懐かしの一杯がここに!50年以上続く正統派札幌ラーメン店

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旅先で絶品ラーメン。〜札幌・名古屋・大阪・福岡〜

2018/11/23

懐かしの一杯がここに!50年以上続く正統派札幌ラーメン店

昔ながらの札幌ラーメンを味わいたい人におすすめなのが、昭和の時代から「すすきの」に店を構えるラーメン店「味の華龍(かりゅう)」だ。ラーメン業界の流行に左右されることなく、創業時からの味を守り続けている。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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昭和から平成へ、時代を超えて歩んできた札幌の観光名所のラーメン店

すすきので長きにわたって観光客を集める「元祖さっぽろラーメン横丁」。味の華龍は通りに面した場所にあるので入りやすい

「すすきの」は明治時代からすでに花街として栄えたが、時代とともに少しずつ姿を変え、終戦後の昭和20年代にはキャバレーやバーが主流となった。1972年の札幌オリンピックを機に大手キャバレーチェーンや高級クラブが進出し、バブルが崩壊する1990年初頭まで、すすきのは凄まじく繁栄した。

華やかなネオン街の住人や訪れる客の胃袋を支えてきたのがラーメンだ。東宝公楽劇場の横には8つのラーメン店が軒を連ね「公楽ラーメン名店街」と呼ばれ親しまれていた

昭和26年当時の公楽ラーメン名店街。ちなみに劇場は2010年に閉館され、跡地はアミューズメント施設となった

しかし公楽ラーメン名店街は、札幌オリンピックに備えた区画整備のため1969年に取り壊されてしまう。その2年後に開業したのが、現在の「元祖さっぽろラーメン横丁」(通称ラーメン横丁)だ。観光客と地元客で連日行列ができ、次第に札幌の観光名所となっていった。

地下鉄「すすきの駅」3出口を出ると、目の前はすすきの交差点。交差点の向こうに見える百貨店を右手に、南に向かって足を進めよう
1つ目の信号の角にコンビニがある。ここを左へ曲がり直進すると、黄色く輝く「元祖さっぽろラーメン横丁」の看板が現れる

53年続く「味の華龍」の歴史

現在のラーメン横丁には、17軒の多彩なラーメン店が集結している。中でも一番歴史が古いのは、昭和40年創業、ラーメン横丁が開業する以前から存在していたという「味の華龍」(以下「華龍」)だ

ラーメン横丁の中にある店の案内板。スープの味や麺の太さなどが、ひと目でわかるのがありがたい

「横丁に入る前?当時のことは、ちょっとわかんないな。初代の店長はもう亡くなってるし。ぶっちゃけうちの社長、ラーメン屋じゃないんだよね」と、気さくに意外な事実を教えてくれたのは、2代目店長の吉川利一(よしかわとしかず)さん。聞くと、華龍の本体の会社はもともと八百屋だという。

店長の吉川さん。首のタオルは風邪予防のために巻いているのだそう

吉川さんは北海道生まれ、東京育ち。16歳から20歳までは洋食の料理人として働いたが、札幌に戻ってからは別の仕事に就いていた。知り合いのラーメン店に紹介され、27歳の時に華龍で働くことになったそう。

「店に入った時、3日で辞めようと思ってたんだよ、アルバイト感覚だったから。ちょっとの間だよって言いながら、もう30年以上ここで働いてます」と吉川さんは笑う。

ラーメン横丁開業時から変わらない店内。カウンター席の奥にはテーブル席が2つある

働きはじめた当時は、昼は観光客、夜は「締めのラーメン」を求める常連やホステス連れの酔客でにぎわい、満席にしてから暖簾(のれん)をしまう日々だったそうだ。

1994年、吉川さんは37歳の時に店を任された。「少し前にバブルが弾けて、客足が遠のいていた時期だったので、店は暇でしたね」。さらに、観光名所となった横丁に対し、地元では「値段が高い」「接客態度が悪い」などと新聞に書かれるほどの逆風が。悪評はなかなか消えず、つらい時期だったと吉川さんは顔をしかめながら当時を振り返る。

ラーメン横丁の歴史がつづられた年表

味も作り方もベースは昔ながら

苦難の時期があっても、これほど長く店が残ったのは、流行の激しいラーメン業界に左右されず正統派ラーメンを作り続けたから。昔から変わらない手法で、豚骨や鶏ガラ、野菜を毎日8時間丹念に煮込み、タレと調和するスープをていねいに仕込んでいる。

炒めたモヤシに投入されるスープ。この後、ここにタレが加わる
北海道発祥のブランド味噌「ことぶきみそ」が使われた味噌ダレ

常連客に人気のメニューは、やはり「味噌らーめん」だ。それにしても、札幌の人はなぜこんなに味噌ラーメンをリピートするのだろうか。

「小さい頃に食べたラーメンの味になじみがあるんじゃないでしょうか。だから大人になってもあの頃の味を求めちゃうんだろうね」。吉川さんがこう言えるのも、ラーメン店を長く続けているからこそ。地元の人に親しまれる「懐かしい味」を守り続けているようだ

札幌ラーメンの特徴とも言える、縮れた黄色い麺を開発した西山製麺の麺を使っている
醤油で2時間煮込んだ特製チャーシュー

一方、観光客に人気が高いのは圧倒的に「コーンバターらーめん」。国内外問わず、多くのお客さんが注文するそうだ。「すすきの全体の客足が減っちゃって、昔に比べると注文数は倍ぐらい違うけど、コーンバターだけは出続けるね」。

