今、本当に食べておきたいスパイスカレー店はどこなのか。そんなシンプルな質問に、小宮山雄飛さん&村田倫子さんというふたりのカレー愛好家が回答。日々、様々なカレー店を食べ歩いているふたりが出した「間違いない店」とは?
Yahoo!ライフマガジン編集部
注目のスパイスカレー3店を
選んだのはこのふたり
【対談はこちら】小宮山雄飛×村田倫子が語るスパイスカレーの魅力とオススメ店
小宮山雄飛さん
ミュージシャン
村田倫子さん
モデル
\紹介する店はこちら!/
1.スパイスポスト(代々木八幡)
2.ケララの風II(大森)
3.旧ヤム邸 シモキタ荘(下北沢)
「スパイスポスト」(代々木八幡)
元和食料理人がつくる、旨味がエグいスパイスカレー
最初にご紹介するのは、代々木八幡にある「スパイスポスト」。2017年10月にオープンしたばかりの店で、推薦人の小宮山雄飛さんも「たまたま入った店だったんですが、めちゃくちゃおいしい」と太鼓判を押す。
- 雄飛さん
- 雄飛さん
- 「ソースのスパイス感はもちろんのこと、その奥にある旨味もすごいんです。もともと和食をされてたという店主のセンスを感じます。さらにライスの量も選択できたり、あまりに人気になりすぎてオープン時間をなし崩し的に早めている点も魅力的ですね。もともと昼くらいにオープンしてたと思うんですが、今は何時なんだろ?」
雄飛さんのコメントどおり、常連客からもっと早く開けてほしいとの要望にこたえる形で、徐々に開店時間が前倒しされ、今では9時オープン。地元客からは「極上の朝カレーが楽しめる店」と評判になっているそう。
そんなお店のご主人がこちらの方。
店の終了時間はまちまち(完売次第終了)ですが、夕方には閉店してしまうとか。それもそのはず、夜はバー『富ヶ谷一丁目倶楽部』として営業する、昼と夜の“チーム制”になっているから。
そして、人気メニューがこちら。
\「チキン&キーマカレー」(1,050円)/
- 高瀬店長
- 高瀬店長
- 「いわゆるチキンとキーマの“あいがけ”です。大きなチキンは、溶かさずにごろっと形を残しつつ、口の中ではほろっとろけるように仕上げています。スパイスは、“辛さ”とか“突き抜ける”というよりはバランスを大事にしています。くどくなく、また食べたくなる、むしろ毎日でも食べ飽きないカレーを目指しています」
- 高瀬店長
- 高瀬店長
- 「キーマカレーには、ラム・牛・豚の3種類の肉を使い、肉のカットの仕方にもこだわりがあります。肉を噛みしめるような食べごたえのある食感を目指しています。この一皿で、『とろける肉(チキン)』と『食べごたえのある肉(ラム・牛・豚)』、その両方が楽しめるわけです」
つかっているスパイスは20種類以上。メインはグリーンカルダモンで、シナモン、クローブなども使用。スパイスのバランスの良さも、元和食料理人のセンスが光る。
- 高瀬店長
- 高瀬店長
- 「大阪のスパイスカレー店などでは、よくゴリゴリ系のスパイスがありますが、当店はそこまではしていません。食べて、たまにグリーンカルダモンだな、クローブだなとわかる程度の大きさにしています」
またこちらのお店では、オリジナルのビネガーを使って“味変”も楽しめてしまう。
- 高瀬店長
- 高瀬店長
- 「こちらのビネガーは、1カ月くらい熟成させて酸味の角を丸くしています。数種類のスパイスを入れていますが辛味は全然なく、かけていただくと味がさっぱりと変化しますよ。こちらは女性のお客様に特に好まれていますね」
味に完璧な答えはない、だからこそ季節に応じて使う食材も変えていくと語る高瀬店長。そのときその瞬間の最高のバランスを求めて日々味が進化するお店「スパイスカレー」。雄飛さんが絶賛するのも頷ける、最高のお店である。
「ケララの風Ⅱ」(大森)
在日インド人が愛する南インド系スパイスカレー
続いて紹介するのは、大森にある「ケララの風Ⅱ」。かつて商社マンだった店主の沼尻匡彦さんが、インドのケララ州に2年ほど駐在し、現地で味わった料理を再現。カレー愛好家のモデル・村田倫子さんも「本場のミールスを知りたいならここ」と激推しする店だ。
- 村田さん
- 村田さん
- 「ユーモア溢れるお父さんと、優しくおちゃめなお母さんのほっこりご夫婦が営む名店です。南インドの本場の『ミールス』を知るオーナーご夫妻がつくるスパイス料理は最高に美味しいです。もちろんミールスはおかわり自由なのでお腹いっぱい楽しめます」
