新鮮、豪快、良心価格! これが老舗の博多前寿司たい

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出張の時に行きたいコスパ寿司!〜札幌・名古屋・大阪・福岡〜

2019/01/11

新鮮、豪快、良心価格! これが老舗の博多前寿司たい

江戸前ならぬ、博多前! 玄界灘で水揚げされたプリップリのネタを豪快に握る「博多前寿司」を貫く、老舗『福寿司』をご紹介。安くてウマイ、口に入りきれないほど大きなネタを思いっきり頬張って!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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口の中でネタが踊る!? コリコリ、プリプリな食感が味わえる福岡の博多前寿司!

新鮮で大ぶりなネタが魅力の「博多前寿司」を堪能!

熟成、漬け、酢じめといった仕事をネタに施すのが「江戸前寿司」。対して、玄界灘で獲れた新鮮な魚介をそのまま生かし、身を厚く引いて豪快に握るのが「博多前寿司」の真骨頂。ひとたび口に放れば、コリッ、プリッ! まるでまだ生きているかのように踊り弾ける食感は、魚がウマイ街・福岡ならではの楽しみだ。

かつての「博多の花街」に建つ老舗

大きな看板が目印。14:00から22:00ごろまでの通し営業で、昼飲みも楽しめる

今回は「博多前の店といえばココ!」と、地元民が太鼓判を押す老舗『福寿司』へご案内したい。中心部・天神に程近い「清川」に店を構えて55年目。江戸前スタイルの店が年々増え続ける福岡で、変わらぬ流儀、質、価格を貫き続けている稀有な店だ。

こちらは正面入口から向かって左手にある出入口。老舗の風格が漂う

店がある「清川」は、かつて「新柳町」呼ばれ「博多の花街」として栄えた旧歓楽街。1910(明治43)年から、特殊飲食街(俗にいう赤線)が廃止された1958(昭和33)年までは遊郭が立ち並び全盛を極めた歴史をもつ
現在はマンション街といった雰囲気だが、『福寿司』が開店した当時は寿司店だけでも7、8軒あり、今の倍以上の飲食店やキャバレーが軒を連ね賑わいをみせていたそうだ。

この日は開店と同時に店へ飛び込み、無事に席をGET! 週末は開店すぐにカウンターが埋まってしまうこともある

店内へ足を踏み入れると、パリッと清潔感のあるカウンターが目に飛び込む。カウンター12席と4人掛けのテーブル席が1卓、奥には広々とした4部屋の個室も完備されている。風格ある佇まいに思わず身構えてしまうが……。

お客さんとテンポよく会話を交わしながら、軽快に寿司を握る大将の長尾さん
大将の長尾さん
大将の長尾さん
「いらっしゃい!うちはあくまで“街の寿司屋”。肩の力を抜いて、気軽に楽しんでってね」

大将・長尾博昭さんがにっこりと気さくに声をかけてくれた。よく見ればメニュー板には料金が明記されており「特上にぎり」でも1人前3500円という良心価格。サイドメニューの金額も別途用意されたメニュー帳に記載されているので安心。言葉通り、気負いせずにくつろげる店なのだ。

新鮮なネタが安い、ウマイ ボリュームも満点!

爽やかな香り広がる赤身、脂の甘味がとろける中トロや大トロ、いずれも美味な対馬産の生マグロ
タイラギ貝や赤貝も大ぶり

カウンター上のネタケースをのぞけば、対馬産の生マグロ、天然鯛、脂ののったカンパチなど、ツヤツヤとハリよく輝くネタがズラリ! これを見るだけで、“ここはいい寿司屋”だと伝わるはずだ。

「柳橋連合市場」の歴史は1918(大正7)年ごろ、那珂川に架かる柳橋のたもとで鮮魚商たちが大八車にのせて魚を売り出したのが始まり

ネタは毎日“博多の台所”として知られる「柳橋連合市場」で仕入れ。店から市場までは徒歩3分と実に恵まれた立地にあり、市場内にある高級鮮魚店「天龍」とは、もう40年以上の付き合いになるそう。「天龍」といえば福岡の高級店、有名店御用達の老舗だが、良いネタを優先的に仕入れられるのは、深い信頼関係があるからこそ

ネタを扱うときは、フッと真剣な表情に

二代目として店に立つ長尾さんは、この道50年以上のベテラン職人。先代の父に付いて寿司を学び、現在も家族一丸となって『福寿司』を盛り立てている。

大将の長尾さん
大将の長尾さん
「握り主体で提供するのが本来の江戸前寿司。一方、いきなり握りを食べるのではなく、先に刺身や焼き物、揚げ物なんかの一品を酒と一緒に楽しんで、締めに握りを摘んで帰るのがいわゆる博多前の楽しみ方。とはいえ、初めて訪れて“寿司飲み”を楽しむのはちょっとハードルが高いですよね。うちは“寿司だけ食べたい”というお客さんも大歓迎なので、好きに楽しんでってください」

ネタのデカさは大将の心意気!

