“牛たん愛”で味を追求して18年の牛たん専門店/福島

特集

【特集・第2回】地元人が推薦! グルメ甲子園 〜 焼肉編 〜

2018/10/27

“牛たん愛”で味を追求して18年の牛たん専門店/福島

牛たんの炭火焼きと、ネルドリップのコーヒー。味わい深い時間がゆっくりと流れ、訪れる人を柔らかく包み込む。(「シティ情報ふくしま」)

Yahoo!ライフマガジン編集部

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厚切りを炭火で勢いよく焼き、肉のうま味を封じ込める

静かな住宅地の一角に、「牛たんKOYAMA」はある。店内に一歩足を踏み入れると、炭火のほのかな温もりを感じる。

開店以来、おいしい牛たんを食べてほしいとの思いを胸に、小山正文さん、百合子さん夫婦が二人三脚で店を切り盛りしてきた。その味に多くのリピーターが足を運ぶ。

ナラとクヌギの炭で火力を微妙に調整しながら焼く。ふっくらと焼き上げる火加減は経験と勘だという

ジャズバーから牛たん専門店へ。きっかけは仙台での出合い

29歳の時、小山さんはいわき市平の駅前にジャズバーを開店した。「BERKLEE」と名付けられたその店には、音楽好きの客が多く訪れた。

自身、小学生の頃からドラムを始め、社会人になってからは仕事の傍らドラマーとしてステージに立つなど、セミプロとしての音楽活動も続けてきた。仲間と共に毎年、市内の野外音楽堂で音楽イベントを主催し、地域の音楽シーンをリードしてきた一人でもある。

住居を兼ねた店舗へは、小さな案内板を頼りにたどり着く。知り合いの家を訪ねるような感覚がある

オープンから7年。店は繁盛していたが、生活はどうしても夜型になる。次第に、郊外に住宅兼店舗を構えて、のんびり店をやるのもいいと考えるようになった。

そこでジャズバーを閉め、新しい店の資金づくりのために再びサラリーマン生活を始める。出張先の仙台で食べた牛たんが、心を動かした。

名店を食べ歩き、独自の調理法を模索する日々

お昼のメニューで提供されている「牛たん炭火焼塩味と味噌味」(平日1490円/土日祝1598円)。ごはん、スープ、小鉢、香物が付く
店主 小山さん
店主 小山さん
「牛たんってうまいなぁ、と思った瞬間、これだ! と思いました。次の店は牛たんにしようと思いついたんです」

牛たん専門店の開店に向けて、妻の百合子さんと2人、牛たんの名店を訪ねて食べ歩いた。そういう中で、肉の処理の仕方や調理法、焼き方などを独自に学んでいく

自宅にバンド仲間を招き、自ら炭をおこして焼いた牛たんを試食してもらったこともある。そして2000年、「仙臺牛たん・ネルドリップ珈琲専門店バークリー」をオープンさせた。

濃厚なデミグラスソースで柔らかく煮込んだ「牛たんシチュー」(単品1069円)は店の看板メニューのひとつ。ごはん、スープ、小鉢、香物が付くセットメニューもある
小山さん
小山さん
牛たんはブロックで仕入れています。肉の部位の特徴をいかに使いこなすかが苦労するところで、どう調理したらおいしく食べてもらえるかな、ということをいつも考えています」

BSE(牛海綿状脳症)、店名変更などの困難を乗り越えて

牛たんとネルドリップコーヒーという、一見不思議な組み合わせも話題のひとつとなり、店は順調な船出となった。

しかし、オープンから1年後、BSE(牛海綿状脳症)問題が起きる。客足が遠のき、売り上げは激減。牛肉に対する良くないイメージが尾を引く中、苦肉の策でメニューを一時的に変更し、豚肉、ハンバーグなどで対応した。我慢の日々は5年ほど続いたという。

和風の味付けで煮込んだ「牛たん田舎煮鍋」(単品1069円)。あっさりとしたスープと肉のうま味の調和が絶妙。肉は箸でほぐれるほど柔らかい

また2006年には、商標登録の関係で「バークリー」が使えなくなり、店名を「KOYAMA」に改称。東日本大震災が起きた時には、穏やかな日常生活が一変した。

こうしたいくつもの困難な波を周囲の人たちに支えられながら乗り越え、店は今年、18周年を迎えた。

ネルドリップで淹れる、コク深く香り高いコーヒー

静かにお湯を注ぐとコーヒー豆がふわっとふくらんでくる。百合子さんは豆の性質や状態をその都度見極めながら、丁寧にお湯をおとしていく

店の歴史を振り返ると、小山さんの隣にはいつも百合子さんがいた。姉さん女房の彼女は、ことあるごとに夫を励まし、力になった。

ジャズバーを経営していた頃、常連客だった百合子さんは、店が忙しいと洗い物などを手伝い、自然にスタッフのようになっていったという。音楽という共通の趣味もある2人は、共に人生を歩み始めた。

コーヒーは「KOYAMAオリジナルブレンド」(518円)のほか、ストレートコーヒーもある。食事をした人には割引のサービスもしている

ホールと、コーヒーを淹れるのは百合子さんの担当だ。ネルドリップにこだわり、まろやかで深みのある味わいを出している。

アンティーク家具や小物がゆっくりとした時間の流れを生み出す

骨董市などをめぐって集めたアンティークの品々が優しい雰囲気を醸し出している

コーヒーの香りと共に、店内をくつろげる雰囲気にしているのは、アンティークの家具や小物だろう。

骨董品を集めるのが趣味だという2人が少しずつ買い集めたものがさりげなく置かれている。食事の前や後にゆっくり眺めるのも楽しい時間だ。

色や形が美しく、それぞれに趣のあるアンティークグラスが並ぶ

気軽に食事を楽しみ、くつろげる店をこれからも

空間に余裕をもたせたテーブルの配置で、ゆっくり食事ができる店内。テーブルは大小合わせて6つあり、ほかにカウンター席もある

KOYAMAの牛たんは、アメリカ産とオーストラリア産の霜降り部分が多い良質の黒毛種を使用。試行錯誤でたどり着いた調味料で味付けし、数日間低温熟成させたものを炭火で塩焼きにする。

また、「味噌味」として提供している牛たんは、柔らかくなるまでボイルした肉を味噌床に漬け込んだもの。塩焼きとはまた違う食感が楽しめる。ほかにも洋風、和風の煮込み料理など独自のメニューが提供されている。

「お客さんが気軽に来てくつろげる雰囲気の店を、細く長く続けていきたい」と話す2人。二人三脚の歩みがこれからも続いていく。

Yahoo!ロコ熟成牛たん・ネルドリップ珈琲KOYAMA
住所
福島県いわき市平下荒川字砂田106-17

地図を見る

アクセス
いわき駅[出口]から徒歩約36分
内郷駅[出口]から徒歩約62分
電話
0246-28-5067
営業時間
11:00〜14:00、17:30〜20:00(仕込み分がなくなり次第早めの終了あり)
定休日
月・火曜
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材メモ/取材に伺った日、店内には心地よいボサノバの曲が流れていました。夜はソフトジャズが多いそうですが、時には鳥や虫の鳴き声をBGMにすることもあるとか。細かいところにまで小山さん夫婦の気遣いを感じるお店でした。

取材・文・撮影=大谷湖水

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