博士に聞いた!ホタル観賞が10倍楽しくなる豆知識&観賞テク

特集

癒やしのホタル。

2018/06/09

博士に聞いた!ホタル観賞が10倍楽しくなる豆知識&観賞テク

初夏のこの時期、幻想的な光で多くの人々を魅了するホタル。そのホタル観賞がさらに楽しくなる方法を博士に聞いてきました。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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古くから日本人の心を癒してきたホタル 写真:古河義仁

ホタルの豆知識も満載の観賞術をたっぷりレクチャー!

「ホタル観賞の方法や、ゲンジボタルとヘイケボタルの違いを取材してこい」との編集長の命を受けた編集部員O。そこで、ホタルに詳しい人をリサーチ。取材オファーを受けていただいたのは、ホタルを観察するために山へ向かい、なんと熊と遭遇した経験があるという古河義仁さん。取材スタッフが「へぇー」を連発したホタルの豆知識と観賞術を紹介します!

\話を聞いたのはこの人!/

「ホタル学 里山が育むいのち」など、ホタル関連の著書も手掛ける古河義仁さん

古河義仁(ふるかわよしひと)。東京ゲンジボタル研究所の代表、日本ホタルの会の理事。約45年間、ホタルの生態や生息環境を研究。ホタルや生物が生息できる自然環境をテーマにした講演活動を行っている。

今回の取材テーマ

1.人に教えたくなるホタルの豆知識
2.役に立つホタル観賞のコツ

ホタルは子供の頃に見たことはあるが知識はほとんどない編集部員O(写真右)が、ホタル博士の古河義仁さんに、ホタルの豆知識と観賞テクを聞いていきます

今回の取材場所は、ホタルを見られるスポットとして「ホテル椿山荘東京」に協力を依頼。実際にホタルを見ながら話を聞くため、その場所にホタル博士の古河さんにお越しいただきました。

「今日は古河さんにホタル観賞のコツなどのお話を聞かせていただければと思いますので、よろしくお願い致します!」(編集部O)。 

取材で訪れたのはホテル椿山荘東京

庭園ではゲンジボタルが乱舞しており、例年多くのホテル利用者を楽しませています

ホテル椿山荘東京の「ほたるの夕べ ディナーブッフェ」(開催中~7月3日)は、60年以上の歴史がある人気イベントです。まずブッフェでは、高級食材の鮑を使った寿司や酒蒸しのほか、ひつまぶしで味わう鰻料理、ホテル伝統の米茄子の鴫(しぎ)炊きなど贅沢な料理を満喫。そして、食事を楽しんだあとは、庭園で幻想的なホタルの光を観賞できます。

ローストビーフや鮑料理などが味わえるブッフェは、大人平日9800円、金土日1万500円

1.人に教えたくなるホタルの豆知識

豆知識1/ホタルの種類はなんと約2700種!

ホテル椿山荘東京に生息するゲンジボタル

――まず素朴な疑問なのですが、ホタルはどれぐらいの種類がいるんですか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「ホタルは世界で約2700種類いると言われています。生息地は砂漠と南極、北極以外の世界中ですね」

――そんなにいるんですね。日本に生息しているのは何種類ぐらいですか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「日本には49種類のホタルがいます。そのほとんどは南西諸島に分布していますが、東京にもクロマドボタルやオバボタルなど、9種類のホタルがいるんですよ。世界では約2700種類のホタルがいますが、その中で幼虫が水の中で育つホタルは10種類しかいません。そのうち3種類が日本に生息しており、それがクメジマボタル、ゲンジボタル、ヘイケボタルです」
ホテル椿山荘東京では、ゲンジボタルを間近で見られるビオトープも

豆知識2/ゲンジボタルとヘイケボタルの違いは?

――素人の私でもゲンジボタルとヘイケボタルは聞いたことがあります。この2種類の違いを教えてください!

