味の秘密は門外不出の手作り塩。湯河原で見つけた素敵な焼き鳥店

2018/04/28

味の秘密は門外不出の手作り塩。湯河原で見つけた素敵な焼き鳥店

神奈川県湯河原町の『鳥助』は、女性ひとりでも入りやすい、清潔感あふれる焼き鳥屋さんだ。オリジナルの塩を使った焼き鳥や料理の数々は、湯河原駅からわざわざバスに揺られてでも食べに行く価値がある。

海の近く

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純生の水郷赤鶏に、手作りの塩が魔法をかける

《裏通りの焼き鳥店》といっても、入りづらい雰囲気はまったくない。温泉街から少し足を伸ばして、女性がひとりでふらりと寄るのにもおすすめだ

湯河原駅と温泉街の中間あたりの裏通り。地図では不便な場所のように見えるが、駅からバスに10分くらい揺られたらおいしい焼き鳥を楽しめると思えば、決して遠くはない。
この店を24年営んできたのは、大将・宗政広明さんと成子さん夫婦。料理人の道具や器が整然と並んだ清潔感あふれるオープンキッチンを見ただけで、大将の繊細さが伝わってくる。《女性がひとりでも入りやすい焼き鳥屋》を心がけ、実際に客の6割以上が女性だと言う。

特製ポン酢がうまい! みんなが注文する《たたき》とは…

『鳥助』で席に通されたら、まずはビールと《たたき》で始めたい。たっぷり残ったわさびポン酢は、最後まで手放さないで! 焼き鳥につけたり、ごはんにかけたり、用途がいっぱいなのだ

常連のほとんどが、最初の生ビールと一緒に「とりあえず」と注文するのが、鳥助たたき。湯引きした水郷赤鶏のささみを、シソやネギ、ミツバ、ゴマなどの薬味がたっぷり入った特製ポン酢で食べるのだが、わさびがけっこうツーンと効いていて、泣きそうになるけど泣かない、そんなギリギリの涙目になりながら「ああ、おいしいなあ」と呟いてしまうような一品だ。
ちなみに、ささみを食べた後のわさびポン酢は、そのままチビチビ飲んだり、焼き鳥をつけたり、ごはんにかけたりと、みなさんなかなか手放さない。だから女将もポン酢の器は下げることなく残しておく。そんな何気ない店の食いしん坊な習わしが、とても素敵に思える。

大将が作る、どこにもないオリジナルの手作り塩

このたたきや釜飯など、ほかの料理にも使われていて、もちろん焼き鳥にも欠かせない存在の調味料がある。それは、手作りの塩だ。「うちの塩は鶏肉に味をつけるためのものじゃなくて、鶏肉のうまさを引き立てるためのもの」と大将。八重山や瀬戸内のおいしい天然塩をいくつかブレンドし、門外不出のヒミツの方法で、どこにもないオリジナルの塩を作っていると言う。

焼き鳥や料理の味の決め手になっているのが、天然塩をブレンドして作る塩だ。配合や作り方はもちろんヒミツ。びっくりするほどのうまみが凝縮されている

しかも、「鶏は春夏秋冬、季節によって味が変わるので」、塩もそれに合わせて配合や製法を変えて、年4回作るそうで……。すすめられた塩をペロリと舐めてみたら、ウワーナンデスカコレハ、と驚かずにはいられないうまみ、ウマミ、旨味。大将、これほんとに塩だけ? 何かヤバイやつ入ってないですか?
「天日干しにしたり、いくつか手間をかけて丁寧に作ると、こういう味になるんです。一番シンプルに味がわかるのは、塩むすび。米がすごく甘く感じられて、もう、最高ですよ」。
大将いわく、塩は生き物。だから、呼吸できる常滑焼のカメで大切に保存。惜しみなく愛情を注いだ塩が、鳥助の焼き鳥や料理に魔法をかける。

あえて炭火ではなく、バーナーで焼き上げる

鳥助が毎日仕入れている千葉の地鶏・水郷赤鶏は、冷凍やチルドではない、大将が言うところの《純生》状態。例の塩をパラリと振ってから、高速チタンバーナーで一気に焼き上げて旨味を閉じ込めているので、ねっとりした白レバーも、皮パリパリな手羽も、プリプリなハツも、注文を受けてから寿司のように握って串にする生つくねも、たまらなくジューシーなのだ。
「炭火の香りが合う鶏肉もあるけど、うちは水郷赤鶏そのものの風味を楽しんでもらいたいので、あえて炭火は使っていないんです」。
〆ごはんは、どこか懐かしい味わいの鳥ごぼう釜飯がおすすめ。ふたりでシェアすれば、別腹にスルリとおさまる。なんなら、あともう何本か、焼き鳥を……。

焼き鳥でお腹がいっぱいになっても、やっぱり最後はごはんで締めくくりたい。おすすめは鳥ごぼう釜飯

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2016年4月創刊、葉山から湯河原まで、相模湾沿いの暮らしを楽しむための月刊フリーマガジン。毎月ひとつのテーマのもと、どこよりもディープに海辺の《オイシイモノ》を紹介しています。

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