浅草の“止まり木”で出会う人情の味【東京商店街グルメ#6】

特集

東京商店街グルメ

2018/12/12

浅草の“止まり木”で出会う人情の味【東京商店街グルメ#6】

商店街は日常生活の場であると同時に、街歩きも楽しませてくれる包容力を持っている。そんな、最近では海外の旅行者にも注目されている東京エリアの商店街をシリーズでご紹介。第6回は江戸のにぎわいを今に伝える浅草の「仲見世」と「新仲見世」を食べ歩いた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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「仲見世」「新仲見世」ってどんなとこ?

年間延べ約3000万人が参拝に訪れる浅草寺。そのシンボル「雷門(風雷神門)」が仲見世の入り口だ

推古天皇36(西暦628)年の3月18日の朝、当時「宮戸川(みやこがわ)」と呼ばれていた隅田川の兄弟漁師・檜前浜成(ひのくまのはまなり)と竹成(たけなり)の網に木の像が掛かった。2人は漁を続けるため像を川に戻すものの、繰り返し網に掛かるのを不思議に思い木像を里の賢者・土師中知(はじのなかとも)氏に見せたところ、観音様の像であることがわかったため、礼拝供養されることとなった。

参道の北端にある「宝蔵門(ほうぞうもん、通称・仁王門)」と「五重塔」。その奥の浅草神社には、土師中知、檜前浜成、竹成が“三社様”として祀られている

その後、土師氏は僧侶となって観音様を祀るお堂を自宅に建て、それが長い年月を経て浅草寺となった。今回紹介する「仲見世(なかみせ)」は、その浅草寺の参道である雷門から仁王門へと続く約250メートルの通りにある商店街だ。

門前町らしい長い伝統を守る老舗のおいしいものが楽しめる(写真は「舟和仲見世3号店」)

浅草寺は飛鳥時代をはじめ、鎌倉、室町の武将たちから厚い信仰を集めた。江戸に幕府が開かれると町人の参拝者が急増したため、寺の掃除などを行っていた近隣の人々に参道での出店が認められ、茶屋やみやげ物を商う門前町が誕生。現在では89の店舗が軒を連ねている。

地元では「しんなか」の愛称で呼ばれる「新仲見世」は、東武浅草駅前から公園六区という、浅草随一の繁華街を東西につなぐ商店街だ

一方の「新仲見世(しんなかみせ)」は、松屋浅草の正面から公園六区へと抜ける約380メートルのアーケード式商店街。仲見世をはじめ、「馬道通り」「オレンジ通り」「公園通り」「すしや通り」などの商店街とも交差する、大繁華街浅草の背骨のような存在となっている。

仲見世・新仲見世周辺には東京スカイツリーを眺めることができるスポットも

どちらの商店街も幾多の災害や戦災を経験したが、何度も復興しおよそ1400年続くにぎわいを今に伝えている。今回は世界中の人々を惹きつけるパワースポットである浅草で、散策の休憩や食事で立ち寄りたい “止まり木”のように心安らぐ名店を食べ歩いた。


\飲み食べ歩いた3店はこちら/
1:「舟和 仲見世1・2・3号店」(仲見世)
2:「カフェ・ド・ラーク」(新仲見世)
3:「銀座ブラジル浅草店」(新仲見世)
コラム:「教えて! ニッポンで食べたうまいもの」


SNSで密かにバズる浅草の老舗

スポット1:「舟和 仲見世1・2・3号店」

仲見世に3店舗を構える「舟和」。外国人旅行者の認知度も高い

明治35(1902)年創業の和菓子の老舗「舟和」。芋ようかんや煉(ねり)ようかん、みつ豆など、甘味好きなら味わったことのある人も多いはず。今回の商店街散歩は、浅草寺参道の仲見世にある「舟和」の3店舗から始めることに。

「浅草には新仲見世の本店とここ仲見世の3店舗に加え、雷門沿いの『雷門店』、地下鉄浅草駅近くの『ふなわかふぇ浅草店』があります」(仲見世店店長の青木正美さん)

