名古屋 伝統の味を守り続ける和菓子の老舗「孝和堂本店」

2018/02/27

名古屋 伝統の味を守り続ける和菓子の老舗「孝和堂本店」

中村公園の大鳥居の前、豊国神社参道の入り口にある孝和堂本店。昭和12(1937)年の創業から変わることなく、昔ながらの手づくりの味を大切にしています。原材料や製法のこだわりと、地域への思いを尋ねました。

中広

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地元に愛される味わい。代々受け継がれる思い

豊国神社参道の表門にあたる高さ24mの中村公園大鳥居。そのすぐ目の前に、昨年11月に創業78年目を迎えた老舗和菓子店「孝和堂本店」があります。

昭和12(1937)年に稲葉地で小さな駄菓子店として開業した後、昭和14年に現在地に移転しました。

移転当時、店舗の周囲は広大な農村地帯で大きな建物は一つもありませんでした。ひときわ高くそびえ立つ大鳥居の姿は、はるか遠くからでも眺めることができたといいます。その傍にある和菓子店は、農作業の合間のおやつを求める地元の生産者などで大いににぎわいました。

1950年代頃の孝和堂本店社屋

当時から変わらず、一番の名物は出来たてのおはぎ。人の往来が絶えない旧街道沿いにあったため、荷車に積んだ収穫物を大治や七宝、津島などから名古屋駅方面の市に引いていく生産者の間でも、その味が知られていました。

初代の南谷岩吉さんから2代目を継いだ幹夫さんは、昭和46(1971)年に有限会社として会社登記します。酒素まんじゅう草餅など人気商品を増やしていきながら、昭和58(1983)年に現在の建物にあたる新社屋を建築。順調に発展していきます。創業70年目を迎えた平成19年には、外観や店内を改装リニューアル。現在は3代目の孝昭さんと4代目になるべく修業中の太介さんが中心となり、先代から受け継いだ技法で菓子をつくり続けています。

3代目店主の南谷孝昭さん。機械を使わず、職人によって1つずつを手作業。出来たてのおいしさを大切にしています

変わらない原材料と製法。出来たてを提供する

孝和堂本店は「手づくり、出来たて、本物の味」をモットーとしています。「当社の製品は、原材料と製法を創業からほとんど変えていないんです」と話す太介さん。北海道十勝産の小豆や、その年で一番おいしいものを吟味した国産もち米などの材料を厳選。和菓子の基本であるあんこから生地まですべて手づくりです。あんこを生地で包むときにも、機械は使いません。愛情をこめて、1つひとつを人の手で丁寧に成形していきます。

現代の和菓子づくりは出来あいのあんこや生地を仕入れて、機械で大量に製造したものを冷凍保存する方法が、効率が良くて主流となっています。しかし孝和堂は、1日3〜4回にわけて少量ずつ製造していく方法をとっています。つくり置きせず、保存料などの添加物も使わない昔ながらの出来たての風味を守っているのです。

知多半島で手摘みしてきた蓬は、その日のうちに店内で炊き上げます

店内にはこだわりの商品がずらりと並びます。その中で、春にもっともおすすめなのは手摘みの新鮮な蓬を使った草餅。温暖な気候で知られる知多半島で育ったものを使用しています。毎年1月中旬から6月中旬頃にかけてつくられる、季節限定の人気商品です。1日に1000個以上を売ることもあるといいます。

「毎年、親戚や知人、従業員総出で蓬を摘みに行くんです」と太介さんは話します。手摘みの蓬と出来あいの蓬の一番の違いは香りの柔らかさ。販売時期になると、店内には炊き上げた蓬と米粉の香りが混ざり合い、ほのかな春の香りが楽しめます。

名物のおはぎ。原料は小豆と砂糖、もち米のみで無添加です

地元を第一に考えて地域発展に貢献する

毎年4月、中村公園で開催される「太閤花見茶会」で和菓子を提供するなど、地域との関わりも大切にしています。

「百貨店に商品を卸したり、支店を展開したりするなど店を大きくする方法はいくらでもあると思うんです」。しかし、参道入り口に構える老舗店として地元を第一に考え、地域発展に少しでも貢献していく姿勢が最優先。卸売や支店を展開せず、一店舗のみで提供し続けることで質とこだわりを守っています。「昔、おじいさんやおばあさんに連れられて来ていた近所のお孫さんが、成長してからも買いに来てくれるんです。『あの頃と同じおいしさだ』と喜んでいただける。こんなにうれしいことはないですね」。

素材を厳選してつくる、孝和堂本店でしか味わえないものを。昔と同じ場所、昔と変わらない味のまま、これからも孝和堂本店は地域に愛され続けていくことでしょう。

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