古河義仁さん
古河義仁さん
「まず住んでいる所が違いますね。ゲンジボタルは基本的には小川で、ヘイケボタルは田んぼに住んでいます。もちろん形にも違いがあり、前胸部の黒い部分がゲンジボタルは十字型になっているのに対し、ヘイケボタルは直線です。あと、ゲンジボタルの方が大きく、ヘイケボタルは小さい。それが名前の由来にもなったという説もあります」

――なるほど、歴史にも出てくる「源氏」と「平家」の争いですね。戦に勝った「源氏」は大きくて強そうなゲンジボタルで、反対に負けた「平家」が小さいヘイケボタルとなったんですね。

前胸部の赤と黒の境界線が真っすぐなのがヘイケボタル 写真:古河義仁
古河義仁さん
古河義仁さん
「ゲンジボタルとヘイケボタルは光り方も違います。ゲンジボタルはパー、パー、パーと大きく光り、ヘイケボタルはチカチカと光ります。細かく言うと、生息期間も違いがありますね。ゲンジボタルはある一定期間で一度に成虫になりますが、ヘイケボタルは個体によって成虫になる時期が違います。なので、ヘイケボタルは長い期間見られますが、見応えがあるのは一度に発生するゲンジボタルで、光り方も強いです」

豆知識3/黄金に光る第3のホタルとは?

――ちなみに日本では、ゲンジボタルとヘイケボタルが主流ですか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「陸上で生息するホタルの方が数としては多いですが、一般的に知られているのは、やはりその2種類ですね。でも最近はヒメボタルの認知度も上がってきました。光り方がゲンジボタルとヘイケボタルより魅力的なんですよ」
ヒメボタルは主に山林などで生息し、光り始める時間は場所によって違うそう 写真:古河義仁

――(写真を見て)確かにキレイですね。ヒメボタルの光り方も違うんですか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「ストロボを発光させたような光り方で、パッ、パッ、パッと光ります。しかも見た目は黄金色で、ヒメボタルが有名な岡山県新見市では、別名“金ボタル”と呼ばれています」
ゲンジボタルは緑色に光るが、ヒメボタルは黄金色に輝く 写真:古河義仁

――それは見てみたい! 岡山県でしか見られないんですか?

古河義仁さん
古河義仁さん
東京の奥多摩や富士の樹海でも見られます。ただ山林などに生息し、場所によっては夜中にならないと光らないこともあり、人の目に触れる機会が少ないので、身近な存在とは言えないかもしれません。やはり“和”を感じるのは、ゲンジボタルとヘイケボタルでしょうね。平安時代から『ホタル見(み)』として観賞もされていましたから」
古河さんが日本的と語るゲンジボタルの光 写真:古河義仁

――なるほど。ホタルは和歌にも使われていますね。

古河義仁さん
古河義仁さん
「そうですね、和歌にたくさん使われていますし、日本書紀にも出てきます。そして、江戸時代に入ってようやく庶民が『ホタル狩り』をするようになります。この文京区や新宿区にもホタルが飛んでいたそうです。今ではホタル狩りは死語になり、ホタル観賞という言葉が一般的になりました」

――時代によって呼び方も変わってきているんですね。これからはその「ホタル観賞」が楽しくなるポイントを聞いていきたいと思います。

2.役に立つホタル観賞のコツ

ホタルの基本的な知識を学んだあとは、いよいよ観賞術を聞いていきます

観賞テクその1/ホタル前線をチェック

――ホタルを見るにあたり、まずは見頃を知りたいです。なんとなく6月ぐらいと思っていましたが、ホタルが見られる時期は全国で違いますか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「ホタルを見る時期はサクラ前線と同じで、ホタル前線も沖縄・九州から北上する形になります。あとその年の気候によって変わりますが、今年は平年よりも10日間ぐらい早いと思います。実はホタルが見られる時期は、ある計算をすれば把握できるんです」

――えー、そんなことが可能とは。どのような計算なのか、博士教えてください!

