ナポリタンには「旬」があるって知ってた!?

ナポリタンには「旬」があるって知ってた!?

2016/06/30

美食家としても知られる放送作家・脚本家の小山薫堂さんが“ナポリタン好きなら絶対行っておきたいお店”と語るのが、大阪市大正区にある「晃市(こうし)」。今回、そちらのお店に博報堂ケトルCEOでクリエイティブディレクター・編集者の嶋浩一郎さんが訪れました。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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小山薫堂が“ナポリタン好きなら絶対行くべき店”とは

Yahoo!ライフマガジンのナポリタン特集の中で行われた放送作家・脚本家の小山薫堂さんと博報堂ケトルCEOでクリエイティブディレクター・編集者の嶋浩一郎さんによる「ナポリタン対談」

対談中に薫堂さんが“ナポリタン好きなら絶対行っておきたいお店”と、その味に太鼓判を押したのが、大阪市大正区にある「晃市(こうし)」

「ナポリタンには“旬”がある」ということを教えてくれたお店なのだといいます。

トマトが美味しい時期にしか作らないという幻のケチャップで作られたナポリタンとはいったいどのような味なのか……薫堂さんの言葉に導かれ、嶋さんが実際にお店を訪れてみました。

“幻のケチャップ”、そのこだわりがすごい!

JR環状線、地下鉄鶴見緑地線・大正駅から歩くこと約15分。阪神高速17号西大阪線から大正通に入れば、目の前に目的のお店「晃市」が。

JR環状線、地下鉄鶴見緑地線・大正駅より徒歩15分

迎え入れてくれたのは、「晃市」で腕をふるう店主の長岡晃市さんと、長岡さんを“親方”と慕う末吉徹さん。息もぴったりなお二人に、まずは“幻のケチャップ”についてお話を伺いました。

左:店主の長岡晃市(ながおか・こういち)さん(55歳)。右:末吉徹(すえよし・とおる)さん(44歳)
嶋浩一郎さん(以下、嶋)
嶋浩一郎さん(以下、嶋)
小山薫堂さんがこちらのケチャップを絶賛していたのですが、もう長いあいだ作られているんですか?
長岡晃市さん(以下、長岡さん)
長岡晃市さん(以下、長岡さん)
27歳のときにお店を出して以来、29年が経とうとしています。ケチャップも作りも、はじめてもう20数年になるでしょうか。
そのこだわりについてお聞きしたいのですが、まず、どのようなトマトがケチャップに向いているんでしょうか?
長岡さん
長岡さん
うちでは三重県で採れた、路地もののトマトを使っています。路地もののため、天候に大きく左右されるので、質の良いトマトが収穫できるかは本当にお天道様次第ですね。ひとつ持ってみてください。
重いですね。
三重県で採れたという路地栽培のトマト。雨に打たれると穴があくほどの繊細さ
長岡さん
長岡さん
この重さが路地ものの証です。ハウスものと違って農薬を使っていないので、形は不揃いですが、味は抜群です。なかでも5、6月のトマトは一番最初に実がついたものなので、とくにおいしいですね。8月になると次第に水っぽくなってくるので。
ケチャップを作るのもトマトの旬に合わせ、8月ごろまでと?
長岡さん
長岡さん
そうですね。天候にもよりますが、だいたい8月いっぱいです。
そして、このトマトが“幻のケチャップ”に変身するんですね。
長岡さん
長岡さん
ええ。仕入れた段階から10日ほどかけて、芯まで完熟状態にします。途中で上に向けたり、横に向けたりしながら、糖度が真ん中につくよう綺麗に熟させます。
末吉徹さん(以下、末吉さん)
末吉徹さん(以下、末吉さん)
トマトは生き物ですからね。隔を広げて並べながら、腐ってしまう一歩手前、そこまで熟成させてからケチャップにします。
ひと缶いっぱいのケチャップを作るのに、3ケースほどのトマトが必要なのだそう
では早速、その完熟トマトから作られたというケチャップを頂いてみます。
外に2時間置いておくだけで腐りはじめてしまうというほど、添加物など余分なものが一切入っていない。ナポリタンの他にも、このケチャップを用いたポークチャップも人気の品なのだとか
滑らかっ! 優しい味ですね。強くない。ガツンというより、自然に入ってくる感じですね。
長岡さん
長岡さん
まさにトマトそのものの味です。さきほどの芯まで熟したトマトの果肉部分に、塩、そして酸味を飛ばすために砂糖を大さじ1杯入れただけです。ちなみに、トマトの8〜9割は水分なのですが、そこにはエキスが凝縮されているので、ゼリーなどにして楽しむことができます。それがこちらです。
「デザートとしても楽しめそう」と嶋さん
これもおいしい! 涼やかで、夏にぴったりだ。ひとつのトマトが、果肉部分はケチャップに、水分の部分はゼリーになるわけですね。ケチャップとゼリーを食べれば、トマト丸ごと一個味わえるというわけだ。
末吉さん
末吉さん
素材の味を生かした、食べやすい料理を作っております。
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「今回は質の良いトマトが入りました」と語る長岡さん。“幻のケチャップ”とパスタがフライパンの中でひとつになっていく……

