【玉谷製麺所/山形県】食べられる雪をお届け『雪結晶パスタ』

2018/05/13

【玉谷製麺所/山形県】食べられる雪をお届け『雪結晶パスタ』

万年雪を戴く霊峰『月山(がっさん)』の麓、山形県・西川町にある由緒正しい製麺所の『玉谷製麺所』が、かわいらしく繊細な『雪結晶パスタ』を開発。商品化には相当の苦労がありましたが、それを支えたのは「雪は生活の邪魔や困難ではなく共存するもの」という熱い想いでした。

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食卓に雪が降る。ふるさとの風景をパスタで再現。

原点はこの形。いつも見守ってくれる『月山(がっさん)』が戴く雪を結晶にして

全てが静寂に包まれる冬に、しんしんと降り積もる雪。そんな音もなく舞い降りてくる美しい結晶を、1年中楽しめるパスタに変えた商品があります。万年雪を戴く霊峰『月山(がっさん)』の麓に位置する山形県・西川町。日本の原風景が残る風光明媚な地で、伝統的な製麺技術を伝える『玉谷製麺所』が、確かな技術と郷土への想いをもとに、かわいらしく繊細なパスタを生み出しました。

厳選したデュラムセモリナ粉に、山形産の3つのこだわり素材をミックス。イタリア製の本格パスタマシーンを使って他に類を見ない「雪の結晶」の形に仕上げています。

白はブランド米『つや姫』の発芽米。ほんのりとした甘みとモチモチとした食感が特徴で、ストレスを和らげてくれる成分「GABA(ギャバ)」を豊富に含んでいます。ピンクは特別栽培の赤米『ゆうやけもち』。抗酸化作用がある「タンニン」を含み、ファンシーなカラーが様々な料理に彩りを添えてくれます。そしてブラウンは、石臼で丁寧に挽いたそば粉をブレンドした『そば粉』。そば粉独特の香りがツンと漂い、バター、ミルクなどの乳製品によく合います。

『月山(がっさん)』の麓、西川町の綺麗な水で練り上げ、素材そのものの風味を生かしています。更に、複雑な形状にソースがよく絡むため、パスタはもちろん、様々な料理に活用できます。

乾燥の工程にも技術が光る。そばやうどんで培った伝統製法がかつてないパスタを生んだ

山形から世界へ。伝統技術を誇る製麺所の挑戦。

パリの国際見本市『メゾン・エ・オブジェ』に出展。この晴れ舞台に立つまでには、言い知れぬ苦労があった

この『雪結晶パスタ』が誕生したきっかけは、社長の玉谷信義氏が突然購入してきたパスタマシーンでした。「買ってきたから」の一言で導入された本場イタリア製の機械に、そばやうどんを作っていた由緒正しい製麺所の社員たちは仰天。「なんとか動かしていかないと!」と検討した末、最初は普通のパスタだけを作っていました。ですが、すぐに東日本大震災が勃発。多くの困難を乗り越えた末に、被災地復興の一環として、今まで作っていたそばやパスタを著名な『グッドデザイン賞』に応募する機会を得ました。「だめもとで出してみよう」と応募してみた『月山黒米パスタ フェットチーネ』が、見事2012年度の賞を受賞。更に2013年度も『月山黒米パスタ~3種のショートタイプ』と『月山黒米うどん』がダブル受賞し、山形の小さな製麺所が全国レベルのデザインセンスと企画力を持っていることが証明されました。

これをきっかけに、「山形産で世界に通じる商品を作ろう」と活動していた東北芸術工科大学・共創デザイン室から打診がありました。「山形の食べる、飲む、住まう」をテーマとした異業種連携ブランド『aGarey(アガレイ)』の一環として、新たな商品開発を依頼されたのです。「私たちが作れるもので、今までになかったものを」。雪が舞い始めた11月、1年中解けない雪を戴く『月山(がっさん)』に見守られながら、「雪は生活の邪魔や困難ではなくともに生きるべきもの。より親しめるように、食べられる商品にしてみたい」という想いで『雪結晶パスタ』の企画が立ち上がりました。

そして、世界中の優秀なプロダクト(生産品)が集結するパリの国際見本市『メゾン・エ・オブジェ』への出展を目指し、研究と開発の日々が始まったのです。

『2013年度グッドデザイン賞』を受賞した『月山黒米パスタ~3種のショートタイプ』。「アントシアニン」の色をイメージしたストライプ柄と、パスタの形状もデザインの一部としたシースルーの袋が評価された
同じく『2013年度グッドデザイン賞』を受賞した『月山黒米うどん』。古代米である黒米のルーツを示す、地元・花之木遺跡の土器と稲穂のイラストが特徴

