煮詰まった精神科医が駆け込んだファミレスが素晴らしかった話

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2018/04/30

煮詰まった精神科医が駆け込んだファミレスが素晴らしかった話

精神科医として総合病院に勤務する傍ら、文筆、音楽、ラジオなどマルチに働く星野概念が「食べに行く」という行為を通して、「こころ」に関する気づきをひも解く。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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人間の行動の原理は、行動してみてどうだったか、ということが一つのキモです

こんにちは、精神科医の星野概念です。

この連載は、日常の食生活の中から僕が感じたり考えたりしたカウンセリング的要素をみなさんにご紹介するものです。


仕事がはかどらず、街を徘徊し、ふと出会ったファミレスCOCO’S。予想以上に素敵な場所でいまや常連と化しています。そして、その過程には、生物の行動を規定する学習理論が潜んでいました。今回はそんなお話です。

  

【目次】
1.いまやCOCO’Sの常連です
2.学習理論をごく部分的に
3.聖地、COCO’S


1.いまやCOCO’Sの常連です

・わたしの悪循環

連載原稿の締め切りが迫っているのに全然書けない。そんなことザラです。もっと言えばほとんどいつもそうです。

  

サラサラっと書けてしまう才能溢れる人が本当に羨ましい。

  

でも、書くのは嫌いではないのです。

  

だからこそ、日中の勤務後に、悩みながらもこうして原稿に向き合っているわけです。

  

ただ、嫌いじゃないからといってスラスラ書けるわけではもちろんありません。

「書きたい」と思って始めた連載が、「書かねばならない」という苦しみに感じる時期だってあります。これに、近づいてくる締め切りへのプレッシャーが掛け合わさると、もうパニック。

「今月こそは無理だ……」

  

泣きそうになりながらパソコンのキーボードとにらめっこします。しかし、湧いてくるのは関係のない雑念ばかり。

  

「あ、そういえば最近Bリーグはどんな感じかな」

全く書くべき原稿とは違う雑念に支配されはじめ、やるべきことの存在は脳内から消えていきます。こうなるともうダメです。

  

気づくとWordではなくYou tubeを開き、バスケの試合のダイジェストを観はじめています。そこからサーフィンにサーフィンを重ねて、ハっと我に返った時には2時間経過。

  

「はぁ、なんて俺はダメなんだ!」

自己嫌悪に陥り、自分を責めます。ますますアイデアは思いつかず、悪循環です。

・Wi-Fiから逃げる

こういう悪循環に陥ることが多すぎるので、自宅で原稿を書くのは危険です。

  

You tubeは特に危ない。

  

考えた結果、もうWi-Fiの飛んでいない場所に避難するしかないと思い至りました。

  

Wi-Fiが飛んでいるとYou tubeをどうしても開いてしまうので、それができない環境に自分を追いやろうと考えたのです。

  

・深夜の避難場所はファミリーレストラン

ただ、時間帯は夜。

巷のカフェはほとんどが閉店時間です。

24時間入れるということで、ネットカフェも一瞬浮かびましたが、電波は飛んでいるし、机も狭い。漫画もどっさり!

執筆環境としては最悪です……。

  

考えた結果、24時間開いているファミリーレストラン、略してファミレスを探すことにしました。

そこでたまたま見つけたのが

COCO’S (ココス)

でした。

このお店、思えば何度か前を通ったことがあったのですが、なぜだかカレー屋さんだとばかり思っていました。

  

まぁ、「なぜだか」と書きつつ、理由は大体分かるのですが……。

  

・COCO’Sにてペレットで肉を

バッチリ充電をしたパソコンを持って僕はCOCO’Sに入りました。

レストランですから何も食べないわけにはいきません。まずは夕食を済ませることにしました。

「書くぞ!」と気合いを入れていたことと、

  

肉料理のメニューが充実していたことから、

  

肉を食らうことにして、その中でも希少部位とうたわれている

「みすじカットステーキ」

とドリンクバーを注文しました。

  

ステーキには「ペレット」と呼ばれる、なんだかかわいいミニミニ鉄板が付いてきました。

  

ちょうどアイスホッケーで使われる黒くて平たい球的なやつ、のような感じです。まぁ、その球的なやつの実物を僕は見たことありませんが、イメージとして。

その熱々のペレットでみすじステーキをあたためながら食べる。

  

うまい!

  

ファミレスというカテゴリーから、味にはあまり期待していなかったのですが、予想をはるかに上回る美味しさ。

  
  
  

・ついに、書く

そしてついに書く段階です。

みすじステーキ、いや、むしろペレットに夢中になり過ぎて、食べている最中に原稿のことは考えられませんでした。

  

完全にゼロからのスタート。

  

気分を整えるために、まずはドリンクバーでコーヒーをいれました。

  

ここで驚かされたのが、ドリンクバーのこだわり。

  

これまでの僕の、ファミレスのドリンクバーのイメージは、「長居してもいいけど、味はそこそこだからね。そこんとこよろしくね」というメッセージを感じる、美味しさについては諦めざるをえないものだったのです。

それが、COCO’Sといったらどうですか!

コーヒーがすごくうまい!

  

そりゃ、最近流行りのスペシャルティコーヒーのように超オシャレにはいきませんが、僕は好きな味でした。

まぁ、好みに合っただけかもしれませんが、一定価格で飲み放題であるドリンクバーのコーヒーがしっかり美味しいなんて、いいじゃないですか!

