日本酒のテーマパーク「伏水酒蔵小路」で京都の美酒に酔いしれる

2018/10/24

日本酒のテーマパーク「伏水酒蔵小路」で京都の美酒に酔いしれる

京都の伏見は、かつて「伏水(ふしみず)」と呼ばれていた、上質で豊富な伏流水に恵まれた地。「伏見の女酒」として知られる、やわらかくふくよかな美酒を生み出す日本有数の銘醸地です。そんな伏見にあるのが「伏水酒蔵小路」。伏見の地酒と全国各地の料理が堪能できる、日本酒のテーマパークです。

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伏見の地酒がなんと約100種類!

京阪電気鉄道の伏見桃山駅で下車し、駅前から伸びる大手筋商店街のにぎやかなアーケードを進むと、伏見の繁栄を支えた江戸時代の船宿を思わせるエントランスが見えてきます。幕末の伏見にタイムスリップしたような雰囲気です。

昔情緒のあるエントランス

エントランスの脇には、大きな酒樽がいくつも並んでいます。

目印は多くの酒樽

「日本酒で伏見を盛り上げよう!」という思いからつくられた「伏水酒蔵小路」は、伏見酒造組合に所属している17蔵の賛同によって、およそ100種類の伏見地酒が楽しめる施設です。2階にはゲストハウスが併設されているため、海外からの観光客も多く訪れるのだとか。

広々とした店内

中に入ると、まるで京都の細い路地に迷い込んだかのような雰囲気。まず目に飛び込んでくるのは、全長23メートルのカウンターが特徴的な、伏水酒蔵小路が直営する「酒蔵 -さかぐら-」です。

伏見は千本鳥居の伏見稲荷も有名です

千本鳥居で有名な伏見稲荷のお膝元ということもあって、路地を進んだ奥には鳥居がありました。

施設内には8つの飲食店があります

館内には、まったく異なるジャンルの飲食店が8つ入っています。本格和食の「お料理 きつや」や「らーめん 門扇」、炭火焼の「伏水 89丁目食堂」、博多料理の「伏水 焼鉄」、串かつ・おでんの「京町茶屋」、肉吸いの専門店「肉吸い・もつ鍋 むかし屋」、多彩なアラカルトを提供している「バル・バナ」、寿司の「大ちゃん」など、どの店も味に自信をもった本格派です。どの店で何を食べるか、迷ってしまいそうですね。

それぞれのお店で出前が可能

伏水酒蔵小路には出前のシステムが導入されているため、日本酒や各店の料理を移動せずに注文することができます。バルで日本酒を飲んで、シメに出前のラーメンをいただくなんて体験ができるのは、魅力的ですね。

全店舗にカウンターとテーブルの席が用意されているので、店のスタッフや偶然隣り合わせたお客さんとの会話を楽しみながら日本酒を味わうことができます。また、出前メニューに掲載されていない、店舗限定の料理やおつまみもあるそうです。

イベントスペースもあります

こちらは、町家の坪庭を思わせるイベントスペース「蔵庭」。椅子として使われているのは、なんと漬物の樽です。

このスペースでは月1~2回のフェアや専属唎酒師によるセミナーなど、日本酒関係のイベントだけでなく、三味線のライブなど、さまざまな催しが行われています。担当者に話を伺うと、「ゆくゆくは、毎日イベントを開催できるようにしたい」とのこと。ちなみに「来ていただいたお客さんに楽しんで飲食してほしい」という思いから、すべてのイベントに無料で参加することができます。

人気のメニューは、17蔵の「利き酒セット」

直営の「酒蔵 -さかぐら-」でマネージャーを務める、丸山主税さんに話をうかがいました。

グランドオープンから数ヶ月が経った後、ある利用者がTwitterにアップした「利き酒セット」を絶賛する投稿が約3万ものリツイートで話題になり、それ以降、多くのお客さんが訪れるようになったのだそう。現在は「酒蔵 -さかぐら-」だけで、1日100人、土日には200人以上の方々が来店するようです。「専門店と直営のカウンター、すべて合わせて300の席があるんですが、週末や連休中はびっくりするぐらい混み合うんですよ」とのことでした。

Twitterでも話題になった17蔵のきき酒セット「粋酔(きっすい)」(1,700円)

「酒蔵 -さかぐら-」の人気商品は、Twitterでも話題になった17蔵のきき酒セット「粋酔(きっすい)」(1,700円)。専属唎酒師の厳選した伏見の地酒が、20mlずつの小さなグラスで提供されます。

