シド・Shinjiが惚れた秋葉原の極上醤油そば「饗 くろ㐂」

特集

忘れられないあの味「私の一杯」

2018/10/27

シド・Shinjiが惚れた秋葉原の極上醤油そば「饗 くろ㐂」

【隔週土曜日更新】おいしいラーメン店は数あれど、思い出とリンクする一杯はまた特別なもの。本連載では東京で活躍する方々に「思い出の一杯」をうかがい、そのお店と彼らのラーメン物語に迫ります。第二回目はヴィジュアル系ロックバンド「シド」のギタリスト、Shinjiさんが登場!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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毎日の一杯は欠かさないラーメンラバー! Shinjiさんが忘れられない味とは?

Shinji

Shinji

ヴィジュアル系ロックバンド「シド」ギタリスト

全国ツアーの真っ最中である「シド」のShinjiさん。ブログなどの各SNSで地方での“麺活”の様子も綴っており、ツイッターではそんな”ラーメン王子”に「私の一杯」を報告する人も多数。「実は地方のラーメン店に弱かったので、今回のツアーから事前に行くお店をプランニングしています」。

饗 くろ㐂/醤油そば(1200円)

「ラーメン、毎日一杯は必ず食べますね」と話すShinjiさん。今回は最近惹かれたと教えていただいた、秋葉原「饗(もてなし) くろ㐂(き)」の物語と共に、Shinjiさんのラーメンライフをお届けします。

記事の最後では、駆け出しのころの驚きのラーメンエピソードも紹介! あわせて楽しんでくださいね。

「饗 くろ㐂」のラーメンをひもとくキーワード3つ

1.Shinjiさんが惹かれた醤油そば
2.はっと驚くこだわりとは?
3.選りすぐりの食材たち

1.Shinjiさんが惹かれた醤油そば

「多彩な素材使いと味のまとまりに感動」

お店は秋葉原駅から徒歩約7分の場所に。「醤油そばがリニューアルしたとラオタ(ラーメンオタクの相性)仲間から聞いてお邪魔しました。並び覚悟のお店ですが、みなさんにも食べてほしいなぁ」(Shinjiさん)

2011年に開店した「饗 くろ㐂」。大将の黒木直人さんは服部栄養専門学校を卒業後、日本料理やイタリアン、外食企業の総料理長など、さまざまな食に携わってきた人。Shinjiさんいわく「出会いは以前金曜日限定で営業していた『紫 くろ㐂』。鴨の『醤油そば』がめちゃくちゃうまくて!」。

Shinjiさん
Shinjiさん
「紹介する『醤油そば』も、そんな大将のノウハウが込められた一杯です。ちょっとした工夫がおもしろいんですよ
大将の手さばきも醍醐味! 「ラーメン店ではパフォーマンスも楽しみの一つなので、テーブル席に案内されても、カウンターが空くまで待ちます」とShinjiさん
Shinjiさん
Shinjiさん
「塩そばしか食べたことがなかったんですが、『醤油そば』のいろんな食材を複雑に使っていながら、まとまりある味わいに感動しました」
「カウンター上には焼豚などの具材が置いてあります。目の前でトッピングしてくれるんですが、銀の長箸で丁寧に乗せていくさまがなんとも奇麗で、いい意味で高級感も感じますね」(Shinjiさん)

お店を巡るようになったのは、ファンクラブの会報誌での連載がきっかけ。「昔は同じ店に繰り返し通っていましたが、ラーメン店を取材することになった時、多くのお店で食べたことがないのに語るのはな、と。いろんな味を知ろうとはじめたら、すごく好きになって」(Shinjiさん)。

ジャンルを問わず食べ歩くようになり、いまでは自らラーメンを作るように。その魅力は「正解がないところ」と話します。

「醤油そば」と「塩そば」をメインに、たびたび季節の素材による限定麺も登場します。「限定麺の告知は大将のブログに」(Shinjiさん)。

「無類のラーメン好きでいたいから、食べ歩くお店はなるべく偏らないようにしています。でも気がつくと、特に醤油ラーメンが好きかも。たまにライブが続いて節制したときは、がっつりと二郎系を食べに行ったりも。休み前に”食べ疲れ”したくなるときがあるんですよ(笑)」(Shinjiさん)。

Shinjiさん
Shinjiさん
「コクのあるスープが印象的で。これは誰もがおいしい! って感じるんじゃないかな。とにかく細かなこだわりがすごい。丼の底に煮詰めた大根が入っていて、食べ終わるころに出てきたり

2.はっと驚くこだわりとは?

