朝が弱い精神科医。克服方法を考え続けて朝マックにたどり着く

連載

星野概念のめし場の処方箋【Vol.21〜】

2018/12/26

朝が弱い精神科医。克服方法を考え続けて朝マックにたどり着く

精神科医として総合病院に勤務する傍ら、文筆、音楽、ラジオなどマルチに働く星野概念が「食べに行く」という行為を通して、「こころ」に関する気づきをひも解く。

星野 概念

星野 概念

精神科医

自分に報酬を用意してあげると、無理なく頑張れることがあります

こんにちは、精神科医の星野概念です。

この連載は、日常の食生活の中から僕が感じたり考えたりしたカウンセリング的要素をみなさんにご紹介するものです。

昔も今も朝が弱い。これはある意味自分の特性です。それを克服するための方法を学生の頃から探しています。その中で、ちょっと良い感じの方法を久々にやってみました。名付けて朝マック法。今回はそんな話です。

  

【目次】
1.発明、朝マック法!
2.自分に報酬を用意してあげること


1.発明、朝マック法!

・朝が弱い

大学生の頃やバンド活動を活発にしていた頃。起きる時間、いや、起きなければならない時間はまちまちでした。

  
  

医学部の高学年になると、座学ではなく病院での実習が始まります。クラスの人たちはグループに分かれて、それぞれが色々な科をローテーションするのです。

科によっては、何曜日は自分の担当している患者さんのプレゼンテーションを教授にするから朝7時にはカンファレンスルームで準備しておくように、というようなこともあります。

  

普段の通学時間が例えば8時半くらいだとしたら、これはイレギュラーな早起きが必要ですよね。

また、バンド活動においては、ライブの日はリハーサルがありますが、ライブハウスへの入り時間は早くて昼過ぎです。普段の練習をするにしても早起きしなければならない日はなかなかありません。

しかし、ツアーに出るとなるといきなりこれが非日常的になります。

朝の集合時間は6時台。そこからワゴンに機材と人を積んで出発することなんてザラなのです。

これらのような非日常的な早起きが、とにかく僕は苦手です。

  

普段から朝が弱い。

今日たまたま病院の健康診断だったのですが、血圧は上が100を切っていました。

  

でも、低血圧気味だなんてことは遅刻の理由にはなりません。というか、認めてもらえません。

  

・早起き対策が必要だ

なぜ、早起きが得意な人は、得意なんだろう。

こんな「なぜ自分は生きているんだろう」みたいな禅問答をしてしまいそうになるほど、僕はイレギュラーな早起きを攻略できないでいました。

  

人間には生活リズムがあるわけですから、いきなりいつもと大きく違う時間に起きることなんてできないよ! と思うのですが、意外とみんな起きれている……。

  

ということは、ちゃんと起きないと社会的に非常識な奴になってしまいます。

それでもう、本当に色々と考えました。例えば挙げてみると、

床で寝る。

  

電気をフルに照らしながら寝る。

  

目覚ましを何個も、そして何度も鳴るようにセットする。

  

起きたらすぐにベランダに出る(特に冬)

  
  

起きてすぐに爆音でメタルを聴く

  

などなど。

これら、はじめは、というか1回目は新鮮味があって良いのですが、結局何かが鳴っても、外に出ても、その後2度寝してしまうんです。

  

結局、無理矢理起きるのはあまり自分に合っていないようです。

これはきっと、「睡眠欲に勝てない、なぜなら身体が求めていることだから」なんて言いながら欲望に忠実になることを合理化してしまう自分の悪い側面です。

  

・しからば、褒美を与えよう

ということは、起きるためのモチベーションになることがあれば起きられるんじゃないか?

欲望に忠実な自分の性質を逆手にとって、ノせていってしまおうという方法ですね。

  

欲望といえば頭に浮かぶのは、人間の三大欲求。これを使わない手はないかもしれません。さて、考察。

睡眠欲→そもそも起きるのが目的だから満たしたらダメ!

