焼かなくてもおいしい!鈴木砂羽がセレクトする東京の水餃子3軒

連載

鈴木砂羽の餃子道【vol.41〜】

2019/03/31

焼かなくてもおいしい!鈴木砂羽がセレクトする東京の水餃子3軒

役者仲間や友人たちと「餃子部」を結成するほどの餃子フリークな女優・鈴木砂羽が、おいしい餃子を求めてさまざまな街を食べ歩く連載「鈴木砂羽の餃子道」。今回は総集編として水餃子が食べられるお店を厳選して3軒ご紹介します。

鈴木砂羽

鈴木砂羽

女優

焼き餃子派の方にもオススメしたい水餃子

素敵な餃子ライフを過ごしていますか?

こんにちは、鈴木砂羽です。総集編としてお届けする今回のテーマは「水餃子」。餃子=焼き餃子と思っている方も多いかもしれませんが、本場・中国では水餃子が主流だって知ってましたか? そこで今回は、これまでに私が訪れたお店の中からおいしい水餃子が食べられるお店を厳選して3軒ご紹介します。

\鈴木砂羽さんが厳選した水餃子はコチラ/
1.随園別館(新宿)
2.岩茶房(中目黒)
3.永利 本店(池袋)

1.随園別館(新宿)

餃子部で訪れた名店は、鈴木砂羽の水餃子の原点?

私が餃子好きの友人たちと結成している〈餃子部〉では、不定期で〈部会〉を開いているんですが、初めて大勢の部員たちと餃子を食べ歩いた街は新宿でした。で、その1軒目に訪れたのが、今回紹介する「随園別館」だったんです。この店を最初に選んだ理由、それは私にとっての水餃子の原点ということもありまして……。

有名人の方々にもファンが多い随園別館

新宿通りを四谷方面に進んで、新宿二丁目の交差点を少し超えたところにあるこのお店を知ったのは、実はタモリさんに教えていただいたのがきっかけ。30代半ばぐらいの頃だったか、『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングに出演させていただいた時に餃子の話題になって。タモリさんが「ここの水餃子は美味いよ!」と紹介してくださったのが、随園別館との出会いでした。

いてもたってもいられなくなって、それからすぐにお店へ食べに行ったんですが、初めて随園別館の水餃子を食べた時の感動といったら! あまりにも美味しくてビックリしたのを今でも鮮明に覚えてます。そんな絶品「水餃子」を、今回もいただいてみましょう!

水餃子(1人前10個・700円)

見るからにプルンプルンに茹で上がった水餃子! 口に近づけただけで小麦の香りがふわっと立ち上ってくるのがわかります。まずは何もつけずにこのままいただきます。

少し厚めの皮がプルプル&モチモチで美味しい!

うーん、この小麦の香りと皮の食感! そして素材の味がストレートに味わえる餡! まさにシンプル・イズ・ベストな美味しさ。ちなみに茹でるお湯には山椒の粉も入っているのだそう。たしかに、ただのお湯で茹でただけでは生まれない、独特の風味を感じます。

餡は豚肉とキャベツのみ。フカヒレやホタテのような高級食材は入ってなくて、本当に素朴な、素材本来の味を活かしてます」と語るのは、代表取締役社長・張本君成さん。皮も餡もしっかり歯ごたえがあるから、食べごたえがありますね。

豚肉とキャベツのみの餡は、シンプルだけど絶妙な味!

「当店のこだわりは皮はもちろん、餡に入れるキャベツを切るところから、すべて手作り。手作りだからこそ、歯ごたえがあるんです」(張本さん)

続いて特製のタレをつけて食べてみましょう。黒酢をベースに山椒なども入ったこのタレ。豚肉の餡には、やっぱり黒酢が合いますね。あんまりいろいろ入ってないから、小麦の味も引き立つし。うーん、随園別館はやっぱり美味しいな(しみじみ)。

水餃子が有名な随園別館ですが、餃子部的には「揚げ餃子」にも注目。

ほら、見てこの大きさ! まるで蛇が獲物を呑み込んだ時のお腹みたいな形をしてるので、餃子部では「アナコンダ」と呼んでますが(笑)。では、ガブリといってみます。

某テレビ雑誌の表紙のようなポーズで(レモンじゃなくて揚げ餃子ですが)

うわっ、揚げた表面がサクサクなんだけどトロッと何か出てきた! 

