天然酵母のバゲットで具をたっぷり挟むキーマカレーパン/福岡

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【特集・第2回】地元人が推薦! グルメ甲子園 〜 カレーパン編 〜

2019/02/08

天然酵母のバゲットで具をたっぷり挟むキーマカレーパン/福岡

うま味の強いハード系パンで人気を集める、ブーランジェリー。甘さを控えた“つまみになる”カレーパン作りとは。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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強めの焼きで生み出す香り

フランス語の「ブーランジェリー」ではなく「ベーカリー」と親しみやすい名前にしたという

福岡市・薬院大通(やくいんおおどおり)から少し入った道を進むと、パンを持つ人が描かれた看板が目に入ります。マンションの1階に位置する「THE ROOTS neighborhood bakery」(以下、THE ROOTS)は、店主の三浦寛史さんと妻の理加(りか)さんで切り盛りしているブーランジェリーです。

カウンターに立つ2人。もうすぐ待望のお子さまが生まれるのだとか

「なにかを作る仕事に就きたい」、と岡山で大工をしていたという三浦さん。会社が倒産して路頭に迷っていたときたまたまベーカリーが目に入り「パン作りもものづくりだ」とこの道を志したのだそうです。その後、大阪と神戸で修業。2016年、奥さまの実家がある福岡で「THE ROOTS」を開きました。

揚げない、焼くカレーパン! 自家製ソースでなめらかに

「キーマカレー(チーズ入り)」(320円)辛さ度★★☆☆☆

「キーマカレー」は一般的な揚げるカレーパンとはまったくの別物。バゲット生地に自家製のベシャメルソースをたっぷり塗り、ナスとキーマカレー、チーズをあふれんばかりに挟んでいます。かじりつくと、バリッという皮が割れる気持ち良い音が響きました。

店主 三浦さん
店主 三浦さん
「キーマカレーに使うのは鶏ムネ肉のミンチです。バターをたっぷり使うため、脂身が少ないムネ肉を使ってバランスを取り、あと引く味わいを生み出しました。7種以上のスパイスを調合し、華やかな香りのルーに仕上げています。チーズとルーの脂はナスが吸い込むので、パンはカリカリのまま、かぶりついて飲み込むときにはジューシーに感じられるんです」
インド風のキャラが飛び出すポップがキュート
三浦さん
三浦さん
「良いパンというのは、中に入る具と生地が同時に口からスッと消えるのだと思っています。その調和を大切に、パン生地にも具材にも研究を重ねました」
「パンは発酵食品」と三浦さん。塩分は抑え、アミノ酸のうま味を生かす
三浦さん
三浦さん
「目指すのは『お酒に合うパン』。高温で焼き上げ、香ばしい皮に仕上げます。理想の味になるならば国内外問わずどこの食材でも使うのがモットーです。お客さんにとって一番大切なのは味。今では、『ヨルゴ』や『ローブランシュ』など福岡の有名レストランでも提供されています」
パン種は常温で12時間、冷蔵庫で12時間寝かせて強い歯ごたえに

今や福岡を代表するブーランジェリーとして名を馳せる「THE ROOTS」ですが、開業までの道のりは長かった、と三浦さんは語ります。

巡り合わせた偶然

三浦さん
三浦さん
「大工を辞めてすぐ、神戸にあったベーカリーを併設したカフェで働いていました。僕が入社するまで、月の売上は380万円前後だったのですが、わずか1カ月で750万円にまで成長させることができました。お客さんが目の前で喜んでくださるのが楽しくて。これを自分の店でできたらなと思い、独立を決意しました」
笑顔がキュートな理珈さん。会話を楽しみにしている客も多い

独立するなら大きなステージで、と決めていた三浦さん。飛行機で東京に飛び、不動産店に内見を申し込みます。2011年3月11日のことでした。

三浦さん
三浦さん
「大きな地震がきて電車が止まり、街はパニック状態でした。何日かして騒ぎが収まれば東京での物件探しを再開するつもりでしたが、計画停電の話が始まったころから『ここでスタートを切るのは難しい』と思い、妻の実家がある福岡に移住しました」
すべてのパンにポップを付け、買いやすくしている

福岡の料理は美味しいけれど、柔らかい「パン屋さんの食パン」ばかりでうま味の強い、ハード系のパンはまだまだ知られていない。そう思った三浦さんは、「福岡にハードパンの魅力を広める」ことを目標に「THE ROOTS」を開業しました。オープン以降は毎日ひっきりなしにお客さんがやってきます。中には2万円近く買っていく人もいるのだそうです!

ブラックミュージックや黒人映画が好きだという三浦さん。店内にはCDやDVDが並ぶ
三浦さん
三浦さん
「福岡で成し遂げたいことはまだまだあります。市内のブーランジェリー、レストラン、パティスリーの連携を強めて、福岡の食文化をもっと発展させたいんです。店名は大好きな黒人映画から付けていて『移民でも、地域に根付いた店を作れるように』という願いを込めています。店としてはまだ基礎ができたばかり。『THE ROOTS』がゆるがない存在となるように、お客さんの気持ちに応えていきます」
手書きの看板が目印だ

取材メモ/毎週火曜日は「ベーグルの日」! 通常の商品はなく、ベーグルのみが並びます。この日を心待ちにしているファンも多いとか。来店が楽しみになる仕掛けこそ、三浦さんの「商売術」なのです。

取材・文・撮影=松崎汐里(株式会社チカラ)

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