「寅さん」が見守る下町・葛飾の商店街【東京商店街グルメ#1】

特集

東京商店街グルメ

2018/09/21

「寅さん」が見守る下町・葛飾の商店街【東京商店街グルメ#1】

商店街は日常生活の場であると同時に、街歩きを楽しませてくれる包容力も持っている。そこで、最近では海外の旅行者にも注目されている東京エリアの商店街をシリーズでご紹介。第1回目は、下町・葛飾の「柴又門前商店街 神明会」を食べ歩き、人・物・風景の魅力に触れた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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「柴又門前商店街 神明会」ってどんなとこ?

「柴又小町」と取材班が勝手に命名した、「かなん亭」の看板娘・寺田小夜子さん(写真左)と菅波桃子さん(右)に商店街の入り口でポーズを決めてもらった

1997年以来、なんと22年ぶりに新作の制作が決まった、“寅さん”こと車寅次郎が活躍する映画「男はつらいよ」(1969年〜)の舞台となった葛飾区柴又。

帝釈天題経寺(だいきょうじ)の二天門から続く参道に位置する「柴又門前商店街 神明会」

千葉県との境を流れる江戸川のほとりにあるこの街は、2018年の2月に風景の国宝である「重要文化的景観」に都内で初めて選ばれ話題となったが、その中心となるのが帝釈天題経寺と、その参道に位置する「柴又門前商店街 神明会(しんめいかい)」だ。

柴又駅前では「寅さん」(1999年建立)と、兄を見送る「さくら」(2017年建立)の銅像が出迎えてくれる

柴又駅(1899年開業)から帝釈天(1629年創建)の山門まで、約200メートルの参道沿いにギュッと集まった商店街には、魅力的な飲食店や民芸店などが軒を連ねている。今回は、長い歴史と伝統を持つ門前町の商店街を現在進行形で盛り上げる、次世代の地元っ子が活躍するお店に注目して食べ歩きを楽しんだ。


食事も甘味も絶品な柴又歩きの起点
スポットその1:「かなん亭」

1976年創業のかなん亭を切り盛りするみなさん。写真左から、ご主人の菅波雄二さん、長女・寺田小夜子さん、次女・菅波桃子さん、女将の菅波緑さん、スタッフの金子未和さんと吉本勇斗さん

京成線の柴又駅から帝釈天に向かって歩き始めると、どこからともなくいい香りが漂ってくる。どうやらその正体は、駅からすぐの参道沿いにある「かなん亭」の店先の焼き鳥のようだ。

かなん亭店主・菅波雄二さん
かなん亭店主・菅波雄二さん
「当店は、ラーメンや定食などのお食事から、焼き鳥などのオツマミ、あんみつなどの甘味といった幅広いメニューをご用意する食堂です」
「『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』(1977年公開)で、大竹しのぶさんが働く食堂として撮影に使われ、中村雅俊さんもいらしたんです」と話すのは、かなん亭の長女・寺田小夜子さん
かなん亭・寺田小夜子さん
かなん亭・寺田小夜子さん
炭火で1本1本丁寧に焼いています。貝類や鰻の短冊もあるので、気軽に食べ歩きを楽しむ方も多いんです」

炭火焼き鳥を食べ歩きのお供に!
「若鶏もも」(1本100円)

焼き上がりを待つ時間もまた楽しい

——1本100円からとオトクですね。食べ歩きもいいですが、じっくりとお酒を飲みたくなります。

かなん亭・寺田小夜子さん
かなん亭・寺田小夜子さん
「季節に合った日本酒をはじめ、広島県尾道産の柚子や自家製の梅干しを使ったサワー類もご用意しています。参拝前に軽くお食事をして、帰りがけにお酒を楽しまれる方もいらっしゃいます」
「天気がいい日は外のテーブル席も気持ちいいですよ」と話す次女の菅波桃子さん

——帰り道が今から楽しみですが、まずはお昼ご飯にオススメの料理をお願いします!