ーー芋ようかんを初めて製品化した舟和さんは、浅草が発祥の地と聞いています。

舟和仲見世店店長・青木正美さん
舟和仲見世店店長・青木正美さん
「ありがとうございます。現在も本店がある、新仲見世とオレンジ通りが交差する場所で創業しました。芋ようかんは弊社の創業者の小林和助が、和菓子職人の石川定吉氏と一緒に考案したものです」
明治後期の本店の様子。『舟和』の屋号は石川氏の出身地『船橋』と創業者の『和助』から1文字づつとったもの。喫茶スペースは「みつ豆ホール」と呼ばれ、喫茶店で初めてみつ豆を提供した
青木さん
青木さん
「当時煉(ねり)ようかんは大変高価だったので、身近なサツマイモを使い工夫を重ねて生まれたのが芋ようかんでした。今も当時と変わらぬ手法を守り、無添加で製造しています」
本店は現在も創業の地である新仲見世で営業。「みつ豆ホール」の意匠を取り入れた1階は売店、2・3階はカフェとなっている

ーー仲見世に3店も出している理由は?

青木さん
青木さん
「ここ仲見世は東京で最も人通りが多い場所の一つですので、本店とは別にアンテナショップとして出店する老舗が多いんです。仲見世の店舗は浅草寺から近い順に、定番品を扱う『2号店』、洋風のスイーツを扱う『3号店』、舟和ゆかりのおみやげがそろう『1号店』となります」

\定番商品は2号店で吟味/

老舗感を大切にしている2号店は「和の文化」を求める外国人旅行者にも大人気

ーー参道はものすごく混み合っていますね。

青木さん
青木さん
「今日はまだ空いている方です(笑)。みなさんまずは観音様にお参りをしてから、老舗の有名店でお昼ご飯を食べ、散歩しながらみやげを買う、というのがこの商店街の散策スタイルになっているようです。客足はスカイツリーができた2012年には少し減りましたが、その後は増え続けています」

――海外からの旅行者も多いですが、老舗としての対応は?

青木さん
青木さん
「築地市場が移転してからぐっと増えました。海外からの旅行者は『日本らしさ』を求めているので、味を変えないのは当然ですがあえて外国語表記をせず、とくに2号店では『和の伝統と風情』を感じられるよう気を配っています」
ガラスケースには商品がよく見えるよう仕切りを作らないなどの工夫がされ、あえて日本語表記だけにすることで海外旅行者の心を掴む
青木さん
青木さん
「和食ブームの影響か、和菓子の情報も世界中に行き渡っていて、ヨーロッパの方には『あんこ』がそのまま通じます。最近驚いたのが、3号店で扱う『舟月どらやき』が欧米の旅行者に爆発的に売れ始めたことですね」

ーーなぜでしょうか?

\欧米人にも人気のスイーツはこれ/
「舟月(ふなつき)どらやき」(210円)

どらやきの生地をワッフルのように折りたたみ、あんこと芋ようかんを挟んだ「舟月(ふなつき)どらやき」。生地にもち粉を入れると賞味期限は長くなるが、小麦感にこだわって使用していない
青木さん
青木さん
「いくら考えてもわからなかったのですが、ある日フランスのお客さんがスマホを見せて『これ』って言うんです。有名なインスタグラマーが訪日時にシェアしてくれたようで、海外の甘味好きの間で話題になったのだそうです」

――しっとりとした生地にあっさり味の芋ようかんと濃厚なあんこがよく合います。

青木さん
青木さん
「ありがとうございます。欧米の方はパンケーキの1種として楽しんでいるのかもしれませんね」

\スイーツを楽しむなら3号店へ/

2015年にリニューアルした3号店では新作スイーツを中心に扱う
青木さん
青木さん
「おなじみの定番商品をそろえた2号店とは対照的に、新しいチャレンジをしているのが3号店。ソフトクリームのほか、パイなども提供しています」

ーー行列ができていますね。

青木さん
青木さん
「おかげさまで『芋ようかんソフトクリーム』を中心に人気となっています。芋ようかんの素材をさらに煮詰めて糖度を上げたペーストを作り、さっぱりとしたオーストラリア産のミルクと合わせたものです」

\散歩の疲れはソフトクリームで癒す/
「芋ようかんソフトクリーム」(350円)

ソフトクリームは芋ようかん味のほか、バニラや抹茶も用意(各350円)

ーー芋ようかんがバニラソフトにゴロゴロと混ぜてあるのかと思っていましたが、見た目は普通ですね。ですが、イモのこっくりとしたニュアンスは感じるのに、後味にくどさが全くなくておいしいです!