古河義仁さん
古河義仁さん
「ホタルの幼虫は水の中に住んでいますが、サナギになるため陸上に上がり、土の中に潜ります。その上陸した日と土の温度が分かれば計算できます」
ホタルは土の中でサナギになり、成虫になります

――へえー、公式みたいなものがあるんですね。

古河義仁さん
古河義仁さん
「何度で蛹化し羽化をするという、有効積算温度というのが決まっているんです。なので、幼虫が上陸した日が分かれば、あとは土の温度を足していけば分かるんです。おおよそ上陸してから50日ぐらいがめどですね」

――なるほど、これは人に話して自慢したい(笑)。ちなみにホタルが見られるのはやはり6、7月がメインになりますか。

古河義仁さん
古河義仁さん
「そうですね。ただ、長野県の志賀高原は6月から遅いと10月まで見られます。そこのゲンジボタルは天然記念物にも指定されています。でも10月は見られる数は少ないので、見頃としては8月ぐらいまでかな。そこは川の水に温泉が混ざることで、特殊な生息環境になっています」

観賞テクその2/ホタルは満月がお嫌い?

ホテル椿山荘東京で撮影したゲンジボタル。ホタルがいそうな場所を博士に聞いてみました

――次はホタルを見る最適なコンディションを教えてください。やはり風の強い日は避けた方がいいですか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「正解です(笑)。あと、ホタルは満月もお嫌いです(笑)

――それは単純に明るいからですか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「そう、ホタルは光ることでコミュニケーションを図っています。飛んでいるオスが下で光っているメスを探すので、上から光があたっていると下が見えにくい。なので、ホタルは暗い場所を好みます。ホタルを見る時は暗い所を探すといいかもしれません」
ホテル椿山荘東京のホタル観賞スポット。ホタルは橋より高く上がることはなく、橋の下にある小川で多く見かけました

観賞テクその3/一番ボタルを見つけよう!

――ホタルを観賞するにあたり、ホタル博士のオススメの見方はありますか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「夕暮れからホタルが見える場所に行き、一番星のように一番初めに光るホタルを見つけてみませんか、というのが私からの提案です。夕方から行けば夜になっても目が慣れているし、ホタルは明かりが嫌いなので、懐中電灯を使うと逃げてしまいます」

――ちなみに古河さんが行く時は何時ぐらいですか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「だいたい18時ぐらいですね。19時に日が沈み、19時30分ぐらいにホタルが光り始める。そういう待つ時間というのを大切にしてほしいんです。明るいうちは、まず自然の景色を眺めたい。きれいな小川があり、緑豊かな林もあり、また待っている間に会話もできます」
待っている間はアジサイの花など、植物を見つけるのも楽しみの一つ

――都心では見られない自然の風景ですもんね。

古河義仁さん
古河義仁さん
「そうですね。明るい時は自然の景色を楽しみ、暗くなってきたら一番ボタルを見つける、結構ロマンチックでいいでしょ(笑)」

観賞テクその4/ホタルが集まり大きい光に

――今さらの質問ですが、ホタルが光るのは求愛のためですか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「そう、ただし飛ぶのはオスだけで、メスは葉の上などで待っています。特にオスは飲まず食わず飛び続け、寿命は3日間と短命だそうです。オスは光りながらメスを探すのですが、1匹のメスに10匹ぐらいのオスが集まることもあります。そこで争奪戦があり、振られたオスは違うメスを探すために飛んでいきます」
写真はゲンジボタル・オスの求愛時の光り方で、通常とは異なるそう。足で踏ん張っている姿はなにか応援したくなります(笑) 写真:古河義仁

――1匹のメスに多くのオスが集まると、光が重なり大きく光っているように見えるのですか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「そう、光も大きい玉のようになります」

――それを見られるとレアですね。このメスのホタルは、いまめっちゃモテ期みたいな(笑)。

古河義仁さん
古河義仁さん
「それは見に行った時にぜひ探してみてください」

観賞テクその5/西日本はせっかち、東日本はのんびり

取材中にホタルの絵を描いて説明する古河さん
古河義仁さん
古河義仁さん
「ホタルを長時間見ていると、ある現象が起こることがあります。飛んでいるホタルの数が増えると、光り方の波長が一緒になる時があるんです。一度に消えて、一度に光る、これを同期明滅(どうきめいめつ)と呼んでいます」

