名古屋のご当地ラーメン誕生?地元産たまり醤油を使った中華そば

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旅先で絶品ラーメン。〜札幌・名古屋・大阪・福岡〜

2018/11/23

名古屋のご当地ラーメン誕生?地元産たまり醤油を使った中華そば

見知らぬ土地でご当地ラーメンを食べるのも旅の醍醐味。しかし、名古屋のご当地ラーメンといわれる台湾ラーメンや台湾まぜそばは、他のご当地ラーメンのように、その土地の歴史や文化を感じるとは言いがたい。そんな中、愛知県産のたまり醤油を使った中華そばを出す店が話題を呼んでいる。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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たまり醤油に出会い、
一からスープを作り直す

ビル1階の奥にあるが、白地の大きな暖簾が目を引く

八丁味噌に代表されるように、愛知県は醸造業が盛ん。豆味噌を仕込む過程でできるたまり醤油も名古屋の食には欠かせない調味料の一つである。それだけにご当地ラーメンとして認知される日が来るかもしれない。それが2018年10月、中区丸の内2丁目にオープンした「濃厚中華そば 佐とう」だ。

店主の佐藤昇さん

「私自身、たまり醤油を使ったきしめんや中華そばが子供の頃から大好きでした。その味に慣れてしまうと、関東や関西のつゆが物足りなく感じます。中毒性があるんですね」と話すのは、店主の佐藤昇さん。

カウンターがメインの店内。入り口近くにはテーブル席もある

店を開店させる前は、同じ場所で丼もの専門店を11年間営んでいた。ラーメンが好きで、ときどき作っては店で振る舞っていたが、市販のスープに手をくわえた程度のモノだった。いつしか、本格的にラーメン作りを学びたいと思い、「プロの為のラーメン塾」でスープのとり方やタレ、油の作り方などを学んだ。

「ラーメン塾の先生方にとって、私は面倒くさくて出来の悪い塾生だったと思います」(佐藤さん)

ところが、帰宅後に塾で教わったとおりにスープを作っても、味にバラツキが出た。何度やってもうまくいかず、そのたびに塾の先生に電話をした。先生に頼んで、神奈川県厚木市のラーメン店で研修させてもらうこともあった。そんな努力の甲斐あって、鶏清湯スープをベースに醤油と塩、味噌、辛口の4種類のメニューを完成させた。

「プロの為のラーメン塾」講師の杉浦正崇さんと

「そんなとき、ラーメン塾で講師を務める杉浦正崇先生が店に来てくださいました。たまたま先生が持参した愛知県産のたまり醤油を試食したとき、幼い頃に食べたきしめんや中華そばの記憶が蘇り、これだ! と確信しました。そして、杉浦先生にアドバイスをいただきながら、一からスープを作り直すことにしました」

杉浦さんはラーメン作り以外に集客のアイデアなども惜しみなく伝えている

杉浦さんは愛知県岡崎市と安城市に「つけめん舎 一輝」を、刈谷市に「半熟堂」を手がけるラーメン職人でもある。
「佐藤さんは正直、ラーメンを作る技術こそまだまだこれからですが、ラーメンに対する情熱は人一倍強い。何よりも、人を惹きつける魅力があります。実際、店を訪れた佐藤さんの友人たちはSNSでガンガンに拡散しています。それがいちばんの強みですね。私たちラーメン塾の講師もLINEで『佐藤さんを助ける会』というグループを作りましたから(笑)」

スープと麺、具材のすべてに存在する理由がある

寸胴鍋の出汁とかえしを合わせてスープを作る

佐藤さんが目指したのは、今までにない新しいタイプの中華そば。スープにチャーシューの煮汁をお湯で割ったり、高山ラーメンのように出汁とかえしを一緒に煮込んだりと、中華そばもさまざま。ココの中華そばの出汁は、鶏ガラや魚介を使わず、豚骨とげんこつ、豚バラ肉のブロックのみ。

