『ブラタモリ』で話題!タモリさん絶賛の“崖マニア”の京都案内

2018/04/21

『ブラタモリ』で話題!タモリさん絶賛の“崖マニア”の京都案内

林田理沙アナウンサーを迎え、4月21日(土)に新シーズンが始まるNHK『ブラタモリ』。案内役として最多出演を誇り、タモリさんに全幅の信頼を置かれているのが「京都高低差崖会」崖長・梅林秀行さんだ。21日の番組に登場する梅林さんに、段差に着目しながら、京都の魅力について語ってもらう。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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梅林秀行

梅林秀行

「京都高低差崖会」崖長

タモリさんも絶賛する“崖長”が、京都の段差をガイド!

写真左にいるのが、梅林秀行さん。『ブラタモリ』の収録中、鴨川にかかる橋の上でタモリさん、林田理沙アナウンサーと(写真提供/NHK)

『ブラタモリ』には、新しいアナウンサーさんが登場される節目の回に、いつも呼んでいただいています」と梅林さん。初出演は2015年1月「京都編」。以降、京都や奈良がロケ地になれば登場し、4月21日(土)放送「京都・銀閣寺編」、4月28日(土)放送「京都・東山編」を合わせて、ガイドとしては最多の合計7度の出演を誇る。現在『あさイチ』を担当する近江友里恵アナの初回にも登場。「僕の役割は新担当者のデビューがスムーズに進むよう、サポートすることですから(笑)」(梅林さん)。今回も林田理沙アナをアシストする。

『ブラタモリ』では、案内役として最多出演を誇る梅林秀行さん

地形の成り立ちに魅せられて

「小さい頃から、地形に特段の興味があった」と話す梅林さん。「自宅の庭に溝を掘り、水を流すことで変わる変化を日がな眺める。つまり“河岸段丘”を自作して喜ぶような子供でした」。中・高校生時代は、時間を見つけてはあちこちの図書館をハシゴ。歴史書などを読み漁るうち、古地図の面白さに目覚めたという。

「ブラタモリ 京都・銀閣寺編」の撮影風景。タモリさんと梅林さんの共演は、番組ではおなじみの光景(写真提供/NHK)

古地図と現在の地図を照らし合わせ、その土地がどんな時間を経てきたかを突き止める作業に、どんどんはまっちゃって」。大学生活は東京で送り、しばらく暮らした後、15年前に京都へ移住。高低差に着目する街歩きが、ますます面白くなり「京都高低差崖会」を結成した。「ついに“崖長”になっちゃったんです(笑)」。

収録中も常に背負っている、梅林さんのシンボル・赤いリュック。「崖」という文字が書かれたバッジがついており、街中でそれを見つけたファンから、声を掛けられることもしばしばだ

「京都って、のっぺりした街ってイメージがあるじゃないですか? しかも歴史的観光都市だから研究し尽くされているかと思いきや、とんでもない。高低差に注目すると、京都の裏側、そこに生まれ育った人たちすら知らないと驚く、新たな表情が次々発掘できます」。そんな梅林さんにとっても、まだまだ京都は未開のフロンティアであると言う。

京都に散らばる“土地の記憶”

梅林さんのパソコンの地図ソフト。画面には京都・東山の地形が示されている

「たとえば京都の街を流れる鴨川に着目しましょう。今は70メートルほどの川幅ですが、江戸時代の初めは350メートルもありました。祇園を南北に走る、現在の大和大路通から、鴨川を挟んで対岸にある京都随一の繁華街・河原町通にかけてが、その頃は湿地帯で、大雨が降ると全域が川と化しました。よって、河原町通は本当の“河原”だったし、大和大路通は江戸時代前期まで堤防上を通る道路だったのです」。

出演回数7回を誇るだけあり、今回の京都ロケでもタモリさんとは絶妙のコンビネーション(写真提供/NHK)

「その証拠として、現在、車や人がひっきりなしに行き交う、『京都四條南座』の東側、四条大和大路の交差点には、かつてここまでは河底の低地だったとわかる段差、タモリさんの名言“土地の記憶”が、今もはっきり残っています」。それを生粋の京都人に伝えると「まったく知らなかった」と、逆に驚かれることもあるそうだ。

カナダの大学が公開している京都の古地図データも活用している。地形はもちろん、大名屋敷や足軽の住まい、刑場、どんな建物がどの時代にあったかが克明に記されている

「他にも、豊臣秀吉が築いた聚楽第。広く認知されているにも関わらず、10年ほどで廃城されたため、“まぼろしの城”と言われます。しかし発掘調査や現地の地形から推定される聚楽第の場所(二条城から1キロメートほど北)に行くと、城壁があったと思われる高い段差や、堀の跡であろう凹地をうまく生かした寺などがあるんです。智恵光院出水の松林寺などが、それに当たります」。そういった場所で、聚楽第の存在を今に伝える“土地の記憶”に出会うことができるのだ。

カシミール地図と呼ばれる、立体的な地形図も梅林さんの必携アイテム

「また、僕は豊臣秀吉が築いた“御土居(おどい)”の検討をライフワークのひとつにしています」。御土居とは、都の内と外を区別する城壁の一種で、惣構(そうがまえ) のこと。山手線の1周(全長約21キロメートル)を上回る、全長約23キロメートルもの囲いを、秀吉はたった4カ月で完成させたという。「しかしそれはただの地方政権ではない、日本史上まれにみる空前の巨大権力、豊臣政権だからこそ成せた事業だったんです」。実は御土居は、今も京都人の生活風景のなかに、しっかりとその痕跡を残している。史跡公園として保存されている鷹ヶ峯や、御土居をご神体と崇める神社もあるのだ。「京都の街を歩けば、あちこちでその姿を見かけることができますよ」。ちなみに鷹ヶ峯の『御土居史跡公園』向かいにある「都本舗 光悦堂」は、御土居餅で有名だ。

文教エリア・岡崎に注目!

