いわきの“食”が美味すぎて! 福島視察ツアー同行記(野菜編)

特集

美味グルメの宝庫!今こそ福島県いわきの旅へ。

2018/03/11

いわきの“食”が美味すぎて! 福島視察ツアー同行記(野菜編)

東京から約200km、JRの「ひたち」や車で約2時間半の距離にある福島県・いわき市。福島県の東南端にある温暖ないわきで行われた「PCCツアー」に、ライフマガジンの編集スタッフMとライターが同行。震災から7年が過ぎ、笑顔を取り戻しつつあるいわきで“食”と向き合う人々を訪ねた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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農水産物豊かな福島の食の楽園

東西に長い福島県は、太平洋側から「浜通り」「中通り」「会津」の3つの地域に分けられている。茨城県に接するいわき市は「浜通り」の最南端にあたる

今回訪れたいわき市は、日照時間の長い温暖な気候に恵まれ、太平洋の黒潮と親潮が出会う『潮目の海』に面しているため、農産物・海産物ともに“美味いもの”が豊かな土地柄。その多くの食材は東京をはじめとする首都圏に数多く供給されている。

のどかな田園風景もいわきの魅力

ところがいわきは、2011年の東日本大震災で被災しただけでなく、発電所の事故による農水産物への風評被害の問題も発生。今回同行した「PCCツアー」は、「生産者(Producer)と料理人(Chef)を繋ぐ(Connect)」をテーマに、風評被害を減らそうとするいわき市とフジテレビが共同で開催したバスツアー。というわけで首都圏の料理人とともにバスに乗り、“おいしい”を生み出す生産者と料理人が待つ福島・いわきに向かった。

\ツアーの動画はこちら/


トマトで一日楽しめるテーマパーク
「ワンダーファーム」

\案内人はこの人/
ワンダーファーム代表
元木寛さん

いわきでは「トマト王子」と呼ばれ親しまれている元木代表

東京駅を出発した一行が訪れたのは、体験型のトマト農場施設「ワンダーファーム」。明るい日差しが降りそそぐ大きなハウスの中で、地元では「トマト王子」の愛称で親しまれる代表の元木寛さんが出迎えてくれた。

ワンダーファーム元木寛さん
ワンダーファーム元木寛さん
「ワンダーファームの農園はサッカーグランドのおよそ3.5倍の面積があり、11種のトマトを育てています。いわき市の日照時間は国内屈指の長さのため、トマトがおいしく育ちます。市内で作られるトマトは『サンシャイントマト』というブランド名で親しまれています。気になるトマトがあれば自由に試食してくださいね」
「フラガール」という品種のミニトマト。甘みや酸味、旨味が小さい実に凝縮されている

さっそく真っ赤に熟したミニトマト「フラガール」をぱくり。適度な歯ごたえを感じながら頬張ると、弾けた果肉から酸味と甘さが凝縮されたフルーティな味わいが広がる。何個でも食べたくなるおいしさにはびっくり。(おかわりしました)

トマトの苗の根本には「ココウール」と呼ばれるヤシの繊維が敷き詰められている
元木さん
元木さん
「おいしさの秘密は『養液栽培』という生産法にあります。ココウールというヤシの実の繊維を土代わりに使い、室温や水、日照までをコンピュータによって正確に制御する最先端のハウスになっています。栽培方法は最先端でも、収穫は人の手で丁寧に行っています」
「オレンジキャロル」(写真左)と「アイコ」(右)の色鮮やかさに目を奪われます
元木さん
元木さん
「我々が作りたいのは、おいしいけれど日々の食卓で楽しめる手ごろな価格のトマト。安全なことは言うまでもありませんが、出荷前に月2回の放射線モニタリング検査を実施。いくら測っても放射性物質が出ないことはわかっていますが、安心して選んでもらうために検査をし、結果を公表し続けているんです」

震災前は収穫したトマトの半数を首都圏に出荷していたものの、発電所の事故による制限で出荷量は一時ゼロに。震災から7年たった今は、よりおいしさを増したトマトと地道な検査活動で震災前の出荷量の2割程度にまでは回復しているとのこと。

