独創的なスイーツで注目!DEL’IMMOの神シェフ・江口和明

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My スイーツ メモリー

2018/10/15

独創的なスイーツで注目!DEL’IMMOの神シェフ・江口和明

スイーツ業界の先頭を走り続けるスターシェフ。時代を彩るパティシエ・ショコラティエは一体どんなスイーツに影響を受け、どんなスイーツを提供したいと思っているのでしょう。記念すべき第1回のゲストはデリーモの江口和明シェフ。スイーツ界のパイオニアたち、そのルーツを深掘り!

廣田祐典05

廣田祐典05

人気のショコラティエが衝撃を受けたモンブラン

東京ミッドタウン日比谷で連日行列ができる人気店

若い女性を中心に人気のパティスリー「DEL’IMMO(デリーモ)」。「ショコラティエが作るパティスリー」をコンセプトに掲げ、数々の独創的なスイーツで多くのファンを魅了してきた江口シェフが、東京ミッドタウン日比谷に出店したのが今年3月。時代を彩るパティシエ・ショコラティエが「スイーツ」を志したきっかけを教えてもらいます。

江口和明シェフ

江口和明シェフ

DEL’IMMO代表

昔の話を聞かせてください。どんなお子さんだったのでしょうか。

江口和明
江口和明
「とにかく貧乏でした(笑)。みんなが『たまごっち』で遊んでいたころ、自分はカブトムシや池でブラックバスを捕まえていました。随分やんちゃもしましたね。中学生の時、誕生日に母親がケーキを買ってきてくれて、生まれて初めてケーキを食べました。コージーコーナーのケーキは見たことはあったけれど、市販のケーキはそれまで一度も口にしたことがありませんでした。初めて食べた『イナムラショウゾウ』のモンブランはすごい衝撃でした」
モンブランのあまりにシンプルな見た目に「饅頭かと思った」という江口さん。「イナムラショウゾウのケーキは今でも大好きです」

実家は裕福ではありませんでしたが、冬の間はスキーに打ち込むため、新潟のスキー場に住んでいたこともあります。実はスキー指導員の資格を持っているという江口シェフ。お父さんからは「どうせやるからには真剣に打ち込む」姿勢を教わりました。

スイーツを志した理由とは

高校卒業後に自らの進路を考えたとき、「とりあえず大学に行く」という選択肢はなかったといいます。悩んだ結果、製菓学校の門を叩いた江口シェフ。入学金は借金でなんとか工面しました。

江口和明シェフ
江口和明シェフ
「もう料理人のDNAですね。父親は和食の料理人で、母親は栄養士。血の問題。帰るのも遅いし、給料も安い。自分でもなんでやりたいんだと思いました。スイーツを選んだ理由は、血が苦手で肉をさばけないのと、『パティシエ』という響がかっこよく思えたから。小さい頃に食べたあのモンブランも心の片隅にありました」
「知り合いでスイーツをやっている人がいなかったことも大きかったですね。横文字職業への憧れもありました(笑)」
江口和明シェフ
江口和明シェフ
「20歳の頃はサロン・デュ・ショコラなどのチョコブームで、海外からたくさんのブランドが上陸し、いろんなシェフがチョコ屋を出し始めた頃でした。これからチョコがくる、そんな確信もありました。お寿司だったら、慶弔どんな場面でも提供されますが、洋菓子は不幸な場所には絶対に出てこない。ハッピーな食べ物なんです」
当時は「グラサージュ」最盛期。自分が店を出すときは、「絶対にやろう」と思っていたとか。「うちはグラサージュのケーキは多いし、自信もあリます」

江口シェフに大きな影響を与えた3人の師

私に影響を与えてくれた人は3人います
江口和明シェフ
江口和明シェフ
「一人は最初に働いた『渋谷フランセ』の故・太田シェフ。この方は生意気だった20歳の僕に製菓のいろはを教えてくれた恩人です。もう一人は、前職グローバルダイニング社長の長谷川さん。この方には自分の夢を叶えたいなら、お客様を喜ばせ続けることだと教わりました」
僕たちが「お客様喜ばせ業である」という考え方は、この会社にいた4年間で培われたものです

そしてもう一人、江口さんが師と仰ぐもう人物が、同じく前職グローバルダイニングでお世話になったフランス人シェフのステファン・ビュー氏です。

江口和明シェフ
江口和明シェフ
「ステファンはおいしいものを提供して150点を取ろうとする人なんです。それに命をかけていましたから。例えば、100点満点のコーヒーを出すだけじゃない。特別に照明を当てる、音楽を流す、思い出の品をおく。彼からはトータルプロデュースする姿勢を学びました」

スイーツは味が占める割合はせいぜい20点、一緒に食べる人だったり雰囲気が大事だと言う江口シェフ。「家で食べるよりお店で食べる方が楽しいと思う」と笑います。日比谷店は席数を増やして、制服や髪型などスタッフの雰囲気も大事にしているのもその理念ゆえ。家族づれも大歓迎です。

江口和明シェフ
江口和明シェフ
「ぜひお店まで食べに来てください!」

それでは日比谷店の看板メニューをいただきます

デリーモでも人気のパフェの新作をご紹介しましょう。旬のぶどうを使った一品です。

江口和明シェフ
江口和明シェフ
「流行りのものではなく、旬のものを使ったパフェをご用意しています。この季節はマスカットですね。生産者の思いやストーリーを楽しんでいただきたいと思っています」
カットしたシャインマスカットと、シャンパンのジュレを合わせます

場所がら、夕食を食べた後に、「甘いものを食べたい」と訪れる方も多いとか。リップが汚れないように、スプーンも小さくするなど女性に喜ばれる気遣いがいたるところになされています。

柚子と洋梨のソルベにさっぱりとしたヨーグルトのクリームを合わせます

シャインマスカットと、一つだけナガノパープルでアクセントをつけて。上に板状のショコラを乗せて完成です。

「メランジュフリュイ HIBIYA」(2300円・税別)

別添えのショコラソースとカットライムは、途中でかけて味を変えて食べてもよし、かけ忘れたとしても、それはそれでいいのです。

板チョコは67%カカオチョコ。甘さは控えめでパフェの邪魔をしないよう考えています。「チョコはうちの看板なのでこだわっています」(江口シェフ)
江口和明シェフ
江口和明シェフ
「最後にはいろんな素材のエッセンスが混ざってさらにおいしくなります。お客様の自由に食べてください!」

自分たちが「お客様喜ばせ業」であると胸を張る理由

一番嬉しいのはスタッフが褒められた時。「それは店に血が通っている証拠だから」(江口さん)

スイーツを提供する上で一番大切にしていること。それは「自分たちはお客様喜ばせ業であるという自覚」だと江口さんは言います。

江口和明シェフ
江口和明シェフ
「飲食はサービス業ではないと僕は思います。お客様に喜んでいただき、その対価を払っていただく事業なんじゃないかって。そこに、菓子を作るのが得意な僕がお菓子を作る。喋るの得意な子は接客をすればいい。それでいいんです。『子供が生まれてからお菓子のイメージが変わった』と言われることもあります。それは今ままで見えなかったものが見えて来たから。僕が無我夢中で走り続ければ、それが店の方向になる。これからも走り続けますよ」

新進気鋭のシェフは気さくで、それでいて熱いパッションに満ち溢れていました。


「My スイーツ メモリー」の第2回ゲストは、江口さん曰く「洋菓子界、最後のジェダイ」こと「オクシタニアル」の中山和大シェフです!

 

取材・文/キンマサタカ(パンダ舎)
撮影/原 幹和

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廣田祐典05

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