そんな梅林さんが、今、注目しているのが京都の東、岡崎近辺だ。「コンサートホールや図書館が広い直線道路に並ぶ、ちょっと人工的なエリア。江戸時代の地図では、各藩の軍事基地があったことが示されています。その後は野原と化したため、明治維新後の京都を盛り上げるべく、内国博覧会の開催地に選ばれたんです」。その目玉として建てられたのが、大鳥居で知られる平安神宮。いわば当時の“パビリオン”が、今は神社になっている。

四季折々の花々をはじめ、豊かな自然の営みが見られる「平安神宮・神苑」の裏側にある盛土のあと(写真提供/梅林秀行)

東京遷都で意気消沈する古都を鼓舞したい。そんな京都人の並々ならぬ思いで、平安神宮は建てられた。「壮大な施設が建ち並ぶように、もともと扇状地の傾斜地だった境内では、大がかりな盛土造成が行われ、広大な平坦地が用意されました。社殿背後の広大な庭園・神苑に残る当時の盛土のあとは、今でも景観に絶妙なアクセントをもたらしています。そしてその盛土の上に生まれた新たな空間には、朱塗り柱と緑釉瓦(りょくゆうがわら)で彩られた、左右対称の社殿が建設されました。この社殿は一般的には平安京の朝堂院を模したといわれていますが、実は“瓦葺きの近代建築”とも呼べる特殊なスタイルとなっています。平安神宮は建設当初から強い“近代性”を備えていたのですね」。

京都市動物園の北側の道・二条通りを東に進む。その道沿いの北側に位置するこの段差の上に、かつて金堂がそびえていた。今は駐車場と住宅になっている(写真提供/梅林秀行)

「あとは京都市動物園の北側を東西に走る二条通沿い。ここには平安時代後期に造営された巨大寺院・法勝寺がありました」。かつての境内に建っていた金堂の巨大すぎる痕跡は、今も二条通からうかがえる。「人の身長以上の高さのある段差の上には、金堂が建っていたマウンド状の台地が残っています」。ちなみに4月28日放送の『ブラタモリ』は、梅林さん注目の岡崎エリアを擁する<京都・東山>が舞台だ

4月28日放送『ブラタモリ』では、京都の東山エリアにフォーカス。写真は「哲学の道」での一枚だ(写真提供/NHK)

引き続き、段差を追い求めて

段差の研究や、講演、テレビに出演する傍ら、京都に住む人たちが独自の視点で京都を“まいまい(京都弁でウロウロするの意味)”する、ミニツアー『まいまい京都』ガイド人のひとりでもある梅林さん。月に2~5回のペースで不定期開催される、梅林さん担当のコースは、あっという間に定員に達することも珍しくない。「御土居や嵐山、毎回違うコースを歩くのですが、女性の参加者も多いですね。僕と一緒に歩くと、下を見て歩く癖がついてしまうと言われています(笑)」。

梅林さんが担当するまいまいツアーは常にキャンセル待ちが出るほどの人気。20人弱の小グループ行動なので、密度の濃い体験ができる(写真提供/梅林秀行)

また、古都の凸凹を見つめなおす、街歩きの提案本として、2016年には『京都の凸凹を歩く』を、翌2017年には『京都の凸凹を歩く2』を上梓。何度も再版を重ねる大ヒット作になっている。「第3弾を求める声も多くいただいています。ネタは無尽蔵にあるので、ご期待に応えたいと思います」。

第1弾(左)では、祇園、ライフワークである御土居の史跡公園がある鷹ヶ峯エリア、秀吉が情熱を注いだ伏見エリアを中心に。第2弾(右)では、嵐山、金閣寺といった一大観光地に隠された凸凹を解き明かしている

『ブラタモリ』への出演は、大きな転機だったと話す梅林さん。「今回は収録時間も長かったので、タモリさんといろんな話をすることができました。楽しい内容になっていると自負していますので、僕の本を傍らに、ぜひご覧ください(笑)」。

段差好きの2人に挟まれて、笑みを浮かべる林田理沙アナウンサー。林田アナも放送を重ねるうち、2人のような高低差マニアになってしまうかも!?(写真提供/NHK)

タモリさんや番組との出会いを通して、より多くの人が知ることとなった、梅林さんの研究成果である、京都の高低差の楽しさ。近々、京都に訪問する人は、古寺名刹や美味だけでなく、ぜひ崖にも注目して、散策するのはどうだろう。

取材・文=小林明子 撮影=永田 陽 編集・構成=岡野孝次

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