粋な谷中銀座で夕暮れちょい飲みさんぽ【東京商店街グルメ#5】

粋な谷中銀座で夕暮れちょい飲みさんぽ【東京商店街グルメ#5】

2018/11/28

商店街は日常生活の場であると同時に、街歩きも楽しませてくれる包容力を持っている。そんな、最近では海外の旅行者にも注目されている東京エリアの商店街をシリーズでご紹介。第5回は国内外の散歩好きでにぎわう「谷中銀座」と「よみせ通り」を飲み食べ歩いた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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「谷中銀座」&「よみせ通り」ってどんなとこ?

昔ながらの個人商店が中心となる「谷中銀座」

JR日暮里駅や東京メトロ千駄木駅からほど近い「谷中銀座」と「よみせ通り」。最寄り駅からでなく、あえて少し離れた“上野のお山”こと、上野恩賜公園から谷中の寺町を抜け、「夕やけだんだん」と呼ばれる階段の上からアプローチするのも楽しい、散歩好きにも愛される商店街だ。

1990年ごろから始まった散歩ブームの先駆けともなった「谷中銀座」。1996年には松嶋菜々子主演の連続テレビ小説「ひまわり」のロケ地になるなど、全国的に注目されるようになった

全長約170メートルの歩きやすい商店街

台東区と荒川区の境界線に位置する商店街は、第2次世界大戦が終わった1945年前後に自然発生的に生まれたもので、旧国鉄の日暮里駅への通り道として復興した。谷中霊園や上野公園の高台に隣接した谷底のような場所にあるため、散歩をすると「ここからが下町」だと実感する人も多いはず。全長約170メートルと長くはないが、個人商店が中心の約70軒の店はどこも下町らしい魅力であふれている。

旧藍染川(あいぞめがわ)の暗渠(あんきょ)が道路の下を流れる「よみせ通り」は、谷中銀座の散歩コースに組み込む人も多い

もう一方の商店街「よみせ通り」は谷中銀座と接するため、一日で両方の散歩を楽しむ人が多いエリア。文京区と台東区の区境にあたるヘビのように曲がりくねった道は、かつて上野の不忍池に流れ込んでいた藍染川(あいぞめがわ)の名残である。

「谷中銀座商店街」の西の端で「よみせ通り」と交差する。この道を北上すると田端や駒込の商店街へ足を延ばすことができる

藍染川は現在でも通りの下を流れる暗渠(あんきょ)として残っており、江戸時代から積み重なった歴史も感じさせてくれる。両商店街は食べ歩き散歩の聖地として知られているが、最近では“ちょい飲み”が楽しめる魅力的な店が増えているということで、今回はほろ酔いを楽しめるお酒の店を訪ね歩いた。


\飲み食べ歩いた3店はこちら/
1:「アウグス谷中ビアホール 夕やけだんだん店」
2:「越後屋本店」
3:「ビアパブイシイ」
コラム:谷中おつまみ選手権


谷中限定ビールを十人十色のスタイルで

スポット1:「アウグス谷中ビアホール 夕やけだんだん店」

JR日暮里駅方面から「夕やけだんだん」を降りた右脇にある

夕日の美しさに誰もが立ち止まる谷中の名所「夕やけだんだん」。その階段を降りた右手にある「アウグス谷中ビアホール 夕やけだんだん店」の店先には、生ビールのタップがチラリと見える。というわけで、今回の商店街散歩のスタートはこちらに決定!

谷中でしか飲めない限定生ビールだけでも4種扱う

ーーこんにちは、商店街から生ビールのタップが見えるなんて魅力的ですね!

