惣菜天国の十条銀座は満腹天国だった!【東京商店街グルメ#7】

特集

東京商店街グルメ

2018/12/26

惣菜天国の十条銀座は満腹天国だった!【東京商店街グルメ#7】

商店街は日常生活の場であると同時に、街歩きも楽しませてくれる包容力を持っている。そんな、最近では海外の旅行者にも注目されている東京エリアの商店街をシリーズでご紹介。第7回は北区にある「十条銀座商店街」を食べ歩いた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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「十条銀座商店街」ってどんなとこ?

商店街の入り口はJR埼京線十条駅の北口を出た向かいにある

知らない街の商店街に出掛け、散歩や食べ歩きを楽しむ「商店街散歩」。そのブームの先駆けの一つとなったのが、JR十条駅前にある「十条銀座商店街」だ。

惣菜店は地元の老若男女だけでなく散歩客でもにぎわう(写真は「鳥大」)

同商店街の歴史は古く、1935年ごろに地元の三つの商店組合が「十條銀座聯合會(れんごうかい)」を結成。街灯の設置や大売り出しのイベントなどを行っており、1938年には「東京十條銀座商店街商業組合」として正式に合併した。

1977年に全蓋式アーケード化された北区最大の商店街には、惣菜だけでなく生鮮食料品や衣料品など約200の店が軒を連ねる

その後は戦後の復興期を経て、北区最大の商店街へと成長。その中で、お手ごろ価格のおいしいメニューをそろえる地域密着型の惣菜店が増えたことから「惣菜天国」と呼ばれるようになった。そんな、食べ歩きファンを引きつけてやまない魅惑の惣菜を食べ歩いた。


\食べ歩いた3店はこちら/
1:「鳥大(とりだい)」
2:「ミート・デリカ塩家(しおや)」
3:「惣菜みやはら 十条銀座店」
コラム:「甘ぁ〜い生チョコでホッと一息」


十条名物10円チキンボールが絶品!

スポット1:「鳥大」(とりだい)

商店街中ほどの路地にある「鳥大」。いつも行列が絶えないが、客さばきがいいのでストレスなく買い物ができる

十条銀座食べ歩きの1軒目は「鳥大」(とりだい)。テレビや雑誌などのメディアでもおなじみの、鶏肉と惣菜をメインに扱うお店だ。

常連からは「ゆうさん」と呼ばれる2代目店主の大杉雄造さん。趣味は日本刀の抜刀道で、剣道3段、居合道4段、抜刀道教士6段の腕前である

ーーものすごい量の惣菜ですが、何種類くらいあるのでしょうか?

鳥大店主・大杉雄造さん
鳥大店主・大杉雄造さん
「日によりますが、揚げ物や焼き鳥など、およそ70種のお惣菜を手作りしています。もともとはその日の朝に処理した『朝びき』と呼ばれる新鮮な鶏肉を扱う専門店ですが、今では売上の8割以上がお惣菜になっています」

ーー昼すぎですが店頭には常にお客さんが並んでいます。

大杉さん
大杉さん
「おかげさまで、開店直後は食べ歩きの方、昼は近所で働く方々、夕方は主婦のみなさんを中心にご利用いただいています」
どのメニューも安くてボリューム満点なのでワンコインでお腹いっぱいになれそう!

ーー創業はいつごろでしょうか?

大杉さん
大杉さん
「もう50年以上になります。2代目の私は婿養子で、実家は近所にある『みのや』というとんかつ屋なんです。先代の義父は実家に卵を配達してくれていたため顔見知りだったので、結婚の挨拶で会った時にはお互いに驚きましたよね(笑)」

\常連さんに聞いてみよう/

「メインのお弁当にチョイ足しで惣菜を利用することが多いですね」(常連の澤井さん:写真右)

ーー今日は鳥大さんで何を買いました?

常連・澤井さん
常連・澤井さん
「コンビニのお弁当にもう1品プラスしたかったので、『もも肉の西京味噌焼き(100グラム140円・税別)』を買いました」

ーーよく買いに来るんですか?

常連・澤井さん
常連・澤井さん
「近くに転勤して来たばかりなので、十条銀座のお惣菜店探索を日々楽しんでいます。鳥大さんが特にお気に入りなので、晩ご飯のおかずも一緒に買うことが多いです」

\これが十条名物「チキンボール」/

ほぼ全員が購入する「チキンボール」。中には1人で500個以上買う客もいるのだとか。(50個以上は前日までの予約が必要)

ーーとても贅沢なランチ環境ですね! それにしても種類が多くて迷います。

常連・澤井さん
常連・澤井さん
「どれもおいしいですが、1個10円(税別)の『チキンボール』はハマります」
大杉さん
大杉さん
「今から補充分を揚げるので、できたてを食べてみますか?」

ーーぜひお願いします!