\特上にぎり 3500円/

回らない寿司屋これだけの質とボリューム考えれば、やっぱり安い。カウンターでは一貫ずつ提供するが、写真のように一度に盛り込んでもらうことも可能
大将の長尾さん
大将の長尾さん
1番人気は9貫を提供する『特上にぎり』。車海老のおどりはなしで、生マグロは赤身がいいと言う方には『上にぎり』(8貫2500円)。ネタのサイズはもっと小さい方がいいと言う方には『中にぎり』(8貫2000円)をオススメしています」

聞けば『特上にぎり』から『中にぎり』までネタの質はみんな一緒で、変わるのは貫数やネタの部位、サイズだけ。金額が変われば質が落ちるのだろうという先入観があったが、『福寿司』は実に良心的である。

すごかろ!? これが博多の寿司たい!

今回は『特上にぎり』をオーダー。付け台にスイッと差し出された一貫は、シャリをすっかり包み込んでしまうほどにネタがデカイ!程よい硬さでほろりと解けるシャリ、カンパチのコリップリッと弾ける食感、脂の甘味がたまらない

この透明感は鮮度の表れ! ウ、ウマイ、ウマすぎる……

うっすらと透き通った透明感のあるヤリイカはかなり厚めに引いてあるが、表面に細かく包丁仕事を施しているため、歯触りはふわり、もっちり。軽く咀嚼すると上品な甘味が舌に絡んでゆっくりと溶けていく。

素揚げされた頭は、酒のいいアテになる

そして、お待ちかねの車海老も登場。『特上にぎり』では、炊いたものと水槽から取り出したばかりの「おどり」、2種の車海老が味わえる「おどり」は、まだ尻尾の先がピクピクと動いているほどに生きがいい。 力強いうま味と甘味が広がる煮海老、プリプリねっとりとした食感がたまらない「おどり」、どちらも甲乙付けがたい。

毎日、1本1本丁寧に仕込む煮アナゴ

プリプリの天然鯛、対馬産生マグロのトロ、歯触りと甘味が格別なタイラギ貝、上質なウニの軍艦とすっかり堪能し、最後は寿司の定番・煮アナゴでフィニッシュとなるが、このアナゴがこれまたスゴイ

大将の長尾さん
大将の長尾さん
「うちでは対馬産のアナゴを丸ごと1本握ります。アナゴは大きすぎると骨が当たってしまうのであえて小ぶりなものを厳選し、1匹1匹しっかりとぬめりを取り、静かに炊き上げ。提供する前に再び軽く温めて、仕上げに特製のツメをサッと塗って完成です」
『福寿司』の名物、煮アナゴ。丸ごと1本を頬張るぜいたくさといったらもう!

通常ならこの1匹で2貫の寿司が握れるというのに、なんと太っ腹なことか。口に運べばほんのりと温かく、ふわふわトロリ。アナゴのうま味と甘めのツメ、シャリが絶妙に絡み合い、これはあと2、3貫食べたいほどに美味だ。

名脇役もドドンと豪快!

\茶碗蒸し 700円/

素材のうま味が溶けた茶碗蒸しは、フルフルとなめらかで舌触りもいい

また、お寿司の合間や食後についつい欲しくなってしまうものといえば、温かい茶碗蒸しや赤だしだ。『福寿司』の茶碗蒸しは実に具だくさん。海老、鶏肉、シイタケ、かまぼこ、銀杏、白玉がゴロゴロと入っており、まるで宝探しのような楽しさがある

\赤だし 700円/

赤だしには、鯛のアラがたっぷり。上品な鯛のうま味に赤味噌香りと味わいが重なり、ほんのりと広がる山椒の香りもいい仕事してる!
「博多の男はケチケチしたらいかん」とにっこり

年々魚の値段や食材費は上がる一方。「ネタの大きさや金額の見直しをしようとは思わないのですか」と尋ねると、長尾さんはカラッと笑って一言

大将の長尾さん
大将の長尾さん
「変にケチったら貧乏くさかろ。豪快に頬張って、景気良く笑ってもらいたい。握り寿司はもともと、江戸っ子のファストフードとして生まれた屋台料理。高級な寿司を緊張しながら食べるより、肩の力抜いて食べた方が楽しいよ。気兼ねなく通ってもらえる店であり続けたいから、行けるとこまでこのまま頑張ります」
観光客向けには写真付きの外国語メニューも用意。老舗だからといっておごらず、誰でも気軽に立ち寄れる街の寿司屋を貫いている

カウンターの端でビールを片手に刺身をつまむ常連客や、小慣れた雰囲気でくつろぐ夫婦。豪快なネタに歓喜する出張のサラリーマンから、海外からやってきた若いカップルまで、懐深く迎え入れる『福寿司』。
福岡へ立ち寄った際は、大将の心意気と九州の力強さが詰まった博多前寿司をぜひ堪能してほしい。

※価格はすべて税別。別途消費税が含まれる。

取材メモ/21、2歳の頃から通っていますが、いつ行っても良心的でウマイ『福寿司』さん。自腹カウンターデビューするにも、もってこいのお店です(笑)。高級寿司も好きですが、好きなネタを自由につまんで、お寿司だけでおなかいっぱいになれるような“街のお寿司屋さん”スタイルが、やっぱり大好きだなぁ。

構成=シーアール 取材・文=森絵里花(écris.m) 撮影=恵良範章

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