「大将の細かな仕事が楽しい」

大将の黒木直人さん

いろんな食のジャンルに携わりましたが、ラーメンはここがはじめて」と大将・黒木さん。ラーメン店を営むきっかけは、御徒町の「大喜(だいき)」との出会い。「ここのラーメンを食べて、カルチャーショックを受けました」と話を続けます。

大将・黒木さん
大将・黒木さん
「ラーメンってお腹を満たす料理だと思っていたんですが、『大喜』さんの一杯はきちんと仕事がしてあって。ああ、ラーメンは一杯のなかでいろんなモノゴトが表現できる料理なんだなと」
オープンな内装については「ライブ感にわくわくしていただけたらと、調理場が見えるように設計しています。営業中は素材をカウンターに並べたり」と黒木さん
店名には「喜ぶ」という漢字の旧字が。「名前の黒木と、お客さんに喜んでもらいたいというのが由来。おもてなしの気持ちを込めて、頭に“饗”をつけました」(黒木さん)

--Shinjiさんに「丼の手前、内側を見てみてください」とうかがったんですが、タレがかけられているんですね

大将・黒木さん
大将・黒木さん
最後に丼からスープを飲んでほしくて、手前にタレをかけています。アジアならではの丼でスープを飲む文化を知ってもらえたらと。女性や海外の方も自然に飲んでいただけるアプローチとして」
まずはとろんとスープになじむ豚の脂に、小豆島・正金醤油の薄口生醤油をメインに使ったタレを重ねます
こちらは小豆島・ヤマロク醤油の非加熱「鶴醤」。「レンゲで飲むよりコクと香りを感じますよ」と黒木さん。醤油の香りが口中に! その味わいに目を見張ります。「タレに麺を絡めてもおいしい」(Shinjiさん)

--「スープのまとまりある味に感動した」と

大将・黒木さん
大将・黒木さん
「出汁は煮干しとあさりなんですけど、煮干しは限定麺でよく使っていて、あさりは先日まで金曜日限定で営業していた貝の出汁専門の『潮 くろ㐂』の際に勉強したことが反映されています」
醤油の香りが広がるあっさりスープは、ぐっと出汁の味わいがあとを引きます
出汁には青森県八戸産の青口煮干しのほか、羅臼昆布、鯖節も使います。さらにあさり出汁をブレンド

--底に隠れている大根煮にも驚いたそうです

大将・黒木さん
大将・黒木さん
「和の出汁に大根は合うんです。みずみずしくシンプルに炊いていて、途中のアクセントとしてもおいしいですよ
じんわりみずみずしい大根は、優しい味わい

「食べていて楽しいというのが一つのコンセプト」と話すように、一杯の中には、細やかに仕事をほどこした素材たちが。

赤ワインたっぷりの醤油だれで煮た甘い煮豚に、富士幻豚を幽庵だれに漬け込んだとろりと口溶ける焼豚と、お肉だけでも二通り。埼玉県「真々田農園」のちぢみ小松菜の、しゃきしゃきっとした食感も心地いい。

\ちょいとひと息/

Shinjiさんのラーメン作り&麺活への思い

小学生時代に食べたネギ味噌ラーメンを機にラーメン好きになったというShinjiさん。いまや「ラーメン以外の食べ物も食べますけど、正直、料理でこだわりがあるのはラーメンくらいですね」と言い切るほどに。ときには、1日で4店舗をまわることも!

「あっさり系からこってり系の順に巡ったり、移動を徒歩にするなど工夫します」(Shinjiさん)

--1日4杯、結構満腹になりませんか?

Shinjiさん
Shinjiさん
「なりますよ!(笑) ラーメン仲間と行くと平気で4杯食べたりするんです。仲間たちは結構食べるので、僕は途中からついていけなくなるんです」

--毎日食べるとのことですが、体形をキープされているの、すごいですね

Shinjiさん
Shinjiさん
「あまり話しませんが、欠かさずトレーニングはしていて。あとは仕事の合間に20分歩いたりとか。(歩くのは)ぜんぜん好きじゃないんですけど、なんかもうタイミングがあったら歩きます
「お酒も好きですが、飲み明けのラーメンだけはNGにしていますね。好きなものを食べている以上、何かを制限しないとって」(Shinjiさん)

--巡るお店は事前に決める?

Shinjiさん
Shinjiさん
「僕はきっちり調べて行くタイプ。あとは黙っていてもラーメンオタク網から連絡が来るんですよ。たまに振られちゃう(臨時休業などでラーメンにありつけない)こともありますが、ラーメン以外の選択肢がないので他の店を探します」
「こちらの麺は2種類で醤油は手もみ麺、塩は全粒粉入りの細麺。自分で作りはじめてから、日ごとの(出汁の)出方の違いや、いかに店主さんが日々のブレを細かく調整しているかを実感しました」(Shinjiさん)

自身で作る際は粉から製麺するこだわりようで、夏の暑い日に“家二郎”を楽しんだことでも話題になりました(究極の行列回避策)。「自分で作るようになり、改めて奥深さを感じました」(Shinjiさん)。

--製麺機は、ご実家に眠っていたものなんですよね

Shinjiさん
Shinjiさん
「製麺所に電話したら『個人の方にはお出ししていない』とのことで。ああ、もう自分で作るしかないなと

--とことんこだわる性格なんですね

Shinjiさん
Shinjiさん
「制限しなかったら趣味の数も果てしなくなってしまう。ゲームなんかもとことんやっちゃうので、自分ルールを作って制限するようにしています(笑)」

音楽もラーメンも、妥協はしたくない」とShinjiさん。「双方、数学のようにぽんっと答えが出る訳じゃないんで、自分でゴールを決めないといけないというところは共通しているんじゃないかな。ギターの音作りも、足しすぎていた時期があったんですが、15年やってきた今はどんどん引き算になってきています。料理も同じく、引き算できたらいいなと思いますね」。

3.選りすぐりの食材たち

「たびたび出る季節の麺にも注目」

まだまだ隠れたこだわりが!