ものすごい早さで生地を丸め揚げ油に投入する大杉さん

ーーどんな材料を使っているんですか?

大杉さん
大杉さん
「トリのムネ肉のミンチをベースに、トリ皮やタマネギなども入れています」
ボールは3分ほどでキツネ色にカラリと揚がる

ーー1日に何個くらい揚げるんでしょうか?

大杉さん
大杉さん
「平均で1万個、週末など多い日で2万個近く。看板商品なので品切れしないように、1日に何度も揚げ足します。揚がったので何個でもいいので食べてみて!」
表面に衣をつけていないのにフライのようにサクサクしている(5個食べました)

ーーではいただきます! 衣をつけていないのに表面はサクサク、中はムネ肉なのにしっとりでおいしいです!

大杉さん
大杉さん
「隠し味に入れているオカラが香ばしさの秘密。冷めてもギュッと固くならないのもオカラのおかげなんです」

ーー毎日でも食べたくなるシンプルさです。チキンボールが買えるだけでも十条に住みたくなります。(笑)

大杉さん
大杉さん
「醤油やケチャップなど、どんな調味料にも合うようあっさりした味つけにしています。グラタンなど料理の具材にアレンジするお客さんもいるんです」
雄造さんの長男・翔馬さん(写真左)とツーショットをキメているのはアニソン界の巨匠・山形ユキオさん(もちろん写真右)。チキンボールの大ファンのため、予約して100個買うこともあるほど
大杉さん
大杉さん
「これまで多数のメディアでご紹介いただきましたが、取材に来られたタレントさんが今でも買いに来ることも。『ヤットデタマン』や『ガオレンジャー吼えろ!!』の主題歌を歌ったアニソンシンガーの山形ユキオさんもチキンボールをよく買いに来てくれますよ」

\備長炭で焼き上げた焼き鳥もうまい/

焼き鳥は3階の作業場で備長炭を使い丁寧に焼き上げられる。1本80円(税別)からとかなりお手ごろ
夕方からは晩ご飯のおかずを求める主婦や、仕事上がりの勤め人を中心ににぎわう

ーーお母さんと買い物に来た子供に、スタッフさんがチキンボールを「お駄賃だよ」と1個食べさせているのが微笑ましいです。

大杉さん
大杉さん
「自分も子供時代に母とよく買い物に来ていたので、十条銀座のお惣菜で育ったようなもの。鳥大の味を守る立場になった今、地元の方だけでなく食べ歩きの街として注目されるのはうれしいですね」

(年末年始の休業は12月26日、1月1日〜5日)

鳥大

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


常連の信頼が支える肉屋の心意気

スポット2:「ミート・デリカ塩家」

店頭の大きなショーケースが目印の「ミート・デリカ塩家」

アーケードの十条駅寄りにある「ミート・デリカ塩家」は、その名の通り、お肉屋さんが営む惣菜デリの店。ショーケースを眺めていると、「ここは油がいいから揚げ物がおいしいよ!」と、気さくな常連さんが声を掛けてくれた。

揚げ物がぎっしり並ぶショーケースの充実度に心が躍る

ーーお客さんが教えてくれましたが、揚げ物にこだわりがあるそうですね。

ミート・デリカ塩家スタッフ・中村さん
ミート・デリカ塩家スタッフ・中村さん
「こだわりはできたてを切らさないくらいなんです。ですが、たしかに油の匂いは少ないかもしれませんね。揚げ物の1番人気『メンチカツ』を食べてみますか?」

ーーぜひお願いします!

\1番人気はこれ/
「メンチカツ」(1枚120円)

食べごたえのある重量感がうれしい大きなメンチカツ
中村さん
中村さん
牛・豚・鶏の3種類の肉を使っているのは珍しいと思います。多い日は1日に200枚ほど売れるので、常に揚げたてを補充しています」

ーーそれぞれの肉が主張し過ぎることのない優しい味です。たしかに油臭さはまったくありません!

