普段は気づかない、根底にある安心感に精神科医も支えられている

特集

3月の連載記事まとめ

2018/03/02

普段は気づかない、根底にある安心感に精神科医も支えられている

精神科医として総合病院に勤務する傍ら、文筆、音楽、ラジオなどマルチに働く星野概念が「食べに行く」という行為を通して、「こころ」に関する気づきをひも解く。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

根底に安心感があると、神経質にならず、自由を感じることができます。

こんにちは、精神科医の星野概念です。

この連載は、日常の食生活の中から僕が感じたり考えたりしたカウンセリング的要素をみなさんにご紹介するものです。

「初の著書が出版されました!」と、連載とは全く関係ないことを何も考えずに書き始めたら、そんなことを書かせてくれるライフマガジンの寛容さに気づきました。普段は気づきさえしませんでしたが、安心して遊ばせてもらっていたのです。これは実家に似ているのではないかと思い、そこから幡ヶ谷の大好きなお店「jicca」を連想しました。今回は、安心感が大きなテーマになっています。

  

【目次】
0.初著書!!!!
1.「jicca」はやはり「実家」だった
2.子どもの発達の考え方
3.安心して遊べる環境が大事


0.初著書!!!!

・いとうせいこうさんとの対談本

いとうせいこうさんとの対談本

『ラブという薬』

が2月に出版されました。

  

「きつい現実が少しゆるい現実になりますように」

というメッセージが込められた、対話のカタチをした本です。(帯のままの情報)

  

精神医学や心理学のことだけでなく、お互いが気になることや、SNSのことやお笑いのこと。他にも色々なことをお話させて頂きました。

じんわりと楽しんでもらえると思います。

そして、出版記念イベントも決定しました!

何卒、よろしくお願いします!!

  

1.「jicca」はやはり「実家」だった

・実家のようなライフマガジン

さて、告知から始めてしまいました。こんなことが許されるのも、Yahoo!ライフマガジンならではだと思って、完全に甘えています。

  

ここまで肩の力を抜いて連載の内容を想像したり、実現させたりできる場所って多くないと思うのですが、だからと言ってダラダラしたり、妥協することが許される感じでもないのがYahoo!ライフマガジンの不思議なところです。

  

このちょうどいい包容力。

個人的な感覚としては、まるで実家のようです。

  

・幡ヶ谷のビルの2階の、飛車と角

実家といえば、幡ヶ谷にあって時々行く
「ジッカ」と発音するお店があります。

ただ、そこは渋谷区。

  

当たり前のようにオシャレで、表記は

「jicca」

です。

  

小文字!

  

このお店、素敵な点がたくさんあるのですが、まず特筆すべきは、前回ご紹介した中華屋さん「您好(ニイハオ)」と同じビルの同じ階にあるということです。

そのビルの狭い階段を2階まで登ると、左の扉が「jicca」、右の扉が「ニイハオ」です。

  

前回書いたように、「ニイハオ」は、僕の中では日本一餃子が美味しい街の中華屋さんですが、いわゆるオシャレな店構えではありません。そこがまた好きなのですが。

  

一方、「jicca」は扉が閉まっていても、品の良いオシャレ感が漏れ出てくるような魅力のあるお店です。

  

この、個性の異なる2つの強力なお店が並ぶビルの2階は、まるで将棋の飛車と角が並んでいる2列目のようです。

いつも直前まで、飛車に行こうか、角に行こうか迷うのは、幸せな悩みと言って差し支えないでしょう。

  

・「jicca」なところと「実家」なところ

「jicca」の素敵なところは、「jicca」なところと「実家」なところにあります。

  

意味がわからないと思うので順番に説明します。

  

まず、内装がとてもオシャレ。多分誰が見ても「センスいいなぁ」と思うはずです。そして、トイレも広くて格好いい。これらは「jicca」なところです。

  

その内装ですが、オシャレだけど飾り気がないというか、一見無造作にテーブルが並んでいる感じです。しかも、酔っ払ったら寝転んでしまいそうな謎の台みたいなスペースもあります。

  

この、飲食店から少しはみ出た印象は「実家」なところです。

  

そして調べたところ、食材は契約農家さんやファーマーズマーケットで仕入れているそうです。この素敵なこだわりは「jicca」なところですかね。

  

まだどんどん、魅力、いきます。

  

ワインはおそらく全てナチュラルで、グラスだけでも数種類あって十分楽しめます。

  

料理もとてもしっかり。

  

特徴的なのは「ギュベジ」というトルコの鍋料理で、野菜たっぷりの超うまい煮込み料理です。

  

ピザの生地にはチーズが練りこんであるのか、生地の端っこまで楽しい。

  

パンもめちゃめちゃ美味しい。

  

チーズも種類が多いし、量もたくさんで……。

  

ワインあたりから「jicca」か「実家」かわからなくなりましたが、

  

バラエティに富んだメニューと確かな食材ですごく楽しくて、大体、毎回、頼み過ぎてしまいたい!

