京都人に愛される、絶対に行くべき「京都中華」の名店3選

特集

先週の人気記事 TOP10 (11/12~11/18)

2018/11/16

京都人に愛される、絶対に行くべき「京都中華」の名店3選

京都らしい料理は和食だけではない。花街文化を受け、独自の進化を遂げた京都の中華も、古都が誇る食遺産だ。だしの効いた味わいを体感できる、絶対に訪れたい3軒を紹介する。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

京都人も大好き! 京都の中華

古くから花街の芸妓・舞妓さんへの配慮もあり、ニンニクを使わず、だしで旨みを引き立てる京都の中華。古都の歴史が育んだ味は、京都人の大好物でもある。

\この3軒を紹介!/
1.芙蓉園(四条河原町)
2.平安(祇園)
3.京都中華 ハマムラ(府庁前)

昔からある京都の中華料理店の春巻は皮の食感がサクサク、しっとりとしているのが特徴(写真は「平安」の春巻)。また「ビールには春巻き」という京都人も多い

京都といえば懐石料理やおばんざいを思い浮かべる人は多いかもしれない。確かに和食は魅力的。でも次の京都来訪は、ちょっとツウを気取って中華をチョイスするのはどうだろう。

鶏がらスープを使う店も多い。花街文化とともに育ったので、ニンニクも使わない(「京都中華 ハマムラ」の「広東麺」)

気軽で懐にも優しい中華は、京都人も大好き。味わいも独創的。大正時代以降、花街文化とともに育った京都の中華は、芸妓・舞妓さん向けに臭いのないおいしさをとニンニクは不使用。代わりにだしを効かせるため、滋味深い。また京都では「ビールと餃子!」ではなく「ビールと春巻き!」という人も多い。もうひとつの京都らしい味を体感すべく、この3軒に足を運ぼう。

1. 芙蓉園(四条河原町)

京都中華の本流、だしの効いた味

四条河原町の南東にある。創業は昭和30(1955)年。加地数男さんで2代目だ

四条河原町の南東側。以前「四条河原町阪急」があったため、今でも “阪急裏”と呼ばれるエリアにあるのが「芙蓉園(ふようえん)」だ。

加地さん
加地さん
「阪急百貨店の前は、住友銀行でした。もっと昔、父が店を開業した昭和30(1955)年は、まだ阪急電車すら四条河原町まで繋がっていなかった。阪急の駅があった四条大宮に比べたら、この辺は夜も真っ暗やったんですよ

店主の加地数男さんは言う。それが今や四条河原町は、京都随一の繁華街に。お父さまの先見の明たるや、凄い。

「鶏肉入り玉子焼き(鳳凰蛋=ほうおうたん)」(700円・税別)。鶏がらスープの味わいがよく利いている。ごはん(150円・税別)と一緒にかき込みたい

18歳のときに店を手伝い始めた加地さん。店主になった今も、両親から引き継いだ味を守っている。そのひとつが人気メニュー「鶏肉入り玉子焼き」、別名・鳳凰蛋(ほうおうたん)。まるで親子丼の具のような外見は、まず京都以外の中華料理店では、お目にかかれない。食べてみると上品な鶏がらスープの旨みたっぷりで、もちろん親子丼とは全く異なる味わい。とろとろの半熟玉子と玉ねぎの甘みが食欲をそそる。

2代目店主の加地数男さん。18歳の時、手伝いで厨房に入ったのをきっかけに店を継ぐことに

鳳凰蛋は砂糖と醤油も利かせた濃厚な味わいだが、不思議と爽やかな後味。鶏肉も食べ応え十分なのに脂身は控えめ、ゆえにあっという間に平らげられてしまう。

加地さん
加地さん
「うちはニンニクを使いません。その代わり、だし(鶏がらスープ)はしっかり利かせているんです」

先代は今はなき広東料理店「第一樓(だいいちろう)」で、腕を磨いて独立。それゆえ師匠は京都独自の中華を生んだといわれる、高華吉(こうかきち)氏だ。

「春巻」(800円・税別)。タケノコ、豚肉、干しシイタケ、細かく刻んだエビが、たっぷり巻き込まれている
加地さん
加地さん
「高華吉さんは昔、祇園にあった『支那料理ハマムラ』で、中国人料理長だった方。店が花街の真ん中にあったから、ニンニクを使わず、だしを利かす方法を考案されたと、父から聞いています」