青木さん
青木さん
「『イモらしさ』は香料を使えば簡単に出せるのですが、それだと後味にキレが出せないんです。ですので芋ようかんはスライスにして、イモせんべいの『黄金色の芋金貨』と一緒に添えています。原材料も製法も吟味した質の高いものでないと、仲見世に来るお客さんは納得してはくれません
観音様の参道であるため、仲見世では食べ歩きが禁止されている。店舗脇に用意されたイートインスペースでゆっくり味わいたい
青木さん
青木さん
「創業100年を超えるブランドなので、伝統を守り続けることも大事ですが、お客さんは常に新しいものを求めています。散歩の休憩に新しい製品を体験して、昔ながらの定番和菓子はおみやげとして楽しむ方が多いようです」

「開店前には参道を掃き清め、閉店後はデッキブラシで掃除して帰ることでしょうか」と、商店街としての取り組みを話してくれた青木さん。そのかいあって参道の敷石はピカピカ。伝統ある商店街は足元のおしゃれにも妥協しないようだ。

舟和 仲見世1号店

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

舟和 仲見世2号店

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

舟和 仲見世3号店

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


絶景の窓辺で味わう洒脱な下町感

スポット2:「カフェ・ド・ラーク」

仲見世と新仲見世の交差点を見下ろす角の2階にある1995年創業の「カフェ・ド・ラーク」

洋食好きにおすすめしたいのが、手作りのふわふわ系オムライスが人気の「カフェ・ド・ラーク」。気づかないと通り過ぎてしまうような階段を上がって2階に行くと、気さくな山田龍司(りゅうじ)マスターと奥様の和代さんが出迎えてくれる。

店主の山田龍司さんと奥様の和代さんが中心になって切り盛りしている

ーー仲見世と新仲見世の交差点とは思えない落ち着いた空間ですね。

カフェ・ド・ラーク店主・山田龍司さん
カフェ・ド・ラーク店主・山田龍司さん
「そこが2階のお店のよさかもね(笑)。そのせいか、商店街で働く人がよく昼食や休憩に来てくれるんです」
2階の店内は明るくて居心地がいい

ーー地元商店街の人たちにとっての憩いの場なんですね。浅草は明治末期に日本初の映画館ができるなど、遊び場としても発展しました。

山田さん
山田さん
「そうそう。浅草の中心は浅草寺ですが、子供の頃のお出かけと言えば、老舗料理店で釜飯や天丼を食べ、純喫茶でホットケーキを楽しみ、松屋の屋上で遊ぶというのが定番コース。大人になればよそ行きの服を買ったり、映画を観たりするために出かける“ハレ”の場所であり続けていますよね」

ーーところでここ、窓から東京スカイツリーが見えますね!

仲見世の銅板の屋根越しに見える東京スカイツリー
和代さん
和代さん
「TVの取材の時に教えてもらったんだけど、浅草で東京スカイツリーを見ながら食事できる店はウチぐらいなんだそうです」

ーーこれはもう「スカイツリークリームソーダ」を頼むしかないです!

\質・量ともに妥協なし/
「スカイツリークリームソーダ」(900円・税別)

持つ手が震えるほど大きな「スカイツリークリームソーダ」。「写真に夢中になって倒さないでね」(和代ママ)

ーーすばらしい! 巨大なアイスクリームが展望デッキを覆う雲のようです。ソーダが青いのは?

