海辺の小さな町で見つけた! ほっこりベーカリーカフェ(前編)

海辺の小さな町で見つけた! ほっこりベーカリーカフェ(前編)

2018/04/03

神奈川県中郡二宮町のベーカリーカフェ『La table de Boulangerie Yamashita』では、毎日35種類ほどのパンが焼きあがる。まるで「我が家の食卓」にいるような心地よいイートインスペースで、愛情のこもったパンをいただこう。

海の近く

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パンの香りが漂う《食堂》へ

家族で囲む食卓をイメージして配置されたというテーブル席

夜中からはじまるパンの仕事を終え、オーナーの山下雄作さんがひと息つく『La table de Boulangerie Yamashita』。ベーカリーに併設されたここを、山下さんは愛情をこめて《食堂》と呼んでいる。
「パン屋をはじめて1年ほど経ったころ、遠方からわざわざ来てくれる人が増えたんです。どこかでパンを食べられる場所はある? と聞かれても吾妻山公園を教えるしかなかった(笑)。たまたま隣に使っていない物置があったので、イートインできるスペースにしようと思いました」。

「二宮に新しい風を吹かせたい」

工事前、思い立って栃木県黒磯にある伝説的な老舗カフェ『1988CAFE SHOZO』を訪ねた。黒磯の町のさびれ具合が「二宮に似ている」とすぐに感じた。
「そんなさびれた町中にあり、古いトタン張りのアパートなのに、SHOZOさんの店は際だって輝いていました。自分もこんなふうに二宮に新しい風を吹かせたり、文化を発信できる場所を作りたいと思い、イメージがどんどん湧いてきたんです」。

お店に入ると、焼きたてのパンの香りに食欲をかきたてられる

テーブル間隔が狭いのは、「みんなが集う場所」にしたかったから

食堂の中心は横1列に並ぶ8つのテーブルだ。座ってみると隣との間隔が、10センチも無くて極端に狭い。
「たぶん狭くてイヤだ、と思ってる人はいると思いますけど、それはしょうがない(笑)。このテーブルの配置は、1台の大きな食卓がドーンとあるイメージです。家庭における食卓って、唯一家族が一緒に集う場所、共有する時間です。食事のときだけは家族みんなで顔を見ながらおしゃべりし、コミュニケーションをとりますよね。そんな場所にしたかったから《食堂》なんです」。
そう言われれば、この距離のなさもうなずける。しかしWi-Fiも飛んでなければ電源もない。今どきのカフェと比べたらどうにも不自由だ。

ボードには「ブーランジェリーヤマシタの食卓」の文字

今の時代が失いつつあるものを、五感で味わえる場所にしたい

「僕は世の中の利便性や情報社会に静かに反抗しているところがあって。ここに座ることで家具を作った人やパンを焼いた人、料理を運んだ人などの温もりを感じるとか、または隣に座った人と話してみるとか、今の時代が失いつつあるものを、五感で味わえる場所にしたかったんです。そう願っていたら、オープン初日から、隣に座った知らない方々で話が弾んでいて、うれしかったですね」。
不思議なことにここではスマホ画面を見つめる人や、パソコンを持ち込む人はほとんどいないと言う。お客さんも、無意識にそんな行為を忘れ、ここで起こる新たな出会いや小さな感動を期待しているのかも。今日もまもなく食堂が開店する。パンの香りと共にいい時間を過ごそう。

夜中からはじまる、山下さんのパン作り

Boulangerie Yamashita

住所:神奈川県中郡二宮町二宮1330
アクセス:二宮駅北口出口から徒歩約10分
電話番号:0463-71-0720
営業時間:10:00~17:00 食堂は11:30~(LO)16:30
定休日:日・月

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

この記事を書いたライター情報

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2016年4月創刊、葉山から湯河原まで、相模湾沿いの暮らしを楽しむための月刊フリーマガジン。毎月ひとつのテーマのもと、どこよりもディープに海辺の《オイシイモノ》を紹介しています。

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