旬のアテとお酒でゆるりと過ごす 札幌のオトナな隠れ居酒屋

旬のアテとお酒でゆるりと過ごす 札幌のオトナな隠れ居酒屋

2018/11/09

落ち葉が秋風に舞う11月の札幌。冷え込む夜は、こぢんまりとした暖かな居酒屋で、北海道の秋の肴(さかな)とお酒を味わってみてはいかが。地元の人も絶賛のおいしい秋グルメをご紹介。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

路地裏にある隠れ家のような空間で、店主こだわりの肴とお酒を

北海道の実りの秋は、野菜も魚もおいしい食材がいっぱい!

居酒屋、フレンチ、焼き鳥、カフェなど、個性豊かな店が雑居する「M ’s(エムズ)」。M ’sとは札幌中心部に9つあるテナントビルのことで、2017年8月に発行された「さっぽろM ’s雑居群図」によれば、全部で約100軒の飲食店が入居しているらしい。

札幌で飲む機会が多い方は持っておきたい一冊!

一度足を踏み入れれば、その魅力に冒険心がくすぐられ、何ともいえないワクワクとした気持ちがこみ上げる。年齢や性別を問わず楽しむことができるので、地元民からの支持はかなり厚い

5年前の移転を機に一新した「肴や」

ススキノのど真ん中から少し離れたところ、国道36号線と創成川通が交わるあたりに、飲食店が軒を連ねるひっそりとした路地がある。この一画にある「M ’s仲町」に店を構えるのが「肴や」だ。和食中心のお店で、季節ごとに旬の食材を使った料理がおすすめメニューに並ぶ。

地下鉄東豊線「豊水すすきの」駅の1出口を出ると、すぐ右手にひっそりとした薄暗い路地が。勇気を出して進んでいこう
左手に見えて来るのが「M ’s仲町」だ。青い階段を登らずに、もう少し足を進めよう
路地の出口に差し掛かる手前にポッと灯っている。ここが「肴や」だ

オープンしたのは2014年1月。実はこのお店、以前は狸小路7丁目にあった。「狸小路に店を出したのは今から12年くらい前です。炉ばた焼きとか炭焼きの料理を出していました」と話してくれたのは店主 安東一(あんどうまこと)さん。

安東さんは秋田県の出身。10代で料理の道に進み、現在40歳。20年以上飲食業界を渡り歩き、フレンチ、イタリアン、ビアバー、海鮮居酒屋など、中華を除くほとんどのジャンルを経験してきた。

営業中も外さない耳の鉛筆は安東さんのトレードマーク。「たまにしか使わないけどね」と安東さんは笑って話す

この道一筋の料理人なのかと思いきや、安東さんはこんなエピソードも話してくれた。「実は1度だけ飲食業界を離れて、ゴミ収集車に乗っていたことがあります。22歳くらいだったかな。でも自分の中でピンとこなくて、結局は先輩の口利きで居酒屋に戻りました」

以前の「肴や」は古民家を改装した店舗で、席数は約90と今よりもかなり規模が大きかった。半地下から屋根裏まで5階層に分かれた席を「忍者屋敷みたいだね」と驚く客もいたそう。

店を飾るアンティーク調の照明と仕切りの窓。窓は大正時代に使われていたもの。この窓のために設計には相当こだわったらしい

観光客や宴会客もよく入る前の店から、なぜ規模を半分以下に縮小して現在の店に移転したのか。そこには安東さんの「自分が60歳になっても店に立っていたい」という思いがあった。

内装もアンティーク調のインテリアを使った和洋折衷な雰囲気に変え、お客さんがゆっくりくつろげるように落ち着いた空間を演出している。

北海道の秋の味覚とおいしいお酒に酔いしれよう

観光客はもちろんだが、地元客にも通ってもらえる店にしたいと安東さん。そこで移転に伴い、料理にも変化をつけたそうだ。以前の「肴や」の料理に少し手を加えるのが今のスタイルなのだとか。例えば「すじこの昆布〆」は、生臭さを取るために岩塩で一度脱水し、それから昆布を巻いてそのうま味を吸わせている。

丁寧に処理されたすじこ。昆布の風味をまとい、口の中でとろける
店主 安東一さん
店主 安東一さん
「すじこの処理の手間を省くために、前だったらイクラを出していたと思います。だけどイクラって、地元の人なら家で漬けて食べるんですよね。それならお店として一手間かけた料理をお出ししたほうがお客さんも喜ぶかなって」

\お酒にはうってつけ!/

すじこの昆布〆(750円)

旬の今しか登場しないという「すじこの昆布〆」。一般的には塩加減を強く漬けるすじこだが、昆布締めにすることでそのままでも食べられる絶妙の塩加減に。日本酒はフレッシュな味わいの「寫楽(しゃらく)」がおすすめ。