山田さん
山田さん
「抜けるような青い空をイメージしたわけ(笑)。コーンの中にもアイスがぎっしり入っています」

\コーヒー好きにはこちら/
「コーヒー・フロート」(720円・税別)

こちらも容赦ないアイスの盛りがうれしい1杯

――メニューの写真より盛りがいい気がしますが……。

山田さん
山田さん
「何度も頼んでる常連さんでもそう言うよね(笑)。フロートはアイスが楽しみなんだから、ケチケチせずに目分量でどかっと入れる。でも多いだけでは意味がないので、乳脂肪分の多い本当においしいものを選んでいます」

ーー食事の人気メニューは?

\高田純次さんも舌鼓/
「カレー・ソース オムライス」(1300円・税別)

盛りもよければ味もよい!
山田さん
山田さん
「ウチの看板メニューは、下町の喫茶店には欠かせないオムライス。昔は卵にしっかり火を通したハード系だったけど、女房の提案でふわふわ系にしたらリピーターが急増したんです」
和代さん
和代さん
「TVの散歩番組がよく取材に来ます。高田純次さんが散歩番組でいらした時は『カレー・ソース オムライス』を気に入っていただけました」

ーー中のライスはドライカレーになっていて、スパイシーでおいしいです!

スパイスの効いたソースとライスがふわふわ卵とよく合う
和代さん
和代さん
「『カレー・ソース』のほかに、チキンライスの入った『トマト・ソース』と、エビピラフの入った『デミソース』(各1300円・税別)も用意しています」

ーーオムライスが3種類もあるなんてうれしいですね。地元の方はおいしいものをたくさん知っていそうです。

山田さん
山田さん
「食通というわけではないけれど、自分好みの名店を何軒も知っていますよね。自分は浅草のお隣の墨田区出身だけど、創業100年を超える老舗が多い浅草では“よそ者”なので、最初はなかなか地元の方が食べに来てくれなかったんです」

「焼きたてアップルパイ」(860円・税別/コーヒーかブレンドティ付き)

2段重ねのアップルパイは海外の旅行者にも人気
山田さん
山田さん
「でもね、おいしい料理を丁寧に作っていることがわかると口コミで広がり、みなさん常連になってくれるんです。開店当時にお世話になった商店街の旦那衆は週に何度も顔を出してくれます。味にはシビアだけど人情味があります」
「創業100年を超える老舗も多い土地柄。地元の結束が強い分、人情味があります」(山田さん)
山田さん
山田さん
「私はどんな店でも必ず一度は食べに行きます。浅草は飲食店の選択肢が多いけど、うまいと感じるかは人それぞれ。姿を消す老舗も中にはあるけれど、自分の好みの店との出会いを楽しめる商店街だと思いますよ」
日替わりランチ(930円・税別)のメニューを決める和代さんのスマホには次の日に提供する予定の料理の写真が

取材中に出会った常連さんはラークの魅力について「愛情のこもった料理とマスター夫婦の人柄のおかげで居心地がいい。喫茶店に求める要素が全部詰まっています」と話してくれた。

カフェ・ド・ラーク

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


職人の技を守る純喫茶

スポット3:「銀座ブラジル浅草店」

「銀座ブラジル浅草店」は新仲見世の舟和本店の向かいの2階にある

歴史ある純喫茶には、おいしいコーヒーによく合う名物料理があるもの。新仲見世の中央近くにある「銀座ブラジル浅草店」も、浅草散策の食事や休憩で食べずにはいられない絶品メニューが楽しめる名店だ。

店内は昭和の正統的純喫茶の佇まい
ブラジル店主・梶純一さん
ブラジル店主・梶純一さん
「『銀座ブラジル』は、コーヒー豆の輸入業をしていた祖父が1948年に創業したお店です。当時は銀座に2軒、築地に1軒ありましたが、現在は1963年に創業したここ『浅草店』に集約しています」
3代目店主の梶純一さん。子供の頃から厨房で職人と交流し技を覚えた叩き上げの料理人である

――こういった雰囲気のある純喫茶は浅草歩きの休憩にぴったりですね。

梶さん
梶さん
「浅草周辺でも老舗は減りましたね。ホールを担当しているウチのお袋なんかは、『この店で2度もオリンピックが迎えられるとは思わなかった』なんて言ってます(笑)。まあ、コーヒーでも飲みながらお話ししましょう」

――お願いします!

