ドラゴンアッシュ・櫻井が30年以上通うホープ軒の始まりに迫る

ドラゴンアッシュ・櫻井が30年以上通うホープ軒の始まりに迫る

2019/01/19

おいしいラーメン店は数あれど、思い出とリンクする一杯はまた特別なもの。本連載では東京で活躍する方々に「思い出の一杯」をうかがい、そのお店と彼らのラーメン物語に迫ります。第6回目はロックバンド「Dragon Ash」の櫻井誠さんが登場! 我が子にも受け継ぐ思い出の一杯とは?

Yahoo!ライフマガジン編集部

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バンド界きってのグルメ通! 櫻井さんが30年通い続けるお店

櫻井誠

櫻井誠

ロックバンド「Dragon Ash」ドラマー

料理好きが高じて、レシピ本やフェスでのフード屋台の出店も手がける「Dragon Ash」のドラマー・櫻井誠さん。「ラーメンも好きな食べ物の一つです」ということで、今回お話いただいたのが「村山ホープ軒 本店」でした。「料理は中学のころから作っていましたね。ラーメンは何回か挑戦したけど、なかなか難しくて。作らずに食べるのが好き(笑)」(櫻井さん)

村山ホープ軒 本店/ラーメン(730円)

さらに今回は、「まだ行ったことがないんですけど、Dragon Ash好きの兄ちゃんがやっている店があって。なかなか評判らしいでんすよ」との話を聞き、綾瀬「陽はまたのぼる」にもお邪魔しました!

陽はまたのぼる/塩煮干し 味玉そば(900円)

こちらについては、Dragon Ashのボーカル&ギター・降谷建志さんとのエピソードと共に、後半でお届けします!

「村山ホープ軒」のラーメンをひもとく

1.櫻井さんが幼少期から通う思い出の味
2.各地にある「ホープ軒」。その始まりは屋台だった!
3.兄弟がこだわる「武蔵村山」秘伝のタレ
【コラム】Dragon Ashファンがオープンしたラーメン店が評判との噂! 櫻井さんの命を受け、スタッフが潜入

1.櫻井さんが幼少期から通う思い出の味

「小学生のころから家族で通っています」

「村山ホープ軒 本店」は、多摩モノレールの上北台駅から徒歩約15分。「実家からまぁまぁ近くて、よく家族で日曜に食べに行っていた店です。外食できる場所が多くなかったから、毎回楽しみでしたね」(櫻井さん)

開店して45年目になる「村山ホープ軒 本店」は、初代であるお父さまと共に、壁(かべ)祥平さんと兄の紀之さんが切り盛りしています。「いまだに2ヶ月に1度くらいは、自分の家族を連れて行きますよ。家から1時間くらいかかるんですけどね(笑)」(櫻井さん)。

細長いコの字カウンターは、店主の祖父である吉祥寺 「ホープ軒本舗」初代によるアイデアとのこと。「この独特なカウンターの雰囲気もいい。いま新たにできるお店は、絶対この形にしないだろうなぁと」(櫻井さん)
櫻井さん
櫻井さん
「うちの子も気に入ってて、たまに『行こう』って言われます。お邪魔するたびに、俺も昔こうやって食べてたなぁって。近くの昭和記念公園で遊んでから帰るのが定番コースですね
「ここ、めちゃめちゃ量が多いんですよ。小学5年生の時にはじめて大盛りを食べきって『俺、大きくなったな』と感じたのもいい思い出。今は逆に、大盛りは食べきれませんけどね(笑)」(櫻井さん)

ちなみに櫻井さん、ラーメンをはじめ、外食の際はしっかり計画を立てるのだとか。「事前に“ここに行く”というのを決めますね。家で料理する時も同じ」と櫻井さん。

櫻井さん
櫻井さん
「1日2食だから、お昼は特に重要で。寝る前に、『明日はあそこに行こうかな〜』って考えながら寝るのが楽しみなんですよ。SNSで教えてもらったおすすめのお店を調べたりね」
「唐辛子や紅ショウガを入れてもおいしいんです。最近はあっさりしたラーメンが好きになってきましたけど、ここは別!」と櫻井さん

--ステージでの姿とSNSとでは、また雰囲気が違う印象です!

櫻井さん
櫻井さん
SNSはそういうツールかなと。かっこつけんだったらやるなって話だし、ほんとに謎めいた人はやっていないじゃないですか」

レシピ本を出すなど、食の世界でも活躍する櫻井さん。意外にも「(昼は)好きな物を好きなだけ」食べるのだそう。

櫻井さん
櫻井さん
「ラーメンなど、こってりしたメニューや炭水化物は昼にと決めています」
豚骨のコクと旨味ふれるスープが、もちっとした麺に絡みます。「体のことを考えて、家では野菜を多めにとります。けど、ラーメンを食べる時はあまり気にしていませんね」と櫻井さんは続けます

--櫻井さんが思われる、ラーメンの魅力は?

