洋食とコーヒーで札幌市民に愛され続ける 老舗喫茶店の魅力とは

特集

出張先でほっと一息。ごはんがおいしい喫茶店〜札幌・名古屋・大阪・福岡〜

2018/11/30

洋食とコーヒーで札幌市民に愛され続ける 老舗喫茶店の魅力とは

洋食屋さんのような、見た目も味も申し分なしの食事を味わえる札幌・大通の「茶房アトリゑ」。中心部にありながら、ゆっくりと時間が流れるオトナな雰囲気も支持されている。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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お茶だけではもったいない! こだわりの料理もご賞味あれ

ジャズが流れる店内は全席喫煙可能。慌ただしい外の景色を見ずに過ごせる地下にあり、ゆっくり過ごすにはちょうどいい

「札幌には喫茶店が多い」とは、札幌を訪れた人がよく口にすることだ。極めて数が多いわけではないが、カフェブームやコーヒーチェーン店の台頭に負けず、“喫茶店スタイル”の店が根強く残る。地元発の喫茶チェーンが多いのも札幌の特徴だ。

昔から喫茶店は、学生や感度の高い人々の居場所だった。今回紹介する「茶房アトリゑ」もその一つで、今年開店50周年を迎えた

お昼にはおいしいランチを求めてサラリーマンやOLが行き交う西4丁目スクランブル交差点。ショッピングを楽しむ人、学校帰りに遊びにくる学生も多い

「茶房アトリゑ」がある南1条通は、大通公園の1本南側にある一大商業地。百貨店やファッションビル、話題の飲食店がひしめき、“今の札幌”を映し出している場所といっても過言ではない。ちなみに、地元の人はこのエリアを「ドオリ」と呼ぶこともある。

ステーショナリー、画材、雑貨などが集まる大丸藤井セントラルは、言うなれば“札幌の伊東屋”。その地下1階にある
地下1階の「紙のフロア」の奥に、レトロな趣の店が見える

南1条通の中心部にある「大丸藤井セントラル」は、道内初のギャラリーを備えた大型文具店として1947年にオープンし、4年後には鉄筋コンクリート5階建ての初代大丸ビルを落成した。ビルには道内初の民放・北海道放送が入っており、当時の市民にとって初代大丸ビルは札幌の情報・文化の発信基地という存在だった。

多くの画家がビルを利用していたことから、1968年に「コーヒーを飲みながら一服できる店を」というコンセプトのもと、ビルの1階にオープンしたのが「茶房アトリゑ」だ。

こちらは2代目大丸ビル(1973〜1982年)。このとき「茶房アトリゑ」は2階にあった (画像提供:大丸藤井セントラル)

3代目となる現在の店舗は、1989年に大丸藤井セントラルが現在のビルを落成したと同時にオープン。その店内には、“上の階につながるわけではない”螺旋(らせん)階段、“作り掛け”の柱など、デザイナーの遊び心がちりばめられた。

ネオンサインもレトロな雰囲気を醸し出している
骨組みが飛び出している天井まで達しない柱

ベテランシェフが手がける洋食屋さんのような料理の数々

同店の人気の理由は、本格的なフードメニューの数々。メニューの考案、調理を任されているのが料理長の岡田安弘さんだ。

恥ずかしがりながらも笑顔を向けてくれた岡田さん

岡田さんはこの道35年になるベテランシェフ。洋食屋、レストランなどで経験を重ね、6年前から同店の厨房に立つようになった。

以前からあるメニューも、岡田さんがアレンジを加えることでグッと本格的に

「カレールーやホワイトソースなど、できるだけ手作りにこだわっています」と話す岡田さんに人気メニューを教えていただいた。

\プロの技が光る曲線美/

オムライス(800円) 写真のケチャップもしくはデミグラスソースを選択

テーブルに運ばれた瞬間、「わぁ〜!」と口に出してしまうほど、色、形ともに美しいオムライス。卵3個を使ったオムレツをナイフで開くと……。

2度目の「わぁ〜」がこぼれるシズル感
茶房アトリゑ 料理長 岡田安弘さん
茶房アトリゑ 料理長 岡田安弘さん
鶏肉がたっぷり入ったチキンライスと、ふわとろ卵のハーモニーをお楽しみください。デミグラスソースもあり、そちらは炒めたタマネギとワインをソースに加えて、味に深みを出しています」