アウグス谷中ビアホール代表・吉田瞳さん
アウグス谷中ビアホール代表・吉田瞳さん
「ありがとうございます。当店は、谷根千のお隣の湯島にあるクラフトビールブランド『アウグスビール』を専門に扱うビアホールです。谷中銀座は昼酒を楽しめる土地柄なので、商店街のおいしいものをテイクアウトのビールと一緒に楽しんでもらうよう、入り口のタップでお出迎えしているんです」

ーー街歩きの1杯目にいいですね。

\駆けつけ1杯/
「谷中ゴールデン」(Sサイズ・ハーフパイント648円)

その名の通り金色に輝く「谷中ゴールデン」。ビールの価格は全銘柄共通で、Sサイズ(ハーフパイント648円)、Mサイズ(3/4パイント972円)、Lサイズ(1パイント1296円)
吉田さん
吉田さん
「では、一番人気のエール『谷中ゴールデン』をどうぞ。江戸時代の谷中は大名屋敷が立ち並び、寺町としてもにぎわっていたそうなので、この土地の持つ歴史に相応しい華やかなイメージで醸造してもらっています」

ーーフルーティで爽やかですが、クラフトビールらしいしっかりとした苦味が効いています。

吉田さん
吉田さん
「ありがとうございます。パイナップルのような果実感のある軽めのボディなのでエール初心者にもファンが多いんです。アウグスビールは大量生産の画一的なビールではなく、飲む人を思いながら丁寧に醸造したいと考えて立ち上げられたクラフトビールブランドなんです」
ゴールデンエールタイプの「谷中ゴールデン」(写真左)と、アンバーピルスナータイプの「谷中ビール」(右)は、どちらも谷中ビアホールでしか飲めない特別醸造ビールだ
吉田さん
吉田さん
「この『谷中ゴールデン』と『谷中ビール』『谷中ビター』『谷中ドライ』の4種類は当店と、谷中霊園を挟んだ上野桜木にある1号店との2つの谷中ビアホールでしか飲めない限定銘柄。それに、アウグスビールの定番『ラガー』『ホワイト』『ブラック』『IPA』を加えた全8種類のクラフトビールを樽生で提供しています」
おみやげにしたいボトルビール(各1本810円)は、組み合わせ自由な3本セットだと専用ケース入りで2250円とオトク
吉田さん
吉田さん
「アウグスビールの定番のほか、谷中の限定ビールのうち『谷中ビール』のみボトルでも販売しています。お昼にテイクアウトを楽しんでくれたお客さんが、帰りがけに戻ってきておみやげに選んでいかれることもあるんです」

ーービアホールには珍しい「和のテイスト」を感じます。

吉田さん
吉田さん
「1号店を立ち上げるとき、谷中の本を読んだり周囲を散策したりしたところ、今も残る歴史風土や地理に恵まれたこの商店街に魅了されました。古民家を改装した1号店と調和させつつ、商店街の雰囲気にも馴染むよう“和モダン”を意識したんです」
店内はカウンターのほか、靴を脱いで楽しむ小上がり席が用意される

ーービールに合わせる料理にも和の要素を取り入れています。

吉田さん
吉田さん
「商店街には食べ歩きのお店がたくさんあったので、地元の名物と共存できる食べ物として佃煮やお新香を中心にビールのお供を選びました」

\昼はランチブッフェがオトク/
「谷中おそうざいBAR」(1080円)

11時から15時まで楽しめるランチブッフェの「谷中おそうざいBAR」(最終受付は14:30まで)
吉田さん
吉田さん
「ランチタイムは私の故郷・新潟産のご飯によく合うおかずを中心に、お味噌汁、サラダ、佃煮などのご飯のお供、デザートがついたブッフェスタイルになります。佃煮は、築地場外で1914年創業の老舗である『築地江戸一』さんから分けてもらっています」
意外なことに佃煮はビールとの相性もバツグン。季節によって種類は入れ替わるため、谷中にいながらにして築地の旬を楽しめる

