札幌の辛いもの好きが太鼓判! 「ラータン」の秘密を探る

特集

冬は辛ウマグルメで芯から温まる!〜札幌・名古屋・大阪・福岡〜

2018/12/14

札幌の辛いもの好きが太鼓判! 「ラータン」の秘密を探る

気軽に入れる敷居の低さと、安くておいしい中華料理が味わえると評判の「玉林酒家(ぎょくりんしゅか)」。そこには辛いもの好きならぜひ挑戦してほしい名物料理「辛湯(ラータン)」がある。その人気の秘密を探った。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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本場の味を楽しめる普段づかいできる名店

これぞ中国!という印象のまぶしい赤に目を奪われる

北海道民は昔から、とろみのあるあったか料理で体を温めてきた。その証拠に、かつて炭坑で栄えた芦別市には「ガタタン」、港町の小樽市には「あんかけ焼きそば」といったソウルフードがある。

2000年代、とろみに“激辛”がプラスされた最強のメニューが東区に現れた。激辛好きの間で話題になっている「玉林酒家」のラータンだ。

地下鉄東豊線・栄町方面に乗車し、終点の栄町駅で下車。2番出口を出て、写真奥のイオン札幌栄町店側へと歩く
2分ほど歩くと右手に赤い扉と看板が見える。店舗前に駐車スペースがある分、歩道から引っ込んでいるので、見落とさないように!

このエリアは、タマネギ栽培が盛んだった場所で、今では畑が住宅地に変わり、一戸建てやファミリー向けのマンションが建ち並んでいる。丘珠空港やさっぽろ雪まつりの会場の一つ「つどーむ」にも近い。

札幌駅からは地下鉄で約12分だが、出口から店まで徒歩2分と駅近。ただし、昼は平日でも混むので注意が必要だ。

中国にある食堂を札幌にも!

オーナーを務める中井真里子さんは、かつて中国旅行を専門とする旅行会社に勤務していた。中国のおいしい店を知り尽くし、中国語も堪能だ。その会社を退職し、中国とは関係ない仕事をしていたが、毎日のように食べていた中華料理が恋しくなってしまったそう。

太陽のように明るい中井さん
オーナー 中井真里子さん
オーナー 中井真里子さん
「日本風にアレンジされた中華料理ではなく、本場の味が忘れられなかったの。でも、札幌にはふらりと入れる食堂のような店がなくて……。じゃあ、自分でつくっちゃおう!というのが始まりで、その半年後にはオープンしたの」

中井さんが求める本場の味を提供するために、料理人は中国から呼び寄せた。開店からまもなく18年目を迎えるが、“日本の中華料理店で働いていた人”を一度も採用したことがないそう。「中国にいる知り合いから『日本で働きたい人がいる』と連絡を受ければ、中国まで面接に行くの」と中井さん。

「いい男でしょ〜」と中井さんが厨房から連れてきてくれたのは、料理長の閻(エン)さん。

中国中央部に位置する大都市・西安市出身の43歳。同店で働いて11年になる

閻さんに中国と日本の違いを教えてもらったところ、舌が肥えている中国人は新しい味を求めているそうで、料理長クラスになると3日に1品のペースで新作メニューを考案しなければならないという。

料理長 閻さん
料理長 閻さん
「それに対して日本人は定番の麻婆豆腐やエビチリを好むので、新作を出しても注文する人が少ないんです。だから、オーナーからも新作を考えなくていいよと言われています」

中毒性がある「ラータン」とは!?

ラータンは、一言でいうなら豚肉と白菜の辛い煮込み料理。中国では水煮(スイジュウ)と呼ばれており、四川料理の基本としてどこの店にもある定番料理だ。日本でも「水煮肉片」、豚肉の代わりに牛肉を使う「水煮牛片」、魚を使う「水煮魚片」という名で提供する店はある。

オーナー 中井真里子さん
オーナー 中井真里子さん
「日本人は“水煮”の文字だけ見ると、あっさりした味の料理を思い浮かべてしまうだろうと思って名前を変えたの」

「ラータンは調理しているところもおもしろいの。ぜひ見ていって」と中井さんに教えられ、調理中の様子も撮影させていただいた。

ベースとなるのは豚丸骨(げんこつ)のスープ。そこに調味料やたくさんの白菜、豚ロースを入れて煮立たせる
水溶きかたくり粉を入れてとろみづけ
器に移した後、細かく刻んだ唐辛子を山盛りにのせて、仕上げにアツアツに熱したラー油をかける。ジューッと音を立て、唐辛子がパチパチと焼けていく。これによって味が一つにまとまるそう

\完成/

辛湯[ラータン](1004円)

激辛といわれるだけあり、口に入れた瞬間から辛さが伝わり、さらに後から追いかけてくる辛さもある刺激的な味。それ故に豚肉と白菜本来の甘みが引き立ち、さらにコクやうま味も感じる。それは豆板醤(トウバンジャン)、豆鼓醤(トウチジャン)、甜麺醤(テンメンジャン)などのほか、4種類の唐辛子をたっぷり使っているから。

