“アナログレストラン”はレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくても居心地のいい空間とサービス、かつ良心的な値段。つまり人の手、手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。第51回は京橋「レストラン サカキ」。
Yahoo!ライフマガジン編集部
平日ランチはご飯がすすむ洋食。多い日は3回転の人気!
12時前、すでに60席ほどの店内はほぼ満席。この周辺に会社がある人はここでのランチを楽しみに来るんだろうな~。
だって「ハンバーグ・デミグラスソース付」1100円、「メンチカツ」1130円、「甲州高原地地鶏モモ肉のコンフィ」1200円、「スコットランド産サーモンのムニエル 焦がしバターとケッパーソース」1250円、「海老フライ」1300円、「黒毛和牛のビーフカレー」1300円、「ミックスフライ」1480円などなど、注文を悩むほど充実したラインナップ。
しかもすべてスープ、ご飯かパン付きでこの値段だから、いたってリーズナブル。付け合わせがそれぞれ違うという心配りを見ればむしろ安いとさえ思う。
そして、これこそが重要なのだがどれもおいしい! だから私は銀座で買い物や打ち合わせがあっても、ランチはここまで足をのばす。その日は、朝から何を食べようか、あれこれ考えるのがまた楽しいのである。
昭和26年創業。ミルクホールから洋食へ。そしてフレンチ
4代目、榊原大輔さんがシェフになって早14年。「店を継ぐなら自分で料理をしたい、と言い出した時はちょっと困ったね。職人の世界だから大変だもの。でも昼は洋食、夜はフレンチ。両方をやるっていうから」。父・和彦さんの心配も杞憂(きゆう)に終わり、「おかげさまで昼は毎日満席、夜もいいお客様に恵まれていますね」と語る。
家業を継ぐなら自分が厨房に立つことを榊原シェフが決心したのは、オーナーになるなら店を支える本物の実力を身につけなければという覚悟から。
フレンチでも料理のインパクトには定評のある「北島亭」で4年半修業し、その後フランスでも修業を終え、2004年に店を改装して洋食とフレンチの両輪でスタートした。
オープン当時からプリフィクスコースは驚きの内容。
5500円(現在6000円)のプリフィクスの構成は前菜2皿、魚、グラニテ、肉、デザートというフルコース。しかも一皿一皿、しっかりとしたボリュームもある。メニューにわざわざ「当店のコース料理はボリュームがございます。内容の一部におきましては、量を少なくすることもできますので、お気軽にお申しつけください」とあるほどだ。
シェフがフランス料理を食べて欲しいという気持ちがずっしり伝わってくる。
夜でも「昼の洋食を食べたいのに、いつも満席で食べられない」という人のために、フランス料理風に仕上げた洋食メニューがある。それが「千葉県産林SPF豚のポークジンジャー」。付け合わせにトマトのフライ、豆ごはんを添えてあるのが、昼と違う仕上げ。
どこか甘じょっぱい仕上げのポークジンジャーには、本当は白いご飯が欲しいところだけど、それはやはりフランス料理店では御法度。そのための豆ごはんという配慮に感謝したい。こんな気配りもこの店ならではのもてなしなのである。
東京駅周辺、八重洲は再開発で次々に高層ビルになっていくが、どうやら「レストラン サカキ」はその渦に巻き込まれることなく続きそうだ。貴重な洋食文化を受け継ぐ店として、これからも頑張ってほしい!
- Yahoo!ロコレストラン サカキ
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- 住所
- 東京都中央区京橋2-12-12 サカキビル1F
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- アクセス
- 宝町(東京都)駅[A5]から徒歩約0分
- 京橋(東京都)駅[4]から徒歩約1分
- 銀座一丁目駅[10]から徒歩約5分
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- 電話
- 03-3561-9676
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- 営業時間
- 11:30~13:30(L.O.)、18: 00~20:30(L.O.)
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- 定休日
- 毎週日曜日、祝日
- 口コミ・写真など
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