「この皮には餅が入ってるんですね。餡には豚肉と干し大根、干し椎茸、ザーサイが入ってます。これは餃子っていうか……中国語では〈鹹水角〉という広東系の点心メニューなんですが、全然餃子じゃないんです(笑)。ただ、日本のメニュー名になると、餃子と呼ぶしかない、そんな食べ物です」(張本さん)

揚げ餃子(1個・200円/2個より)

なるほど、便宜上「揚げ餃子」と呼んでるけど、モノとしてはだいぶ違うと。たしかに餃子の餡と比べるとしっかりと形の残った具材が入ってて、どちらかというとピロシキあたりに近いかも。これ一個食べると、他の料理が食べられないぐらいの、すごいボリューム。アナコンダ、恐るべし!

みんなが気になる「別館」の秘密に直撃!

それにしても随園別館の水餃子は、定番として浸透していますよね!

「本当にありがたいですよね。『笑っていいとも!』がやっていた頃は、タモリさんもよくいらしてくださいました。たまに番組で随園別館の水餃子のことを話してくださると、それはもうすごい反響で」(張本さん)

生水餃子はお持ち帰りやお取り寄せも可能

ここでみなさんが疑問に思っているであろうことを質問してみますね。随園には「本館」ってあるんですか?

「随園別館はオープンして53年ぐらいになるんですが、大昔は新宿にいわゆる〈本館〉があったんです。そして〈別館〉が新宿1丁目のあたりにできて、それから今の新宿2丁目に引っ越して23年ぐらいになるんですが、その間に本館は閉店したんです。いろいろ理由はあったのかもしれないけど、別館のほうが商売がよかったんですね」(張本さん)

1階にはテーブル席と円卓の個室、2階にも広々としたフロアが

別館だけが残ったとしても、そこで〈本館〉を名乗ったり、あるいは新たに〈本館〉を建てようとか思わなかったんですかね?

「もちろん、それはみんな考えますよね。そこで風水の先生に相談したら、結局、名前ですよね。字画の問題があって。〈随園〉ってだけだと長続きできない。だけど〈別館〉をつけることで、ずっと長生きできると。そういうことで本館は再オープンしないで、〈随園別館〉になった。つまり〈随園〉の〈別館〉じゃなくて、〈随園別館〉という名前になったんです」(張本さん)

入り口にある看板には「別館」の文字はないんですね

えーっ、そうだったのかー! これってなかなか知られざる歴史ですよね。やっぱり字画って大事なんだなあ。ちなみに随園別館は、なんで焼き餃子がメニューにないんですか?

「〈本館〉があった当時は焼き餃子を出していたそうなんですが、水餃子はやってなかったんです。別館ができた時に水餃子を出そうということになった。当時は焼き餃子が主流だし、水餃子をやる店は都内にほとんどなかったんですが、焼き餃子を出しはじめると、みんな水餃子を頼まなくなる。日本人は特に、焼き餃子を食べないと中華を食べた気になれないっていう人が多いんですよね。だから、なかなか水餃子までたどり着かない。だったら焼き餃子をやめて、水餃子一本に絞ろうと。焼き餃子を食べるなら本館へ。別館では水餃子のみと決めて。結果として、それがよかったのかもしれないですね」(張本さん)

なるほど~。随園別館が長年愛され続けた理由は、水餃子の美味しさに対する自信と信念が貫かれてきたからなんですね。シンプルにして王道、私にとっての水餃子ナンバーワンは、やっぱり随園別館なんです!

最後は社長の張本さんとギョーポー(餃子ポーズ)でパチリ

2.岩茶房(中目黒)

古民家喫茶でいただく、本格的な水餃子

中目黒から歩いて5分ほどの住宅街にあります

中目黒駅の改札を出て、山手通りを大橋方面に少し歩いて左に入ると、風景は一気に住宅街に。静かな路地を進んでいくと、立派な柿の木のある2階建てのお宅があります。なんの変哲もないこの民家が、今回お伺いする「岩茶房(がんちゃぼう)」です。

庭に面したガラス扉を開けると、店内には中国の茶器や民芸品があちこちに並べてあって、まるで台湾あたりのお茶屋さんに迷い込んだような雰囲気。そう、こちらの岩茶房は美味しい中国茶と点心をいただける隠れ家的なお店なんです。お店自体は30年近く続けられてるということですが、こちらの民家に移ってからは10年ほどだそうですが、なんともしっくりとした落ち着きがあります。

かわいい茶器がたくさん! もちろん購入することも可能
点心メニュー。どれも気になって目移りしちゃいそう
ミルク饅頭や花巻、ココナッツ豆腐など、スイーツも食べられます

点心メニューはお粥や肉まん、麻婆豆腐、炸醤麺などなどがありますが、餃子部部長としてはもちろん水餃子をいただきます。が、今回はちょっと趣向を変えて、「ミニお粥と水餃子のセット」を試してみようと思います。