沼尻店長曰く、「ここはカレー屋ではなく、南インド料理店」というほど、南インドにこだわる店。30年以上前に、インドのケララ州に駐在し、現地の料理に感動。「日本人の舌にはこっち(南インド)の方が絶対合う」と確信した沼尻さんは、帰国後、南インド料理を普及させるため、全国で料理教室を開くように。その回数は8年間で約250回。その後、勤めていた会社を辞め、ついには南インド料理店をオープンすることになった……それが、「ケララの風Ⅱ」だ。
そしてこちらが南インド料理の伝道師ともいえる、オーナーの沼尻匡彦さん。
- 沼尻店長
- 沼尻店長
- 「そもそも、インドは州によって料理の味が全然違います。大きく北部と南部で違いがあり、北部の主食はチャパティが基本で、ごく一部ですがナンを食べている人もいます。一方の南部は、お米がメインです。さらに州によっても違うし、州内でも結構違う。一概に『インド料理はこうだ』とは語れないんですよ。ただ、南インドの『ミールス』は、一つの皿でいろいろな料理を楽しめますよ」
“ケララの料理”に心酔した沼尻さんがつくる、おすすめメニューがこちら。
\「ランチ・ミールス」(1,200円)/
お皿の上に味わい豊かな料理が並ぶ。どれも食べ放題というのがうれしい。
- 沼尻店長
- 沼尻店長
- 「食べ方ですが、複数のおかずをご飯にかけて混ぜながら食べるのが現地流です。いろいろな味のおかずの組み合わせを楽しむのも良いでしょう。最後にヨーグルトとアチャールを混ぜて食べるとあと味爽やかです」
インドのスパイス料理といえば辛い…と思っていたが、辛さはなく、むしろさっぱりして食べやすく、その香りのよさに食べすすめるほどにクセになる。食べ放題というサービスにも「乗せられて」、ついつい食べすぎてしまうくらいの味だ。
日本最大のインド人街・西葛西からも来客があるというこちらの店。南インド料理を日本で普及させようとしている沼尻オーナーの出す料理の味、さらに軽妙なトークに興味がある人はぜひ一度足を運んでみては?
「旧ヤム邸 シモキタ荘」(下北沢)
大阪の人気店が満を持して東京に進出したスパイスカレー店
最後に紹介するのは、下北沢にある「旧ヤム邸 シモキタ荘」。小宮山雄飛さんが「これぞスパイスカレー! そんな味わいを東京にも教えてくれました」と絶賛する店だ。オープンしたのは、2017年7月のこと。「既成概念にはとらわれないカレー」をテーマにした料理を提供している。
- 雄飛さん
- 雄飛さん
- 「大阪のスパイスカレーブームを牽引したお店ですからね。大阪でしか食べられなかった味が、東京で食べられるという純粋な嬉しさがあります。そして味はもちろん、インテリアを含めお店の雰囲気もいい」
そもそもスパイスカレーのブームは、5年ほど前から大阪で起こったもの。こちらの店も、そんなブームから、「大阪発カレー店として東京でもチャレンジしてみたい」との思いで、東京進出を果たしたという。
そんな店の店長がこちらの方。
- 藤田店長
- 藤田店長
- 「スパイスカレーってよく言われるんですが、自分たちではスパイスカレーを意識して作っているわけではないんです。ただ今までないカレーを提供しようと思っているだけ。和風の食材や調味料なんかを使っているので、カレー好き以外の人でもすっと食べられるのではないでしょうか。おそらく、東京にはないタイプの店だと思いますよ」
おすすめメニューはこちら。
\「月替りカレー(ぜんがけ)」(1,350円)/
キーマカレー3種類と、スープのカレーがセット。キーマカレーは月替り。なお撮影日は上から時計回りに、鶏肉のひき肉のキーマカレー、豚のひき肉のキーマカレー、牛と豚のあいびきのキーマカレーというラインナップ。具材や味付けは季節により変わるというが、今は初秋ということで、サツマイモやきのこが入っている。
- 藤田店長
- 藤田店長
- 「スパイスは、20種類くらい使っていて、仕上げに使っているグリーンカルダモンとブラックペッパーが、いい香りを生んでいるかと思います。メニューを毎月考えるのは、正直大変ですが、僕自身カレーが好きなので楽しいですね」
取材・文=小山田滝音
撮影=谷田貝一也、川村将貴