから数日後、ようやく開けてみた扉の向こうはかなり強烈な空間だった。7席の椅子はふちが破れているものも多い年代物。ガス2口の小さなキッチンは家庭用より小さく思える。ところがそんなキッチンから登場する料理は、どれもていねいな火入れと絶妙な塩加減が伝わってくる。油はオリーブ、 エゴマ、ピーナッツ、酢も米、バルサミコ、シェリー、モルトビールなどを複雑に使い分けているのはお見事!

最初はあまりにたくさんのボトルやモノに囲まれた空間に驚く
話題が豊富な村上さん。常連が通う理由のひとつは彼との会話を楽しみたいから

村上さんは子供の頃から料理が好きで、高校卒業後、迷わず専門学校を選んだ。卒業後は、西麻布の高級フレンチで基礎を学んだ。さらに23歳でニュージーランドの店で1年間働いた。帰国後は青山のフレンチ、銀座の鉄板焼き店を経て27歳で独立という経歴だ。

「うちは基本バーだから飲み物だけでもいいです。おなかがすいていればできる限り食べたいものを作って差し上げる、そんな店です」(村上さん)

そんなメニューは自家製パンで作る本日のサンドウィッチやチャーハン、パスタまで。「今日の野菜は? 魚は? パスタは?」とその日のおすすめから選んでも、村上さんに「おまかせ」もいい。料理に会わせてビール、ワイン、カクテル、日本酒など飲み物だって何でもいい。この充実度は高級店のメニュー構成と変わらない。それを一人で、7席のお客のために用意する村上さん。しかも休日は千葉の野菜の生産者のもとへ通うのが楽しみ、という根っからの料理人だ。

フォワグラのポワレ・ジャポネーゼ1200円。ご飯の上にフォワグラ。脂と炭水化物のコンビは最強の旨味を生む。高級素材を使いこなせるのは基礎がしっかりしているから
富山産ホタルイカのサラダ600円。野菜とイカを引き立てるオイスタードレッシング
本日のサンドウィッチ。この日は自家製全粒粉パンと鶏手羽先のコンフィ700円

ちなみに昼は「麺やみつ井」という店名に変身して、油そば(和えそば)を出している。フランス料理の技法で脂を落としたスペアリブのスープに、にんにく風味のタレが特徴。このラーメン激戦区で、2013年にはランキング1位になったほどの腕前。ただし、夜はラーメンなし。

さて、あなたは昼のラーメンから行くか、夜のバー&旨いもので行くか。それとも両方か?

DELI DINING LOOP

住所:
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2丁目7-12
アクセス:
高田馬場駅7出口から徒歩約3分
高田馬場駅西武線早稲田口出口から徒歩約5分
高田馬場駅JR早稲田口出口から徒歩約5分 
電話:
03-3208-0886
営業時間:
18:00-24:00
予算:
食べて飲んで一人3500円前後

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

この記事を書いたライター情報

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

東京を中心に地方や海外の食文化、レストラン事情を最前線で取材。ファッション誌から専門誌まで数多くの雑誌で連載を持ち、その店の良さ、時代性をわかりやすく解説。特に新しい店の評価に対する読者の信頼は厚い。食に関わる講演・審査員など多数。農林水産省顕彰制度・料理マスターズ認定委員。

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