いろいろな味と出会える「シェフの気まぐれカレーパン」/岩手

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【特集・第1回】地元人が推薦! グルメ甲子園 〜 カレーパン編 〜

2019/02/01

いろいろな味と出会える「シェフの気まぐれカレーパン」/岩手

「普通なんだけど、でも特別美味しい!」をモットーに作り続けるオーナーブーランジェのカレーパン。(盛岡タウン情報誌「月刊アキュート」)

Yahoo!ライフマガジン編集部

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肩ひじ張らず、基本を大切に、けれど遊び心も感じられるのが魅力

大型ショッピングモールの近くにある店舗は間口二間ほど。そのこぢんまりとしたスペースにさまざまな種類のパンが並び、焼きたてパンの香ばしい香りが漂っています

2011年6月のオープン当時から、ご主人がパンを作り奥さんが接客を担当という夫婦二人、二人三脚の変わらぬスタイルで8年目を迎えた「Rejouir(レジュイール)」。その味と人柄に魅かれて、地元はもちろん、遠方からもファンが訪れる人気店です。

「店名はフランス語で『ひとに喜んでもらう』という意味なんです。その初心を忘れず、これからもお客さんに喜んでもらえたらいいなと思っています」と、笑顔で対応して下さるオーナーブーランジェの桐山さん

レジュイールのパンの歴史は神戸に始まる

神戸出身のご主人。高校卒業後、神戸のパン屋に4年務め、23歳で盛岡へ。全国展開のパン店に就職し、35歳までの間に仙台店や横浜店でも働き、店長も経験。さらに、短期ながら休職してパリの2軒のパン屋でも修業
オーナーブーランジェ 桐山さん
オーナーブーランジェ 桐山さん
「幼稚園の頃からフランスパンが好きで、中高生の頃にはフランス独特のパンである『パン・オ・ショコラ』がとにかく大好きで、どのパン屋に行ってもそのパンを探してましたね。それが、僕とパンとの歴史の始まりです」
選ぶ楽しさも大事にしたいと、1日に焼くパンの種類は50~60種ほど。種類が多い分一つ一つは数が限られており、1日に2~3個しか登場しないレアなパンも。一番種類が多く出そろうのは12:30頃とのこと
桐山さん
桐山さん
色んなパンを焼きたいので、売れるパンだけ作るのではつまらなくて。それに、たとえ少ししか売れなかったとしても、『こういうパンもあるよ』とお客さんに知っていってもらいたいんです」

「パンは料理を引きたてる脇役。だからこそ、名脇役にしたい」という強い想いを胸に、修業時代から確実なものを作るよう肝に銘じてきたのだそう。けれど、一度決めたベースだけに固執せず、「よりレジュイールらしく美味しくするためにはどうすればいいか」を日々考えながらパンを焼くのだそうです。

今日はどの生地? どんなカレー? 新たな出会いも楽しみ

「シェフの気まぐれカレーパン」(216円)辛さ度★★★☆☆。取材日は甘さ控えめのもっちり系パン生地に、トマト煮込みのイタリアン野菜カレー入り。表面にはパルメザンチーズをトッピング

カレーパンは基本的に1種類ですが、毎日内容が変わります。「なんたって“気まぐれ”ですから」とご主人。中身のカレーはもちろん、生地や表面の仕上げなど、何がいつ変わるかは一切不定期。そうかと思えば1週間同じだったりすることも。基本的には、ナスやパプリカと挽き肉をベースに作るイタリアン野菜カレーが主流。他にレンズ豆のカレーやヒヨコ豆のカレー、冬にはシメジのカレーなども多くなるそう。

桐山さん
桐山さん
「色んなカレーパンを作りたいけど、一人で1日の内にあれもこれもそろえるわけにはいかないので、ならば毎日変えてみようと。結果、毎日その日の味と一期一会です」

ある日のカレー作りをのぞいてみました!

「レシピに秘密なんてないから、どんどん見て!」というオーナーのお言葉に甘えて、ある日のカレーの仕込みに密着してみました。この日は「レンズ豆とひよこ豆のトマト煮込みカレー」の具を調理。予想以上にシンプルでスピーディー。あっという間に美味しそうなカレーのでき上がり。でもそれが、お客さんに「反則だよね」と言われることも!? その理由とは?

