茅ヶ崎『珈房』で味わう、ジャズ風味のブレンドコーヒー《前編》

2018/06/10

茅ヶ崎『珈房』で味わう、ジャズ風味のブレンドコーヒー《前編》

神奈川県茅ヶ崎市の『珈房』は、茅ヶ崎の人に愛され、茅ヶ崎の人が育む、地元密着型の素敵なコーヒー専門店。コーヒーが大好きな人にも、コーヒーが苦手な人にも、飲んでほしい1杯がここにある。

海の近く

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コーヒーのイメージががらりと変わる、《浅煎り豆》の魅力

店主の濱坂さんが『おいしいコーヒーの淹れ方』を実演しながら解説してくれる。『珈房』を訪れる人と濱坂さんをつなぐ、大切なひとときだ

新緑の頃、『珈房』季節ブレンド《薫風》をいただいた。ひとくち飲んで「おや、ずいぶんすっきりした味のコーヒーだな」と感じ、ふたくち飲んで「あれっ? なんだか不思議ないい香りがする!」と驚く。この香りは何ですか? とたずねると、店主の濱坂昇さんが、コーヒー豆の入った容器のフタを開けて、香りを鼻先に届けてくれた。そうか、これが豆の香りなんだ! 深く焙煎したコーヒーではなかなか感じることのできない、さわやかな香り。「この浅煎りの豆を粗く挽いて、出汁を引くようなイメージで抽出しているんです」。たしかに、コーヒーというよりもお茶やスープを飲んでいるようなうまみが口の中いっぱいにひろがる。そして、飲み終わりのひとくちまで、そのおいしさが失われることはない。

紅茶のように明るい色合いの浅煎りコーヒー。薄味なのかと思いきや、その味わいは驚くほどしっかりしている

「深煎りでなければコーヒーじゃない! という方には受け入れてもらえないかもしれませんが……」と濱坂さんは笑うけれど、この浅煎りのうまみたっぷりコーヒー、一度は味わってみる価値がある。コーヒーがあまり好きではないという人や、苦いのが苦手だという人も、ぜひ試してみてほしい。これまで持っていたコーヒーのイメージとはずいぶん違うはずだから、きっと驚くに違いない。

楽器の音色や美しい言葉が、コーヒーをもっとおいしくさせる

コーヒー専門店の店主というと、コーヒーひとすじ、寝ても覚めてもコーヒーのことばかり考えているという印象を持つ人が多いのではないだろうか。ところが濱坂さんの興味はコーヒーだけにとどまらない。定期的にジャズライブやヨガのワークショップを開催しているし、『茅ヶ崎の文化景観を育む会』のメンバーとして、毎年行われている百人一首かるた大会の代表(!)も務めている。自分の好きなこと、気になることは、とことんまでやる派。そして、音楽を聴いてさまざまな楽器の音色に耳を傾けたり、百人一首の美しい言葉に触れたりする中で、自分の内側に生まれる何かが、淹れるコーヒーの中にもじわりと滲み出てくるのだそうだ。深い。

「キリマンジャロはトランペット?!」

店内ではジャズライブが催されることも。「ジャズを演る日は必ず呼んで」という常連もいるほど、人気のイベントになっている

そういえば、店内のBGMはジャズ。それを聴きながら「いまトランペットの音が聞こえているでしょう? 僕の中では、キリマンジャロはトランペットなんです!」と濱坂さん。「ええー! どういうことですか?!」とたずねると、豆のブレンドの話を聞かせてくれた。「ブラジルはウッドベース、コロンビアはドラムス。これらが裏方として、味のベースを支えてくれています。キリマンジャロやモカマタリはトランペットやピアノ。前面に出てきて華やかな響きを加えてくれる。味に奥行きを出すために、豆の特徴をみて、フロント、ミドル、ベースをうまく組み合わせていくんです」。なるほど、濱坂さんのブレンドは、まさにバンドやオーケストラと同じなのだ。

いつも、お店に来る人との会話を大切にしている濱坂さん。この日も客の話にじっくりと耳を傾けていた

そんな話を聞いてからまた『珈房』のコーヒーを口に含むと、今飲んでいるブレンドについて、もっともっといろいろ聞きたくなってしまう。「コーヒーの話になると、どこまでもどこまでも深いところまでいってしまうんですよ」という濱坂さんだが、その話はとてもわかりやすくて、おもしろい。なにをたずねても、それこそジャズの即興のように濱坂さんが応えてくれるから、コーヒー初心者もこだわり派の人も、どちらも楽しいひとときを過ごすことができるはずだ。

(ライター/佐藤 なつ)

珈琲豆 専門店 珈房

住所:神奈川県茅ヶ崎市浜竹1-8-29
アクセス:辻堂駅[西口]から徒歩約15分
電話番号:0467-57-1151
営業時間:10:00~18:00
定休日:水・土(水曜の祭日は営業)

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

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2016年4月創刊、葉山から湯河原まで、相模湾沿いの暮らしを楽しむための月刊フリーマガジン。毎月ひとつのテーマのもと、どこよりもディープに海辺の《オイシイモノ》を紹介しています。

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