かなん亭・菅波桃子さん
かなん亭・菅波桃子さん
「定番でしたら、醤油味の『特製らーめん』(700円)と「あんみつ」(700円)はいかがでしょうか?」
「特製らーめん」(700円)と「あんみつ」(700円)の組み合わせが定番

——シンプルでとても優しい味がいいですね。添えられたチャーシューや小松菜がシミジミとおいしいです。

かなん亭・菅波桃子さん
かなん亭・菅波桃子さん
「ありがとうございます。スープは昆布、煮干し、鰹節がベースで、化学調味料などの添加物は一切使っていません。チャーシューも自家製なんです」

——あんみつも自然な味わいで気に入りました。

寒天系メニューはテイクアウトもできるぞ!
かなん亭・菅波桃子さん
かなん亭・菅波桃子さん
「寒天は伊豆七島産の最高品質の天草を煮こしたもの。あんこは北海道産の大納言小豆、緑色の求肥はヨモギを練り込んだもので、どれも国産素材と無添加にこだわった手作りなんです」

——甘味はお土産にもできるのがうれしいですね。

\今回の「スタッフ惚れ込みごはん」!/

「同じのください」とは決して言わない取材チームの食卓

魅力的すぎるメニューぞろいのため、撮影終了後に取材スタッフも食事をさせていただくことに。「特製らーめん」(左下)を我先にキープしたライターを筆頭に、重い機材を運ぶカメラマンIは「鰻丼定食」(手前右・1300円)を、洋食好きの編集Iは葛飾で製造されるルーを使った「牛すじカレー」(右上・750円)、そしてオツマミ系に目がない編集Mは「もつ煮込」(左上・500円)をチョイス。「串焼き盛合せ」(中央左・600円)もしっかり追加。

さまざまな野菜に加え、ウズラの卵の漬物までもが盛り込まれた「漬物盛合せ」(450円)。漬物ラバー必食である

どれも逸品ぞろいだが、とくに取材班が気に入ったのが「漬物盛合せ」(450円)。漬物&ピクルスマニアである女将の緑さんの手作りで、この盛合せや付け合せのピクルス目当てで通い詰める常連さんもいるのだとか。食事やお酒はもちろん、カフェ使いも叶うかなん亭は、柴又歩きの往路・復路ともに立ち寄りたくなる名店なのであった。

かなん亭

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


7代目へと世代交代進行中!
スポットその2:「高木屋老舗」

参道の両脇に店を構える高木屋の7代目の石川幾生さん。お父様である6代目の石川宏太さんは商店街の会長を務める

続いて訪れたのが、柴又街道を渡ってすぐにある「高木屋老舗」。草だんごや和菓子をはじめ、軽食も楽しめる柴又を代表する店で、明治・大正期に建てられた風格ある店舗は、映画「男はつらいよ」にもたびたび登場する。

名物の草だんご。食べ歩き用は1串160円(写真)。お土産には折り詰めの12粒(650円)、30粒(1700円)などが便利
高木屋老舗・石川幾生さん
高木屋老舗・石川幾生さん
「当店の創業は明治元年と伝えられています。柴又周辺は帝釈天が創建された江戸時代より米の産地でしたが、参拝客に米の粉で作っただんごを振る舞っていた茶店が起源です」

——柴又名物の草だんごはあっさりしていて何串でも食べられそうです。

「何年やってるかって? もう忘れちゃいました」と、笑いながらも丁寧に1串ずつ草だんごを仕上げる職人さん
高木屋老舗・石川幾生さん
高木屋老舗・石川幾生さん
「だんごの原料にはコシヒカリと筑波山麓で育ったヨモギの新芽を使用。あんこは北海道産の高級小豆を上品な甘さに炊き上げています」

——店内から参道を眺めていると映画の世界に入り込んだような気分になります。

店内では参道を眺めながらだんごや軽食を楽しめる。参拝客をがっかりさせないよう、年中無休で営業するのがモットーなのだそう

——この店構えが寅さんの実家のモデルにもなったと聞いています。

高木屋老舗・石川幾生さん
高木屋老舗・石川幾生さん
「撮影はスタジオでしたそうですが、セットは柴又のいろいろな店から着想されたそうです。当店は山田洋次監督や渥美清さんなど、関係者の休憩や着替えのための拠点として利用していただいたご縁があり、みなさんには家族ぐるみでお世話になっています」
「子供時代は映画撮影スタッフから漂う非日常感が苦手でした」と話す石川幾生さんだが、いまではすっかり「男はつらいよ」マニアに成長
店内には「男はつらいよ」の出演者の写真や、監督から贈られた記念品が飾られる
高木屋老舗・石川幾生さん
高木屋老舗・石川幾生さん
「渥美さんが亡くなり映画が完結した際、6代目の父が山田監督に『柴又は今後どのように発展すべきか?』と相談したそうです。その時監督から『あえて変えないという街づくりもあるはず』といただいた助言が、柴又が重要文化的景観に選ばれた原動力になったと考えています」
「柴又もち」(170円)はあんこがぎっしりでも食べやすいのが特徴

