繊細な仕込みで仙台牛一頭買いの強みをとことんまで活かす/宮城

繊細な仕込みで仙台牛一頭買いの強みをとことんまで活かす/宮城

2018/10/20

焼肉店で幼い頃から培った経験を武器に、新しい時代の焼肉店づくりにチャレンジし続ける藤井さんを取材しました。(「せんだいタウン情報S-style」)

Yahoo!ライフマガジン編集部

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一切妥協なし。宮城県が誇る仙台牛を手間暇かけて提供

その日イチオシの部位を含め数種類を盛合わせた「本日の絶品盛り」(7560円~※時価)

迫力ある大きさの「サーロイン」はダントツのコク。美しくサシが入った「雪の女王ロース」は見た目も食感もマグロのよう……など、部位によって個性が異なる絶品焼肉。

「炭火焼肉 明月苑 大和町(やまとまち)店」では焼肉店で生まれ育った店主の技術とセンスで、一頭から丁寧に切り分けられ、その違いを楽しませてくれます。

「焼肉はますます進化していきます。生き残る方法を考え抜き、一頭買いにたどり着きました」。想像を超えた技術と手間を必要とする一頭買い。仕事への愛着があってこその選択であることが感じられました

素材選び、オーダーカット、仕込み……。こだわりは果てしない

仙台市中心部から少し離れた場所にある「明月苑大和町(やまとまち)店」。重厚な黒い柱に、暖簾の「牛」の文字が目印

藤井さんの故郷・青森の「明月館」はおばあさまの代から数えると59年となる老舗です。お母さまは今も店を営んでいるのだそう。30代半ばで独立。宮城県多賀城市にオープンした1号店を経て、仙台市大和町にも店を構えました。地道な努力を重ね、大和町店は予約でいっぱいの人気店となり、多賀城店はのれん分けをしたということです。

「自分の手間暇は惜しまない」をモットーに、わずかしか採れない希少部位もすべて提供。ひと月に約2頭使用するそうです

県内で年間約1万5000頭の牛肉が出荷される中、「仙台牛」の名で出荷されるのは約3割中でも最高ランク、さらに希少な牛肉を一頭買い。パーツに切り分けて管理するところからはじまり、毎日、店主自らさばきます。

慎重な手さばきで「サーロイン」をスライス

きめ細かくサシが入った肉は室温で脂が溶けてしまいます。焼き物はすべて、オーダーが入ってからカット。ひと皿ひと皿美しく盛付けて客席に運ばれます。

臭みがあり、仕込みによって味が大きく左右されるホルモン。妥協しない仕込みで、鮮やかな色に仕上がります

牛のホルモンはデリケート。幼い頃から厨房に入り、体で覚えた力加減、扱い方で傷をつけないように洗浄、仕込みをしていきます。

ホルモンの小さな汚れもひとつひとつ手作業で取り除きます

細かい作業も藤井さんのこだわりのひとつ。仕込みの段階で、徹底的に最高の状態に仕上げます

店主 藤井さん
店主 藤井さん
「手を抜こうと思えばいくらでも手抜きができます。お客さまに見えないところまで気を配りたい」
肉を揉む、漬ける、小皿で客席に並べるなど、それぞれの過程で使うタレは秘伝の味

肉の味を引き立てるタレはひとつひとつ手作り。「本日の絶品盛り」には、ワサビや塩、青森から取り寄せる醤油が添えられるなど、あえてタレ以外の味わい方も提案してくれます。

すべては、肉本来の美味しさと、部位ごとの個性を楽しんで欲しいとの願いから。「明月苑」らしいこだわりがここにも感じられます。

トータルバランスのために、スープ、デザート、すべてに力を注ぐ

一頭買いの牛肉はたくさんの脂を取り除く作業が必要になります。スープに使用するテールも丁寧に脂を取り除くことで、良質なスープに仕上がります

「明月苑」の楽しみは焼肉だけではありません。野菜なども一切使用せず、テールだけを10時間煮込んで作る「コムタンスープ」も人気メニューのひとつ。テールの仕込みも根気のいる作業。手間を惜しまず、雑味のない、澄んだスープを提供しています。

テールの脂をひとつひとつ手作業で取り除く藤井さん

藤井さんが他店に負けていないと感じることはトータルバランス。スープ、冷麺、米、最後のデザートまでしっかりしている店には人が入り、「また来たい」と思わせる力があると感じているそう。

そんな信念があるから、肉だけでなく他のメニューの仕上がりにもこだわる仕事に対する誇りが、すべての作業に感じられます

藤井さん
藤井さん
「お客さまの口に入るものなのでどんな作業もしっかりとやりたい。美味しいの一言がありがたいし、その言葉で続けられる。ゴールを決めることなくもっと上を目指したい」
リブロースの真ん中の部分、希少部位のひとつ「10秒ロース」(1人前3024円)。両面を10秒ずつ炙ってシンプルに醤油や塩でいただきます。とろけるだけでなく、ほどよい歯応え。焼肉の概念が変わる味わいです

「ひとつひとつ焼き時間をお伝えしたいくらい、美味しい焼き加減が違います」と藤井さん。スライスの厚さ、カットの形、添えるタレや調味料など、素材を知り尽くしているからこそ伝えたいことを料理に込める。そんな思いが随所に表現されています。

黒を基調とした落ち着いた雰囲気の店内。個室風の座敷など40席が整う

取材メモ/おばあさま、お母さまから味を受け継ぎつつ、誰にもまねできない焼肉を追求する藤井さん。老舗で培った経験と新しい挑戦によって織りなされたお仕事に感動しました。焼肉の奥深さを堪能できる名店でした。

取材・文=扇かおり 撮影=齋藤太一

せんだいタウン情報S-style

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毎月25日発行、450円

仙台・宮城のグルメ、レジャー、ニューショップなど、話題のスポットを幅広く紹介。地元の人々に愛され続けて43年のタウン情報誌。この1冊で仙台の“今”が分かる! 発行部数:60000部。

次週、10/27(土)は全国の焼肉編 第2弾を掲載!

地元人が通う、一度は行きたい焼肉店。次週10/27(土)は福島、新潟、高知などのこだわりの店主が営む焼肉店を紹介予定! お楽しみに‼︎

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