70年以上愛される東京の老舗ベーカリーの絶品カレーパン3選

特集

今日は無性にカレーパンが食べたい!

2018/03/13

70年以上愛される東京の老舗ベーカリーの絶品カレーパン3選

パン生地の中にカレーフィリング(中に入っている具)が入ったシンプルな構成ながらも、店ごとにまったく異なった味が楽しめ、多くの人から愛されるカレーパン。中でも都内にある老舗ベーカリーのカレーパンは、全国的に人気のものも多い。そんな老舗の中でも特に見逃せない3店をピックアップ。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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老舗の経験から生み出されたカレーパンのおいしさの秘密に迫る!

ほとんどのベーカリーで定番としてあり、カレーパンだけを集めたグルメイベントが開催されるほど、数ある総菜パンの中でも特に人気の高いカレーパン。長年積み重ねてきたパン作りの技と、現代の食に合わせて作り上げられる老舗ベーカリーのカレーパンはどれも絶品。そんな老舗へ行き、カレーパンのおいしさの秘密を取材してきました!

「元祖カレーパン」と銘打ち、90年以上にわたりカレーパンを販売する、森下にある「カトレア」

老舗カレーパン3店

1.カトレア(森下駅)
2.デンマークベーカリー 練馬店(練馬駅)
3.スイーツ&デリカ Bonna(ボンナ)新宿中村屋(新宿駅)


1.カトレア(森下駅)

甘めの味わいで老若男女から大人気

「元祖カレーパン」(194円)は、油を気にせず食べてもらうために、一つ一つ袋に入れている

1877年に「名花堂」として創業してから140年以上、地元の人々に愛されるベーカリーの「カトレア」。現在販売されている「元祖カレーパン」は、万人に愛されるような優しい味わい。この味を求め、地元の人はもちろん、遠方からも多くの人が訪れる

5代目社長となる中田豊隆さん

――1877年に創業されたとのことですが、カレーパンができたのはいつごろでしょうか?(ライターK)

社長の中田さん
社長の中田さん
「文献などに残っていないので正確なことは分からないのですが、大正の末期から昭和初期のころにはカレーパンを売っていたと聞いています。その当時から看板商品で、平日でも約800個、土・日曜になると約1200個を作っています」
カレーフィリングがぎっしり入っていて、食べ応え満点

――人気なのは知っていましたが、それほどまでとは!(ライターK)

社長の中田さん
社長の中田さん
「考案したのは私の祖父である先々代で、当時は洋食ブームでカレーが人気だったので、パンと一緒に食べられるようにという発想だったそうです。実は、カレーパンが楕円形なのは、カレーと並んで人気だったカツレツの形に似せたからで、パン粉を付けて揚げて仕上げるのも、カツレツからのヒントだったようです」

――そんな誕生秘話があったんですね。さっそく「元祖カレーパン」を試食しました。ほんのりと甘さが感じられて、どこか懐かしく、とっても優しい味わいで人気があるのも分かります。(ライターK)

社長の中田さん
社長の中田さん
「昔から地元の人、お年寄りからお子さんまで幅広い年齢の人たちにお越しいただいているので、どんな人でも楽しめる味にしています。なので甘すぎたり、辛すぎたりする味ではなく、家庭で食べられているようなカレーの味です。そういった部分で懐かしい味がするのかもしれませんね」

ココにこだわり!

昔から変わらない3種の具材

熟練の職人さんが手際よくカレーフィリングを包んでいく

――90年近い歴史のあるカレーパンですが、昔から変わっていない部分はどのようなところですか?(ライターK)

社長の中田さん
社長の中田さん
「現在販売しているカレーパンは、当時のレシピが残っていなかったこともあり、多少異なる部分もあるのですが、カレーフィリングの具材には、今も変わらずにニンジン、タマネギ、豚ひき肉だけを使っています」

――もっと具材を使っているのだと思っていましたが、シンプル イズ ベストですね。あと、とっても舌触りがなめらかでした。(ライターK)

社長の中田さん
社長の中田さん
「みじん切りにした野菜を鍋でじっくり煮込んでいるので、具材はほとんどカレーの中に溶け込み、それぞれの素材の旨味が凝縮されています。あとは、揚げる油にも気を使い、質の高いサラダ油と綿実油(めんじつゆ)の植物性の油2種類を合わせています。そうすることで、食べた時に胃がもたれないようにしています」
180度の油で、約3分かけてサクッと揚げている
社長の中田さん
社長の中田さん
「先々代が考案したカレーパンが、この時代でも多くの人に愛されているのはうれしいことです。カトレアの看板商品として、しっかり守って伝えていければと思います」
森下駅を出て、徒歩2分のところに「カトレア」がある

取材に訪れたこの日も、カレーパンが揚がる時間になると店内に行列ができており、中には、5個、10個と大量買いする人もいて、人気の高さを物語っていました。揚げあがりは7、11、15時ごろの1日3回。予約も受け付けているので、確実に買いたい人は予約がオススメです。

Yahoo!ロコカトレア洋菓子店 森下店
住所
東京都江東区森下1-6-10

地図を見る

アクセス
森下(東京都)駅[A7]から徒歩約0分
清澄白河駅[A1]から徒歩約5分
菊川(東京都)駅[A1]から徒歩約9分
電話
03-3635-1464
営業時間
月~土 07:00~19:00
定休日
毎週日曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。


2.デンマークベーカリー 練馬店(練馬駅)

生地を作る酵母は地元素材!