  

そしてさらに、お茶の種類がすごく豊富。
自分で茶葉を選んで、お湯を入れて抽出します。つまり、濃さも自在、淹れる面白さもある、ということです。

こんなの、もちろんおかわりしますね。

コーヒーもお茶もカフェインが入っているものが多いので、おかわりしているうちに頭が冴えます。

  

ただ、カフェインを摂り過ぎると興奮が過剰になってアイデアも空回りしてしまいます。

  

なので、適宜、カフェインの含まれないお茶を飲みつつ。

そんなこんなで原稿に向き合ったみたところ、ついに書けました!

  

・そして、通うように

もちろん、簡単に書けたわけではありません。

  

色々考えて、アイデアをぐるぐるさせてやっと書けただけですが、

  

でも、書けなかったものが書けたのです。

  

この体験により、僕はCOCO’Sを、

肉が美味い、

ペレットがかわいい、

ドリンクバーがイケてる、


という場所であると認識したようで、何かに煮詰まった時に行くようになりました。

  

そして、その度に、程度の波はあるものの比較的同様の良い体験をしています。今では、夜の店員さんのシフトが何となく把握できるくらいには常連と化しているのでした。

  

2.学習理論をごく部分的に

・オペラント条件付け

今回、僕がCOCO’Sの常連と化した現象には、「自発的な行動をとる仕組み」を説明する理論である「オペラント条件付け」が関係しています。

これは、生物が行動をどのように決定していくか、という「学習理論」の一部ですが、オペラント条件付けだけでも、十分に説明しようとすると長いし、ややこしい感じになってしまいます。

  

そうなるときっと、読むのをやめたくなると思います。

  

これは、これから解説しますが、この連載を読みたくなくなる恐れすら含んでいることなのです。

  

なので、本当に部分的にだけ説明します。気になった方は分かりやすそうな心理学の本で勉強してみてください。面白いですよ。

  

・例えば

さて、いまお話したばかりの例でいくと

①学習理論の解説をします、と言われて

②それを読んでみた

③わかりにくくてつまらなかった


こうなると、次からこの「めし場の処方箋」を読まなくなるかもしれません。だってつまらなかったわけですから。

これは、

「読んでみたら、つまらないという嫌な結果だったので、読むという行動が減る」

ということです。

③で嫌な結果だったことが②の行動を減らしています。

また、別の例。

先ほどまでお話していた僕のCOCO’S体験では

①たまたまCOCO’Sを見つけた

②入って、飲食したり原稿を書いたりしてみた

③美味しいし、面白いし、書けた!


「COCO’Sに行ってみたら、美味しいし面白いし書けた、という嬉しい結果だったので、COCO’Sに行くという行動が増える」

ということですね。

この場合、③で嬉しい結果だったことが②の行動を増やして、僕はCOCO’Sの常連と化したわけです。

自発的な行動は、これらのような形で決定されていきます。

・4つの行動のパターン

行動のパターンは大きく分けて4つです。

これからの説明で使われる「正負」

正:何かが与えられる、何かを得る
負:何かが取り除かれる、何かがなくなる


ことを意味し、「強化、弱化」

強化:行動が増える
弱化:行動が減る


ことを意味します。

パターン①:正の強化

  

嬉しい結果を「得た」ことで、「行動が増え」ます。
僕のCOCO’Sパターンがこれです。

パターン②:正の弱化

  

嫌な結果を「得た」ことで、「行動が減り」ます。
先ほどの、難解な解説を読んだらつまらないという感想を得たため、その後は読む回数が減る、というパターンです。

パターン③:負の強化

  

嫌なことが「取り除かれた」ことで、「行動が増え」ます。

例えば、
(・仕事後に家に帰って)
・お風呂に入ると、
・不快感が減る

これは、不快感が取り除かれるので、お風呂に入ることに積極的になる、などです。

④負の弱化

  

嬉しいことが「取り除かれた」ことで、「行動が減り」ます。

例えば、
(・仕事が与えられて)
・手を抜くと
・減給させられる

これは、給料が減ってしまうので、手を抜くことはしなくなる、などです。

さて、ややこしくなってきましたよね。
全て3段階で説明していることにも理由があるのですが、それは今回は割愛します。

このオペラント条件付けは、きかっけになった実験の話も面白いし、「行動療法」という治療法のもとにもなっている重要な理論でもあります。

3.僕の聖地、COCO’S

・正の強化

COCO’S に行くと、美味しいし、仕事がはかどるのでもっと行きたくなります。つまり、正の強化が発生し、僕の中では、もはやある種の聖地となっています。

  

もちろん、飲食だけが目的であれば、その目的に沿った聖地がいくつかあるわけですが、飲食もできて仕事もはかどるという場所は、今のところ他にはないかもしれません。

  

・カレー屋さんじゃないよ!

COCO’Sがカレーのイメージと繋がっていた人は僕の他にもいるはずです。

だって、「COCO」だから!

    

でもそれは間違いです。

  

どちらの「COCO」も楽しいですが、肉を食らいたい時、ドリンクバーでまったりしたい時、考えごとをしたい時、などなど色々なニーズに対応できる可能性を僕はCOCO’Sに感じています。

  

ゴールデンウィークには遠出したくなるかもしれませんが、連休明けで仕事が溜まっている時なんかに、もしかしたら最適なのでは!?

数ヶ月後、僕のように常連と化したあなたがいるかもしれません。

  
Yahoo!ロコココス 西新宿店
住所
東京都新宿区西新宿4-41-10 (西新宿4丁目交差点)

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アクセス
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電話
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営業時間
平日 10:00~翌2:00 土曜日 7:00~翌2:00 日祝日 7:00~翌2:00
定休日
年中無休
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

文・構成:星野概念
イラスト:権田直博


星野概念(ほしのがいねん)

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精神科医

権田直博(ごんだなおひろ)

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