その土地ならではの食材や料理を味わうのが、旅グルメの醍醐味(だいごみ)。実り豊かな糸島から届く旬野菜を、“これでもか!”とふんだんに使ったフレンチ、欧風料理を楽しみませんか?
Yahoo!ライフマガジン編集部
今日の主役は、絶品の糸島野菜!
“糸島ブランド”として、今や全国的な人気を誇る福岡県糸島エリアの減農薬、有機栽培野菜たち。北西には玄界灘、南部には脊振山や雷山を有する肥沃な土壌で育まれた、色濃く、くっきりと力強い味わいが魅力です。
福岡市内には糸島野菜を使う飲食店が数多くありますが、今回ご紹介する『食堂シェモア』ほど糸島野菜に惚れ込み、野菜を生き生きと表現してくれるお店はそうそう見当たりません。
穴場エリアにひっそりたたずむフレンチ食堂
訪れたのは、閑静な住宅街、優良学区としても知られる城南区・鳥飼。福岡市の中心部・天神から車で約15分、地下鉄七隈線「別府駅」より徒歩3分という程よい距離感で、知る人ぞ知る穴場店が点在するエリアです。
「フレンチ」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、ここは“食堂”と冠してある通り、ランチは1300円〜、ディナーは3000円〜とお値段も雰囲気もいたってカジュアル。木の温もりを生かした店内には、ゆったりとくつろげるテーブル席、お一人様も気軽に立ち寄れるカウンター席に加え、奥には家族連れや団体で利用できる個室(4〜8名・要予約)も備えています。
糸島野菜に惚れ込む 腕利きシェフ登場!
「いらっしゃいませ!」。井手和行オーナーシェフが、カウンター越しからにっこりと声をかけてくださいました。
『食堂シェモア』の自慢は、契約農家直送や井手シェフ自ら直売所で買いつける減農薬、有機栽培の糸島野菜たち。新鮮な野菜はそれだけでも十分においしいものですが、そこへさらにひと手間、ひと工夫。香りや食感、甘味、苦味、酸味、塩味…と、とりどりに弾ける野菜の個性を引き出します。
ディナーメニューはコース(3000円〜)に加え、気軽に楽しめるアラカルト(600円〜)も用意。グラスドリンクとサラダオードブル、本日の1品がセットになった「シェモアの晩ご飯」(2000円 ※カウンター席・平日数量限定)も用意されています。
- 井手シェフ
- 井手シェフ
- 「何はともあれ、“百聞は一食にしかず”ですよね。 今夜のオススメをぜひ食べてみてください。こちらは玄界灘産スズキのポアレで、糸島産フェンネルのクリームソースを添えています」
料理が運ばれた瞬間、テーブルはパッと華やかに! 「スズキのポアレ」と言いながらも、魚に負けないほどの野菜がふんだんに盛り込まれています。
スズキの身はプリッと肉厚で、ムール貝のうまみが溶け込んだフェンネルのクリームソースも絶品。葉野菜の歯触りやほのかな苦味が時折弾け、スズキのおいしさを引き立てます。
- 井手シェフ
- 井手シェフ
- 「続いてはローズマリーなどのハーブと漬け込み、サクラのチップで燻した糸島豚の自家製スモークです。糸島豚の脂身はとっても甘味があって、これを野菜と一緒に食べるのが格別なんですよ」
肉料理とはいえ、こちらもお肉が埋もれてしまいそうなほどにお野菜がたっぷりです。赤チコリ、ブロッコリーにロマネスコ、紫イモ…、その数なんと15種類以上!
自家製スモークは、表面がガリっと香ばしく身はむっりとジューシー。野菜はオリーブオイルやハーブと共に蒸し焼きにして甘味を引き出したり、サッとボイルして食感を生かしたり、それぞれの特徴、個性に合わせて調理を施しています。「これはどんな食感?甘い?香ばしい?」なんて、一口ごとに楽しみは尽きません。
まるでアート!? 色、味とりどりのランチもスゴイ!
ディナーはもちろん、ランチだってお野菜パワー全開です。こちらは、直径30cmほどの大皿に約10品もの料理を盛る「プレートランチ」。根菜をさつま地鶏で巻いたバロティーヌや里芋のオムレツ、トロトロ野菜のミネストローネ、ナッツとコリアンダーのアクセントが効いたギリシャ風マリネなど、野菜の持ち味を引き出した調理やアレンジに大満足です。
これほど野菜にこだわるのはなぜ?
