犬養裕美子のお墨付き!女性スタッフ大活躍の駒澤大学、コンフル

連載

犬養裕美子のアナログレストラン【Vol.41〜】

2018/09/21

犬養裕美子のお墨付き!女性スタッフ大活躍の駒澤大学、コンフル

“アナログレストラン”はレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくても居心地のいい空間とサービス、かつ良心的な値段。つまり人の手、手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。第55回は駒沢大学「コンフル」。

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

女性スタッフの自然な応対が居心地いい

久しぶりに近くまで来たので電話もかけず「コンフル」に寄ってみた。駒澤大学駅の裏手、アパートが密集する路地裏は相変わらず人通りも少なく、店があるとは思えない。少し歩くと、ぼんやり灯(とも)った店の明かりが見えてホッとする。
ドアを開けると、中はなんと……満席! オーナーの倉田俊輔さんが少し驚いた顔で招き入れてくれた。「どうしたんですか?」「いや、元気でやっているかなと思って……」。「今、席を作りますから」。

オーナー倉田さん。大手飲食店で接客の面白さを知り、2006年28歳でレストランを構えた。その時はコンセプトが定まらず一旦閉店したが、2008年「ビストロ・コンフル」で再スタート。10年を迎えた

待つ間に改めて店内を見まわして、いくつか変化に気付いた。まず、倉田さん以外のスタッフ3人はすべて女性。そしてお客様もほとんどが女性。倉田さんお目当てで来る女性が増えたのかと思ったら……、「女性スタッフだけになったら、女性客がすごく増えたんです。しかもちゃんと食べて飲んでくれるので売りあげも上がってびっくりしています」。

井原摩耶さん。学生時代、大学の近くにある紀尾井町「オーバカナル」でアルバイトを始め、ワインショップでもキャリアを積む。料理自体に興味を持ち、料理人を志す。コンフルに客として通ううち、働くことに

現在キッチンで活躍する井原摩耶さんは大学時代に飲食店でアルバイトをしたのをきかっけに、卒業後、この業界に飛び込んだ。
「料理は現場で覚えていきましたね。3年前、それまでのシェフが辞める時に新しいシェフを入れるかどうか話し合ったんです。その2カ月後に新しいスタッフが来ることも決まっていたので、大変だけど今のチームで乗り切った方がいいと倉田さんと話し合って決めました」。

そこから「コンフル」は女性のみになった。男性の倉田さんが女性3人を束ねていくのはさぞ苦労も多いのでは?
「ある意味やりやすいんです。女性は説明して納得すればきちんと対応してくれる。男同士だと、どうしてもプライドがあるから人の意見に耳をかさない。小さな問題を我慢しているうちにもっと悪い状態になることも」。ただ、女性に対しては、きめ細かなフォローが必要だ。「いいところはちゃんと言葉にして褒めるし、どんな問題でもその日のうちに解決するようにしています」と倉田さんは語る。

カウンター8席、テーブル10席、奥には個室1つ(6席)。店内にはパリのビストロのように、壁一面に本やアートグッズが飾られている

全員接客で一人客のハートをつかむ

客層にも変化があった。女性スタッフだとやはり安心してくつろげるらしく、女性の一人客が増えた。さらに料理もワインもしっかり楽しんでいく人が多いという。いつの間にかスタッフ全員が料理の説明もできるし、アドバイスもできるようになっていた。スタッフらの気の利かせ方は、一人客にとってはストレスなしの優秀なサービスに違いない。

黒板には、ズラリとメニューが並ぶ

黒板メニューには旬の素材を取り入れた前菜1000円台に、鴨(カモ)、牛、豚、煮込みのメイン料理は2900円デザートは600円から。グラスワインは700~1300円。ワインのセレクトは倉田さんが好みのものを選んでいくうちに、自然派が中心となった。

仔羊のロティ 悪魔風、2900円。ピリ辛のトマトソースは、トマトペースト、フォンド・ヴォー、カイエンヌペッパーで煮込んだソース。北アフリカのエスニックなスパイスが個性的

料理は倉田さんがアウトラインを決め、具体的には井原さんがアイディアを出し、みんなで考える。井原さんの強みは素材、調理法、調味料の組み合わせを定番にとらわれずに自由に発想すること。「調理師学校で学んだことがないので自己流です。でも、休みを利用してプロのための講習会なんかにも行かせてもらってます」。

燻製(くんせい)したカツオ 水ナス、フロマージュブラン、トマトのジュレ、1600円。戻りガツオは脂がのっていて少し重いので、燻製することで余分な脂を落とし、香ばしい香りで包む

「ようやくいい雰囲気で仕事ができるようになりましたね。パリに社員旅行に行くのは、休みにもなり、勉強にもなるから。みんなで同じものを見て共有することが大切」という倉田さんの心の中では、2店舗目も計画中。この場所で成功したのだから、どこへ行っても大丈夫だと思う。次はどんな攻め方を見せるか、楽しみだ。

モモのパルフェ、1000円。モモのコンポートにモモと紅茶のジュレと、イタリアンジェラートの名店・祐天寺「アクオリーナ」のホワイトチョコとライムのジェラートでパフェに
下準備は全員で。頑張った成果に、毎年、社員旅行でフランスに! 左から倉田氏、畠山一海さん(4年目)、井原さん、石戸谷まどかさん(新卒で入店したばかり)
この暖かな入口が出迎えてくれる
Yahoo!ロコビストロ・コンフル
住所
東京都世田谷区 上馬4-3-15 1F

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アクセス
駒沢大学駅[西口]から徒歩約2分
三軒茶屋駅[世田谷通り口]から徒歩約16分
若林(東京都)駅[出口]から徒歩約17分
電話
03-3419-7233
営業時間
11:30~14:00(L.O.)18:00~22:00(L.O.)
定休日
火曜(月1回月曜も休み)、8月20日~22日は夏季休業
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

この記事を書いたライター情報

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

東京を中心に地方や海外の食文化、レストラン事情を最前線で取材。ファッション誌から専門誌まで数多くの雑誌で連載を持ち、その店の良さ、時代性をわかりやすく解説。特に新しい店の評価に対する読者の信頼は厚い。食に関わる講演・審査員など多数。農林水産省顕彰制度・料理マスターズ認定委員。

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