嶋さんがゼリーを堪能している間、厨房にてナポリタンを作る長岡さん。嶋さんもその様子が気になっているようです……。

そしていよいよ待望のナポリタンの登場!

もっちりとした細麺にケチャップが絶妙に絡み合う。1280円(税込)
長岡さん
長岡さん
こちらが、そのケチャップを用いたナポリタンです。
これは上品ですね! ナポリタンというと、ピーマンや玉ねぎ、ソーセージなど具沢山なイメージですが、とてもシンプルで綺麗です。
長岡さん
長岡さん
トマトそのものの味を楽しんでもらうために、あえて余計なものは入れていません。香り付けのために入れたニンニクと、バジルと温度卵……温泉卵の逆ですね。白身が軟らかくて黄身がやや硬い卵。そして最後にパルミジャーノ・レッジャーノを振りかけただけです。他の野菜を入れると、トマトの素材の味を殺してしまうので。
期待が高まるなか、溢れ出てくる笑みを抑えられずナポリタンを口へと運ぶ
(ひとくち食べて)……本当においしい。自然の味ですね。
長岡さん
長岡さん
最初は他の具材も入れていたんですが、結局入れない方がおいしくて。
ケチャップそのものがこれだけ良いとね。
長岡さん
長岡さん
市販のケチャップだと、どうしても色々なものが入っていますが、このケチャップは純粋にトマトだけの味、それも農薬を使っていないトマトそのものの味ですから。そして、それだけで十分おいしいんですよね。
トマトの生命力を最大限に感じることのできるナポリタンです。また何より、お二人のトマトへの深い愛情が伝わってきました。薫堂さんが“ナポリタン好きなら絶対行っておきたいお店”とおっしゃっていた意味が納得できました。
店主の長岡晃市さんがフレンチ出身、末吉徹さんが日本料理出身とあって、魚料理、肉料理、米料理とバラエティに富んだこだわりのメニューが90種類以上並ぶ

トマトが美味しい時期にしか作らない“幻のケチャップ”で作られた「晃市」のナポリタン。薫堂さんが「ナポリタンには旬があることを教えてもらった」という逸品には、お店の方々の並々ならぬこだわりがありました。一口にナポリタンといえど、その世界はまだまだ奥深いようです。

嶋浩一郎(しま こういちろう)

嶋浩一郎(しま こういちろう)

クリエイティブディレクター、編集者

取材・文=岸沙織、撮影 =伊藤菜々子

※掲載の内容は2016年6月時点の情報に基づきます。
※2019年6月に店舗(住所、電話番号、営業時間など)、メニュー、料金などの一部情報を更新しました。

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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