ワンダーファームでは土・日・祝のみ、フルーツトマトやミニトマトなどの収穫体験(料金800円)も可能。予約不要で全9種類ものトマトを袋いっぱいに詰めて持ち帰れるので、ぜひ美味満点の採れたてトマトの味わいを体験してほしい。

地元シェフが手がける
いわき名産フルコースを

ランチはワンダーファーム内にあるレストラン「森のキッチン」で振る舞われた

トマトを思う存分味わった後は、ワンダーファーム内のレストラン「森のキッチン」へ移動。普段は採れたてのトマトや地域の新鮮野菜を中心にしたランチビュッフェやディナーが楽しめるが、今回のツアーでは特別に地元シェフグループによるスペシャルランチを用意していただいたとのこと。

写真右から「ダイニングキッチン月海-Ruu-」の今野詠史さん、「桃飯房sone」の曽根道真さん、「華正樓」の吉野康平さん、ワンダーファームの元木代表

ランチを手がけたのは、「Hagiフランス料理店」の萩春朋さん、「La Stanza(ラ・スタンツァ)」の北林由布子さん、「桃飯房sone」の曽根道真さん、「ダイニングキッチン月海-Ruu-」の今野詠史さん、「華正樓」の吉野康平さんの5人のシェフとスタッフの皆様。そしてメニューの数はなんと13品!

\ウエルカムスープ/
「なめこ酸辣湯スープ」

中華仕立てのトマトスープに大ぶりのナメコを合わせた「なめこ酸辣湯スープ」

「華正樓」の吉野シェフによるスープからコースがスタート。ワンダーファームのミニトマトといわきの加茂農産のナメコを合わせた中華スープで、トマトのほどよい酸味とナメコのとろみはコースへの期待を高める食感の良さ。

\前菜/
「目光真薯」
「聖護院大根となめこの春巻」
「ファーム白石さんの野菜のマリネ」

前菜は写真上から時計回りに、「ファーム白石さんの野菜のマリネ」「聖護院大根となめこの春巻」「目光真薯」の3品
塩とオリーブ油だけで調理されたブロッコリーやキャベツ、ニンジン、ハクサイなどがかわいい瓶に

続いては前菜の3品。桃飯房sone・曽根シェフの「聖護院大根となめこの春巻」、月海Ruu・今野シェフの「目光真薯」、スタンツァ・北林シェフの「ファーム白石さんの野菜のマリネ」と、いきなりの豪華っぷり。いわきの「市の魚」であるメヒカリや地物野菜の魅力をダイレクトに感じられる料理となっている。

\いよいよメイン/
「アイコと海老のチリソース」
「いわき満州黒豚焼売」
「長兵衛の湯葉巻き青葱ソース添え」
「長兵衛グラタン」
「さんまポーポー焼きとトマトペンネ」

「アイコと海老のチリソース」にはミニトマトの「アイコ」を使用
「いわき満州黒豚焼売」(左)と、「長兵衛の湯葉巻き青葱ソース添え」(右)
「長兵衛」という品種のサトイモを使い、滑らかでクリーミーに仕上げたグラタンは今野シェフの作品
いわきの郷土料理「さんまのポーポー焼き」をひき肉に見立て、ミートソース風に仕上げたアイデアあふれる一皿

いよいよメインディッシュの登場。ミニトマトの「アイコ」とエビの意外なマッチングが楽しめるのは「アイコと海老のチリソース」。いわきの貴重な銘柄豚を使った「いわき満州黒豚焼売」や、爽やかな青葱のソースが絶品の「長兵衛の湯葉巻き青葱ソース添え」など、どれも美味!

\肉とカレーで〆/
「いわき満州黒豚叉焼」
「黒毛和牛のカレーライス」

ラスボス感がみなぎる「いわき満州黒豚叉焼」(4人前です)
いわき産のコシヒカリ「いわきライキ」は食味ランキングで最高の「特A」を獲得したブランド米

存在感抜群の「いわき満州黒豚叉焼」が運ばれると、参加者からは大きな歓声が。華正樓・吉野シェフが照りよく焼き上げたチャーシューは、濃厚な脂がしっかりのっているものの、クドくないおいしさ。添えられたファーム白石のキャベツの窯焼きと交互に食べると止まらない!

