出張で札幌を訪れた人におすすめしたいランチの一つが、野菜も肉もたっぷり食べられるスープカレー。ブームが起きる前の1996年から創業し、地元民にも芸能人にもファンが多い専門店「スープカリー イエロー」をご紹介!
Yahoo!ライフマガジン編集部
メニューは15種類以上。豊富なトッピングでさらなる味の変化を楽しもう
スープカレーは2000年頃の一大ブームを経てすっかり札幌っ子のランチの定番となった。今でも新店がオープンし続け、提供する店は札幌市内だけでも200店舗以上にのぼる。スープや具材の開発に各店がしのぎを削っており、カレーといってもその味の幅は広く、奥が深い。
地元民に聞いておすすめの店として挙がることが多いのは、すすきのに近い場所に店を構える「スープカリー イエロー」。同店はブームが起こる前の1996年から創業しているので、ここの味がスープカレー体験の原点という札幌っ子も多いからだ。
店主の高橋さんは、昔から生粋の食べ歩き好き。まだスープカレーという名が付く前の“サラサラしたカレー”に出合い、そのおいしさにはまったという。当時はまだまだ店の数が少なく、自らスープカレーを作って理想の味を探求。いつしかお店で出したいと思うようになり、開店したのがこの店だ。
「お店を開くなら、自分がおいしいと思うものを提供したい。それがスープカレーだっただけで、ブームになるとはまったく思っていませんでした」と高橋さん。最初は北海道大学の近くに店を構え、学生を中心に人気を集め、現在地に移転した。
どことなくダイニングバーの雰囲気も感じられる店内は、ガレージをイメージしている。コレクション好きという高橋さんが集めたレコードのほか、クラシカルなフィルムカメラ、ブラウン管テレビのようなフォルムのMacintoshのパソコンなどがディスプレイされていて、「こんなところにこんな物が!」と見つける楽しさがある。
創業時からスープの色が変わった!? 唯一無二の高圧釜
スープカレーファンが原点の高橋さんは、おいしさを極めたい一心で、店の味が変わることを恐れず幾度となく改良を重ねてきた。スープの肝となるブイヨンは当初、豚骨、鶏ガラ、野菜でとっていたが、10年前からカツオだしを加えるようになり風味が豊かになった。
それから5年後、スープへさらに大きな変化をもたらすものに出合った。それが136℃、3.2気圧の高圧釜だ。一般的な圧力鍋と比較すると温度は約1.1倍、圧力は約1.6倍となる。
高圧釜によって、それまで1日半かかっていたブイヨン作りが、3時間に大幅短縮された。さらに、材料を変えていないのに、それまで赤みがかったスープが黄色に変化し、濃厚な味わいになった。
「ブイヨンをとり終えた後、気圧が一気に下がることで水と油が結合し、乳化することで深い味わいになるんです。色が変わったのも、乳化で白濁したからですね」と高橋さん。このブイヨンに13種類のスパイスをブレンドし、無二の味わいが完成する。
道産米に9種類の雑穀をブレンド
こだわりはスープだけでなく、ライスにもある。「外でのランチが多い方に、少しでも体に良いものを…という思いから、当店のライスは九穀米なんです」とホールスタッフの眞子さんが教えてくれた。
メインの米にはツヤ、粘り、甘みのバランスがとれた北海道米「ななつぼし」を使用。そこに大麦、もちきび、もちあわ、黒大豆、緑豆、小豆、黒米、黒ゴマ、スーパーフードとして知られているアマランサスをブレンドして炊いている。
スープカレーに合うように少し硬めに炊いているというライスは、コンピューター制御付きのガス釜で、季節によって炊き時間や蒸らし時間を設定するという徹底ぶりだ。
- ホールスタッフ 眞子さん
- ホールスタッフ 眞子さん
- 「ライスは普通盛り(茶わん1杯分)のほかに、中盛り(普通盛りの1.5倍)、大盛り(普通盛りの2倍)があります。いずれも無料ですよ」
人気&おすすめメニューをチェック!
\創業以来、不動の人気No.1/
8種類の野菜と柔らかく煮込んだ骨付き鶏もも肉が入った定番メニュー。スープはもちろん辛みを感じるが、野菜の甘みが溶け出していることで、舌に刺さるような辛さではなく、じわじわとスパイスの風味が広がる。
- ホールスタッフ 眞子さん
- ホールスタッフ 眞子さん
- 「骨付き鶏もも肉と基本の具材が入ったチキンカリー(1000円)もありますが、たっぷり野菜を摂取できるこちらが好評です」
\この組み合わせ、クセになる!/
メニュー名の通り、じっくり煮込まれたラムの塊肉はスプーンがすっと通るほどの柔らかさ。その上に散らした大葉、ミョウガ、小ネギと一緒に口にすれば、清々(すがすが)しい香りが鼻を抜けていく。
- ホールスタッフ 眞子さん
- ホールスタッフ 眞子さん
- 「ボリュームがあり、特に男性に人気の食べ応えのあるメニューです。これしか頼まないという常連さんもいるんですよ」
スープに、ライスに、トッピングをプラス
この店の特長の一つがトッピングの豊富さだ。スープへのトッピングは、温泉卵や納豆、豚の角煮を作った煮汁が染み込んだ煮込み大根など22種類。ライスには、チーズ、フライドガーリックなど7種類のトッピングが用意されている。
「昔はもっと多く“トッピングだらけの店”と言われたこともあるんです」と高橋さんは笑う。その中でも人気があるものを残し、現在のラインナップになった。
ランチタイムは16:00まで。ちょっと早めにビールも!?
平日は11:30から16:00までがランチタイムなので、仕事が長引いてしまい、遅めのランチになってしまった人も利用しやすい。さらに、ランチタイム中はソフトドリンクまたは野菜増しが無料になる。
早く仕事が終わった人に、ぜひ飲んでほしいのが、樽(たる)生で飲めるのは札幌ではここだけという北海道のクラフトビール「北海道ビールピリカワッカ」だ。
最後に、今もなお支持されている理由を高橋さんに尋ねてみた。「週替わり、月替わりのメニューもあり、来るたびに違う味わいを楽しめるからでしょうかね。トッピングの種類も多いので、カスタマイズされるお客様もいらっしゃいます」
具材やトッピングで味わいや食感に変化が生まれるという面白さも、スープカレーがここまで浸透した理由の一つ。すでにスープカレーを食べたことがあるという人も、ぜひ新しい味に出合ってほしい。
取材メモ:「おいしいものはスープカレーに入れてもおいしいと思うんです」と語る高橋さん。もつ鍋風スープカリーや水ぎょうざカリーといったメニューもそんな発想のもと誕生したそう。うん、確かにおいしいに決まっている!と思いました。
取材・文=山下晴美、撮影=小林かほり(みんなのことば舎)