犬養裕美子のお墨付き!洋食もあり!の「レストラン・オギノ」

犬養裕美子のお墨付き!洋食もあり!の「レストラン・オギノ」

2019/02/24

“アナログレストラン”はレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくても居心地のいい空間とサービス、かつ良心的な値段。つまり人の手、手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。第62回池尻大橋「レストラン・オギノ」。

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

フレンチシェフの新たな挑戦「洋食!」

池尻大橋にオープンしたのが2007年。最初は今の場所と国道246をはさんで逆側にあった。「こんな場所にお客さん、来るのだろうか?」と心配になるほど、何もない場所だった。

しかし、だからこそ荻野伸也シェフは「一度来てくれたら忘れられないインパクトのある店にしよう」と日々格闘していた。前菜の「お好きなだけパテ」は、コースのアミューズで、スタッフが「お好きなだけ、どうぞ」と切り分けてくれる。それが、ワインが進む名物料理になり、地方発送で全国から注文が来るほどに成長。今でも前菜として不動の位置を誇っている。

パテ・ド・カンパーニュ。昼も夜も前菜で選べる名物料理。これがお目当てという常連も多い

「パテ・ド・カンパーニュは豚で作るものですが、うちは鶏を使いレバーを入れて作っていました」(荻野シェフ)

誰からも愛された味は、実はそうした独自のアレンジが的を得ていたからだろう。そんな味でも永遠に続けるのではないところがシェフの真骨頂。「実は最近、豚にかえたんです」という。人気メニューを全面的に変えるのは勇気ある選択だが、一歩先を考えている荻野シェフらしいといえばらしい。

食に関係するものすべてを勉強する新しい世代のシェフ

独立し自分の店を出した時から荻野シェフは「レストランの経営だけではもうからない。ちゃんと店を続けるためにも、食に係ることすべてを勉強しなければ」という問題意識を持っていた。

北海道の野菜生産者から、形が不ぞろいで流通にのらない野菜の使い道を相談されたり、駆除された蝦夷鹿について意見を求められたり…。生産者や食の現場からの問題に向き合ううちに北海道の食材を使った総菜屋「ヴィヴルアンサンブル」を札幌、旭川で出店したり、全国の生産者から送られた素材で作る総菜屋「ターブルオギノ」を藤沢、渋谷、品川にも開いた。

農業という一次産業をサポートしなければ、レストランは成り立たない。そこに注目し、実際両者をつなぐ行動をおこしたのだ。ここが新しい世代のシェフだなとつくづく思う。

「いい素材がなかったら、僕らはお手上げですよ。農業や畜産業、漁業に携わる方たちといっしょに問題を考えることで、僕らも素材の由来を知ることができる。また、知らないといけないと思うんです」(荻野シェフ)

イノシシのコンフィ。夜のプリフィクスのメインとしてチョイス。イノシシはしっかり火を入れて味わうジビエ。扱い方を正しく知って、それから料理になる

狩猟免許を取得後は自ら狩に出かける予定

さらに現在、狩猟免許に挑戦中。ジビエ料理が得意な荻野シェフだが、いよいよ自身で狩猟を行い、獲物を捌く。そこから料理が始まる。

「すべてを自分でやって納得したいんです」(荻野シェフ)

その姿勢が、素材をすべて無駄なく使おうという食品ロスの問題につながり、ジビエ料理の普及につながる。レストランから発信できることがたくさんある。それを荻野シェフは、自ら実践しているのだ。

もうひとつ、最近始まったのが、「洋食メニューの日」。ハンバーグ、ビーフシチューなど、ご飯に合う料理。

「今、本を制作中なのですが、その中に洋食のレシピ紹介があって、あれこれ考えていたら、洋食って実は奥が深い。フランス料理をベースにしているから、意外に時間も、手間もかけているんです」(荻野シェフ)

不定期だけど、WEBで日程を案内するので、気になる人は要チェック!http://french-ogino.com/news/

ビーフストロガノフ2200円。赤ワインで煮込む玉ねぎと薄切り牛肉。洋食の日は、ナポリタン、ハンバーグなど、定番を直球で出す。 4月に柴田書店より、レシピ本を出版予定。フレンチと洋食も一部掲載

荻野シェフはもともとトライアスロンに夢中だったが、最近はそれに加え登山も本格的に始めたという。

「山の中にいると、自然の音や色、においなどがすべて感じられる。その感覚が自分をリフレッシュしてくれるから、少しでも時間があれば、すぐ山に行きます!」

荻野伸也シェフ。1978年、愛知県生まれ。大阪の調理師学校を卒業後、数件のフレンチで修業、シェフを務め独立。「フレンチを気軽に」をテーマに、驚くべきボリューム、値段とのコースで話題に

28歳で店を始めて12年。レストランだけでなく、総菜店や食材店という場を持ち、経営面でも幅を広げて全体のバランスをとる。今は以前ほどの混み方ではないとはいえ、週末は昼夜満席。驚異的な安さは今も変わらない。昼は2900円(税込)夜はプリフィクスコース5800円(税・サ別)。シェフのおまかせコース4320円(税込)。

赤い看板が目印。オープン当初は周囲に何もなかったが、今や池尻大橋の駅から飲食店が軒を並べる食いしん坊ストリートに

この記事を書いたライター情報

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

東京を中心に地方や海外の食文化、レストラン事情を最前線で取材。ファッション誌から専門誌まで数多くの雑誌で連載を持ち、その店の良さ、時代性をわかりやすく解説。特に新しい店の評価に対する読者の信頼は厚い。食に関わる講演・審査員など多数。農林水産省顕彰制度・料理マスターズ認定委員。

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