ーー“1000円のおつまみ盛り合わせ”と考えると、ものすごくオトク感があります。

吉田さん
吉田さん
「食べ歩きを予定しているのでサラダだけ楽しむ方もいれば、佃煮やお新香を肴にじっくり飲む方もいらっしゃるなどさまざま。週末や夜間はブッフェの食材を単品メニューとしてご提供しています」
「地元の方にも、遊びに来た方にも『昼ご飯がうまいから夜も来よう』と思ってほしいんです」(吉田さん)
吉田さん
吉田さん
「おそうざいBARに、鶏のから揚げ、ハムカツ、ビーフコロッケの中からメインを1品追加できる『選べるメインセット(1404円)』もご用意していますので、しっかりとランチを食べたい方はお声掛けください」

\迷ったらこの組み合わせ/
「谷中おそうざいBAR」(1080円)
「テイスティングセット」(972円)

おそうざいBARとテイスティングセットの組み合わせはブランチにもぴったり
吉田さん
吉田さん
「おそうざいBARにおすすめなのが、『谷中ドライ』『谷中ビール』『アウグスオリジナルラガー』をオトクな価格で少しずつ楽しめる『テイスティングセット』(972円)です」

ーーすべてピルスナータイプを選んだ理由は?

吉田さん
吉田さん
「エールの個性が苦手な方もいるので、クラフトビールの中でも口なじみのあるピルスナーからセレクトしました。お好きなものを3種選んでも1080円でお出ししています」

ーーそちらも十分オトクです! それにしても、和の食材でもビールに合う料理ばかりですね。佃煮とダシで作るお茶漬けが昼飲みのシメにぴったりなのも大発見です。

店内には三波伸介氏を偲ぶ写真も飾られる

ーー店内には「笑点」や「減点パパ」の司会で活躍した昭和を代表するコメディアン、三波伸介さんゆかりの品が飾られています。

笑点で実際に使っていた座布団のほか、衣装も展示。笑点で名入の座布団を使っていたのは三波伸介氏だけだったという
吉田さん
吉田さん
「息子さんの2代目三波伸介さんとご縁があるんです。数万点ある初代の遺品を出身地である根津の近くでファンに偲んでもらえないかというお話をいただきまして、入れ替えながら『夢の途中常設展』として展示させてもらっています」
「最近では谷中ビールが一番のお気に入りです」(吉田さん)
吉田さん
吉田さん
「ここは谷中霊園がある高台を降りてすぐの『下町の入り口』のようなお店。商店街散歩や買い物のお供はもちろん、お仕事上がりの1杯を気軽に楽しんでいただければうれしいですね」

クラフトビールを谷中散歩のお供にするのもよし、和のアテでじっくり楽しむもよしの「アウグス谷中ビアホール 夕やけだんだん店」は、谷中銀座でしか味わうことができないビアホールの最新形なのだ。

アウグス 谷中ビアホール 夕やけだんだん店

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


国内外の酒飲みが集う100年酒場

スポット2:「越後屋本店」

昼間は観光客、夕暮れからは地元の常連客でにぎわう

店先に並べた一升瓶のケースに腰掛けて、生ビールや日本酒が楽しめる酒屋「越後屋本店」。谷中銀座の西側の入り口近くにある、この商店街のランドマークである同店の5代目店主・本間俊裕さんに話を聞いた。

店先にはお母さんのスミ子さんの姿も
越後屋本店・本間俊裕さん
越後屋本店・本間俊裕さん
「越後屋本店の歴史は、谷中銀座商店街ができるずっと前の1904(明治37)年に遡ります。新潟出身で酒好きの曽祖父の吉蔵が『自分が酒屋になれば安く飲める』と始めたそうで、ここより北に200メートルほど離れた“安八百屋通り”と呼ばれていた路地で開業しました」

ーー来年(2019年)で創業して115年ですが、酒飲みの考えることは昔から同じなんですね。(笑)

「琥珀エビス」の樽生(400円)が飲める貴重な店でもある
本間さん
本間さん
「このあたりは第2次世界大戦の空襲で焼け野原になりました。商店街は終戦後の1945年ごろ、焼け跡にできた日暮里駅への通り道に自然発生したもので、うちもそのころこの場所に移り、それ以来およそ70年同じ建物で営業してきました」
店先の道路ギリギリに魅力的な酒瓶が並ぶ

