47年間、札幌経済の中心に店を構えてきた古き良き喫茶店「エーデルワイス」。喫茶店のモーニングとは思えないメニューの豊富さ、ボリュームに満足すること間違いなし。
Yahoo!ライフマガジン編集部
しっかり朝食を食べたい人におすすめ! 1971年創業の喫茶店
JR札幌駅南口から大通、すすきのへと延びる札幌駅前通りは、新旧のオフィスビルや商業施設が建ち並ぶ、札幌経済の中心地。朝から多くのビジネスパーソンが行き交う場所とあって、周辺のカフェや喫茶店ではモーニングセットを提供している。
札幌駅前通りに面して建つ敷島ビル地下1階の「エーデルワイス」は、モーニングセットが充実していることで知られている。ボリュームたっぷりな上、お手頃価格とあって、札幌の街中で働く人々にとって頼もしい存在なのだ。
時代の流れを受けながら営業を続けて47年
同店は敷島ビルの開業に伴い、1971年に開店した。「地上階にはたくさんのオフィスが入っていたけど、1997年の北海道拓殖銀行の破綻により倒産した会社、撤退した営業所も多かったそうです」と教えてくれたのは、現オーナーの岡崎正幸さん。
その影響は敷島ビル地下名店街に軒を連ねる店にも及び、いくつかの店が閉店を余儀なくされた。開業時にオープンした店で現在も残っているのは、同店と理髪店のみだという。
岡崎さんは2000年から同店で働き始め、その翌年には店長を任された。
- オーナー 岡崎正幸さん
- オーナー 岡崎正幸さん
- 「その前までホテルのフレンチレストランでホールスタッフとして働いていて、退職して次の就職先が見つかるまでのつなぎとして入ったんです。それがいつの間にか店長に……。でも、前のオーナーからすべて任せると言ってもらい、やるからには売り上げを伸ばすぞという気持ちで、新たな一歩を踏み出しました」
ひと昔前、オフィス街の喫茶店は会社にコーヒーを出前することが多かった。「株主総会用にコーヒー60杯を配達したこともありましたよ」と岡崎さん。
しかし、時代は変わり、今ではオフィスにコーヒーサーバーが当たり前のように設置されるように。店に足を運んでもらうためのテコ入れをする必要があり、そこで岡崎さんが取った手がフードメニュー数を増やすことだった。
当初は3種類のサンドイッチセットに、14:30以降に作るスパゲティは5種類。それを少しずつ増やしていき、今ではサンドイッチなどパン系が約20種類、スパゲティは約11種類に及ぶ。1カ月毎日違うメニューを選ぶこともできてしまう。
おなかが満たされる! エーデルワイスの人気メニュー3品
8:00から10:45までに注文できるモーニングセットは5種類(すべてドリンク付き)。その中で人気メニューを教えてもらった。
\厚切りで食べ応えあり!/
厚さが3cm近くあるトースト、半熟状態のベーコンエッグ、千切りキャベツがたっぷりのサラダ、ドリンクがセットになったこちらが一番人気。
- オーナー 岡崎正幸さん
- オーナー 岡崎正幸さん
- 「食パンはこれでも前より薄くなったんですよ。うちで扱っているパンはすべて札幌市内のパン屋さんから仕入れています。ホテルのレストランにも卸しているお店で、かれこれ20年来の付き合いです」
\軽く焼いてハムや卵をサンド/
次に人気があるのは、卵やキュウリ、トマト、ハム、サニーレタスを挟んだサンドイッチと、サラダ、ヨーグルト、ドリンクが付いたセットメニュー。同店のサンドイッチのほとんどは、パンの表面を軽く焼いている。
- オーナー 岡崎正幸さん
- オーナー 岡崎正幸さん
- 「このメニューに限らず、どれも奇をてらわず、毎日食べても飽きのこない味に仕上げています。いつも同じメニューしか頼まない方もいますよ」
\しっかり食べたいときはコレ!/
混雑状況にもよるが、朝もグランドメニューを注文できる。朝からスパゲティを食べる人も結構いるそうで、よくオーダーを受けるのがサンドイッチとハーフサイズのナポリタンの組み合わせ。
- オーナー 岡崎正幸さん
- オーナー 岡崎正幸さん
- 「ナポリタンはケチャップのみで味付けしており、塩もコショウも使っていません。具材もタマネギ、ピーマン、ベーコンとシンプルです」
驚くのがスパゲティのボリュームで、麺は1日で10kg分使うそう。それは何人分?と尋ねたところ「量ったことないから、わからない」と岡崎さんは笑う。値段もリーズナブルで、通常サイズは一番高くても880円。採算はとれているのか心配になってしまうが、すべてはお客様を思ってのこと。
- オーナー 岡崎正幸さん
- オーナー 岡崎正幸さん
- 「物足りなかったと思われるより、残してでもおなかいっぱいに食べてもらいたいんです。次回注文する際に『減らして』と言ってくだされば量を調整しますよ。サラリーマンのお小遣いも少なくなっていますから、負担にならない価格にしています」
毎朝のルーティンを乱さないのが流儀
景気に左右されて売り上げが低迷したこともあったが、毎日通っても飽きないほどメニューが増えたことにより、ファンが増えた。そして、2011年に札幌駅前通地下歩行空間と敷島ビルが直結するようになってからは、天候を問わず客が訪れるようになった。
- オーナー 岡崎正幸さん
- オーナー 岡崎正幸さん
- 「朝はほぼ100%が常連さんです。毎日同じ席に座り、同じメニューを頼まれる方もいますので、それがルーティンになっているんでしょうね。今の時代には珍しく全席を喫煙可能にしているので、一服してから仕事に臨まれる方も多いです」
忙しく働く人々の貴重な時間を壊さぬよう、岡崎さんは適度な距離感を保ちながら接客しているそう。「もちろんあいさつやオーダーをとるときは常に笑顔で。1日の始まりに笑顔で店を後にしてほしいですからね」
朝からビジネスパーソンが慌ただしく行き交う札幌駅前界隈(かいわい)だが、同店でおなかを満たし、気持ちを落ち着けてから、職場へと向かおう。
取材メモ:取材が終わる頃には、ランチタイムに差し掛かり、あっという間に満席に。あのボリューム満点のスパゲティを注文する人が多かったです。
取材・文=山下晴美、撮影=小林かほり(みんなのことば舎)
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