\下町流の気配りがうれしい/
「ブレンド珈琲」(350円)

「ブレンド珈琲」は酸味がほどよく効いた1杯

ーーカップに厚みがあって心地よく手に馴染みます。

カップはコーヒーを注ぐ直前まで大鍋の中で湯煎される
梶さん
梶さん
「冷めにくいよう、少し厚手のカップを使っているんです。それを提供直前まで湯煎しておくことで、飲み終わるまで温かいままコーヒーが楽しめます」

\銀座ブラジル伝統の味はこれ/
「元祖ロースカツサンド」(1000円)

こんがり焼いたパンに熱々のロースカツ、秘伝のソースと極細の千切りキャベツが織りなす断面が美しい。混雑時は提供に時間が掛かることもあるが、待つ価値は十二分にある

ーーブラジルさんの名物と言えば「元祖ロースカツサンド」。これは本当にうまいですね! 薄切りのカツが2枚入っていますが、なぜ2枚なんでしょうか?

梶さん
梶さん
「ロース肉って片側に脂身があるでしょ? 2枚に切って互い違いに重ねることで味が均一になるわけです」

ーーカツもパンも千切りキャベツもすべてが美しいです。いったいどうすればこんな断面に?

梶さん
梶さん
「カツサンドのオーダーが入ったので工程を見てみますか?」

ーーお願いします!

\「元祖ロースカツサンド」ができるまで/
1:キャベツを千切りにする

キャベツを1枚1枚ほぐして固い部分を取り除き、極細の千切りにする

2:カツを切りキャベツを乗せたトーストに挟む

薄切りのロースカツを2枚に切り、さり気なく秘伝のソースにくぐらせてから互い違いに合わせる

3:再び千切りキャベツを(たっぷり)乗せる

きれいに整えた千切りキャベツを丁寧に乗せる。美しい断面はこの工程なしには生まれないようだ

4:絶妙な手加減でなじませる

具材を落ち着かせるため、弱すぎず強すぎない加減でそっと優しく押さえる

5:耳を落とし4等分にして完成!

薄く切っても切り口が崩れないのが職人の技。調理に使う包丁は工程ごとに専用の物を使う

ーーこのおいしさを実現するためにはこれだけの手間がかかるんですね。このカツサンド、カツやキャベツはもちろんパンの味もまた格別です。

写真左がトースト用の「山型」、右が「元祖ロースカツサンド」などサンドイッチ用の「角型」。どちらも元ブラジルのパン職人による専用品だ
梶さん
梶さん
「トースト系とサンドイッチ系でパンを使い分けています。多店舗時代には自社でパン工場を持っていて、そこで修行して独立した職人さんにブラジル専用のパンを焼いてもらっているんです」
角パンと山パンの断面、きめ細かさがちがう(らしい)

ーー銀座ブラジルの求めるパンを知り尽くしているわけですね。

梶さん
梶さん
「そのとおりです。サンドイッチには角型、トーストには山型を使っていますが、発酵時間を調整して口当たりを変えてあるんです。違いがわかりますか?」

ーーいいえ……。

梶さん
梶さん
「微妙な差だけれど、生地のきめ細かさが違う。豆腐に例えると山型がすこし粗目の木綿で、角型が絹ごしといったところ」

ーー食べたらわかるかもしれないです(切望)。

\焼いてもらっちゃいました/
「トースト」(400円)

極厚切りの山型パンをこんがり焼き上げた「トースト」

ーーおお! トーストだとわかりやすいかも。ややきめの粗い生地はローストされることで、フランスパンのように小麦の香りが際立つようです。それにしてもうまい!

梶さん
梶さん
「じゃあ、最後にウチのもう一つの名物料理の『元祖フライチキンバスケット』も食べていって」

ーーよろこんで! 唐揚げではなく衣をつけたフライのチキンバスケットは珍しいですね。鶏肉はササミですか?

