江の島の坂を登ったら、素敵なカフェが待っている《後編》

2018/09/01

江の島の坂を登ったら、素敵なカフェが待っている《後編》

江の島のてっぺんに、懐かしい雰囲気のカフェがある。時間がゆったりと流れているような空間で、海を見ながら食事やお茶を楽しもう。

海の近く

海の近く

《田舎のおばあちゃん家》のような居心地の良いカフェ

江の島には日本三大弁財天を奉る江島神社があり、参拝に来る人が絶えない場所。「あまり神がかったことは信用しない方ですが、導かれるようにここで店をやることになったのは不思議ですね」と『㠀舎』店主の冨永誠さん。誠さんはフリーランスの映像ディレクター。いまも仕事を継続しながら店に立つ。絵美さんは『DEAN & DELUCA』でシェフ、都内のアメリカンスイーツの店『ハドソンマーケットベーカーズ』でオープニングスタッフとして働き、どちらかと言えば洋食系の料理人。しかしここの料理は和食が中心だ。

本日の魚定食1,512円。せっかく江の島を訪れたなら、おいしい魚を味わいたい。羽釜で炊いたご飯とともに、おすすめの地の魚をいただこう

懐かしい《日本のごはん》を楽しむ

「厨房に竈を作り、羽釜で炊いたご飯を食べてもらいたい、ということがこの店のいちばんのテーマだったので、和定食がメインになりました。海に近い場所なので、新鮮な魚をおいしく食べて欲しいと思っています」(誠さん)
「料理方法も田舎の郷土料理を参考にしたり、江戸時代の和食の文献を読んだりしながら、私なりにアレンジして料理しています。地の魚が入らないときは無理して出したくないので、肉のおかずの定食も、日替わりで考えながら。定番のチーズケーキなどのデザートは、私が得意とするところなので、ぜひコーヒーと味わって欲しいですね」(絵美さん)
魚料理は煮付けや焼き魚、コンフィなどさまざまな調理法で登場する。さらに自家製の漬け物、味噌汁に炊き合わせのおかずの鉢が並ぶ定食は、懐かしい味わいの日本のごはんだ。

レトロな雰囲気の店内で、カウンターのあたりはモダンカフェ風。絵美さんのチーズケーキは、誠さんの淹れるドリップコーヒーと相性抜群だ

誠さんが丁寧にハンドドリップで淹れてくれるコーヒーも絶品だ。ブレンドコーヒーは、茅ヶ崎の『i don’t know coffee roaster』で、オリジナルで焙煎してもらっている。都内や関東近県のロースターを数多く訪ね歩き、この店にブレンドを任せよう、と焙煎を依頼したそうだ。
「こういうイメージの店を、江の島でやりたいということを、店主の吉田博幸さんに伝えたところ、だいぶ悩まれて『ひと月時間をください』と言われました。でもできあがった豆は、ほぼイメージに近いものでした。シングルコーヒーは、僕たちがかつて通っていた三軒茶屋の『OBSCURA COFFEE ROASTERS』の自家焙煎豆を使っています」(誠さん)

読書も、仕事も、のんびりどうぞ

昨年11月にオープンし、店としては新しいはずなのに、どうにも懐かしいあの感じ。足を投げ出して座りたくなるような、昼寝したくなるような居心地の良さがある。ここには必ず店にふらりと現れる通称《猫店長》もいて、その姿を見ているだけでも、のほほんとしてしまう。
「僕たちが理想としていたのは、《田舎のおばあちゃんの家》という店造りでした。みんなに共通する《実家》のような店にして、おばあちゃんの手料理を食べたり、本を読んだり、お喋りしたり。のんびり仕事してもいいし、リラックスして過ごして欲しいと思います。インテリアはクラシックですけど、コンセントをいっぱいつけているのでPCを持ち込むのも大歓迎。でもあんまり利用されてないかな(笑)」(誠さん)

海が見たいならば、奥のテーブル席がおすすめだ。表とはガラリと印象が変わる

店の下にはかなり広い地下室があり、何か面白いことがはじまりそうな予感。ちょっと秘密めいた場所なので、どんな発信をしてくれるか楽しみだ。江の島の実家を訪ねるつもりで出かけてみよう。

(取材・文=海の近く編集部 撮影=位田明生)

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2016年4月創刊、葉山から湯河原まで、相模湾沿いの暮らしを楽しむための月刊フリーマガジン。毎月ひとつのテーマのもと、どこよりもディープに海辺の《オイシイモノ》を紹介しています。

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