——草だんごをより食べ歩きしやすくアレンジした「柴又もち」など、新しい試みもされています。

高木屋老舗・石川幾生さん
高木屋老舗・石川幾生さん
「高木屋の強みであるだんごを、どうすれば日常的に食べてもらえるかを模索しています。近い将来、例えば数十種類のトッピングを楽しめるだんご専門店を提案するなど、寅さんのおかげで全国区になった柴又の次なる名物を生み出したいですね」

本業だけでなく、ネットを使った柴又情報の生配信など、地域を活性化させる事業にも取り組んでいるという石川さん。若き7代目が目指す「100年先まで愛される柴又の名物」が今から待ち遠しい!

高木屋老舗

口コミ・写真など

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一粒では止まらない
幻の濃厚草だんご
スポットその3:「吉野家」

小さな店先は草だんごを求める客でいつもにぎわっている

次にやって来たのは、高木屋に続き2軒目の草だんごの専門店「吉野家」。こちらは3代続く老舗で、手でちぎっただんごを1粒から販売してくれるのが特徴。

味は「あんこ」と「黒みつ&きな粉」の2種類(各1粒54円)

——草だんごを一粒から販売しているのは珍しいですね。

吉野家女将・名取千枝子さん
吉野家女将・名取千枝子さん
「参道には草だんご屋さんが何軒もあります。できるだけたくさん味比べをしてほしいので1粒から販売しています」
「柴又の方から贈られたお土産を気に入ったお客様が、お店に買いに来てくださることも多いです」と話す3代目女将・名取千枝子さん

——粒がとても大きくて、ヨモギの香りが濃厚でおいしいです!

吉野家女将・名取千枝子さん
吉野家女将・名取千枝子さん
「ありがとうございます。この時期は長野県の松代で採れた乾燥ヨモギを使っています。お湯で戻してから手作業で葉の繊維を取り除いているので、草の香りはしっかり濃厚ですが、口当たりは滑らかなんです」

信州産ヨモギが濃厚さの秘密!

乾燥ヨモギ(写真上)をお湯で戻すと、しっとりとした色ツヤと爽やかな香りが立つのだとか
スタッフ・奥山利栄子さん
スタッフ・奥山利栄子さん
「添加物は一切使っておらず、翌日には少し固くなるので早めに食べてくださいね。お客様の中には、固くなった草だんごをお鍋にいれるって方もいて驚きました(笑)」
「アップはおだんごだけでいいわよ!」と照れまくる、奥山利栄子さん(左)と名取千枝子さん。気さくで仲良しのお2人が丁寧に仕上げる濃厚な草だんごは必食だ

先代までは帝釈天の縁日と週末中心の営業だったため、ファンからは「幻のだんご屋さん」とも言われていた吉野家。パック入りは4個(216円)、折り詰め入りは11個(648円)から各種用意しているので、和菓子好きのお土産にもオススメだ。

吉野家

口コミ・写真など

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100年続く老舗漬物店の
新たな挑戦とは?
スポットその4:「い志い(いしい)」

築200年という出桁(だしけた)造りと呼ばれる江戸時代の商家建築も見どころ

こちらは文久2年(1862年)創業という、商店街最古の建物で営業する漬物の店「い志い(いしい)」。切り盛りするのは、4代目のご主人である石井久喜さんと女将のあゆみさんご夫妻。

色合いも多彩な漬物は見ているだけでも楽しくなる
い志い店主・石井久喜さん
い志い店主・石井久喜さん
「ウチは当初『以志ゐ呉服店』として創業しました。当時呉服を求めるお客さんに振る舞った漬物や茶菓子が評判になり、戦後には現在の屋号で茶店となり現在に至ります」

——老舗ですが、考え方は自由なんですね。

「生まれ育った柴又というバックボーンを大切にしたい」と、柴又の伝統と和菓子の融合を目指す石井久喜さん
い志い店主・石井久喜さん
い志い店主・石井久喜さん
「代々の当主とも『自分の好きなことをやっていいよ』という柔軟な気風だったようで、先代は葛餅を始めて、今では店内で製造している店は珍しいそうです」

——新しい試みがしっかり根付いているんですね。4代目がしたかったことは?