そして料理の〆はなんとカレーライス! 1日1組限定の料理店「フランス料理HAGI」の萩春朋シェフが、黒毛和牛といわきのブランド米「いわきライキ」を組み合わせたもので、あっという間に完食!

\デザートの二品!/
「ジャジーミルクの杏仁豆腐」
「苺とトマトの焼きピッツァ」

男女問わず参加者をとりこにした「ジャジーミルクの杏仁豆腐」
「苺とトマトの焼きピッツァ」薄く仕上げた生地に贅沢なトッピングがたっぷり

フィナーレのデザートも抜かりなし。「ファームつばさ」のジャージーミルクを曽根シェフがアレンジした杏仁豆腐は、サッパリ感と濃厚さのバランスが絶妙で、おかわりする参加者もいたほど。

今野シェフのピッツァには、「田人観光いちご園」の苺と「助川農園」のトマトをメインに、メレンゲやココアパウダーがトッピング。どちらのデザートもモダンでしみじみとした味わい。ご馳走様でした!

「森のマルシェ」には
トマトみやげが大充実!

「森のマルシェ」に並ぶ品物はもちろんトマトづくし!

ワンダーファーム内のショップ「森のマルシェ」では、採れたてトマトはもちろん、敷地内の「森のあぐり工房」で製造したジャムやジュース、ケチャップなどのトマト加工品を購入することができます。

ワンダーファーム

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


おいしい素材が生まれる現場へ

5人のシェフによる料理が最高すぎてやや呆然とする参加者。今回のツアーのもう一方の主役である野菜の生産現場を視察させていただくことに。

8代目が目指す自然農法
「ファーム白石」
白石長利さん

「いわきの赤い彗星」こと白石長利さん。いわきの食の世界のムードメーカー的存在のようだ

ワンダーファームを後にしてバスが向かったのは、スペシャルランチに野菜を提供した「ファーム白石」。「聖護院大根となめこの春巻」や「長兵衛のグラタン」「野菜のマリネ」など、ここの野菜は本当に美味!

代表を務める白石長利さんは、夏井川沿いのこの土地で代々農家を営んできた8代目。農薬や化学肥料を使わない自然農法で、ブロッコリー、ニンジン、サトイモ、キャベツなど、さまざまな作物を育てている。

「畑に来た料理人に『ここの土は甘みがある』と言われたことも(笑)」(白石さん)

おじゃました2月は、ほぼ全ての野菜の収穫が終わっている時期。白石さんは自分の農業のスタイルについて「自分は土の健康を維持して、野菜が育つ手伝いをしているだけです」と話してくれたのが印象的だった。


爽やかな香りの葉ネギを育てる
「草野グリーンファーム」
草野城太郎さん

葉ネギのようにシュッとしてる草野城太郎さん

ファーム白石のすぐお隣、葉ネギを栽培する「草野グリーンファーム」のハウスへ。先ほどいただいたランチの「長兵衛の湯葉巻き青葱ソース添え」に使われたネギは草野城太郎さんが育てたもの。いわきで葉ネギを生産している唯一の農家なのだそう。

「ネギ畑で採れたてをかじれるなんてネギ好き冥利につきます」(編集M)

「よかったら食べてみて」と草野さん。さっそく一株抜いてかじらせていただくと、爽やかな香りが。おいしさの秘密は、夏井川が近いので良質な地下水をふんだんに使えるからなのだそう。

「鍋料理などの薬味には『これでもか』というくらい入れる青ネギ好きなので、畑で抜きたてを味わえて感無量でした。刻んで鰹節と和えて醤油を垂らすとご飯のお共にぴったりだそうで、大至急試してみたくなりました」(編集M)


大きいナメコは美味かった!
「加茂農産」
加茂直雅さん

菌床となる広葉樹のオガ粉の山の前でナメコ作りを語る加茂直雅さん(右)

ビタミンやミネラルが豊富なナメコ栽培一筋40年の「加茂農産」。サクラやブナなどの広葉樹を細かく砕いたオガ粉と、コメヌカやダイズなどの天然の栄養素を混ぜた菌床で、80日間じっくり育てるのだそう。

よく育つ菌を選抜して大きな「キングナメコ」を生み出した

「甘酢で味つけした唐揚げを試食させていただきましたが、歯ごたえ味ともに最高です! 『大きいだけで味は変わらないんじゃないか』と思っていましたが本当に驚きました」と、編集Mも大満足の味わいだった。


