福岡市大名で創業60年以上! 昭和の雰囲気を残す食堂で朝ご飯

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2018/11/02

福岡市大名で創業60年以上! 昭和の雰囲気を残す食堂で朝ご飯

出張で福岡に訪れる人向けに、福岡のグルメ情報をご紹介。今回は福岡市中央区大名で60年以上営業している「一膳めし 青木堂」をピックアップ。現代から姿を消しつつある、レトロな雰囲気を今に残す老舗食堂でほっこり朝ご飯タイムを楽しんでほしい。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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親子3代にわたって続く、福岡が誇る老舗食堂「一膳めし 青木堂」

緑色のテント屋根が目印。西鉄福岡天神駅や地下鉄赤坂駅から徒歩5~7分の位置にある、“大名紺屋町通り”で営業中だ

福岡市の繁華街・天神地区のすぐとなりにある大名地区。江戸時代は藩政の重臣たちの居住地だったことが地名の由来なのだとか。現在は福岡市の中央区役所や交通局といった公共施設がある一方、飲食・ファッション・雑貨店が立ち並ぶ“若者の街”でもある。

そんな大名地区で1957(昭和32)年に創業し、以来地元の人たちに愛され続けているのが「一膳めし 青木堂」だ。朝8時半から営業しており、最近では近隣のホテルでも“和食の朝食が食べられるお店”として旅行客らに紹介されているのだそう。

この人に話を聞きました!

3代目店主の青木秀徳さん。大学卒業後、東京の居酒屋で約7年修業。30歳前に帰福し、店を引き継いだ。音楽、ダンス、映画、漫画、スポーツ、芸術と多趣味で、その影響は店内にも現れている
3代目店主の青木秀徳さん
3代目店主の青木秀徳さん
「偶然ですけど、今日がちょうど開店記念日なんですよ(注:取材日は10月23日)。おかげさまで61周年に突入しました」

そう言いながら、青木堂が創業時に配布していたというチラシを取り出してくれた。「10月23日開店/コレハ安い!!/コレハうまい!!」という表記に歴史を感じる。何より驚いたのは「朝食25円よりいろいろ/早朝6時半よりお待ちして居ります」という文言。どうやら“青木堂で朝ご飯”という文化は創業時から始まっていたようだ。

当時のチラシ。店の位置を示す地図も書かれており、よく見ると郵便局の位置が今と違うことが確認できる。味噌汁を1杯5円で注文できるサービス券付き!※もちろん今は使えません
3代目店主の青木秀徳さん
3代目店主の青木秀徳さん
「当時は近くに食事処がなかったらしいので、時間帯に関わらず食堂の需要があったんだと思います。でも、6時半は早いですよね。当時について、“夜の仕込みのときにおばあちゃんがネギを切りながら寝ていた”なんて話を聞いたことがあります(笑)。両親が店を手伝い始めた約40年前の時点では、8時スタートに変わっていたみたいですよ」

もともと青木堂は“東中洲の高級果物屋”だった!

「高級果物・平壌甘栗・アイスクリーム・アイスキャンディ 青木堂支店」と記載された、高級果物屋時代の名刺。※画像はTwitter(一膳めし青木堂3代目|@aokido_3)より

ここで店の歴史を簡単におさらいしておきたい。実は食堂としてオープンする以前は、かつて東中洲に存在した「九州劇場」内で高級果物やアイスキャンディの店として営業していた……というのは地元ではわりと知られた話。「青木堂」が食堂へと生まれ変わったのは、劇場が戦災で焼失したあとのことだ。

3代目店主の青木秀徳さん
3代目店主の青木秀徳さん
「時代的に果物をあまり仕入れられなくなっていたのかもしれませんが、創業者である祖父は当時、『これからは食堂だ!』という考えをもっていたようです。現在青木堂があるこの場所では、もともとは寿司屋が営業していました。そこに“居抜き”で移転してきたんです。先ほどのチラシにもありますが、そのころはまだこのあたりは大名ではなく“薬院紺屋町”と呼ばれていました」

そうして1957年10月23日、“東中洲の高級果物店”は“大名(薬院紺屋町)の食堂”として再スタートを切った。

「本日開店」の看板を立て、入り口に「一膳めし」と書かれたのれんを下げたオープン当日の様子。当時の姿を今に伝える貴重な1枚。※画像はTwitter(一膳めし青木堂3代目|@aokido_3)より
入り口から見て左側にカウンター、中央と右側にテーブルという配置は創業当時からほとんど変わっていないそうだ
60周年を迎えた昨年、“青木堂史上初の制服”として作られたTシャツ。全面の左胸の位置に「ICHIZENMESHI」、背面に「青木堂 60th Anniversary」とプリントされている
秀徳さんがスターウォーズ好きということで、店の常連である映画関係者が作ってくれたという特製ポスターも発見。よく見ると「2017 AOKIDO 60th Anniversary」とある。超レア!

店を継ぐことは、誰に言われるでもなく自然に意識

時刻は午前9時ごろ。ショーケース内に次々とおかずが並べられていく

高校時代はダンスにのめり込み、マイケル・ジャクソンに憧れを抱いていたという秀徳さん。店内にはグッズが置かれていることから、そのMJ愛の強さが伺える。ちなみに、近年も地域のイベントなどでしばしばダンスを披露しているという。気になる人は店のFacebookを覗いてみよう!