い志い店主・石井久喜さん
い志い店主・石井久喜さん
「自分は和菓子の道を選んだので、京都に修業に出ました。そこで身につけた菓子の手法と、家業の漬物を融合させたのが『しばづけぼたもち』(1個250円)なんです。土日や帝釈天の縁日などの限定ですが、食べた方には喜んでいただいています」

あんこと漬物が……合う!

しば漬けの赤紫が鮮やかな「しばづけぼたもち」(250円)。中にはもちろんあんこが入っているが、漬物の塩気と絶妙に合う不思議な一品だ

——食べてみないことには理解しにくい味ですが想定外のおいしさです! 「かなん亭」のお嬢さんが「米米ロールがオススメ!」と絶賛していましたがどんな食べ物ですか?

\柴又の新名物「米米(こめこめ)ロール」/

「冷凍でお渡しするので、半解凍で食べてもおいしいですよ」と、あゆみさんが説明する「米米ロール」(写真はハーフサイズ・670円/ホール1250円)。ちなみに、ご主人には修業先の京都で見初められたそうです
い志い店主・石井久喜さん
い志い店主・石井久喜さん
「古くから柴又は、お米で作っただんごや煎餅でおもてなしをする土地柄でした。そういった、自分のバックボーンとも言える米の粉を使って菓子の技を表現したくて作りました」
石井あゆみさん
石井あゆみさん
「カステラの技法で焼き上げた米粉の生地で、甘さ控えめの国産純生クリームをたっぷりと巻き、表面の和三盆糖を香りよく炙って仕上げています」

——故郷の名物と菓子職人の技の融合で新名物が生まれるなんてすばらしい!

野菜ソムリエの女将厳選の
きゅうり一本漬け!

その時期に一番おいしい産地のきゅうりを、野菜ソムリエの女将・あゆみさんが厳選して浅漬けにした「きゅうりの一本漬」(200円)は食べ歩きにぴったり
い志い店主・石井久喜さん
い志い店主・石井久喜さん
「老舗なだけに、私が生まれる前からご愛顧してくださるお客様もいらっしゃるので、昔ながらの漬物もしっかり作っています」

京都で修業した老舗京菓子司の恩師から授かった、「型を守り、型を破り、型から自由になる」という意味の「守破離」という言葉を胸に創作に打ち込んでいると話す石井さん。奇抜なようでしっかりと一本筋の通った「新しい伝統」をぜひ体験してほしい。

柴又 い志い

口コミ・写真など

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帝釈天の木彫技術を今に伝える
スポットその5:「園田木彫店」

二天門の目の前にある「園田木彫店」

旅の記念品選びに立ち寄りたいのが、木彫りの小物を扱う「園田木彫店」だ。

お隣の「園田神仏具店」も園田さんの店
現役の木彫り職人である園田正信さんの技巧を凝らした小物は必見

実はこの「園田木彫店」とお隣の「園田神仏具店」の2店は、帝釈天の木彫りを手がけた職人の子孫である園田正信さんが営んでいることで知られている。

キーホルダーなど気軽に身につけられる小物が揃う
「柴又帝釈天の参道は戦災で大きな被害を受けなかったので老舗が多く残りました」(園田さん)
つげの木で作られた「身代地蔵(みがわりじぞう)」(1個600円)は、病気やケガ、事故などの災難から持ち主を守ってくれるという

「戦時中の帝釈天周辺は、都心を空襲した爆撃機が残った爆弾を捨てていく所だったんです」と話す園田さん。参道は運良く爆撃を免れたため、今でも貴重な神社の彫刻や参道の老舗が残っているのだそう。

園田仏具店

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\柴又といえばココ/
「彫刻の寺」帝釈天で職人技に触れる「帝釈天題経寺」(だいきょうじ)

二天門は明治29年(1896年)建立

柴又散歩で必ずお参りしたいのが、柴又の代名詞でもある帝釈天。かなん亭の菅波桃子さんが「子供のころは境内でよく遊ばせてもらった」と話すように、地元の人々からも愛されている存在だ。