ーー店先でお酒を飲むスタイルは楽しそうです。

本間さん
本間さん
「店内で飲める『角打ち』は今でも珍しくないけれど、居酒屋の起源は店先で飲ませていた酒屋だという説もあるくらいなので、昔はこれが当たり前だったようです。この形になったのは20数年前の夏祭りで生ビールを売ったのがきっかけ」

ーーつまみは商店街にたくさんありますしね。

本間さん
本間さん
「そうそう。ビールが大好評で通年で売ることになり、リクエストに応えるうちに冷酒や燗酒、ワインなども出し始めた。そうするとお客さんが増えるので椅子代わりのケースを並べるようになったわけです」

\5代目推しの日本酒はこれ/
磯蔵酒造・稲里 大吟醸 五百万石「風」(カップ500円)

「酒屋も厳しい時代だけど、魅力あるこの商店街ならやっていける」と家業を継いだ、生粋の谷中銀座っ子の俊裕さん

ーー日本酒もたくさん店頭で飲めるんですね。

本間さん
本間さん
「自分が試飲して惚れ込んだ、茨城県笠間市にある『磯蔵酒造』のお酒がおすすめです」
店頭の杉樽には常時6種ほどの日本酒が出番を待つ
本間さん
本間さん
「昔ながらの手作りの製法にこだわっている酒蔵なんですが、あえて茨城の酒とは表示せず、定番人気の浦霞などと飲み比べてもらい『磯蔵ってどこのお酒なんですか?』とお客さんと会話をするところから始めています」
ドボドボっと男らしい注ぎっぷりに期待が高まる

ーーうわー! ずいぶんたくさん注いでくれるんですね。

カップのふちギリギリまで攻める本間さん

ーーこぼれちゃいます!(一口グビリ)

表面張力ばんざい!

ーー大吟醸をあふれんばかりに注いで500円とは安いですね。しかも、ものすごくおいしいです!

本間さん
本間さん
「なかなかいいでしょ? 余計な匂いはしないんだけど、米の味と香りはしっかり出てるいい酒なんです。お手ごろ価格でたくさん飲んでもらえれば、酸化する前のいい状態で提供できるという考えです。推しの酒蔵の日本酒を好きになってくれるきっかけになれば嬉しいです」
夕暮れ時の商店街にはプラコップ入りの大吟醸がよく似合う

ーー海外からの旅行者や、女性のお一人様も多いですね。

本間さん
本間さん
「ここで日本酒を初めて体験する人も少なくないので、質の低いものは出したくないんです。商店街や地元の常連さんが、初心者にもさり気なくマナーを教えてくれるので、放っておいてもみんなで楽しそうに飲んでいますよ」

\外国人さんいらっしゃい/

「日本のビール?最高だよね」と話す訪日外国人のお客さん
NYからやって来た4人組。左からFrankさん、Markさん、Katieさん、Stefanieさん。訪日3回目のStefanieさんが日本で気に入っているのは「電車が時間通りに来ること!」だそう

ーーこの店はどうやって知りました?

Markさん
Markさん
「谷中を歩いてたら偶然見つけたんです」
Katieさん
Katieさん
「日本のビールや屋外で飲めるカルチャーって大好き(笑)」

ーーお米のお酒(ライスワイン)は飲んでみました?

Stefanieさん
Stefanieさん
「NYで“SAKE”のことをライスワインなんて言う人はもういないわよ(笑)」
路地目線で暮れゆく商店街を眺めるのもオツ
Frankさん
Frankさん
「エビスを飲み干したら大吟醸を試してみるつもりだよ」
本間さん
本間さん
「女性の方がチャレンジ精神旺盛なのか、個性的な日本酒を頼む方が多いですよ」

「食べ物も売れば儲かると冗談で言われることもありますが、そこは酒屋らしくお酒で勝負したい」と話す本間さん。正月には七福神巡りの参拝客のために樽酒を販売するとのこと。商店街全体を楽しませてくれる太っ腹の屋外酒場、覚えておいて損はない。