タマネギスライス担当は奥さん。炒めるところからはご主人が担当

まずは、鍋にオリーブ油をひき、トマト、レンズ豆、ひよこ豆を火にかけます。と同時に、別のフライパンで牛挽き肉をしっかり炒め、トマトの鍋に投入します。空いたフライパンで、スライスしたタマネギをシャキシャキ感が残る程度まで炒めたら黒コショウをひと振り。ここへ先ほどの鍋の中身を全て加えます。

精肉店から直接仕入れている牛肉の美味しさが、カレーの旨味をアップ
ここで出ました!「本日の気まぐれ」で、ガーリックバターを投入。ヨーグルトを入れることもあるそう

さらに2種類のカレーフレークを加え、よく混ぜながら強火で一気に仕上げます。最初の頃は、カレーの固さを決めるのが難しくて何回も失敗したんだとか。あまりゆるいとパン生地で包めなくなり、固すぎるとモッサリしてしまって食感が悪くなるそうです。

またまた気まぐれで、パプリカやウコン、クミンなどのスパイスを追加したり

できあがったカレーは、バットに移して冷蔵庫で一晩寝かせます。この間、店内はカレーのいい匂いに満たされまくり。そう、これが実はくせ者なのです。カレーの仕込みは夕方に始めることが多く、その頃カレーパンは既に売り切れ状態。なのに、店内にはカレーのいい匂いが満ち満ちていて……。お客さんに「反則ですよね」と言われるわけです。でも、フランスパンにでき立てカレーをのせて試食させてもらえることもあるそうですよ。

焼き立てパンの香りが全てを包むオープンキッチンの店内

「味と接客は50-50」をモットーとして、美味しいパンを作るのはもちろん、接客も大切にしているからこそのオープンキッチン
桐山さん
桐山さん
オープンキッチンのパン屋って珍しいでしょ。手続きは大変だったけど、どうしてもオープンにしたかったんですよ。というのは、来てくれたお客さんに直接『ありがとうございます』が言いたくて。間をガラスで仕切ったら、パン作ってる姿は見えても声が届かないでしょ。だから」
ハード系の食事パンから、ティータイムにぴったりのおやつパンまで、さまざまなパンが並ぶ

手前右から時計回りに、「クイニャーマン」(237円)、「コーヒーチョコロール」(216円)、「カヌレ」(270円)、「南仏風クリームパン」(194円)、「パン・オ・ショコラ」(237円)、「ゆきちからのグリッシーニ」(97円)、「マッシュポテトのフランスパン」(734円)、「バゲットゆきちから」(216円)、「コリント・ノワ」(518円)、「ベーコンエピ」(216円)。“特殊ではなくても、特別美味しいパン”を目指して材料を吟味。地元・岩手県産の小麦「ゆきちから」も取り入れている。

曜日限定の商品もあり、「ライ麦パン」は水曜日限定。金曜日は「パン・ド・カンパーニュ」、木曜日はアレルギー対策パンを用意。なお、火曜日は“焼かない”という選択肢(!?)も含めた「気まぐれパン」の日
店の一角にはヨーロッパのオリーブオイルやジャムなども。盛岡ではあまり見かけないメーカーもあり、フランス産のマロンクリームやミルティーユ(こけもも)の瓶入りジャムは、パッケージの可愛らしさにも心惹かれる
ご主人自身がいろいろなパンを食べるのが好きだからと、ハード系ばかりではなく幅広く作っているそう。試行錯誤しながらも、「妻が美味しくないといったものは出さないですね」と一言
桐山さん
桐山さん
「規模を拡大したりはせず、妻と二人で(仲良くケンカしながら)続けていけたらいいなと思っています。好きなパンを作るだけではなく、商売を続けていくことは日々勉強ですし、さらに家族や地域、日々の生活の中で自分たちを取り巻く周りの方々への感謝を忘れてはいけないと思うので、あまり欲張らずにひたむきにいけたらいいですね」
パン職人になると打ち明けた高3の夜、「やるんやったら独立するくらいの気持ちでせなあかん」と父親に言われ、それを機に独立を目指して修業、開店したレジュイール。一つ一つのパンにたくさんの夢が詰まっている

取材メモ/手を動かしながらも、お客さんが訪れるたびに作業場の奥から「いらっしゃいませ」、「いつもありがとうございます」と声をかけるご主人。レジに立ち、笑顔を絶やさずお客さんと接する奥さん。パンの美味しさはもちろんながら、二人のコンビネーションによる心地よさも同店の魅力だと、お話を伺ってみて、あらためて実感しました。

取材・文・撮影=山口敬子

盛岡タウン情報誌 月刊アキュート

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