- 井手シェフ
- 井手シェフ
- 「高校を卒業して料理人を志し、山口県や関西のホテル、東京や福岡のレストランでも経験を積みました。肉も魚も大好きだけど、何より野菜はその土地の特徴が出るし、実に個性豊かで面白い。調理によって味、食感、色も様々に表現できるし、僕はそんな野菜の“変化”を楽しみたいと思ったんです」
- 井手シェフ
- 井手シェフ
- 「修業先は県外が主でしたが、いずれは地元・福岡に戻る決意をしていました。僕が20代の頃はちょうど鎌倉野菜がブームでしたが、福岡出身の僕が福岡で店をやるなら、地元の食材を生かさないでどうする!と考えまして。そんな折に出会ったのが、糸島野菜だったんです」
- 井手シェフ
- 井手シェフ
- 「今から10年以上前、糸島は今ほど注目されていませんでしたが、その頃から変わらず力強くおいしい減農薬、有機野菜の宝庫でした。出勤前や仕事が休みの日には農家の方の元へ通い、直売所へ顔を出し、畑のこと、野菜のことをたくさん教えていただきました」
- 井手シェフ
- 井手シェフ
- 「快く迎えてくださった農家の方々、お一人お一人に感謝は尽きません。契約させていただく農家さんは1軒、2軒と増え、交流、ネットワークもだんだんと広がり、今では6、7軒ほどの農家さんにお世話になっています。畑の恵みを丸ごと、生産者の方の思いも丸ごと伝えたい!と思えば思うほど、皿の上に盛る野菜の種類は増えていく一方ですね(笑)」
また、味わいだけではなく、見た目の彩りや美しさへのこだわりにも理由があります。
- 井手シェフ
- 井手シェフ
- 「実は、僕の父もフランス料理のシェフなんです。父の背中を見て育ち学んだことは、おいしいもの、外食は人生を豊かにしてくれるということ。レストラン、洋食って小さな非日常を与えてくれるものだと思うんです。そんなちょっとした特別感を感じて欲しいので、見た目の彩り、盛り付けにも手は抜けません」
- 井手シェフ
- 井手シェフ
- 「父の店は今年で創業30年目。店の名は同じ『シェ・モア』。尊敬を込めて同じ名前を使わせてもらいつつ、幼い子供からご年配の方、お一人様でも気軽に立ち寄れる店を目指して、“食堂”を付け加えました。外食は子供の社会勉強の場でもあると思うので、子供連れで立ち寄りづらい堅苦しい店にはしたくなかったんです」
子供から大人まで愛される味と空間
そんな井手シェフの想い通り『食堂シェモア』には、家族連れで訪れるゲストも多数。毎月必ずディナーに訪れるというKさんご家族に、イチオシコメントをいただきました。
- 常連のKさん
- 常連のKさん
- 「味は高級店に負けないほどハイレベル! それなのに、雰囲気もお値段も、井手シェフの人柄も気取らずアットホーム。フレンチといっても油っぽくないし、これほど野菜のおいしさを余す所なく楽しめるお店は他にないと思っています。また、パスタにも野菜がしっかりと使われていて美味。うちの子はシェモアさんのパスタが大好物です」
- 井手シェフ
- 井手シェフ
- 「僕の店は今年で創業7年目。ここまでこれたのは、ご近所の方、遠方から来てくださる方、そして生産者の方々のおかげです。これからもより一層力を入れて、糸島野菜のおいしさを伝えていきたいです」
ラーメン、モツ鍋、水炊き…。福岡名物は数多くあるけれど、次の旅はぜひ、福岡の風土を感じられる『食堂シェモア』の野菜料理をどうぞ。香り、食感、甘味や苦味…、きっと野菜の新たな美味しさに出会えるはずです。
取材メモ/コストパフォーマンスが素晴らしすぎるがゆえ、いつもランチの取材ばかり受けていただいていた『食堂シェモア』さん。ようやく、ディナーのご紹介ができました! 個人的にはランチよりもゆったり、じっくり時間と料理を楽しめるディナーがオススメです。
構成=シーアール 取材・文=森絵里花(écris.m)、撮影=長﨑辰一
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