断面からは牛・豚・鶏の入り混じった肉汁が滴る。味は軽めで冷めても柔らかいまま(帰宅後試食確認済)
中村さん
中村さん
「ありがとうございます(笑)。料理は基本的に先代の教え通りに作っていますが、おいしいと言ってもらえるのが一番うれしいですね」

ーー揚げ物だけでなく、牛肉を使ったデリメニューや、サラダ感覚のおつまみ系も充実していますね。

晩酌のおつまみにぴったりな和え物系惣菜も充実
中村さん
中村さん
「肉屋目線でオススメなのが『和牛あみ焼きビーフ』です。柔らかなローストビーフに比べると味が濃厚なので、お肉が好きな人にはこちらが喜ばれています」

\スタッフのイチオシ/
「和牛あみ焼きビーフ」(100グラム610円)

鮮やかな赤身にうま味が凝縮した「和牛あみ焼きビーフ」。赤ワインにも焼酎にも合う一品だ

ーータタキ風に仕上げられた色合いが美しい。噛んでも噛んでも肉の味が出てきてうまいです!

中村さん
中村さん
「惣菜を自宅で楽しむ“中食(なかしょく)”使いのお客さんが多いので、ご自宅でアレンジしやすいように自然な味のデリメニューを充実させているんです」

ーーたしかに、この和牛あみ焼きビーフに生野菜を添えるだけで豪華な主菜になりますよね。

煮物やきんぴらなど和の惣菜は大小2種類のパックで提供

取材班が和牛の滋味を噛みしめていると、またまた常連さんから「ここは和惣菜も絶品なので助かるのよ」というナイスな情報が飛び込んでくる。

ーーたしかに、最近の惣菜屋さんは和食系のメニューが減った印象もあります。

中村さん
中村さん
「自家製のお弁当に入れる方や、1人暮らしで自炊が難しいお年寄りに喜んでいただけるので、煮物も数品ご用意しています」
自然な味つけの手作り弁当は、近隣で働く人だけでなく1人暮らしのお年寄りにも人気

ーー商店街で和の惣菜が気軽に買えると、普段の食生活が豊かになりますね。

(年末年始の休業は12月26日、1月1日〜5日)

ミート・デリカ塩家

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


伝説の惣菜店の流れをくむ庶民の味方

スポット3:「惣菜みやはら 十条銀座店」

激安30円コロッケが人気の「惣菜みやはら 十条銀座店」

コンパクトな店先にお手ごろ価格の惣菜がずらりと並ぶのは「惣菜みやはら 十条銀座店」

惣菜みやはら代表・宮原英樹さん
惣菜みやはら代表・宮原英樹さん
「とにかく“安くておいしい”というのがウチのモットー。30円のコロッケも60円の焼き鳥も、1本から喜んで販売しています」
おやつ時には近隣の大学生の姿も目立つ

ーー食べ歩き派にはたまらない価格ですが、お客さんの層もさまざまですね。

宮原さん
宮原さん
「地元密着型なので主婦の方が多いですが、近所に大学が多いせいか講義の合間に買いに来てくれる学生さんも多いようです」

\1番人気はこれ/
「やさいコロッケ」(1個30円・税別)

シンプルなコロッケは子供でもおやつに買えるよう価格を抑えているのだそう

ーーコロッケが30円とは破格ですね。

スタッフ・笹山さん
スタッフ・笹山さん
「食べ歩きの散歩客が増える週末は300枚以上売れるので、常にコロッケを揚げている状態です。(笑)」
コロッケを包装紙に包んでもらえば、食べ歩きの王道スタイルが完成する

ーーサクサクとした食感で素直なおいしさです。なぜこんなに安くできるのでしょうか?

宮原さん
宮原さん
「コロッケに関しては、うちの味を知ってもらうため利益は度外視です。ですが、サラダ油で揚げるなど、味にはしっかり気を配っています」
1本60円〜80円(税別)の焼き鳥も人気

ーーここ十条銀座のお店は2号店とのことですが、開業地にここを選んだ理由は?

宮原さん
宮原さん
「17年ほど前に独立する際、ここ十条で開業したかったんです。ですが物件が見つからなかったため西新井に1軒目を作り、6年前に2号店を出すタイミングでここが見つかったので念願がかなったというわけです」
「十条銀座の惣菜店を全軒制覇しに来ました」と話してくれたお2人は関西からの散歩客

ーーどうして惣菜の店を開こうと思ったのでしょうか?