店主 安東一さん
店主 安東一さん
「これは今すごく人気で、たくさんのお客さんに注文いただいています。塩やわさびをつけて食べると、よりお酒が進みます」

\北海道の秋が香る!/

秋鮭(あきあじ)のホイル焼き(650円)

ホイルを開くと湯気とともに、秋鮭(あきあじ)と野菜の甘い香りが漂うバターと岩塩でシンプルに味付けされた一品だ。このホイル焼きには、すっきりとした飲み口の日本酒「福地」がおすすめ。

店主 安東一
店主 安東一
「秋鮭をメインに道産の根菜を使っています。素材の味を引き出すために、余計な味付けはしていません。男爵(だんしゃく)イモとバターの相性の良さも楽しんでください」

\店主おすすめの日本酒5選/

左から、梅乃宿(うめのやど)(1100円)、東力士(あずまりきし)(800円) ※無くなり次第入れ替えるため、店頭にない場合もある
左から、伯楽星(はくらくせい)(750円)、闇鳴秋水(やみなりしゅうすい)(850円)、出羽鶴(でわつる)(850円) ※無くなり次第入れ替えるため、店頭にない場合もある

店頭には常時8〜10種類の日本酒がそろっている。日本酒のほかに、本格焼酎や梅酒・果実酒なども種類が豊富なので、自分好みのお酒を見つける楽しみもありそうだ。

店主 安東一さん
店主 安東一さん
「当店では酒器にもこだわっています。錫(すず)という金属で作られた酒器は、お酒をまろやかに、そしておいしくすると通の人に評判です」

「肴や」で提供しているお酒は日本酒がメインだが、焼酎も好きという安東さん。ちょうど取材中、鹿児島の蔵元から焼酎が届いた。「うちは小正醸造さんの焼酎をメインに取りそろえています。ここの焼酎を飲んだときに、初めておいしさがわかりました。15年くらい前に蔵を見学して、それからお付き合いさせていただいています」

何度も通いたくなる人気の理由とは?

安東さんは「お客さんの好みももちろんですが、基本的には自分好みのお酒を入荷しています自分がおいしいと思うものを、同じようにおいしいと思ってくれるお客さんが来てくれるのが理想かな」と話す。

旅行に行ったお客さんがお土産で焼酎を買って来てくれることもあるのだとか。「僕の好みをわかってくれていることがうれしいですよね」

「肴や」は、職場の宴会や友人との飲み会などで利用するお客さんが多いが、そこから安東さんの味のファンになり、一人で通う人も多い。一人で立ち寄る女性客や、前の店の時に出張で道外から来て、今も通い続けるお客さんもいるのだとか。

カウンターで安東さんと談笑していた常連客に、「肴や」に通う理由を聞いてみた。

20代・男性
20代・男性
「『肴や』との出合いは去年です。この路地の中でも雰囲気がある店なので、最初はドキドキしました。でも、4〜5回通っているうちにマスターに顔を覚えていただいて、今では職場の宴会のあとに一人でここに来ることが多いです。マスターに会いたくなるとここに来て、たわいのない話をしています」
50代・男性
50代・男性
「前の店のころから、かれこれ10年ぐらい通っています(笑)。旭川に住んでいるんですが、札幌に来ると大抵ここに来てますよ。今日は高校の頃の同級生を連れてきました。道外の方にはぜひお刺身を食べていってほしいですね。まこっちゃん(店主のあだ名)は、かなりこだわりが強いから、何食べてもおいしいけどね!」

常連客は2人とも、店主に会いに来ていると口をそろえて話していた。料理がおいしいから、という理由だけではなく、店主の人柄もまたお客さんをつなげているようだ。

店主と話せる特等席といえばカウンター。20時前後は常連客でたちまち満席に!
店主 安東一さん
店主 安東一さん
「自分で言うのも恥ずかしいけど、お客さんに『おまえの飯がうまいのはもう当たり前。だからここに通う理由はおまえに会うためだ』って言われたことがあります。そんなお客さんがいてくれるおかげで、今の店を12年も続けることができているんだと思います」

秋が深まったこの季節。「肴や」でおなかも心も満たされたあとは、ポカポカの体が冷えないうちに、M ’s仲町ビルをハシゴしてみてはいかがだろうか。

取材メモ:旅先でいただくおいしいものは格別!「肴や」なら旅の思い出に残る、おいしいお酒とお料理に出会えるはず。友達とでも、一人ででも、また行きたいと思えるお店です。

取材・文=小林かほり(みんなのことば舎)、撮影=若松和正

「旅先で夜ごはん。〜札幌・名古屋・大阪・福岡〜」他エリアもチェック!

\あわせて読みたい!/

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

おすすめのコンテンツ

連載