\これぞ洋食屋さんのカレー/

カツカレー(850円)

スパイシーながら、上品な味わいの洋食屋さんでいただくような正統派カレー。カラッと揚がったカツも脂っこくなく、ペロリと食べられる。

茶房アトリゑ 料理長 岡田安弘さん
茶房アトリゑ 料理長 岡田安弘さん
ニンニクとタマネギを炒めてオリジナルのルーを加えて、1時間ほど煮込んだカレーです。男女問わず人気です」

\野菜もとれるワンプレートメニュー/

グリルドチキン&フレンチトースト(850円)

特に女性に人気のメニューだが、軽く食べたいという男性にも支持されている一品。牛乳、卵、砂糖などを混ぜた液に一晩浸して焼いたフレンチトーストは、やさしい甘みとなめらかな舌触りがたまらない。

茶房アトリゑ 料理長 岡田安弘さん
茶房アトリゑ 料理長 岡田安弘さん
「チキンはグリルで焼いた後に、トマト、マヨネーズ、ブラックペッパーをかけて、薄く焼き目がつくようにオーブンへ。チキンの下には粒マスタードと千切りキャベツを敷いています」

以上の3品はグランドメニューだが、同店には週替わりのメニュー(パスタ、ご飯ものの2種類)もある。焼きそば風パスタやクルミと味噌(みそ)のクリームパスタなど一風変わったメニューもあり、岡田さんのアイデアが詰め込まれている。

一例として10月の週替わりメニューの一部。同店の公式サイトで今週のメニューをチェックできる
茶房アトリゑ 料理長 岡田安弘さん
茶房アトリゑ 料理長 岡田安弘さん
「月1回スタッフを集めて試食会を行い、みんなの意見を取り入れています。これまでに人気があったメニューからもヒントをもらっています。冬にはウニとカニのパスタが登場予定です。1週間限定だからこそ、豪華な食材を使ったメニューにも挑戦しています」

おなかと心を満たす居心地良い空間

アンティークなオルガンの上には、北海道出身の漫画家・いがらしゆみこさんの色紙が飾られている

もちろん昔ながらの喫茶店らしく、コーヒーやココア、紅茶、パフェ、クリームあんみつ、ホットケーキなどをそろえ、15時以降はお茶と会話を楽しむ人の姿が増える。ダンス教室や絵画教室のレッスン終わりに、先生と生徒たちが談笑していくこともあるそう。

骨董(とう)品や革張りのソファなど、昭和時代にタイムスリップしたような店内
20代・女性
20代・女性
「ここにあるのは前から知っていましたけど、パフェを食べたくて初めて来ました。落ち着いて話せる良い雰囲気ですね」

本格的な料理を味わえる“街の洋食屋さん”、50年前から変わらない“憩いの喫茶店”という2つの側面をもった「茶房アトリゑ」。おなかを満たすだけでなく、中心部の雑踏からエスケープしたいときのオアシスになりそうだ。

Yahoo!ロコ茶房アトリゑ
住所
北海道札幌市中央区 南一条西3丁目2 大丸藤井セントラルB1F

地図を見る

アクセス
大通駅[12]から徒歩約2分
西4丁目駅[出口]から徒歩約2分
すすきの駅[1]から徒歩約4分
電話
011-272-5166
営業時間
月~日 11:00~19:00
定休日
不定休
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材メモ/カメラマンが高校生の頃(約45年前)に、週2〜3回この店を訪れていたことが判明。「木枠の窓から見える景色(当時は1階)が好きでね。みぞれが降る11月の景色を今でも覚えている」と懐かしんでいました。

取材・文=山下晴美(みんなのことば舎)、撮影=若松和正

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