越後屋本店

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


人とビールの心地よい距離感

スポット3:「ビアパブイシイ」

路面店から移転して1階がカウンター、2階がスツールと長椅子席の構成となった

谷中銀座の西の突き当りにあるよみせ通り。活気ある昼間とは違う静けさが広がる通りを北に進むと見えてくるのが「ビアパブイシイ」だ。2013年4月によみせ通りの谷中側で開業し、現在は千駄木側に移転して営業している。

ビアパブイシイ店主・石井寛之さん
ビアパブイシイ店主・石井寛之さん
「20数年前にイギリスを旅したとき、ドーバーで入ったパブでの体験がこの店を始めるきっかけの一つなんです」

ーーパブはイギリス文化・夜の部の代表ですもんね。

1階カウンター席は店主・石井さんとの会話を楽しめる特等席だ
石井さん
石井さん
「いい若モノが昼間からサッカーゲームに興じていたり、近所のお年寄りがちびちびとギネスを啜っていたりする、日常に溶け込んだ酒場に憧れたんです」
奥さんの地元を開業の地に選んだ店主の石井寛之さん

ーーよみせ通りにお店を出した理由は?

石井さん
石井さん
「妻がこのあたりの出身で今は私も住んでいるんですが、歩いて通える場所で働きたかったのでこの商店街を選びました。地味だけどおいしい定番ビールを淡々と飲んでもらえる、地元の方が日常生活の一部に組み込んでくれるような店にしたかったんです。それはともかく1杯いかがですか?」

\1杯目はこれ/
忽布古丹(ほっぷこたん)醸造
「Eat the HOP IPL」(パイント1300円)

ビール好きが高じて常連からスタッフにシフトしてしまった「あやや」さん
石井さん
石井さん
「国内のクラフトビールの樽生を、常時4銘柄提供しています。クラフトビールはエールタイプが多いので、ラガータイプ(ピルスナー)の『ハートランド』(Lサイズ800円、Sサイズ500円)の樽もつないでいます」

ーーどれから飲んでいいか迷ってしまいます。

石井さん
石井さん
「軽いものから飲み始めるという基本セオリーはあります。ですが、どのビールにも醸造家の特徴が何かしら反映されています。だから、その日の気分で一番飲みたいものを選べばいいと思いますよ」

ーーそれでは忽布古丹醸造の「Eat the HOP IPL」をお願いします!

樽の回転が早く料理も日替わりなのでメニューは毎日更新される。次につなぐ予定の待機樽も載せているので、はやく飲みたい常連さんが一致団結して残りの樽を空にすることも

ーー疲れた喉にいい刺激がきて最高です。アルコール度数6.3%と強いビールですが、1杯目に選んで正解でした。

石井さん
石井さん
「ビールは飲んでただ楽しめばいいと思うんです。だからウチはビールがお好きなら気になった銘柄を1杯飲んでいけば?というスタンスなんです」
巨大なパイを切り分け始める石井さん

ーーそのパイおいしそうですね。

石井さん
石井さん
「仕入れにいった八百屋さんで見つけた『信長ネギ』がおいしそうだったので、英国風のリークパイでも久しぶりに出してみるかと、復習を兼ねて作ってみたんです。食べます?」

ーーいただきます!

「チキン&リーク(長ネギ)パイ」(1000円)

鶏モモ肉と長ネギがたっぷり入ったボリューミーなパイ

ーーこの大きさで1人前なのはうれしいです! 和の食材の長ネギを使ってますが、肉系のパイは英国っぽくていいですね。

石井さん
石井さん
「好きな言葉は『大盛り』なんです」

ーーとはいえ、パイ生地にもこだわってそうです。

石井さん
石井さん
「パイシートは近所のスーパーで買ってきました。基本的に料理は何一つ特殊なことはしてません。うちは料理屋じゃなくてビール屋なので!」

\シャクシャク感が止まらない/
「くわいの素揚げ」(500円)