ブドウとナシでワインを醸す
「いわきワイナリー」
今野麻未さん

ブドウ畑の向こうに見えるのがいわきワイナリーの醸造所

2015年に創業した、いわき市初のワイナリー。シニアマネージャーの今野麻未さんによると、ハンディキャップを持った方々の自立を支援するため、彼らがいわきで育てたブドウを使ってワインを醸造・販売しているのだそう。

熟成中のワインを前にワイン作りを解説する今野麻未さん

いわきワイナリーの特徴は、いわき名産の梨を使ったワインやスパークリングも醸造していること。現在ワイナリーの近くに直売所を建設中で、2018年の5月にはオープンする予定。

「直売所では試飲もできるそうなので必ず再訪します!」(編集M)

写真右から「KOSYU2016」(白ワイン:2700円)、「スパークリング梨ワイン豊水2016」(2160円)、「スパークリング梨ワイン新高2016」(2160円)

親バカトマトに丹精込めて
「菊田の郷 助川農園」
助川成光さん

トマト愛が止まらない助川さん

「『うちのトマトはおいしいよ』と、自慢したくなるほど大切に育てた親心から『親バカトマト』と呼んでいるんです」と話すのは、「菊田の郷 助川農園」の代表理事の・助川成光さん。主に「ごほうび」という大玉品種のトマトを生産している、半世紀以上の歴史を持つトマト農家だ。

おいしいトマトはヘタの先端がピンと上を向いているのだとか
「ダイニングキッチン月海-Ruu-」の今野シェフがサプライズで差し入れてくれた、助川さんのトマトを使ったスープがまた美味

震災では地盤沈下などの被害にあい、半世紀以上前から育てた畑が使用不可能に。ですが助川さんは「日常的に買える値段で、最高の味のトマトを作る」と、前向きにトラブルを乗り越えてきたそうです。

トマトジュース好きなのでおみやげに3本も買ってしまいました

ハウスの隣接した直売所では11月から7月までの期間中、採れたてトマトや地物野菜をお手ごろ価格で販売。トマト好きの編集Mは「親バカトマト」と「親バカトマトジュース」をゲット!

菊田の郷 助川農園(直売所)
福島県いわき市錦町馬場98
電話:090-1407-2118
営業時間:9:00〜12:00、13:30〜16:30(4〜7月は17:30まで)
定休日:日曜・祝日の午後
*8、9、10は休業


いわき市独自の取り組みで
農・水産物の検査結果を発信

検査場を案内してくれたのは、市役所で風評被害に対応している「魅せる課」の方々

震災による原子力発電所の事故を受けていわき市では、福島県の検査に加え、独自の「安全確認モニタリング検査」を行っている。今回のツアーでは、いわき市の魅力や、復興への取り組み、放射性物質の検査結果などを発信する、市役所の「魅せる課」の案内で出荷前のネギの検査を見学させていただいた。

この日、検査されたのは長ネギやハクサイなど
検査サンプルのネギを細かく刻む。紙皿やカッターナイフの刃はサンプルごとに取り替えられる
「NaIシンチレーター」と呼ばれる検出器を使って検査が行われる

検査対象の野菜サンプルを小さく刻み、測定器にセットすると30分ほどで含まれる放射性物質の量が表示される。国が定める一般食品の基準値は100Bq/kg以下だが、今回のサンプルは測定器で測れる限界以下の「0.0Bq(ベクレル)/kg」だった。

魅せる課のウェブサイトでは、こうした検査結果の数値のみを発表することで、「いわき産を選ぶかどうか」を消費者に判断してもらおうとしている。「もしかして危険かも」という不確かな情報による風評被害で困るのは、生産者も消費者も同じ。魅せる課の取り組みはそういった疑問に対し数値だけを提供することで、被災地だけでなく一般消費者の安心にも役立つと言えるだろう。

世界でも例がないほど、厳しく安全性をチェックされるいわきの野菜たち。味の良さは折り紙つきなので、春の行楽シーズンにいわきグルメを楽しみに出かけてはいかがだろうか。

構成・取材・撮影・文=杉山元洋

\まだある福島・いわき情報/

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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