取材時のラインアップは、低アルコールですいすい飲める「月の桂 抱腹絶倒」や「月の桂 にごり酒スパークリング」に加えて、東山酒造の「魯山人」や齋藤酒造の「古都千年」など、京都産の酒米「祝」を使った日本酒6種類。

また、中段に並んでいるのは料理を引き立ててくれる純米酒の数々。下段には生酛や山廃など、芳醇な味わいの日本酒がそろっていました。「たくさんの種類を飲み比べたい!」という日本酒好きの気持ちをよく理解した品ぞろえです。

このセットでお気に入りの銘柄を見つけて、それをグラス(70ml)で再び注文するという楽しみ方もできますね。毎回同じ銘柄が提供されるわけではないため、タイミングが良ければ、地元限定の日本酒に出会えるかもしれません。

七輪の直火で炙る「海鮮あぶり」

丸山さんがおすすめしてくれたおつまみは、七輪の直火で炙る「海鮮あぶり」です。

「このメニューを目当てに来られるお客さんもいらっしゃいますね。伏見の日本酒は、合わないものを探すほうが難しいと思えるくらい、どんな料理にもなじんでくれるんですよ」と、自信たっぷりの様子でした。「魯山人」のふくよかな旨味が、炙った魚介類の風味を受け止め、とても美味しいです。

専属唎酒師の伏見早奈恵さん

こちらは専属唎酒師の伏見早奈恵さん。大学在学中に唎酒師の資格を取得し、今や店の顔ともいえる存在です。

「名字が『伏見』なので、一発で覚えてもらえるんです。たくさんのお客さんに、伏見の日本酒を楽しんでほしいですね」と話していました。

日本酒と相性抜群な酒肴の数々

そうこうしているうちに、あらかじめ注文していた「むかしや」の肉吸いと「大ちゃん」の寿司盛りが出前で届きました。

大ちゃんの「寿司盛り」

日本酒と寿司。至福のひとときです。

むかしやの「肉吸い」

肉吸いの天然出汁が、日本酒の旨味にぴったりと寄り添っていました。

「きつや」の大将・服部さん

こちらは「きつや」の大将・服部さん。「うちは京都らしいおばんざいと、伊勢湾産の鮮魚が自慢。週末は、特に伊勢エビが人気ですね」とのこと。

「伏水 89丁目食堂」の山本さん

続いては「伏水 89丁目食堂」の山本さん。「うちのウリは知覧鶏(ちらんどり)です。歯ごたえのある、旨味のたっぷりつまった地鶏を楽しんでください」。焼き鳥の盛り合わせは、生酛や山廃などのフルボディな日本酒にぴったりでした。

「酒処 京町茶屋」の岡山さん

「酒処 京町茶屋」の岡山さんにも話を伺いました。「かつおと昆布の出汁がよくしみたおでんと串カツがウリです。どんな日本酒にも合いますよ」。おでんの盛り合わせは、優しい味わいの純米酒と相性抜群でした。

「Bar Bana」の橋本さん

そして「Bar Bana」の橋本さん。「日本酒とイタリアンのマリアージュを楽しんでいただきたいですね」とのこと。おすすめは、生タコとえびのアヒージョ。「月の桂 抱腹絶倒」との組み合わせが絶妙でした。

「伏水 焼鉄」の店長・石橋さん

こちらは「伏水 焼鉄」の店長・石橋さん。九州のさまざまなB級グルメを取りそろえています。ガッツリ系の原酒や、生酛・山廃のお酒がバッチリと合いました。

「らーめん門扇」の店長・山口さん

締めは「らーめん門扇」の店長・山口さん。鳥出汁をベースに、7酒蔵の酒粕を使用した特製のラーメンが人気です。「伏見の酒粕を使ったラーメンは、伏見のお酒が好きな方々に、ぜひおすすめしたい」と話していました。

酒粕を使用したラーメン

今回は北川本家と招徳酒造、それぞれの酒粕を使用したラーメンと日本酒を合わせてみました。締めのラーメンで、さらに日本酒が進んでしまうという禁断の組み合わせです。

伏見に残る古き良き日本の風景

酒処・伏見に誕生した日本酒のテーマパークは、伏見のお酒を楽しむための酒肴と日本酒好きが集う、楽しい空間でした。日本人のみならず、外国人旅行者も日本酒の魅力を体験できる場所でしょう。

日本酒のテーマパーク「伏水酒蔵小路」で、伏見の美酒と美味しい酒肴を楽しんでみてはいかがでしょうか。

取材・文/山口吾往子
編集/SAKETIMES編集部

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