ちなみに鳳凰蛋は、「第一樓」にあった料理が「芙蓉園」でまかないとなり、メニューになった。ニンニク不使用のため、近くにある「高島屋京都店」の店員さんにも好評だそう。「接客業に臭いは大敵ですから。鳳凰蛋とライスを注文される方が多いです」と加地さんは言う。

自家製の春巻の皮。小麦粉と卵を溶き、中華鍋で薄く焼く。右は奥さまの直美さん

また独創的なのが「春巻」だ。皮の食感はサクサク、しっとり。よくある「こんがり、パリパリ」ではなく、中からとろみのあるスープが出てくるわけでもない。タケノコ、豚肉、エビなど素材の旨みが、ダイレクトに口内を満たし、たまらぬおいしさだ。

加地さん
加地さん
皮は手作り。中華鍋で焼きます。幅広で薄い皮なので、幾重にも巻くんです。ゆえに皮が層状になるため、揚げると外はパリッと、中はしっとり仕上がります」

ちなみに具を皮で包むのは、奥さまの直美さんの仕事だ

「酢豚」(700円・税別)。具材は豚肉とパイナップルのみで、より肉の旨みが堪能できる
「麻婆豆腐」(700円・税別)。山椒の辛さが爽快。まろやかなスパイシーさだ

「酢豚」の具も、豚肉とパイナップルのみ。ニンジン、ピーマンなど彩りのある野菜は一切ない。

加地さん
加地さん
「昔から、うちの酢豚はこのスタイルです」

食べてみれば、その理由がわかる。豚をおいしく楽しめる、まさしくこれこそ“酢豚”なのだ。他にも「麻婆豆腐」はニンニクの代用に、長ネギと山椒で風味付けを。八丁味噌のコクで、こちらもご飯を呼ぶ味わいだ。

1階席の様子。2階には円卓を備えた座敷がある。コースメニューも用意する
加地さん
加地さん
「うちはショウガも使いません。どうして?とよく聞かれますが。私が子どもの頃は、まだ京都に中華料理店も少なく、この味が当たり前だったんです」

ここは花街・先斗(ぽんと)町と宮川町にも近く、芸妓・舞妓さんへの配慮もある。「けれどこの味で育ってきたから。これが私にとって、THE・中華なんです」。加地さんの言葉に同じく京都出身、直美さんもうなずく

店はふたりで切り盛りしている。もちろん常連さんも多いが、最近は遠方からの観光客の来訪も増えたという

多いときは100枚の春巻の皮を作ることもあるという、加地さん。黙々と円を描くように中華鍋を振るい、薄皮を焼くのは大変な作業だろう。また鶏がら・鶏肉は必ず、朝どれを仕入れて調理。開店時間に合わせるため、スープ作りに仕込みに、午前中はとくに多忙を極めるとか。だからこそ生まれる、臭みのない澄んだスープ。ご夫婦の努力を知るご贔屓さんはもちろん、一見の客にも、その料理の素晴らしさは伝わることだろう。

Yahoo!ロコ芙蓉園
住所
京都府京都市下京区市之町240

地図を見る

アクセス
河原町(京都府)駅[3(阪急)]から徒歩約2分
祇園四条駅[1]から徒歩約3分
烏丸駅[12(阪急)]から徒歩約8分
電話
075-351-2249
営業時間
月,木~日 12:00~14:00,17:30~21:00
定休日
毎週火曜日、毎週水曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

2.平安(祇園)

「カラシソバ」って、どんなソバ?

「カラシソバ」(900円)。エビ、鶏肉、レタス、タケノコなどの具材もたっぷり。料理名の由来は、以降の文を読んで知るべし

カラシソバ、と聞いて、どんな料理を想像するだろうか。珍しい料理名だが、ゆえに「唐辛子をいっぱい入れた温かいそば?」「冷たい麺を辛子まみれにする?」。聞きなれない言葉に、さまざまなイメージが思い浮かぶ。しかし、ここ「平安」で「カラシソバ!」と注文すると。どんぶり鉢に入った、温かい五目あんかけ麺が提供される。

店主の元木登さん。京都の広東料理店「第一樓」で修行を積んだ

しかしもちろん、ただの「五目あんかけ麺」ではない。一口すすると、辛子の刺激に鼻がツーン。「辛い、辛い!」と悶絶するはず、なのだが。

元木さん
元木さん
「よくわからないで『カラシソバ』って注文した人にも『辛さは小・中・高、どれにします?』って聞いたげるから、辛いと知らずに食べるお客さんはまず、いないですよ」