櫻井さん
櫻井さん
「シンプルそうでとても複雑。レシピが同じでも同じものは絶対できないと思うし、正解がないところがいいですよね。麺とスープのバランスをしっかり考えているな、と感じるお店に惹かれます」

--訪れるラーメン店はどんな風に決めますか?

櫻井さん
櫻井さん
「東京では新店や口コミで聞いた店に行くことが多いんですけど、いまはどんな味がきているのかな? と考えつつ、合う合わないは自分でジャッジします
「地方は昔ながらのお店に行くことが多いですね。一杯400円くらいのラーメンを食べて、あぁ〜これだよねって。紹介する『村山ホープ軒 本店』も、昔ながらの雰囲気がいいなと思うんですよ」と櫻井さんは話します

--「村山ホープ軒 本店」も昔ながらの味わいがありますよね

櫻井さん
櫻井さん
「ミシュランに掲載されたりと、最近はラーメンが一つの“料理”になりつつありますよね。それもすばらしいと思うんですが、元はこういう食べ物だよなぁと初心に返った気持ちになるんです

2.各地にある「ホープ軒」。その始まりは屋台だった!

「味のある雰囲気も懐かしい」

「村山ホープ軒 本店」を中心となって営む壁祥平さん(左)と兄の紀之さん(右)。壁さん兄弟は、吉祥寺「ホープ軒本舗」初代のお孫さんにあたります

「ホープ軒」と聞くと、東京の豚骨醤油ラーメンのルーツとして知られる吉祥寺「ホープ軒本舗」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか? 「ホープ軒本舗」といえば、戦後に前身である「ホームラン軒」を閉めたのち、初代がはじめた貸し屋台から東京の名店が次々と誕生したことでも知られています

メニューはいたってシンプルです。「つけ麺や鶏ガラの醤油ラーメン、餃子を出していた時期もありましたが、そこまで人気が出なかったんですよ。いまはこの3品とスペシャルラーメンの4メニューのみ」(祥平さん)
“ホープ軒”といえば、背脂が浮いた豚骨醤油ラーメンですよね!「武蔵村山の特徴は、背脂の量ですかね。結構入っている方だと思います」(祥平さん)
オリジナルのどんぶりもかわいいです♪
祥平さん
祥平さん
「60年代の後半に、自分の父が母方の祖父(ホープ軒本舗の初代)と出会い、『ホープ軒』のラーメン屋台をはじめたのが始まりです。いまで言うフランチャイズですね。その後45年前に独立して、ここを開きました」
卓上の紅ショウガや、唐辛子もお好みで
昭和風情漂う店内

--お店の造りがユニークだとうかがいました

祥平さん
祥平さん
「このカウンターはうちのじいちゃん(ホープ軒本舗の初代)が考えたもの。少しでもスペースを有効に使えるように、と。あまり見ない形ですよね」

--お店に立つにあたり、初代のお父さまから教わったことは?

祥平さん
祥平さん
「店に立ち始めたのは約20年前なんですが、おやじからは何も教わっていないんですよ(笑)。すべて手探りでしたね」
「暖簾(のれん)を守るという責任もありますし、正直大変な部分もありますね」と祥平さんは振り返ります
現在は祥平さんとお兄さんの紀之さんが中心となって営業しています。1週間おきに、昼と夜を交代しながらお店に立っているとのこと

『ホープ軒』各店で麺やタレ、スープの出し方も違います。「共通するのは醤油ダレの豚骨ラーメン、もやしがのっていること。それがホープ軒のアイデンティティじゃないかな」とは、兄の紀之さん。

自家製の麺は、もちっと歯切れのいい中太麺
スープは豚の背骨とゲンコツのみを9時間ほど炊いたもの。取材時も、強火でグツグツと炊かれていました

すると、「うちはあくまでもタレをベースにしたラーメンとして売っているので、材料である豚を推してはいないんです」と紀之さんは話します。

3.兄弟がこだわる「武蔵村山秘伝のタレ」とは?