「カレーパン」(172円)は常にできたてが並ぶ

「デンマークブロート」として1934年から営業を始め、現在では練馬区内に3店舗を構える歴史あるベーカリー。トンカツからヒントを得て、当時販売されていたカレーサンドを揚げることを思いつき、カレーパンが発明されたといわれている。現在販売されている「カレーパン」は、カレーフィリングと一緒にゆで卵が入っており、1日200個以上を販売する看板メニューだ。

活気ある店を取り仕切るチーフの佐藤貴佳子さん

――たくさんのパンが店内に並んでいて、選ぶのも楽しいですし、なによりも店内が焼きたてのパンのいい香りで包まれていますね。(ライターK)

チーフの佐藤さん
チーフの佐藤さん
「以前は工場で作っているものが多かったのですが、現在はこちらの店で一つ一つ生地から手作りしているものがほとんど。売れ行きに合わせ、できたてのパンを提供できるのでお客さんからも喜ばれています」
カレーパンの中には、ゆで卵が1/4個入っている

ココにこだわり!

“ねりまだいこん酵母”で、もちもち食感の生地に

地元名産の練馬大根から作られるねりまだいこん酵母

――こちらの店では、パンの種類によってさまざまな酵母を使い分けているのも特徴だと思います。中でもカレーパンでも使っているねりまだいこん酵母が気になります。(ライターK)

チーフの佐藤さん
チーフの佐藤さん
「ねりまだいこん酵母は、地元の名産である練馬大根を使って作った酵母です。先代の社長が、『練馬大根でパンを作りたい』という思いがあり、そこからねりまだいこん酵母が誕生しました。添加物を使っていない自家製の天然酵母なので、体に優しいです」

――その、ねりまだいこん酵母をカレーパンの生地に使ったのはなぜですか?

チーフの佐藤さん
チーフの佐藤さん
「ねりまだいこん酵母を使うと、焼きあがった時に香ばしく仕上がります。あと、生地がもちもちっとした柔らかい食感になるので、揚げることでサクッとした外側と、もちっとした内側の食感の違いを楽しんでもらえると思い、“ねりまだいこん酵母”の生地を使っています」
生地にパン粉を付けてから、一度オーブンで焼き上げる

――作っているところを見させていただきましたが、一度焼いてから揚げるという珍しい方法で作っているんですね。(ライターK)

チーフの佐藤さん
チーフの佐藤さん
「ねりまだいこん酵母を使った生地は柔らかいので、そのまま揚げてしまうと破けやすいんです。そしてなにより、一度焼くことで揚げる時間が短くて済むので、その分、油を含まずにしつこさのないカレーパンに仕上がります」

――食べる側にしても、しつこさがないのはうれしいポイントですね。(ライターK)

チーフの佐藤さん
チーフの佐藤さん
「あとは、一度焼いてストックしておくことで、すぐに揚げられるので、常にできたてのカレーパンを並べられるのがメリットです」

――カレーパンを食べさせていただきましたが、カレーフィリングがスパイシーで、食欲がそそられるので、何個も食べたくなるようなおいしさでした。(ライターK)

チーフの佐藤さん
チーフの佐藤さん
「カレーフィリングは、12種類のスパイスを店独自の配合で調合してもらったものを使っていて、最初は辛味が感じられて、あとから爽やかな香りが楽しんでもらえると思います。実は、揚げる前のフィリングはとっても辛いんです(笑)。油でコーティングしたり、ゆで卵と一緒に食べることでマイルドになるんですよ」
全部で70席ある2階のイートインスペース。コーヒーなどのドリンクやサイドメニューも販売している
チーフの佐藤さん
チーフの佐藤さん
2階にはイートインスペースもあるので、コーヒーなどと一緒にできたてのカレーパンを召し上がってください」
色鮮やかなオレンジを基調とした外観が印象的

ねりまだいこん酵母を使ったこだわりの生地と、本格的な味わいのカレーフィリングが見事に折り重なったカレーパン。練馬の名産がカレーパンのおいしさを引き立てており、地元の人から長い間愛されているのもうなずける。

Yahoo!ロコデンマークベーカリーカフェレストラン
住所
東京都練馬区練馬1-5-7

地図を見る

アクセス
練馬駅[西口]から徒歩約0分
練馬駅[A2]から徒歩約2分
豊島園(都営線)駅[A1]から徒歩約9分
電話
03-3994-3727
営業時間
月~日、祝日、祝前日: 07:00~20:00
定休日
なし
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。


3.スイーツ&デリカ Bonna 新宿中村屋(新宿駅)