――それはどんな意味があるのですか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「おそらくオスがメスに『俺たちはここにいる!』というアピールをしており、これは子孫繁栄のための習性だと言われています」
ホタルの同期明滅にはさらなる秘密が… 写真:古河義仁
古河義仁さん
古河義仁さん
「これはさらにマニアックですが、同期明滅の消えている時間は、西日本が3秒で、東日本が4秒なんです。見た目が同じホタルでも遺伝子が違うので、性格も違います。西はせっかち(笑)、東はのんびりとした性格なんですね」

――へぇー、それはすごい、というかおもしろい。同期明滅、見たくなっちゃいました。

観賞テクその6/ホタル観賞の服装&アイテム

ホタルが見られる場所は小川などが多いので、観賞時に歩く時は細心の注意を

――ホタルを見に行く時の最適な服装や必要なアイテムはありますか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「自然の場所ということもあり蚊があちこちにいるので、長そで長ズボンが好ましいですね。あとは虫よけスプレーはあらかじめ手足にかけておきましょう。足元が危ない場所もあるので、懐中電灯があると便利ですが、照らすのは足元だけにしてください。ただ、明かりが嫌いなホタルには向けないようにしましょう」

――懐中電灯を使う時は要注意ですね。あと、ほかに必要なものはありますか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「あとはきれいな心があれば大丈夫(笑)。ホタルを見に行く時は基本的にはエコツーリズムの気持ちで行ってほしいんです。自然環境の中にお邪魔する、という気持ちが大事だと思います。ホタルはきれいな自然があって生まれるものですから」
自然環境でゴミのポイ捨てなどは厳禁! マナーを守ってホタルを観賞しましょう

――これで、ホタルを見に行く時の心構えもバッチリです。

古河義仁さん
古河義仁さん
「そういった気持ちで行くと自然に思いを馳せられるし、ホタルって本当に素晴らしいと言うのが分かると思うんです。きれいなホタルを見て、心を豊かにして帰ってほしいですね」

おまけ/1/fのゆらぎとは?

――日本では古くからホタルが見られていますが、人はなぜホタルに惹かれるのでしょうか?

古河義仁さん
古河義仁さん
「やはり癒されるんでしょうね。癒しを感じる時は、『1/f(エフぶんのいち)のゆらぎ』というメカニズムが関係しているそうです。小川のせせらぎや木漏れ日も該当するそうで、ホタルの光り方にも1/fのゆらぎがあると言われています。人間はこのゆらぎを感じると非常に心地いい心境になるそうです」
自然には人を癒す不思議なメカニズムがある?
古河義仁さん
古河義仁さん
「これは聞いた話ですが、戦時中に母親と息子が暮らすある家族があり、息子は特攻隊に任命され、そのまま家に帰ってくることはありませんでした。その年の夏の夜、一匹の光っているホタルが家に入ってきました。息子を亡くした母親は、ホタルを見て息子が帰ってきたと泣いたそうです。ホタルの光にはなにか感じるところがあるんでしょうね」
一匹の小さな光にもいろいろな思いが込み上げてくる

\ホタルが見られる「ホテル椿山荘東京」を地図でチェック/

Yahoo!ロコホテル椿山荘東京
住所
東京都文京区関口 2-10-8

地図を見る

アクセス
江戸川橋駅[1a]から徒歩約7分
護国寺駅[6]から徒歩約10分
早稲田(都電荒川線)駅[出口]から徒歩約13分
電話
03-3943-0996
営業時間
プール・温泉・ラウンジ 8:00~18:00/20:00~22:00フィットネスジム 6:00~22:00最終受付 21:30※4歳~12歳のお子様は8:00~18:00までのご利用となります。
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

ホタルの基本情報や観賞テク、そしてホタルの“深いい”話まで聞けた今回の取材。今年の夏は、古の時代より多くの人々を癒してきた“ホタルの光景”を眺めてみませんか。

取材メモ/ゲンジボタルの光る部分はオスが2か所、メスは一か所で、性別で違います。近くで見れば区別できるそうですが、光り方では判別がつかないそう。ホタルにしか分からない“光の会話”が行われているんですね。

取材・文=嶌村優(エンターバンク)、撮影=齋藤ジン

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