「屋台の時代から受け継ぐタレ」

香りいい醤油を使ったタレは、屋台を営業しているころから受け継いでいるもの。修行した人にも教えることはない、門外不出の味なのです

紀之さんいわく「うちは『豚骨ラーメンのお店』って印象があると思いますが、醤油ラーメンとして売っているんですよ。大元の『ホープ軒本舗』の暖簾にも『中華そば』って書いてあるはず」とのこと。

「“中華そば”というと透き通ったスープのイメージがあるから、うちの暖簾には“中華そば”の文字は入れていないんですけどね」と紀之さん
紀之さん
紀之さん
「ラーメンのジャンルを大きく分けると、醤油と塩と味噌の3つですよね。“豚骨”だと材料になっちゃうから、ジャンルで分けるとしたら“醤油”。なので昔から『醤油ラーメン』として売っています」
「タレが大事なんです」と紀之さんは続けます。「そんなに複雑なレシピではないんですが、醤油選びには苦労しましたね。一度いい醤油に変えたらお客さんから『物足りない』って声もあったりして」(紀之さん)
見た目はこってりですが、思いのほか後味は軽く、奥行きのあるスープが印象的です。その秘密はこのタレにあり。「もともと、前身のホームラン軒は鶏ガラを使ったザ・中華そばでした」(紀之さん)
紀之さん
紀之さん
「その後に豚骨を使うすっきりめの醤油ラーメンを出していたんですが、煮込んでいたらスープが白くなってきたと。九州にゆかりのない人たちがやっていたし、白濁した豚骨ラーメンなんて知らなかったんですね
もちろん豚骨スープについてのノウハウもなかったため、「スープが白くなったらダメだ」という考えだったそう

「ところがある日、忙しくて白くなってしまったスープを交換できないまま出してみると『あれっ、おいしいじゃん』ってなったそうなんです。背脂を入れたらコクが出るんじゃないか、と試行錯誤した結果、いまの“ホープ軒らしい”ベースのラーメンが誕生しました」(紀之さん)。

何気なく通っている一杯にも、思わぬこだわりがあるもの。そんなところも、ラーメンのおもしろさなのかもしれませんね。


【コラム】Dragon Ashファンが開店したラーメン店が評判との噂! 

櫻井さんの命を受け、スタッフが潜入

Dragon Ashファンの大川真弘さんによる綾瀬「陽はまたのぼる」! 店内ではDragon Ashの曲がかかります♪「ラーメンの作り方、教えてほしいですよね。修行に行こうかな(笑)」(櫻井さん)

インタビューの最後に「あ、もう一ついいですか?」と櫻井さん。「SNSで僕らのファンがオープンしたお店があるって聞いたんです。うちの曲を流して、バンドTを着て作ってくれているみたいで」と続けます。

櫻井さん
櫻井さん
「おいしそうなんですよ。早く行かなきゃと思っていたら、先日催事に出店していた際に、うちのボーカル(降谷さん)が行ったらしくて(笑)。『お前行っただろ!』、『お〜、行った行った』って話していたところでした」
櫻井さんが「これ、食べてみたいですね」と話していた「塩煮干し 味玉そば」(900円)を作っていただきました。8〜9種の煮干しをブレンドしたスープは、コクと旨味があふれる一杯

大川さんは入谷の「麺処 晴」など4軒で修行後、17年に好きだった煮干しラーメンを軸にして、開店に至りました。噂の一杯は、煮干しの旨味を運んでくれる、しなやかでちゅるっとした麺もたまりません

取材の際(18年12月)も「この後お台場公演に行くので、急いで片付けています」と大川さん。お忙しいところ、ありがとうございました!「ここでファン同士の交流が生まれたりするのも有り難いな」(櫻井さん)
大川さん
大川さん
「初ライブで『陽はまたのぼりくりかえす』を聞き、鬼かっけぇ! と一瞬でファンになりました。その衝撃を忘れないよう屋号にしたんですが、勝手に名前をお借りしたので、少し変えたんですよ」

「煮干しそば」と「濃厚煮干しそば」には、ラードで作った煮干し脂を使用。今回紹介する「塩煮干しそば」のみ、植物性の脂を使った紫蘇(しそ)煮干し脂なのだそう。「刻んだ紫蘇のいい香りが特徴で、煮干ラーメンが苦手な人でも、さっぱりと気持ちよく食べられるようにと生まれた一杯です」(大川さん)。

ラーメンは一杯130グラムのため「和え玉」(200円)を頼む人も多い。麺は「濃厚煮干しそば」と同じコシがある低加水のもの。煮干し脂と醤油または塩のタレで和えており、塩のスープ×醤油の和え玉も合うんです
大川さん
大川さん
「水と煮干しの淡麗スープなんですが、安い素材や作り方が上手くないと、苦みや塩気が出すぎてしまって、なかなか難しいんです。まだまだ未熟なので、毎朝気を張りながら試行錯誤して営業しています。これから多くの方に愛されるお店になればうれしいですね」

取材メモ/ちなみに櫻井さん、ラーメンとご飯は一緒に食べない派なのだそう。「ラーメンなら麺だけを食べたい。米でお腹いっぱいになるんじゃなくて、麺でお腹いっぱいになりたいですね」とのことでした。(櫻井さん)

取材・文=金城和子、撮影=三佐和隆士

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