次世代に残せる商品を。国内だけでなく海外でも愛される「ものづくり」。

検品の様子。美しい形状を保つために、一つひとつ職人の目で確認

しかし、その開発の苦労は並たいていではありませんでした。「パスタを雪の結晶の形にする」といっても、その形はあまりに複雑。最初はよじれ、歪み、とても結晶には見えない有様だったそうです。更にいくら茹でても茹で上がらない、というネックもありました。およそ1年もの期間をかけて試行錯誤を重ねたものの、企画開発担当の玉谷貴子氏も、社長の信義氏も、身体が壊れそうになるほど追い込まれてしまったといいます。「なんとか『メゾン・エ・オブジェ』に間に合わせて日本の製麺技術を詰め込んだ製品を出したい!」その想いだけを拠り所に、必死に開発を続けました。

ですが、どうしても上手く茹で上がらなかったため、ついには諦めかけてしまいました。そんな時、貴子氏がふと思いついて水から茹でてみたところ、なんとすんなりと成功。貴子氏自身は「商品の茹で方の表示を変えよう」と提案しましたが、それを聞いた信義氏が、天啓を受けたようにひらめいて原材料の配合を変更。「水からなら茹で上がった」の一言が、今まで積み重ねてきたそばやうどんの伝統製法の応用をもたらし、簡単に茹で上がる『雪結晶パスタ』の配合を生み出したのです。
「それまでは“パスタ”という固定観念にとらわれていましたが、そもそもパスタの原材料の配合は、自分たちがずっと培ってきた日本の麺の配合とは全く違ったんです。そこで発想をガラリと変えて、日本の麺の伝統的な工程を導入してみました。そして、ようやく成功したんです」。雪の結晶をかたどった複雑な形状も、工夫して改良。日本の伝統技術ならではの、美しく、かつ美味しく食べられるパスタが誕生しました。
「次世代に残せる商品を作りたい、『玉谷製麺所』の宝となる商品にしたい」という想いまでもが結晶化した『雪結晶パスタ』。「他では決して真似できない技術です」と、貴子氏は誇らしげに語ります。

日本・山形の雪がパリの街に降った

大震災を乗り越えた東北は頑張っている、東北でなければできない事がある。

晴れの舞台を笑顔で迎えた企画開発担当の玉谷貴子氏

こうして完成した『雪結晶パスタ』は、『グットデザイン賞』に加えて『フード・アクション・ニッポンアワード』までも受賞しました。更に当初の目標だった『メゾン・エ・オブジェ』でも大好評を博したのです。
「山形の食の美味しさ」「モノの楽しさ」「歴史に育まれた知識と風習」を重んじて、それらを世界に通じるデザインとプロデュースで紹介していく――そんな『aGarey(アガレイ)』のブランドコンセプトとも見事にマッチし、古き良き伝統に育まれた新しいパスタが世界に向けて発信されました。
「これはどういう風に作ったのか!」「どうしてこんなものができるのか!?」。パスタのセオリーを打ち破った『雪結晶パスタ』は、本場イタリアのシェフたちからも驚きをもって迎えられました。繊細で美しい形状を保ったまま、モチモチの食感に茹で上がる不思議。販路は徐々に広がり、イタリアの星つきレストランで採用された他、シンガポールなどのアジア圏でも好評を得ています。「特に南アジアは雪が降らないので、雪に対する憧れがあるみたいですね」。貴子氏がそう語るとおり、見た瞬間「かわいい!」と叫んでしまいそうな形。「食べるのがもったいない」という声も多く寄せられているそうです。

複雑な形状のパスタにソースがしっかり絡んでくれる

四季折々のパスタに想いを乗せて。

海鮮スープに添えられた「赤米」の雪結晶パスタ。中華にもなじむ味わい

更に、『雪結晶パスタ』の技術を応用して、桜、太陽、紅葉をかたどった『季節を彩るパスタ』を新たに創出。『雪結晶パスタ』と合わせて四季のうつろいを表現した、かつてないデザインが誕生しました。新たなものづくりの技術が、山形から世界に羽ばたいています。
「とはいえ、まだまだ日本にも行きわたっていません。まずは日本の皆さんにも愛してもらい、“日本の技術でここまでできるんだ”と知って誇りを持っていただきたい。そんな商品に育てていくことが、今後の抱負です」と貴子氏。

日本の麺作りの歴史や文化を、次世代につなげる――。「『雪結晶パスタ』を見て、“日本っていいな”“東日本や山形に行ってみたいな”と思ってもらえたら最高ですね」。そう語る貴子氏の想いは、雪の結晶に乗ってこれからも降りそそいでいきます。

四季を表現した『季節を彩るパスタ』。春の桜、夏の太陽、秋の紅葉、冬の雪
日本料理ではお汁粉が好評。白玉の代わりにできるくらいのモチモチ感
Yahoo!ロコ有限会社玉谷製麺所
住所
山形県西村山郡西川町大字睦合甲242

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電話
0237-74-2817
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

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