新宿中村屋の歴史が凝縮したカレーパン

楕円形ではなく、丸い形が特徴の「新宿カリーパン」(324円)

1901年に文京区本郷でベーカリーとして創業し、1909年からは現在の地で営業を続ける新宿中村屋。2014年、本店跡地に新宿中村屋ビルがオープンし、ショップ「スイーツ&デリカ Bonna」が誕生。ここのベーカリーコーナーでは、これまでのカレーパンを一新し、新たな名物として「新宿カリーパン」を販売。「新宿カリーパン」は、新宿中村屋が日本の元祖として知られる純印度式カリーをフィリングのベースにしている。

「新宿カリーパン」を一つ一つ丁寧に揚げるシェフの浅見博さん

――新宿中村屋ではカレーパンはいつごろから販売されていたのでしょうか?(ライターK)

シェフの浅見さん
シェフの浅見さん
「1940年から販売しています。その当時、すでに純印度式カリーが人気だったのですが、戦時中ということで材料が十分にそろわず、純印度式カリーを提供することが難しくなったんです。それでもパンの中に入れれば、1人前の量で多くの人に純印度式カリーを味わってもらえると思って作ったのが始まりです」
具材は大き目なので、しっかり食感が楽しめる

――カレーパンが誕生した背景には、そんな思いが込められていたのですね。そして現在は新たに「新宿カリーパン」を販売されています。(ライターK)

シェフの浅見さん
シェフの浅見さん
「ベーカリーコーナーの充実に合わせ、ここに来なければ味わえない新たなカレーパンをという思いから、以前販売していたカレーパンを一新して、14年に発売したのが『新宿カリーパン』です。このカレーパンは、新宿中村屋の純印度式カリーをベースにしているというのがウリ。フィリングに使っている材料は、レストランで味わえる純印度式カリーとまったく一緒です。ただ、さすがに骨付きの鶏肉は入れられないので、ムネ肉のひき肉とごろっとしたモモ肉を入れています」

――徹底的にカレーにこだわっているんですね。(ライターK)

シェフの浅見さん
シェフの浅見さん
「ただ、純印度式カリーそのものがサラサラなので、そのままだとパンの中に詰められません。したがって、カレーの味を壊さないよう特別な製法でフィリングに仕上げています

ココにこだわり!

最後のひと手間で、香りがアップ!

揚げあがった「新宿カリーパン」に、ミックススパイスのガラムマサラを振りかける

――「新宿カリーパン」が売場に陳列された時に、とってもいい香りがしました。(ライターK)

シェフの浅見さん
シェフの浅見さん
「実は揚げたあとに、ガラムマサラを振りかけています。純印度式カリーでも“煎じマサラ”という香りや味わいを引き出す隠し味を使っているんです。なので、「新宿カリーパン」でも香り付けでガラムマサラをかけています。それにより、中の純印度式カリーの風味もより感じられると思います」

――よく見たら、生地は少し黄色みがかっているんですね。(ライターK)

シェフの浅見さん
シェフの浅見さん
「純印度式カリーのイメージで、やや黄色みがかった専用の生地を使用しています。長年培った生地の発酵技術を生かし、ふんわりとした食感に仕上げていますよ」
1909年から現在と同じ場所で営業している。写真は新宿に移転した当時の様子

――この「新宿カリーパン」は、新宿中村屋の伝統が詰まった、新しいカレーパンですね。(ライターK)

シェフの浅見さん
シェフの浅見さん
「まさに、その通りです。『新宿カリーパン』の前に売っていたカレーパンの方が好きという方もいらっしゃるのですが、だんだんと『新宿カリーパン』のファンも増えてきているので、Bonnaならではのインドカリーのカレーパンを少しでも多くの人に味わってもらえればうれしいですね」
新宿駅の地下道と直結している

新宿中村屋の新たな名物「新宿カリーパン」。販売開始からの歴史は浅いかもしれないが、日本初のインドカリーを使っていたり、100年以上の経験の積み重ねによるパン作りのノウハウを生かした生地や製法まで新宿中村屋の歴史が息づいている一品だ。

Yahoo!ロコ新宿中村屋 Bonna
住所
東京都新宿区新宿3-26-13 新宿中村屋ビル B1F

地図を見る

アクセス
新宿(東京メトロ)駅[A6]から徒歩約0分
新宿三丁目駅[B9]から徒歩約0分
新宿駅[マイシティ側地上3]から徒歩約2分
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

今回紹介した3店は、どの店も誕生当時の味を継承しつつ、さまざまなアレンジを加えて時代に合ったものを作り上げることで、今もなお、多くの人から愛されている。カレーパンを通じ、変化することをいとわない老舗の矜持を感じました。

取材メモ/個人的にも好きでよく買うカレーパンでしたが、各店ごとにこれほどまでに味や食感が違っているとは。カレーパンに魅了される人たちの気持ちが分かりました。

取材・文=小松孝裕(エンターバンク) 撮影=齋藤ジン(カトレア、スイーツ&デリカ Bonna 新宿中村屋)、小嶋裕(デンマークベーカリー 練馬店)

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

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