宮原さん
宮原さん
「20年ほど前に、葛飾区金町にある惣菜の老舗『かねふじ』をテレビで観て、『いつか地元に根ざしたお惣菜の店を持ちたい』と思い弟子入りしたんです」

ーー「かねふじ」といえば、庶民的な惣菜店の先駆け的存在ですよね。

宮原さん
宮原さん
「残念ながら数年前に本店は畳んでしまいましたが、私のような弟子が味やスタイルを受け継いでいます。おいしいものを安価に提供することができる理由の一つは、かねふじ時代に食材業者と信頼関係を築いて、よい素材を安く仕入れられるからなんです」
2時間以上じっくりと煮込まれた「豚の角煮」(100グラム200円)は、お湯を沸かした鍋の上で保温しながら販売される

ーーおいしそうに煮上がった「豚の角煮」は常に湯煎して温めていますが、これは「かねふじ」では見掛けませんでした。

(年末年始の休業は1月1日〜4日)

惣菜みやはら 十条銀座店

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


というわけで、十条銀座商店街の食べ歩きは終了。見た目こそよく似た惣菜を扱う3軒だが、それぞれがしっかりと味で個性を打ち出すことで地元の常連から愛されていることが伝わってきた。「こんな店が自分の地元にもあればいいのに」と思わずにはいられない味をぜひ体験してほしい。


【商店街コラム】

甘ぁ〜い生チョコでホッと一息「ボンヌ カフェ 十条店」

純喫茶兼住居を改装した「ボンヌ カフェ 十条店」

おいしい惣菜を求めて十条銀座を行ったり来たりの取材班。「そろそろ甘いモノを補充したい」ということで、「惣菜みやはら」でコロッケをぱくついていた女子大生に聞き込み。「ちょっと変わったチョコレートの店がゼミ仲間でバズり中」という情報をキャッチして訪れたのがここ「ボンヌ カフェ 十条店」

ーーユニークなチョコレートが食べられると聞いてやって来ました。

ボンヌ カフェ 十条店マネージャー・藤田さん
ボンヌ カフェ 十条店マネージャー・藤田さん
「当店では、溶かしながら楽しむ『ホットスティックチョコレート』という新感覚チョコレートを提供しているんです」
フレーバーは「ミルク」「アールグレイ」(500円)、「大人みるく」(550円)、「ブランデー&ラム」(季節限定580円)などを用意

ーーこのアイスの棒についた不思議な食べ物が「ホットスティックチョコレート」?

藤田さん
藤田さん
「そうなんです。言葉だと説明しにくいので、定番の『大人みるく』を召し上がってみてください」

ーーお願いします!

\これがホットスティックチョコレート/
「大人みるく」(ホットミルク、生クリーム、マシュマロつき・680円)

本来はクッキーがつくが取材直前に売り切れたため、次回のお楽しみに
藤田さん
藤田さん
「まずは、チョコレートをホットミルクの中に入れてくるくると優しくかき混ぜます」

ーー表面が少し溶けてきました。

藤田さん
藤田さん
「だんだんと外側のコーティングが溶けてくるので、飴のように舐めてください」

ーー適度に温まったチョコの甘さが心地よいです。

2階は15席ほどの落ち着いたカフェスペースになっている
藤田さん
藤田さん
「では、もう一度同じようにかき混ぜて舐めてみてください」

ーーおお! 先ほどとは違う濃厚な生チョコが現れました。これは疲れが取れそうないい甘さですね!

藤田さん
藤田さん
「うちのホットスティックチョコレートは溶かし切って飲むというよりは、チョコそのものを楽しむスタイル。ご縁があって川崎の稲田堤から2015年に移転してきましたが、最初は近所の方も『何これ?』と遠巻きにしてました。その後口コミでじわじわ広まって、今ではお土産などにも買われていく地元の方も多いんです」

惣菜一本やりと思いきや、こんなおしゃれスイーツでも楽しませてくれる十条銀座。「ボンヌ カフェ」の路地の先にはよさ気な酒場も見え隠れするなど、想像以上にフトコロが深い商店街のようだ。

(年末年始の休業は12月31日〜1月4日)

ボンヌ カフェ 十条店

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


取材メモ/撮影用に購入したお惣菜で我が家は数日間大宴会状態。そのうまさと安さに圧倒され自炊する意志を呼び戻すのに苦労しました。

構成・取材・文・写真=杉山元洋

次回、2019年1月9日(水)は「松陰神社通り商店街」を公開予定!

新たな文化の発信地で居心地のよいカフェを探しました

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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