「ここはいままでやってきたことの集大成」と語る黒木さん。実は開店から5年目と7年目に、メニューをリニューアルしているんです。さらに仕入れによって季節の麺を出すなど、そんなところに日本の職人らしさが垣間見えます。

「日々たくさんの気付きがあるから、自然にその流れになりました」(黒木さん)。そして実は、この丼にも秘密が!

大将・黒木さん
大将・黒木さん
実は塩用の丼のほうが大きくて。塩そばは鶏の脂を多く使っているから、その黄金色を見せたくて間口を広くしています。醤油は香りを閉じ込めて上に飛ばすため、少し小さめで深いんですよ
右が醤油、左が塩用の丼。「個人の職人さんが一つ一つ、ろくろで手作りしてくださっています。醤油用の飲み口の厚さは2.5〜3mmに。薄いほど口当たりがシャープになるから、キレを感じるんですよ」(黒木さん)
「素材は作り手ありき。全国から食材をいただいて、そのおいしさをラーメンで表現する。先週は函館からブリが届いたので、ブリのラーメンを出したり」(黒木さん)

素材は一つ一つ、スタッフと共に全国の生産者に会いに行き、出合ったもの

大将・黒木さん
大将・黒木さん
「メンマもおもしろかったでしょ。麻筍(まちく)を使ったものが定番ですが、これは糸島の孟宗竹(もうそうだけ)というタケノコを切って、鰹出汁で炊きました」
国内のメンマの原料はそのほとんどが海外産のもの。しゃくしゃくと気持ちいい噛みごたえの孟宗竹によるメンマは、噛むほどに素材と出汁の味が合わさります
玉ねぎで作る焦がしネギなど、時間をかけ仕込みます

店内で製麺する麺は、手もみ麺と細麺の2種類。醤油そばと塩そばで使い分け、スープのなかでその個性が光ります。

小麦の香りとコシが楽しい細麺(左)は、福岡県「ミナミノカオリ」に梅野製粉による全粒粉、北海道産「ゆめちから」、宮城県産「あおばの恋」をブレンド
ぷりっと喉ごしいい手もみ麺は、小麦の甘みを感じます。福岡県産「チクコイズミ」と北海道産「ゆめちから」を合わせたものです
大将・黒木さん
大将・黒木さん
「素材選びの基準は生産者の思いだけかな。作る人の思いが入っているものなら、極論を言えばおいしくなくても使う。かっこつけるわけじゃないけど、一生懸命作られたものはおいしいんですよ。それを汲み取り、僕のフィルターを通して一杯のラーメンを作る
「饗 くろ㐂」が届ける一杯には、日本各地にいる職人たちの思いが詰まっていました

上品な和空間で黙々と向き合う黒木さん。時たま顔をあげ、食べにきた若者たちと気さくに話す姿は、あっさりと優しくも奥深い「醤油そば」と通ずるものがある気がします。ぜひ、訪れてみてくださいね。

\おまけ・Shinjiさんに聞いた!/
若き日のラーメンライフ

取材中、毎日ラーメンというShinjiさんに「お店に行く時間もない、家に食材もない場合はどうするんですか?」とうかがうと、「そんな日はカップラーメンを食べます」という衝撃の回答が!

「若いころだったんで、とにかく腹いっぱいにしたいという。店に行けなかったときも、なんだかんだ麺でシメたいですね。家にカップ麺や焼きそばもいくつか常備しています」(Shinjiさん)

「カップ麺も大好き。こだわった高いものではなくて、手ごろなやつ。『飲み干す一杯(担担麺)』って知ってます? おいしくて、駆け出しのころはぼぼ毎日食べていました。これとご飯を買ったらもう腹持ち抜群なんですよ!」(Shinjiさん)。

Yahoo!ロコ饗 くろ㐂
住所
東京都千代田区神田和泉町2-15 四連ビル3号館1階

地図を見る

アクセス
浅草橋駅[JR西口]から徒歩約5分
秋葉原駅[1]から徒歩約5分
秋葉原駅[昭和通り口]から徒歩約7分
電話
03-3863-7117
営業時間
金 10:30~14:30,17:30~20:30
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材メモ/取材中、スマートフォンに書き溜めた“ラーメン店リスト”を見ながらお話してくださったShinjiさん。ゆったりした空気のなか、あふれるラーメン愛にこちらまで胸が熱くなりました。大将や生産者の方々の思いが込められた一杯、ぜひ味わってみてくださいね。

取材・文=金城和子、撮影=阿部ケンヤ

この記事を書いたライター情報

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