「芽が出る」縁起物のクワイの素揚げ。「まるごと食べると芽はカリカリ、実はシャクシャクでおいしいですよ」(スタッフ・あややさん)

\(ほぼ)レギュラーメニューはこれ/
「豚のリエット」(600円)

塩水に漬け込んだ豚のモモ肉を、玉ネギなどと一緒に水とワインで煮込んだもの。「日替わりのフードの中でも、比較的定番化しています」(石井さん)

ーーどの料理も本当にうまいです。

石井さん
石井さん
「でもウチはビール屋なんです!(2度目)。お腹が空いてればたくさん食べればいいし、ハーフパイントを1杯だけ引っ掛けて帰ってもいい。今では常連さんに恵まれていて、『開業直後はガラガラで心配だったよ』と笑い話にできるようになった。ここでお店を開いて本当に良かったと思います」
「省スペースで安上がり」をテーマに石井さんが考案した、業務用冷蔵庫ベースのビアサーバー。オリジナルサイズのステンレスの鉄板や、アメリカから取り寄せたパーツで組み上げたもの

\2杯目いってみよう/
忽布古丹醸造「Evocative IPA」(パイント1300円)

USサイズより大きな568mlのUKのパイントグラス(ハーフは284ml)で提供される

ーー先ほどいただいた忽布古丹醸造のIPLが気に入ったので、同じ醸造所の「Evocative IPA」をお願いします! 

石井さん
石井さん
「そいう飲み方もありですね。その日につないであるビールを成り行きで楽しむくらいがちょうどいいんです」

ーーアルコール度数7.2%と力強く、IPAらしくしっかりと苦味が効いてますが、奇をてらわない安心感がありますね。ところで、先ほどから女性の1人客が入れ代わり立ち代わりかっこよくビールを飲んで帰っていきますね。

石井さん
石井さん
「常連さんにはお一人でいらっしゃる女性も多いです」

\常連さんに魅力を聞いてみた/

「写真は手元だけでね」という制約でむしろドキドキ感が高まる結果に

ーー常連さんが考えるビアパブイシイさんの魅力を聞かせてもらえませんか?

常連女性(既婚・美女)
常連女性(既婚・美女)
「顔は出さないでもいいですか?」

ーーもちろんですが、またどうして?

常連女性
常連女性
「住まいが近所で旦那もこの店が大好きでなんですが、平日に1人で通ってることは内緒なんです

ーーなるほど!

\パブ系メニューもお忘れなく/
「フィッシュ&チップス(ホッケ)」(1000円)

「かつてフィッシュ&チップスは『まずいイギリス料理』の象徴でしたが、近年のイギリスでは“ガストロパブ”と呼ばれる料理が売りのパブなども登場。フィッシュ&チップスも格段に進化しています」(石井さん)
常連女性
常連女性
「この店で一番好きなのは、石井さんの客あしらいが付かず離れず絶妙なところ。1人でいても気を使わなくて済むんだけど、かといって寂しさを感じることもない。そんな贅沢な時間を過ごして気分を切り替えられる空間はここ以外にないですね」
石井さん
石井さん
「自分の名前を屋号にしておいてなんですが、できるだけ“石井っぽさ”はなくしていきたいんです」

ーーそれ多分もう無理ですよ。(笑)

2階はスツールと長椅子席なのでよりゆったり飲みたいときに

ーービアパブを楽しむマナーってありますか?

石井さん
石井さん
「ビールは楽しい飲み物なのでうるさいルールは言いっこなし。でも、一つだけ店の勝手を言うと、5人以上の団体はお断りすることが多いんです」

ーーどうしてですか?