うどんと、きしめんの中間のような白麺

しかし、完食するには何かワンクッションになるものがほしくなる。そんなときにおすすめなのが、白麺(パイメン)だ。小麦粉を水で練った生地を、湯の沸いた鍋に包丁で削り落としながら入れてゆでたもので、いわゆる刀削麺(トウショウメンまたはトウサクメン)。同店ではゆでただけの麺を「白麺」と呼んでいる。

真っ白な麺があっという間に真っ赤に!「麺とはいえ、すすらないほうがいいですよ」と中井さん(すすらないように食べてもむせたので、すするとダメージがさらに大きくなります)

このほか、水餃子を入れるのもよし、ライスと一緒に食べるのもよし。なお、写真のサイズは3〜4人でシェアして食べる人が多いそう。1〜2人で食べるならプチラータン(842円)を注文しよう。

酒にも合う必食グルメ2品

壁に貼られたメニュー表はスタッフによる手描きイラスト付き。火鍋刀削麺のイラストは中井さんが描いたもの

同店にはもちろんチンジャオロースーや酢豚といった定番料理もあるが、ほかにも辛い料理を食べたいです!とお願いして作ってもらったのがこちら。

\食感と辛さにやみつき!/

ラーズジー 鶏と唐辛子(1134円)

揚げた鶏肉と2種類の唐辛子、ニンニクの芽などを、四川料理に欠かせない花椒(かしょう)などの調味料と一緒に炒めた四川料理。細い唐辛子は辛く、太い唐辛子はサクサクの食感が特長で辛みはほとんどない。

オーナー 中井真里子さん
オーナー 中井真里子さん
「これはサクサクの食感、辛さ、香りを楽しむ料理なの。中国ではもっと唐辛子が入っていて、酒のつまみとして人気なのよ」

もう1品、辛い料理ではないが道産子として気になるメニューを発見した。

\日本テイストをプラス!/

とりから揚げザンギ風(788円)

中国では下味に豆鼓醤、塩、ショウガ、ニンニクなどを使うが、日本人、そして濃い味付けを好む北海道の人に合わせて、しょう油と砂糖を加えている

オーナー 中井真里子さん
オーナー 中井真里子さん
「しょう油は日本人にとって家庭料理を思い出させる懐かしい味。砂糖は甘くするというよりも酸味を抑えるために使っています。中国では料理にたっぷり砂糖を使うことはないんですよ」

中井さんは今でも年に3回は中国へ行き、本場の味をリサーチしている。今、中国で流行っているものを取り入れることもあるそう。

店内の装飾品も中国に行ったときに買ったもの。定期的に新しいものに変えている

オーナーも予想外! ラータンにハマる人たち

席数は65席あるが、ランチタイムはご覧の通り満席に。カウンター席はないが、お一人様の姿もあった

ボリュームのある中華料理は男性のご用達と思いきや、女性のリピーターも多いそう。中井さんからはこんなエピソードも聞けた。

オーナー 中井真里子さん
オーナー 中井真里子さん
「辛いものが大好きな妊婦さんが、赤ちゃんを産むまではラータンを食べるのを我慢していたそうです。赤ちゃんを産んで4日目に、やっと食べられる!と退院後すぐに食べに来られたんですよ」
ボトルキープならぬ、紹興酒の甕(かめ)をキープしていく女性も多いそう

今日が2回目の来店という30代・会社員は「職場の上司が辛いもの好きで、この店を紹介してもらったんです。初回でラータンの辛さに衝撃を受け、今日は同じく辛いもの好きの人を連れてやってきました。うま辛でクセになります!」

「もう一口お願いします」とねだるライターのために辛さに耐えて食べてくださった男性(この場を借りてお礼申し上げます)

多いときで1日70食も出るラータンは鍋を持参すれば持ち帰ることも可能で、家でラータンパーティーをする人もいる。

オーナー 中井さん
オーナー 中井さん
「中国にはこんなに辛いものがあることを知ってほしくて、開店当初から提供していますけど、日本人には辛すぎて好まれないと思っていたんです」

中井さん自身も店の名物になるとは予想していなかったラータン。札幌市民がとりこになってしまう味を、ぜひ味わってほしい。

ちなみに、唐辛子は体を温めるが、汗をかいたまま外に出ると、今の時期は逆効果なのでご注意を!

Yahoo!ロコ玉林酒家
住所
北海道札幌市東区北四十三条東16-1-10

地図を見る

アクセス
栄町(北海道)駅[1]から徒歩約2分
新道東駅[1]から徒歩約14分
百合が原駅[出口]から徒歩約24分
電話
011-784-5668
営業時間
月~日 11:00~14:00,17:00~23:00
定休日
毎月第1月曜日、毎月第3月曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材メモ/この店で一番辛いメニューを伺うと、四川春雨だそうです。なんとラータンではなかった! 次回プライベートで食べてみたいと思います。

取材・文=山下晴美(みんなのことば舎)、撮影=若松和正

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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