そんな秀徳さんに、店を継ごうと思ったきっかけのようなものはあったのか、またその経緯などを尋ねてみた。

3代目店主の青木秀徳さん
3代目店主の青木秀徳さん
「大学を卒業してから、修業をかねて全国展開していた居酒屋に就職しました。ホールと厨房のどちらも経験したかったのですが、ほとんどの企業がそこを分けて募集していたんですよね。そんななか、兼任で募集していたのがその居酒屋だったんです」
ショーケースにはトンカツや焼き魚、サラダに小鉢などが1品60円~並ぶ。料理を選んで、ご飯セット(300円)と組み合わせるのが定番スタイルだ
定食も多数あり。「お客さんの要望を聞いているうちに」という“食堂あるある”な経緯で増えたメニューの数々(写真は一部)。ぜんぶで何種あるのかは誰も把握していないとのこと
3代目店主の青木秀徳さん
3代目店主の青木秀徳さん
「当初は福岡店への配属だったのですが、なぜか東京へ転勤になってしまって。それで上京したんですよね。結果的には調理や接客の基本を学べたし、転勤したからこそ妻に出会えたわけで(注:千葉出身の奥さんとは東京の職場で知り合ったそうです)。転勤になってよかったです(笑)」
たくさんのメニューのなかには、修業先の居酒屋で作っていた料理がベースのものもあるそう
3代目店主の青木秀徳さん
3代目店主の青木秀徳さん
「実は『店を継げ』と言われたことは一度もないんですよ。ただ、店の2階が自宅で、入り口が店と兼用なこともあって、仕事をしている父と母の姿は毎日目にしていました。そんな環境で育ったからか、気づいたら『継ごう!』と決めていましたね。ホールと厨房を兼任できるところを就職先に選んだのもそのためです。小さな食堂はどっちもできないといけないので」

3代目に聞いた!「一膳めし 青木堂」の朝の人気&おすすめメニューベスト3

そんな自然な流れで3代目として店を受け継いだ秀徳さんに、朝のおすすめメニューを教えてもらった。朝食らしいセットものから、朝に人気なことが意外な料理まで、3品をピックアップ!

\がっつり食べたいときはコレで決まり!「DX(デラックス)セット(490円)」/

5種ある朝定食のなかでも、もっともボリュームのあるDXセット。内容は固定で、主菜から副菜、納豆や漬物までがそろう充実の朝ご飯だ。味噌汁を豚汁に変更(+100円)といったカスタムも可能!

\15年以上前から提供している店の定番!「ふわふわオムライス(590円)」/

通常のオムライス(540円)に比べて、ふんわりとした口当たりのタマゴが特徴。「朝からオムライス?」と思いきや、時間帯を問わずオーダーが入る一品だ。秀徳さんの妹さんが考案したのではないか、とのこと

\優しい味わいで老若男女に人気あり!「焼き飯(520円)」/

細かく刻んだ具材がたっぷりと入り、玉ねぎの甘さが効いた懐かしい味わい。パラパラ具材も絶妙で、福神漬とも相性ぴったり! サッと食べたいけどボリュームも欲しい、そんな欲張りさんにおすすめ
3代目店主の青木秀徳さん
3代目店主の青木秀徳さん
「朝8時半からの営業ということで、始業がそんなに早くない職種の人だったり、朝まで起きっぱなしで“朝ご飯が夜ご飯”になってる人だったり、いろんな人が食べに来てくれていますね。ホテルで紹介された人、雑誌を見て来られる人もいますよ」

店内に漂うアットホームな雰囲気は、まさに“昔の食堂のイメージ”そのもの! 入り口の引き戸を開けて、ぜひ気軽に入ってみてほしい。(引き戸というのがまたレトロでよい!)

“変わらない場所”を残すことも大事なこと

2014年に設置された本棚「青木堂文庫」には、懐かしいものから最新のものまで、秀徳さんイチオシの漫画がずらり

――「東京から福岡に戻ってくるとき、最初は青木堂を居酒屋に変えようと思っていたけど、お客さんの顔を見ているうちに食堂のスタイルは変えないでおこうと思い直した」ってエピソードがすごく好きです。

3代目店主の青木秀徳さん
3代目店主の青木秀徳さん
「よく知ってますね! 確かに、そのころは『食堂は古い』って思ってたんですよ。だけど実際にここで働いて、お客さんの顔を見ていると『古いとか、新しいとかは関係ないな』って気持ちになったんです」
「青木堂書店」の隣に並べられた、前述のマイケル・ジャクソングッズ。何やらサインらしきものも見える
3代目店主の青木秀徳さん
3代目店主の青木秀徳さん
「毎日来てくれる人もいるし、1日に何度も来てくれる人もいる。そういう人たちが安心して来続けられる“変わらない場所”を残すことも大事なことだな、と思い直しました。調理は僕と父の男手によるものですが、これからも“おふくろの味”を守っていきたいですね!」
厨房で腕を振るう、修徳さんの父で青木堂2代目店主の仁一郎さん。今も現役で厨房に立ち続けている

――スタイリッシュなお店が増え続ける大名ですが、これからも昔ながらの雰囲気を残した“町の愛され食堂”を貫いてほしいです!

3代目店主の青木秀徳さん
3代目店主の青木秀徳さん
「でも、僕の次がどうなるかはわからないですけどねー。肝心の息子は、ちょっと前までは食堂を継ぐのが将来の夢だと言ってくれてたんですけど、最近は『ディズニーランドで働く!』とも言っているので(笑)」

※朝定食は11時まで。なお、祝日は11時オープンとなるので注意

取材メモ/お店の歴史や、青木さん自身の魅力にも触れられた取材となりました。ちなみに、店内に飾られたマイケル・ジャクソンのグッズに書かれているサインは“本物のサインを忠実に再現したもの”だそうです。

取材・文=廣田祐典(シーアール) 撮影=長崎辰一

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