性欲→朝からそんな……

というわけで、浅〜い考察の結果、食欲を満たすというのはどうだろうと考えたわけです。そして、とても素晴らしいことを思いつきました。

朝食を摂るということを自分へのご褒美にできれば良いのです。つまり、早起きしなければならない朝の朝食にスペシャル感を持たせてみようという考えです。

  

・朝メニューの特別感

まぁ、僕の場合は朝食を摂ること自体が珍しいのですが、それにしても時間のない中で、インスタントではあるけどそれだけに簡単にスペシャル感を味わえる朝食といえば

朝マック!!

  

幸い、大学の真ん前にマクドナルドがあったし、駅にもありました。

本当に、マクドナルドってどこにでもあると言っても過言ではないかもしれない。これはこの方法の強みかもしれません。

  

・やってみたところ

さて、実行。

朝、たくさんセットした目覚ましが鳴り響きます。

  

あぁ、起きたくない、というか起きられない。気がする……。

  

でも今朝はちょっと違う。ここで起きられれば朝マックをする時間がある!

想像してみよう。

  

ソーセージエッグマフィン、ハッシュポテト、いや、ホットケーキも悪くないな。

  

あぁ、朝マックして、少し優雅に朝を過ごしたい!!

  

えいっ!

  

やった、起きれた!

  

こんな感じで起きられました。

その後、何度もこの方法を試しましたが、前日よっぽど酔っ払ったりしていない限りは起きられました。

やっぱり、実際にご褒美があるというのは、大きなモチベーションになります。

「朝、起きなければならない」

ではなく、

「朝起きて、朝マックをしたい」

という気持ちの変化が生まれるのが大きいのだろうなと思います。

  

   ↓↓

  

・かなり久々に朝マック

時は過ぎ社会人になり、毎朝ある程度早く起きるリズムになると、まぁまぁ起きられるようにはなりました。

でもたまに、イレギュラーに早く起きないといけない時もあります。

先日も、早朝の飛行機に乗らないといけない時があり、ふと、この朝マック法を思い出してやってみました。

もちろん起きられました。そして、起きていざマックに行ってみると、ものすごくメニューが豊富になっている!

  

きっと世間的にはかなり遅ればせながらだと思いますが、マックグリドルというメニューを頼みました。これ、すごい! 味わいが謎! 甘さとしょっぱさが交互にやってくる!

  
  

でも、相反する味を同居させるというのはバランスがうまく取れれば面白いことになります。これって食べ物に限ったことではなく、色々なことに共通した面白みだと思うのですが、それを感じさせてくれるマックグリドルをここ何回か頼み続けています。

  

知らない間にホットドッグがなくなっていたことは、個人的に少しショックでしたが、気になるメニューはたくさんあって、朝マック法、まだまだ使えそうです。

2.自分に報酬を用意してあげること

朝マック法とか言っていますが、つまり、何かやることに対して腰が重い時、自分にご褒美を用意してあげることは、結構有効です。

そんなこと分かってるわ! という感じかもしれませんが、分かっていてもいざとなると忘れていることも少なくないと思います。

報酬を絡めてモチベーションを保つというのは、ある種の行動療法でも使われる原理です。

人間の行動原理としてはやはり、

「〜〜しなければならない」
「〜〜すべき」

よりも

「〜〜したい」

の方が自然だし、負担が少ない
はずです。

だから

「〜〜しなければならない」を「〜〜したい」に変換できるような考え方をしてみることは多くの場合、物事に向き合うことを楽にさせると思います。

朝マック法も同じですし、朝マックでなく、もっとヘルシーな感じにスムージーを作るとか、飲食ではなく、朝ヨガとか朝ランとかでも、早起きのご褒美になるならば何でも良いと思います。

「〜〜しなけらばならない」と頑張り続けるのをできれば避けたいという思いは一見逃げのようですが、逃げは悪いことではありません。

逃げていいんです。

それによってうまくいくこともあります。

なるべく辛さを軽くする、苦手なものを減らすために自分にご褒美を用意してあげる。これはなかなか、悪くないことだと思います。

  
  
  
  
  
  

文・構成:星野概念
イラスト:権田直博


星野概念(ほしのがいねん)

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精神科医

権田直博(ごんだなおひろ)

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画家

この記事を書いたライター情報

星野 概念

星野 概念

精神科医

総合病院に勤務し、日々精神医療に従事する傍ら、執筆や音楽活動を行う。

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