ミニお粥と水餃子のセット(水餃子4個・830円)
皮から手作りしている水餃子。単品で食べることもできます(6個・550円)

じゃーん、ミニお粥のセットと言いつつも、なかなかボリュームある内容ですね。で、ワタシ的メインの水餃子は、少し白濁したお湯の中にモチっとした水餃子が4個入ってます。では、早速水餃子を食べてみましょう。

美味しい水餃子を頬張る砂羽さん

おお! 見た目からしてあっさりしてるかと思いきや、なかなか肉肉しい水餃子! 味がギュッと詰まった餡はしっかり歯ごたえがあって、肉汁があふれてきます。お店で手作りしている皮も、小麦の香りがしっかり感じられてモチモチした噛みごたえがいいですね。

「中国福建省南平市というところがあるんですが、そこで食べた餃子がものすごく美味しくて。それを再現しようと思って作りはじめたのが、この水餃子なんです」と語るのは、社長の瀬上貴稔さん。なるほど、福建省の餃子は包み方も独特です。

包み方も変わってます
ぎっしり詰まった餡からは肉汁がジュワッと

「餡は豚肉とネギと生姜、あとは塩と醤油だけ。粉も北海道のはるゆたかという品種を使っていて。最低限の具材で、そのぶん材料にいいものを使うようにしてるんです。以前、偶然にも南平市出身の中国人のお客さんが来てくれたことがあって、この水餃子を食べてすごく喜んでくれてましたね」(瀬上さん)

それほど現地の味を再現できてるということなんでしょう。香味野菜をあまり入れてないから肉本来の味が際立ってる。普通は何かタレにつけたくなるものだけど、この水餃子は単体で全然いけちゃう。それもこれも、お茶を美味しく味わうために考えられたものなんですって。その理由を探るためにも、ここは岩茶も飲んでみなければ。

現地でもなかなか飲めない、最上級の中国茶を堪能!

お茶の種類から飲み方までお店の方が教えてくれます
積み上げられたお茶の箱を眺めるだけでもテンション上がっちゃいます
瀬上さんに説明してもらいながら、お茶を選びます

瀬上さんに選んでいただいたのは、武夷正岩茶「極品肉桂」という品種。正岩茶とは、世界自然遺産の岩山に生育する茶樹を手摘みで伝統的製法により作ったもの。武夷正岩茶は、武夷市で生産される岩茶の中でも最高級のものなのだそう。

武夷正岩茶「極品肉桂」(2400円)はお茶菓子がついて、お湯は何度でもおかわり可能

最初の1杯分はお湯を入れてくれた状態で出してくれるので、まずは蓋についた香りを楽しむ。はあ~、ものすごく芳醇ないい香り! なんだか美しくなれそうな香りで、ずっと嗅いでいたくなっちゃう(笑)。

そして、色を愛でながらゆっくりと口に含むと……ああああああああ、美味しいいいい! 今までこんな美味しいお茶を味わったことないわ! 紅茶みたいに濃い色けど渋みはまったくなく味わいもフルーティで、豊かな香りが鼻腔に抜けていきます

ルビーのように美しい色!
未体験の美味しさに、思わず我を忘れて感動する砂羽さん

「ワインのようにお茶が栽培される場所によって味も全部違うんです。このお茶の特徴は、香りが豊かで味わいもふくよかなんですが、飲むとすごく血行がよくなる。どのお茶を飲んでも身体は温まるんですけど、敏感な方は温まる部位が違うんですね。なので肺によかったり心臓によかったり、お茶のよって効果も違ってきます。ちなみに、お茶を飲んで酔っ払う人もいるんですよ。茶酔っていうんですけど、いいお茶ほど茶酔が起きやすくなって。頭はすっきりしてるんだけど、体はゆるくなるような感覚になるんです」(瀬上さん)

飲み方を教わりながら、2杯、3杯とおかわり!

普段お酒で酔っ払いがちなワタシは、まだ茶酔の域まで達してませんが(笑)。そんなことより餃子と正岩茶のマリアージュを試してみなければ……ああ、お茶を飲んだ後に餃子を食べると、この餃子の良さがより深くわかりますね。本当にお茶が美味しいから、生半可なものは出せない

「そうなんです。うちの店では、中国の人でも普通には飲めないような最上級のお茶を特別に譲っていただいていて。それに見合うものといった時に、点心についても真剣にならざるを得なかった。だから変な調味料や悪い材料を使わずに、結果的にシンプルなものになりました」

お客さんが来ても動じることがない看板にゃんこ

最上級の岩茶と素材にこだわった水餃子の最高のマリアージュ。中目黒にいながら、中国旅行に出かけたような気分になれちゃう「岩茶房」でした。

最後はギョーポー(餃子ポーズ)でニコリ!