ちなみに小・中・高以外に、「大学生」「社会人」もあるそうで、どんどん辛さは増していく

麺を茹で始めたところで「カラシソバ」の辛子醤油をスタンバイ
茹で上がった麺をどんぶり鉢に投入する
あんをかける前に、まず辛子を麺によくなじませる。ここが「カラシソバ」の味わいの肝だ

「カラシソバ」は、茹でた中華麺をあらかじめ辛子醤油で和え、そこへ具だくさんのあんをかけた料理。程度にもよるが、自分に合った辛子量を選べば、鼻にツーンと抜ける辛さが、より麺のおいしさを引き立ててくれる。辛さが食欲を刺激するため、箸が止まらない。

元木さん
元木さん
「そやけど、気に入ってくれる人はリピーターになるんやけど。ダメな人はダメみたいよ」

確かに辛さが苦手な人はリタイアだが、ヘビーユーザーの気持ちは十分すぎるほどわかる。

辛子の刺激で、より食欲がそそられる。エビも大きく、具だくさんも嬉しい。今回いただいたのは「高校生」。こちらでは標準的な辛さ

元木さんが「カラシソバ」を出すようになったのは、長年修行していた「第一樓」で作り方を教わったから。

元木さん
元木さん
「京都には、他にも『カラシソバ』を出している店はあるんです。でも『他の店と同じなら、やらん方がマシや!』と思って、『小・中・高・大学生・社会人』で、辛さが選べるシステムにしたんです」

ちなみに「高校生」が、ちょうど真ん中くらい、元木さんが標準と考える辛さだ。

「シューマイ」(600円)。タネにはミンチだけでなく、中国のくわい(マウタイ)も入っている。サクサクの食感が楽しい
「春巻き」(900円)。皮は自家製。卵と片栗粉を混ぜ、薄く焼く。タケノコ、豚肉、シイタケ、潰したエビなどを包む

「カラシソバ」のあんには、鶏がらスープと具材の旨みが閉じ込められている。また麺類のほか「シューマイ」「春巻き」「ヤキメシ」など、他の料理にも一切、ニンニクを使っていない。ニラを入れるのも、野菜炒めくらい。その代わり「第一樓」で習得した、鶏がらスープと素材の組み合わせで、来訪者をもてなす。シューマイなどに使うミンチも、必ず自分で挽き、春巻きの皮は専用の鍋で焼く。決して手間は惜しまない。

「ヤキメシ」(800円)。かやくごはんのように風味高く、しっとりとした食感
元木さん
元木さん
ヤキメシも最小限の味付け。自家製の焼き豚のエキスがしみ出すから十分なんです。卵も焼いてから一度取り出して、最後に入れて炒めると、より味も濃く、食感も良くなるから」。

そして、このヤキメシ、食べきれないときは、奥さまの恵美子さんが持ち帰り用に、おにぎりにしてくれる。「店が混んでないとき限定やけどね」。舞妓さん向けのサービスが、いつしか定着したそうだ。

元木登さんと奥さまの恵美子さん。「この間は、北海道の日高地方からお客さんが来はったよ」。人気は全国区だ

実は元木さん、60歳で開業を決意した。「アホですやろ。みんなにアホって言われてます(笑)」。そう謙遜するが、店の壁を見れば、京都ゆかりの有名人、スポーツ選手の色紙があり、いかに慕われているか伝わってくる。今は76歳。トークの歯切れもよく、奥さまの恵美子さんとの掛合いも絶妙だ。ちなみに店名は母校「平安高校」から取ったとか。そう聞いて元木さんを見ると、お客さんと話す笑顔に、少年の無邪気さが残っている気がしてきた。

元は洋食屋だったと言う店内は、レトロな雰囲気
初訪問だと少しわかりづらいが、高級クラブなどが入るビル1階。廊下の奥にお店はある
Yahoo!ロコ平安
住所
京都府京都市東山区富永町131

地図を見る

アクセス
祇園四条駅[6]から徒歩約2分
河原町(京都府)駅[1A]から徒歩約5分
三条(京都府)駅[2(京阪)]から徒歩約6分
電話
075-531-2287
営業時間
月,火,木~日 12:00~14:00,17:00~22:00
定休日
毎週水曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

3.京都中華 ハマムラ(府庁前)