\札幌ラーメンといえばこれ!/

味噌らーめん(800円)

こってりというイメージが強い味噌ラーメンも、華龍は意外にあっさりした味。縮れた麺にスープがよく絡むので、特に味噌ラーメンとの相性が良い。

店長 吉川利一さん
店長 吉川利一さん
今風に少しずつ味をアレンジしてきましたが、基本は変わりません。今は昔に比べると、少し甘めかな。昔は味にケチをつけるお客さんが多くて、結構いじめられました(笑)」

\今も昔も大人気!/

コーンバターらーめん・塩(1000円)

熱々のスープに浮かぶバターと、炒めたモヤシの味がスープに溶け込んでいる。甘いコーンとバターの相性はぴったり!ちなみに北海道ではトウモロコシをトウキビと呼ぶ。

店長 吉川利一さん
店長 吉川利一さん
「コーンバターらーめん」は、昔は塩しかありませんでした。お客さんに『味噌ないの?』と聞かれてからは3種類作れるようにしています」

ラーメン一杯、酒も一杯

吉川さんが店を任されてから加えたメニューが「ぎょうざ」と「ビール」だ。その昔、締めのラーメンを屋台で食べていた時代は、飲ん兵衛の定番はラーメンにカップ酒。一杯飲んでからラーメンを流し込むと、体が温まり、程よく酔いが回るらしい。ラーメン屋と酒は切って離せず、華龍にはビールだけでなく今でもカップ酒が常備されている。

きつね色の焼け目が付くのを待つぎょうざ

「今は『締めのラーメン』を食べに来るお客さんも少なくてね。昔はすすきので飲む人が5万人ぐらいいたらしいけど、今はそれの10分の1らしいよね。それでも変わらずに来るお客さんはいるし、すすきのに元気になってほしいから、うちも続けていかないとね」。

\華龍唯一のサイドメニュー/

特製ぎょうざ(1人前)(400円)

ぎょうざのあんに使われているのは、白菜、豚ひき肉、ニラ。こんがり焼き色がついた皮は、モチモチとした食感のわりに、それほど厚みはない。一粒が食べやすいサイズなので、ラーメンと一緒にパクパク食べられる。

店長 吉川利一さん
店長 吉川利一さん
「ぎょうざとビールが無いと、お客さんが帰っちゃうんです(笑)。海外のお客さんは、ほとんどの人が食べていきますね」

観光客が求める味を作り続ける

華龍は初代店長の頃から、ラーメンのメニューは一切変えていない。受け継いできた「札幌ラーメン」の良さについて吉川さんに聞いてみた。

店内に掲示されているメニュー。店内を見渡せる場所から、じっとお店を見守り続けている

「あんまり考えたこと無いな(笑)。北海道の人が九州のラーメン食べたら、ちょっと違うって言いますよね。やっぱり麺が決め手みたい。僕はこの縮れ麺のほうが好きだけど。でも、おいしくないわけないんだよね、そこの人はそれがうまいって言うんだから。文化が違うだけで、みんなラーメンが好きなんだよね

札幌ラーメンの姿も様変わりし、おすすめのラーメン店を聞いたら、味噌ラーメンの店ではないことも増えた。変わり種の食材や、他ジャンルの調理技術を取り込み、ラーメンは“進化”する。

「僕は東京育ちだから、どこに行っても醤油ラーメンばっかり食べてますよ」

「こだわっていろいろ研究して、素直にすごいな、大したもんだなと思うよ」と吉川さん。しかし、その姿勢はぶれない。「結局は、お客さんが何を求めてその店に来るか。観光地にあるうちには、いわゆる昔ながらの札幌ラーメンを食べに来るお客さんが多いし、下手なもの出したら札幌まで来てくれたお客さんに失礼でしょ」。

華龍にはタレントやスポーツ選手などの著名人も来店する。一番最近では某メジャーリーガーが訪れたそうだ

取材中、華龍に来店したのは滋賀県から修学旅行で来たという高校生。聞いたところによると、地元でよく食べるのは醤油ラーメンで、札幌では定番の味噌ラーメンも店によっては置いていないこともあるらしい。

雨が降り、寒い外を歩いてきた高校生。冷えた体を熱々の味噌ラーメンで温めていた

初めて食べる札幌ラーメンの感想を聞いてみた。「おいしいです!滋賀県ではストレートで少し細い麺がメジャーなんですけど、札幌ラーメンの麺は縮れていて太いので、食べごたえがあります」と麺の違いに驚いたようだ。

「締めのラーメン」文化が薄れてきたという昨今。飲んで遊んで小腹が空いたら、すすきのの観光がてら、個性豊かなラーメンが集う「元祖さっぽろラーメン横丁」に立ち寄ってみてはいかがだろうか。

Yahoo!ロコ味の華龍
住所
北海道札幌市中央区南5条西3丁目

地図を見る

アクセス
すすきの駅[3]から徒歩約2分
すすきの駅[出口]から徒歩約2分
豊水すすきの駅[4]から徒歩約3分
電話
011-518-2421
営業時間
10:30~翌4:00[金・土] 10:30~翌5:00[日・祝] 10:30~翌2:00
定休日
無休
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材メモ/「締めのラーメンの前にカップ酒」が飲ん兵衛のお決まりだったとは、おどろきました!雪が降る寒い北海道だからこそ、そんな習慣が生まれたのかもしれませんね。

取材・文=小林かほり(みんなのことば舎)、撮影=若松和正

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