犬養裕美子のお墨付き! 9年を経て進化し続ける「モンド」

連載

犬養裕美子のアナログレストラン【Vol.41〜】

2018/10/25

犬養裕美子のお墨付き! 9年を経て進化し続ける「モンド」

“アナログレストラン”はレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくても居心地のいい空間とサービス、かつ良心的な値段。つまり人の手、手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。第57回は自由が丘「モンド」。

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

ユニークなテーブルで新モンド誕生

このガラスの球体が表札がわり

オープンは2008年7月8日。9年間、よくもこれだけ難しい場所で続けられたなあと、改めて驚く。自由ヶ丘駅から徒歩10分圏内なのだが、住宅街が続いて、こんなところに店があるのかと不安になってくる。目印は路地の入口にあるガラス球。よく見ると「mondo」と書かれているが、店らしきものは見当たらない。勇気を振り絞って小径を進み、小枝を払いながら階段を降りると、ようやく到着。何度も来ているのに毎回迷う。今回も久しぶりに来て、迷った。

ようやく店らしきスペースがあるところに到着。途中でわからなくなったら、お店に電話をして誘導してもらうこと

久々に訪れると、モンドは10周年を迎え、初めての試みにチャンレジしていた!
毎週火曜日に「イッセイノセーの会」と称し、お客様に同じ時間に集合してもらい、みんなで一緒に食事を進行するイベントだという。「バーベキューの時、主役の大きなお肉をワクワクして待つような雰囲気を味わっていただきたいと思ったのと、やっぱり肉は塊で焼いたほうがうまいと思うので、週に一度塊の肉を焼き、お客様の前で切り分けることにしました」とオーナーの宮木康彦シェフ。

そういえば、オープン当時のメニューはイタリア料理に新しい解釈を加えたモデルノ、伝統的な郷土料理のレジオナーレの2コースのみという思い切った内容だった。

「京都 中勢以」の熟成肉で作ったミートソースのラザニアと、フルーツトマトの2時間オーブン焼き。別々に出てくるが、一緒に食べればおいしさ倍増。これはモデルノとレジオナーレにシェフの創作を加えたオリジナル

しかし、宮木シェフは「テーブルごとに同じコースにしてください」などと、ケチなことは言わなかった。むしろ、「イタリア料理のルーツがわかるから別々のコースの方が面白いですよ」とアドバイスをしてくれたものだ。複雑なメニューにもかかわらず厨房はシェフ一人。その仕事量は半端ない。

店内にも変化が。以前は、真っ白で広々とした空間が美術館のようだったダイニング。それを8月に改装した。ダイニングの主役は、パズルのように入り組んだ大テーブル

シェフの立ち位置はいちばん端っこだが四方八方に伸びたテーブルのせいでお客10人全員がシェフに注目できる

テーマにこだわるよりも自由に考えて作りたいと思ったことと、レストランをもっと楽しんで欲しいという両方の気持ちが強くなって、10週年を迎えたからこそ次の段階に進む決心をした。大テーブルを囲む、イタリア本来の食事の原風景を宮木シェフらしい表現で形にしたのだ。大きなテーブルをお客様がシェアすることで、よりお店とお客様の一体感が出るように進化!

テーブルはフロア全体に広がっているが、対面で座る形ではない。大きなカーブやコーナーごとに2~4人がおさまる。
「テーブルの作りがかわっていますから。初めてのお客様には、お2人なら『並び』や『90度に座る』ことになると予約の際にお伝えします。とはいえ、実際に来てみないとイメージしづらいでしょうけど」と田村理宏ソムリエ。ワインを注ぐにも、このでこぼこと入り組んだテーブルはサービスしづらいように見えるが、その身のこなしはさすがベテランらしくスマート。

10000円コースの肉料理は、フランス産リムーザン牛の炭火焼き、パターテ フリット 添え。炭火焼きは厨房の中で行う

ディナーコースは、突き出しと前菜2皿、パスタ2皿、セコンド、ドルチェで10000円(税・サ別)。火曜日の「イッセイノセーの会」は12000円(税・サ別)。ワインは、料理に合うものを選んでいたら「自然に自然派」がそろったという。

全粒粉とセモリナ粉で打ったオレキエッテ。今、一番お気に入りの山形「お日様さま農園」の野菜をたっぷりと使って

2018年7月18日に無事10周年を迎えた。次の目標は15年?
淡々と、しかも確実に歩み続けられる店はそうそうあるものではない。

Yahoo!ロコmondo
住所
東京都目黒区 自由が丘3-13-11

地図を見る

アクセス
自由が丘駅[正面口]から徒歩約9分
九品仏駅[出口]から徒歩約9分
奥沢駅[出口1]から徒歩約16分
電話
03-3725-6292
営業時間
ランチ 11:30~14:00(L.O.14:00)/ディナー 18:00~21:00(L.O.21:00)/「イッセイノセーの会」19:00集合、19:30スタート
定休日
水曜日 第一・三木曜
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

今年で3年目の鵜飼勇貴さん(左)。宮木シェフ(中央)と田村ソムリエ(右)は、90年代に「アクアパッツァ」で修業していた時代から一緒に仕事をしてきた仲間

この記事を書いたライター情報

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

東京を中心に地方や海外の食文化、レストラン事情を最前線で取材。ファッション誌から専門誌まで数多くの雑誌で連載を持ち、その店の良さ、時代性をわかりやすく解説。特に新しい店の評価に対する読者の信頼は厚い。食に関わる講演・審査員など多数。農林水産省顕彰制度・料理マスターズ認定委員。

犬養 裕美子 が最近書いた記事

SPECIAL