京都中華最古の味を引き継ぐ

玄関マットにもプリントされた「支那料理ハマムラ」から引き継いだ、お店のマーク。実は公募で決めたのだとか。立命館大学の学生の作品が採用されたという

今はなき大正時代創業、京都初の中華料理店「支那料理ハマムラ」。その味を引き継ぐのが、「京都中華 ハマムラ」だ。平成26(2014)年に、河原町三条「ハマムラ河原町店」を閉め、この地に移転

濱村さん
濱村さん
「うちの常連さんには、府庁前近辺の方が多くて。それ以外の地域のお客さんも、やっぱりうちの味がええ言うて、来てくれはります」

「ハマムラ河原町店」に引き続き、厨房を守る三代目店主・濱村吉行さんは話す。

「えびの春巻き」(1000円)。タケノコ、エビ、ネギ、焼き豚と具だくさん

「京都中華 ハマムラ」の定番人気が「えびの春巻き」だ。とにかく太く、具もぎっしり。エビもさることながら、タケノコの量にも驚かされる。

濱村さん
濱村さん
「初代の祖父のときと、同じ作り方をしています。皮はグルテンが出るまで小麦粉と卵をこねて、中華鍋で焼くんです」

このもっちりとした皮で、たっぷりの具を包んで揚げる。タケノコとエビもたまらないが、皮の香ばしさが、より具材の味わいを引き立てる。

「広東麺」(850円)。昔からの人気メニュー。とろみのあるスープが麺に程よく絡む。焼き豚も自家製だ

料理に使うのは鶏がらスープ。ラーメンだれ(かえし)には、昆布も使う。「基本、ニンニクは使いません」と濱村さん。新しいメニュー「車えびのチリソース」などはニンニクも使うが、それ以外の料理は昔ながらの調理法。祇園に創業した「支那料理ハマムラ」が、花街で培った味を守り通している

「とり肉のからあげ」(600円)。塩、コショウなど下味はシンプルに。とり天のような唐揚げだ

もちろん唐揚げの下味にも、ニンニクは不使用。代わりに山椒塩を添えて提供する。

濱村さん
濱村さん
「うちはずっとこの調理法やし、京都に昔からある中華料理店は、だいたいそうちゃうかなと思うけど。他県から来たお客さんには驚かれることもあります」

シンプルな調理法ゆえ、素材力も問われる。頬張ると、すぐ鶏肉の新鮮さが伝わってきた。ムネ肉とモモ肉の両方が楽しめるのも嬉しい。

10人以上は座れるカウンター席。常連さんから埋まっていくという。店の奥にはテーブル席もある
濱村吉行さん。元はサラリーマンだったが、いつしか厨房に入るようになり、お父さまから店を継いだ

実は濱村さんが店の移転を決意したのには、他にも理由があった。

濱村さん
濱村さん
「お客さんの顔を見て、仕事がしたくて。今の店なら、カウンターを見ながら中華鍋が振れるんです」

京都でもっとも歴史がある中華料理店だけに、カウンターに座る常連さんには、厳しい意見を言う人もいる。それでもお客さんの声に耳を傾けながら、厨房に立つのが楽しいと濱村さんは話す。

「しゅうまい」(600円)。ミンチのつなぎにはネギだけでなく、タケノコも使う

「お店も移転して新しくなったし、メニューも変えてみようと思いませんでしたか?」。「支那料理ハマムラ」の味を引き継ぐ濱村さんだからこそ、愚問を覚悟で尋ねてみた。「店のメニューは、お客さんが決めるもんやからね」。シンプルだけど深い答えだ。

濱村さんの広報、黒板メニューの下の空いたスペースから、カウンターのお客さんが見える造りになっている

移転して店が新しくなっても、常連がカウンターを埋める。それは初代からの味を守っていけ、というメッセージなのだろう。濱村さんが厨房で黙々と鍋を振るかぎり、受け継がれてきた味は、さらに多くの人に感動を与えるはず。またそうしなければならないと、濱村さんの佇まいが物語っている。

Yahoo!ロコ京都中華 ハマムラ
住所
京都府京都市中京区丸太町通釜座東入る梅屋町175-2

地図を見る

アクセス
丸太町(京都市営)駅[2]から徒歩約4分
二条城前駅[2]から徒歩約11分
烏丸御池駅[2]から徒歩約12分
電話
075-221-4072
営業時間
火~日、祝日、祝前日: 11:30~14:00 (料理L.O. 13:30 ドリンクL.O. 13:30)18:00~22:00 (料理L.O. 21:30 ドリンクL.O. 21:30)
定休日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材・文/岡野孝次 撮影/三國賢一

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

SPECIAL

SERIES