3.永利 本店(池袋)

ぷりぷりしたエビの食感と香り高い風味に感激!

池袋駅北口から歩いて4〜5分ほどのところに「永利 本店」はあります

池袋駅の北口方面って、今や「リトル・チャイナ」と呼ばれるほどに華僑の文化圏となっているのを、みなさん知ってました? 三歩あるけば中華料理屋に当たるんじゃないかってぐらい、中国各地の料理が食べられる激戦区なんです。

今回お伺いした「永利 本店」は、中国東北家郷料理を看板に1999年にオープンした、池袋チャイナタウンの中でも人気のお店。実は、私が部長を務める「餃子部」でも、池袋の餃子を食べ歩いたこともあるんですが(総勢20人ぐらいで3軒ほど回ったなぁ)、その時には同じ池袋にある支店(西口店)のほうに伺って。餃子の種類の多さと美味しさに部員一同大興奮したのを覚えてます。本店に訪れるのは初めてなので、楽しみ!

春巻のような細長いルックス

まずは、こちらの看板メニューである「鉄鍋餃子」を注文。パッと見、春巻のような細長い棒状の焼き餃子は、いわゆる「鍋貼(グオティエ)」と呼ばれるタイプのもの。大きな鉄板で焼いてから、熱々の鉄鍋に移して仕上げます。

それでは早速いただいてみましょう!

名物鉄鍋餃子(4個)520円

うーーーん! 薄手の皮はパリッとしていて、一口噛むと肉汁がたっぷりあふれてきます。餡にかなりしっかり味がついてるから、何もつけなくても充分美味しい! 豚肉・ニラ・山クラゲに春雨が入ってるので、食感も普通の餃子とは違います。本当、餃子と春巻の中間みたいな感じですね。

本国から招かれた点心師が常駐。皮から手作りしていきます

「永利」には専門の点心師がいらっしゃって、餃子の種類ごとに皮も餡も変えているのがうれしいところ。もちろんすべてお店で手作りしています。

手際のよさに、思わずうっとり……
三鮮水餃(海鮮入り水餃子・6個・620円)

続いて注文したのは「三鮮水餃(海鮮入り水餃子)」。エビ・豚肉・ニラ・卵が入った餡は、エビとニラと卵のハーモニーが抜群! このリッチな味わいは、まさに餃子の宝石や~(となぜか彦摩呂さんチックに叫びたくなるワタシ)。

美味しい餃子に箸が止まらない砂羽さん

中国の東北地方では、水餃子を食べる時は黒酢に粗みじんのニンニクを混ぜて食すことが多いそう。

「スライスした生のニンニクをかじりながら食べることもあります。東北の人は餃子を食べる時にニンニクが無いと食べられない。パワーが出てくるんですよね」(店長)

本場ではニンニクを入れないっていうのが常識だと思ってたので、これは目からウロコですね。

水晶蝦餃(蒸しエビ餃子・4個・760円)

さらにもう一品! 「水晶蝦餃(蒸しエビ餃子)」は、米粉を使った皮でエビしか入ってない餡を包んで蒸しあげた、まさしく水晶のようなこの透明感! (宝石ってフレーズ、こっちで使えばよかったと反省するワタシ)。しっとりとした米粉の皮と、ぷりっぷりのエビの食感がたまらない贅沢な美味しさ!

他にも豚肉と白菜の水餃子や上海焼き小籠包、ニラと玉子入り焼きパンなど食べてみたい逸品が目白押し! 材料を豊富に揃えてる中華料理屋さんだからこその、餃子(と包んである系メニュー)のバリエーションの多さにうれしくなってしまう「永利 本店」なのでした。

最後はもちろん、店長さん&点心師さんと一緒にギョーポー(餃子ポーズ)で記念撮影!

構成=宮内健 撮影=熊谷直子 ヘアメイク=吉野麻衣子
※本記事は過去に公開した記事の内容をもとに再構成しています。

この記事を書いたライター情報

鈴木砂羽

鈴木砂羽

女優

1994年に主演映画「愛の新世界」で注目を集め、同年ブルーリボン新人賞、キネマ旬報新人賞など多数の映画賞を受賞。以降、映画・ドラマ・舞台など幅広く活躍。日本テレビ「幸せ!ボンビーガール」出演中。「YOU」 (集英社)にてエッセイ漫画「いよぉ!ボンちゃんZ」連載中。

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