帝釈堂と瑞龍松(東京都指定天然記念物)も映画ファンにはおなじみのランドマーク

参道の突き当りにある二天門をくぐって境内に入ると、今にも「男はつらいよ」に登場した御前様が現れそうな帝釈堂の拝殿が目に入る。二天門をはじめ諸堂、鐘楼堂、水屋などいたるところに装飾彫刻が施されていることから「彫刻の寺」とも呼ばれている。

安永8年(1779年)の庚申(かのえさる)の日に、長らく行方不明だったご本尊の「板本尊」が発見されたことから、庚申(こうしん)の日(次回は11月24日)にはご本尊が開帳され大いに賑わう。

「彫刻ギャラリー」は彫刻を保護するためガラス張りなので、雨天でも彫刻をゆっくり眺めることが可能だ。なお、忘我亭(休憩所)以外での飲食は不可となっているので注意したい

とくに内陣は総ガラス張りの「彫刻ギャラリー」(参拝料:大人400円、小中学生200円)になっており、外壁に設置された大きな欅(けやき)の板に施された法華経説話の彫刻をつぶさに鑑賞できる。

「塔供養の図」は、仏が世界に真実を知らせる前ぶれを表すもの

彫刻は壁全体に施され、仏教の教えは知らなくても、荘厳な世界観を彫刻で表現した木彫り職人の技には感銘を受けるはずだ。

帝釈天題経寺

口コミ・写真など

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映画「男はつらいよ」の世界観そのままの下町食べ歩きが心地良い

和服姿で下町散歩を楽しむ外国人観光客の姿も

というわけで、食べてよし、見てよし、買ってよしの「柴又門前商店街 神明会」。帝釈天の裏手まで歩けば寅さんのオープニングでおなじみの江戸川がひかえ、渡し船の「矢切の渡し」で千葉県側に渡れば、小説「野菊の墓」の舞台まで散策ができるなど、気軽な散歩から、1日かけて満喫する小旅行も可能な商店街なのである。


【商店街コラム】
地元っ子に聞いた
「柴又と寅さんの思い出」

商店街の若手仲良し3人組。左から石川幾生さん、菅波桃子さん、寺田小夜子さん

取材で出会った「かなん亭」の菅波桃子さんと「高木屋老舗」の石川幾生さんは同級生。寺田小夜子さんも幼馴染ということで、柴又育ちならではの映画「男はつらいよ」にまつわるエピソードを伺った。

石川幾生さん
石川幾生さん
「実は『男はつらいよ』を観始めたのは社会人になってから。高木屋は撮影クルーの拠点となっていたので、子供の頃は『知らない人が一杯来て苦手だなぁ』って思ってたくらい」
寺田小夜子さん
寺田小夜子さん
「『寅さんの撮影やってるから見に行こう!』と、参道や高木屋さんに走っていった記憶がある」
高木屋老舗は「男はつらいよ」ファンならば聖地巡礼に訪れたい店のひとつ
菅波桃子さん
菅波桃子さん
後藤久美子さんを見かけた母は『すごくキレイ……』ってぼーっとしてた」
寺田小夜子さん
寺田小夜子さん
「桃子なんかは、店の外にいた時に映画に偶然写っちゃったりしてた」
菅波桃子さん
菅波桃子さん
「第39作の『男はつらいよ 寅次郎物語』ね。家族みんなで観に行ったねぇ(笑)」
柴又駅前に2017年に登場した「さくら」の像。ひっつめ髪と前掛けのおなじみの姿で、映画のラストシーンで兄・寅次郎を見送るようにたたずんでいる
寺田小夜子さん
寺田小夜子さん
「寅さん像ができてしばらく経って、2017年にさくら像が寅さんの振り返った視線の先にできたのを見た時は感動したなぁ」
新しいパワーを持った地元っ子が老舗商店街の伝統を支え進化させていく
石川幾生さん
石川幾生さん
「映画のラストシーンそのものだよね。大人になって改めて映画を観ると泣けるポイントが変わってくるのも魅力。渥美清さんや山田洋次監督にはいろいろなことを教わった。寅さんや先代たちが築き上げた伝統を引き継ぎつつ、新しい柴又にしていきたいですね」

取材メモ/かなん亭の美人姉妹から「イク」と下の名前で呼び捨てにされる高木屋の7代目の石川幾生さん。幼なじみ同士といはいえ羨ましかったです。

取材協力=葛飾区観光フィルムコミッション
撮影=伊原正浩
構成・取材・文=杉山元洋

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

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