たまりしょう油ベースの濃厚なかえし

麺はたまり醤油のスープに負けない中太ストレートの特注麺。佐藤さんがこだわったのは、麺の長さ。ズルズルと麺をすすったときに、いちばんおいしく感じる長さにしたという。そのため、麺の重量は一人前170グラムもある。通常は120~130グラムというから、かなり量が多い。

美しく盛り付けられたチャーシュー

たまり醤油ベースのスープもさることながら、ココの中華そばはチャーシューにも相当こだわっている。チャーシューに使うのは、ダシをとるのに使った豚バラ肉のブロック。タレに漬け込んだ後、ラップに包んでしっとりとした食感に仕上げる。その後、冷蔵庫で寝かせて味を染み込ませる。実に手が込んでいるのだ。

それぞれ異なるブロック肉から切り出したチャーシューを100グラムずつ分けてある

「チャーシューはあまり薄くカットすると盛り付けられないですし、厚すぎると食べているうちに飽きてしまいます。いろいろ試した結果、4ミリに辿り着きました。また、『濃厚チャーシュー中華そば』は、脂身と赤身がバランス良く楽しめるように、すべて異なる形のチャーシューを計100グラムのせています」

懐かしさと同時に新しさも感じる味

チャーシューが少なめの「中華そば」(750円)や麺が大盛になり、半熟玉子も付く「特盛チャーシュー中華そば」(980円)もある

これが名物の「チャーシュー中華そば」(800円)。具材はチャーシューとネギ。実にシンプルだが、ネギが分厚くカットされているのは、スープで温められたときに出る甘みが堪能できるようにとの配慮から。スープと麺、具材のすべてに存在する理由があり、何かが一つ欠けても成立しないのである。

スープと麺、具材の一体感が最高の一杯だ

では、いただきます! 麺をズルズルっとすすると、たまり醤油の香りがふわっと広がって鼻から抜ける。直後に濃厚なコクとほのかな甘みが口の中いっぱいに広がる。どこか懐かしさを感じるのは、私自身がたまり醤油を使った料理に慣れ親しんでいるからだろう。チャーシューもとてもやわらかく、脂身が甘い。ネギにチャーシューを巻きつけたり、スープに浸したチャーシューを「小ライス」(100円)の上にのせて、ミニチャーシュー丼にしてもおいしい。

ラーメンブロガーのイソマックス氏

「一日一麺」を掲げて地元のみならず全国各地のラーメン店を食べ歩くブログ『自由人「イソマックス」は行け!麺!で単車とお城がお好き』のブロガー、イソマックス氏は、
「たまり醤油を使ったラーメンは三河地方や知多半島でたまに見かけますが、どれも香りに重きをおいています。ここまでたまり醤油の味を全面に出した中華そばは未だかつてなかったのでは。懐かしさと同時に新しさも感じるのはそのためでしょう。今後は他の店も同じようなメニューを出してくると思います。ひいては名古屋のご当地ラーメンとして認知されるかもしれません」と、絶賛する。

「ラーメン塾の先生方をはじめ多くの方のおかげで開店できました。本当に感謝しています」(佐藤さん)

隣で話を聞いていた佐藤さんの表情は満面の笑み。そして、
「毎朝6時からスープの仕込みをはじめるので、睡眠時間は毎日3、4時間ですが、楽しくて仕方がないんです。とくにできあがった中華そばを出したときのお客様の嬉しそうな顔を目の当たりにすると本当にやり甲斐を感じます。ありがたいことです」と、語った。「チャーシュー中華そば」に欠かせない調味料は、佐藤さんのあたたかい人柄に違いない。

Yahoo!ロコ濃厚中華そば 佐とう
住所
愛知県名古屋市中区丸の内2-8-25

地図を見る

アクセス
丸の内(愛知県)駅[1]から徒歩約2分
伏見(愛知県)駅[1]から徒歩約9分
久屋大通駅[1(久屋大通駅)]から徒歩約12分
電話
052-222-0191
営業時間
月~金 11:30~14:00,17:30~21:30L.O. / 土・日・祝 11:30~14:00
定休日
2018年内は土・日・祝の夜。2019年以降は未定
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材・文・撮影/永谷正樹

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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