\こちらも必食!/
「元祖フライチキンバスケット」(1000円)

「元祖フライチキンバスケット」には、トーストとピクルス、フライドポテトが添えられる。ちなみに常連さんは「フライチキン」とコールしていた
梶さん
梶さん
「形が似ているから間違えられることが多いんだけれど、そぎ切りしたムネ肉なんです」

ーー全くパサパサしていません。それどころかしっとりジューシーでおいしいです。

梶さん
梶さん
「この味・この食べ心地にできるのは、オーダーが入ってから肉の筋を断ち切るように切り分けているのと、食べる瞬間に最高の状態になるよう見極めて火を入れているからなんです」

\塩とレモンで食すべし/

「昔は丸鶏を使っていましたが、最近はより柔らかなムネ肉を使っています。ウチのレシピで創業時から変えたのはそれくらいかな」(梶さん)

ーー飲み物も食べ物もすごいこだわりですね。

梶さん
梶さん
「そう言ってもらえるとうれしい。でもね、それは『こうしないとおいしくできない』から守るしかないわけ。ここ浅草で手抜きをしたら一瞬で飽きられてしまう。ウチの伝統を築き上げてくれた職人さんの技を守る昭和の頑固な店が『しんなか』に1軒くらい残っていてもいいんじゃないかな(笑)」

普通であれば2階のお店は入りにくく、老舗の風格が漂うとさらにハードルは高まるもの。しかし、大量生産では出せない手作りのコーヒーとパンの味を知ってしまうと、ブラジルへの階段を登る足取りは軽くなってしまうのだ。

銀座ブラジル 浅草店

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

【商店街コラム】
「教えて! ASAKUSAで食べたうまいもの」

仲見世・新仲見世のある浅草寺界隈は、世界中の人々が集まる日本有数の繁華街である。そこで取材班は海外旅行者が日本で体験した「印象的な食べ物」について伺ってみることに。

\Himmim(ヒミン)さん一家(from シンガポール共和国)/

仲良しファミリーのHimmimさん一家はシンガポールから初来日

ーーこんにちは、みなさん舟和のソフトクリームをおいしそうに食べていますね。

Himmimさん(父)
Himmimさん(父)
「日本観光のHave a breakと言えばソフトクリームが王道ってガイドブックに書いてあったんです」

ーーフレーバーは何が気に入りました?

Himmimさん(母)
Himmimさん(母)
「息子はバニラと抹茶、私はイモヨーカンを試したけど、おいしくてもうなくなりました(笑)」
Himmimさん(父)
Himmimさん(父)
「明日訪れるハコネにもおいしいソフトクリームってあるかな?」

\Jamg(ジェム)さん・Tan(タン)さん・Dewu(デュー)さん(from タイ王国)/

病院の薬局(薬剤師?)で働いているという3人は、左からJamgさん・Tanさん・Dewuさん

ーー着物がとてもお似合いですね。

Dewuさん
Dewuさん
「アリガトー(微笑)。みんなに記念撮影をお願いされてすごくうれしい!」

ーー日本の食べ物で印象に残ったものは?

Tanさん
Tanさん
「築地のフィッシュマーケットの近くで食べたサシミが想像以上においしかったですね」

ーーなぜ浅草に来ようと思ったんですか?

Jamgさん
Jamgさん
「お寺がすごくきれいだと聞いていたので」

ーー仏教国のタイのお寺も美しいのに!

Jamgさん
Jamgさん
「だって、こんなに真っ赤で大きなランタン(提灯)はタイのお寺にないですよ(笑)」
夜の仲見世も幻想的でおつなもの。店舗の営業が終わったあとは、東京芸術大学の学長だった画家の故・平山郁夫氏が監修したシャッターアートが楽しめる

というわけで、仲見世・新仲見世散歩は無事終了。自分好みの“止まり木”を見つけ、1日では遊び尽くせない魅力あふれる浅草散策を楽しんでみてはいかがだろうか。


取材メモ/「カフェ・ド・ラーク」のマダム・和代さんによると、浅草寺の初詣は元日の午前10時までが空いていて快適なのだとか。それを過ぎると仲見世は参拝を待つ長蛇の列ができてしまうそうなので参考にしてくださいね。

構成・取材・文・写真=杉山元洋

次回、12月26日(水)は「十条銀座」を公開予定!

安くておいしい魅惑の惣菜天国を食べ歩きます

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