石井さん
石井さん
「ふらりと店に足を運んでくれた1人客の居場所を必ず用意しておきたいんです」
カウンターのお客さんと会話しながらもすばやく料理や仕込みをこなす石井さん
石井さん
石井さん
「よみせ通りは谷中銀座ほど観光地化されてないので、個性的な個人店を受け入れる土壌がある。商店街に出店したいと思っているなら、修業してからではなく今すぐに動き出した方がいいよと若い方には言いたいですね。(笑)」

ビアパブ イシイ

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


というわけで、飲んで食べて大満足の商店街散歩も無事終了。今回訪れた2つの商店街は、台東区、荒川区、文京区と3つの区にまたがるが、ぎゅっと密集しているので歩いて楽しむのにちょうどいい。ぜひ自分のお気に入りの居場所を見つけに散策に出掛けてほしい。

【商店街コラム】
越後屋本店でペアリング!?
谷中おつまみ選手権

どのお店も食べ歩き対応のパッケージで販売してくれるのも嬉しい

商店街のお楽しみといえば惣菜の食べ歩き。

写真右上から時計回りに「肉のすずき」「初音家」「丸初福島商店」「千駄木腰塚」

そこで、食べ歩き系商店街の代表である谷中銀座&よみせ通りで編集部員が見つけた“おつまみ”を越後屋本店に持ち込んで、合わせて楽しみたいお酒について伺った。

おつまみその1:肉のすずき
「元気メンチカツ」(230円)

細かくひいたパン粉であっさりした味わい
越後屋本店・本間さん
越後屋本店・本間さん
「1933年創業の老舗お肉屋さんのメンチカツですね。A-5ランクの最高級の牛肉の切れ端をミンチにした贅沢なもので、牛肉100%のひき肉に玉ネギの甘味にコショウが効いているので何もつけなくてもおいしい。これはもう琥珀エビスの生ビールで決まりですね」

おつまみその2:初音家
「ちくわのいそべあげ」(50円)
「紅しょうが天」(90円)

冷めてもおいしいので、お酒と一緒に買い込んで宅飲みを楽しむのもまた良し
本間さん
本間さん
「約20種類の揚げたて天ぷらが楽しめる初音家さんの2大定番できましたね。食べ歩き用に醤油とお塩を好みで添えて楽しみます。磯蔵酒造の大吟醸(500円)かスーパードライ(350円)が王道ですが、塩なら長野の無添加ワインの白(400円)も辛口なのでよく合います」

おつまみその3:丸初福島商店
「焼かき(たれ)」(280円)
「焼ほたて」(260円)

照りよく仕上げられた贅沢なおつまみだ
本間さん
本間さん
「貝類や川魚のお店『丸初福島商店』さんの焼き物は谷中通の選ぶおつまみです。冬にかけておいしくなる期間限定の牡蠣にはやはり日本酒。それも熱燗(450円)がいいですね。飲みごたえのある日本酒がお好みなら、茨城の酒米『ひたち錦』で仕込んだ深みのある磯蔵酒造の純米酒『山』(500円)も試す価値ありです」

おつまみその4:千駄木腰塚
「ルーベンサンド」(572円)

肉料理好きの間では伝説的な人気を誇るコンビーフがぎっしり
本間さん
本間さん
「手でほぐした肩バラ肉の名物コンビーフをたっぷり挟んだサンドイッチも人気のおつまみです。しゃきしゃきのキャベツも入っているので白ワインでもいけますね」

「ウチは酒屋なので、おつまみの持ち込みは大歓迎。容器を回収するまでが越後屋の仕事なんです」と笑う本間さん。中には甘い焼き菓子系をワインに合わせて楽しむ人もいるのだそう。お気に入りのおつまみを見つけに谷中散歩を楽しんでみては?

肉のすずき

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

天ぷら 初音家

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

丸初福島商店

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

千駄木 腰塚

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


取材メモ/谷中銀座とよみせ通りの最寄り駅は日暮里と千駄木ですが、西日暮里から歩くと浮世絵の舞台になった道灌山や日暮里諏訪野台、富士見坂などの名所を通り抜けられるのでおすすめです。

構成・取材・文・写真=杉山元洋

次回、12月12日(水)は「浅草、仲見世・新仲見世」を公開予定!

世界中の旅行者を魅了する浅草の仲見世と新仲見世をご紹介します

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