  

・謎の台みたいなスペースの正体

この「jicca」に、とてつもない「実家」を感じたことがありました。

先ほど書いた、酔っ払ったら寝転んでしまいそうな謎の台みたいなスペースは、通常の席としても使われています。

  

ある時、その席で食事をしていたら

「団体さんがいらっしゃるのでお席の移動をお願いできませんでしょうか」

と言われ、もちろん快諾しました。

  

そしてやって来た団体さんの構成は、

大人3人に子供3人(推定3〜4歳たち)。

  

テーブルを挟んで、謎の台の前のイス席に大人が座り、幼児3人は全員が謎の台にいました。

  

「いました」と敢えて書いたのは、座ったり立ったり寝転んだり、ものすごく自由にしていたからです。

  

その自由さといったら、もう流石で、注文する前の段階でみんな口々に

「いまからここ、おうちね」

「みんなねるよ」

「はーいねました」

「おうちだからねー」

「なーんでねーなーいの!」

「もうふ、もうふ!」


と止まりません。

レストランで寝る、という新手のままごとが展開されていたのです。

  

まるで、自分の両親どちらかの実家に行ったら親戚が集っていて、そこにいた幼児たちがはしゃいでいる、といったシチュエーションのようでした。

そんな光景を楽しめる、こんなに美味しいお店は他にない!

  

チーズを美味しいワインで流しこむ自分、の数メートル先で、「ねーるーよー」という子供たちの声。

  

「このカオスこそが「jicca」の実家たる所以か。ふっ。すごくいいじゃないか」

  

と、思わず漫画「孤独のグルメ」の井之頭五郎のように心の中で呟いたのでした。

  

2.子どもの発達の考え方

・ウィニコットという人

イギリスの精神分析家で、小児科医でもあったウィニコットという偉人がいます。

今回はこの人の考えた、子どもがどう発達していくか、ということについて簡易的に書いてみます。

・はじめは、おかあさんといっしょ

生まれた時は「絶対的依存」という時期です。

母親に世話されていることすら自覚できていません。それ故に、世話されることは当然どころか、自分と母親は一体だという状態になっています。

  

この状態が「絶対的依存」です。

文字どおり、絶対的に依存しているということです。

この時期、母親は非常に献身的な育児を必要とされます。

・徐々に、おかあさんが必要と気づく

幼児と呼ばれ始める頃になると、母親はどうやら別の人間で、自分としては育てられることを強く求める!と感じるようになります。

  

これは「絶対的依存」から「相対的依存」への移行を意味します。

こうなると、絶対的に自分の要求が満たされるわけではないことを経験するようになり、強く求め、でも満たされないこともあるらしいぞ、ということを少しずつ学んでいきます。

  

・ほどよい母親

この時期に大切なのが「ほどよい母親」です。

これは、全ての要求に応えきることは当然難しいながらも、子どもを心から愛し、子どもがそれによって安心感を保てているような状態です。

  

この、心の底にある安心感が常にあるからこそ、子どもは少しずつ依存状態から独立していきます。

  

・移行対象というもの

母親への依存ができない時に、その代理となって安心できるように、ぬいぐるみやタオルや毛布が自分なりの安心材料になったりします。

「母親への依存」→「母親からの独立」の移行期に必要なので「移行対象」と呼ばれます。

スヌーピーが出てくる漫画「ピーナッツ」でライナスが持っている「ライナスの毛布」がこれです。

  

ちなみに僕は、謎のガーゼを肌身離さず持っていたと母が言っていました。

・独立した後

こうして発達し、母親から独立していった後も、それまでに根づいた心の底の安心感というのは変わりません。

  

それがあるからこそ、遊びの場面でも、もっと先でも、安心して自分を出せるのです。

  

こう改めて考えると、育児の時にしっかりと愛情を注ぐことは、やはりとても大切です。

  

それと同時に、いつの間にか、母親自身の安心のために愛情を注いでいる、という状態になってしまうと、子どもは安心できなくなることが多いので気をつけなければなりません。

  

3.安心して遊べる環境が大事

・「jicca」の居心地の良さ

「jicca」では、謎の台の存在などもあり、子どもたちが楽しそうに遊んでいました。

  

しかも、それを「うるさいな」と感じることはほぼなさそうな空間なのです。

空間に神経質さがないというのでしょうか。これが「jicca」の根本的な居心地の良さにつながっているのだと思います。

  

・発達も、お店も、ライフマガジンも

発達における、根底の安心感と、お店における、根本的な居心地の良さって、なんだか重なるように思えてきました。

  

これはさらに、冒頭に書いたYahoo!ライフマガジンでの、リラックスして安心しながら発想できる雰囲気にも似ているかもしれません。

例えば少し疲れている時、実家に寄るような気持ちで「jicca」にフラっと寄ってみると、美味しさと居心地のよさで、安心感が得られるのではないか、と思います。

  

そこで是非、スマホを取り出して、Yahoo!ライフマガジンを楽しみましょう!

  

来たる春に向けて、はやる気持ちを「jicca」で少しのんびりさせるのも、きっといいですよ。

  
Yahoo!ロコjicca ジッカ
住所
東京都渋谷区西原2-27-4 升本ビル2F奥

地図を見る

アクセス
幡ケ谷駅[南口]から徒歩約3分
代々木上原駅[東口]から徒歩約9分
初台駅[南口]から徒歩約13分
電話
03-5738-2235
営業時間
月 18:00~24:00 火~土 12:00~15:00,18:00~24:00
定休日
毎週日曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

文・構成:星野概念
イラスト:権田直博


星野概念(ほしのがいねん)

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精神科医

権田直博(ごんだなおひろ)

権田直博(ごんだなおひろ)

画家

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

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