松陰神社通りでゆるりカフェ三昧。世田谷線は途中下車が大正解!

松陰神社通りでゆるりカフェ三昧。世田谷線は途中下車が大正解!

2019/01/16

商店街は日常生活の場であると同時に、街歩きも楽しませてくれる包容力を持っている。そんな、最近では国内外の散歩好きにも注目されている東京エリアの商店街をシリーズでご紹介。第8回は世田谷区の「松陰神社通り」を食べ歩いた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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「松陰神社通り」ってどんなとこ?

「松陰神社通り」は、スタイリッシュな2両編成の東急世田谷線・松陰神社前駅の踏切の南北にある

「関東の駅百選」にも選ばれた三軒茶屋駅から出発する東急世田谷線。2両編成のモダンな路面電車にのんびり揺られること3駅、松陰神社前駅の横を南北に横切っている商店街が今回紹介する「松陰神社通り」だ。

地元では「松陰さん」と親しまれている吉田松陰(よしだしょういん)を祀る松陰神社。松陰の墓所や、明治維新を支えた高杉晋作や伊藤博文らを排出した「松下村塾(しょうかそんじゅく)」を再現した建物もある
松陰神社の境内には、近代彫刻の先駆者である大熊氏廣(おおくまうじひろ)の手がけた石膏像から鋳造(ちゅうぞう)された、吉田松陰のブロンズ像が鎮座する

「松陰神社通り」はその名の通り、幕末期の教育・思想家である吉田松陰を祀った松陰神社の門前にある商店街。

その場で楽しむフードやドリンクだけでなく、“全国から選りすぐったうまいもん”が買えるカフェも(写真は「せたがや縁側cafe」)

神社から世田谷通りへと抜ける南北約500メートルの通りには、生活に密着した日常使いの商店と、近年開業した個性的な個人経営の飲食店がほどよく混在している。

昭和から続く古い商店と、個性的な新しい店が混在する。チェーン店が比較的少ないのも特徴
のんびりとしたムードの松陰神社前駅のホームは穏やかな街並によく似合う

近年では、レトロとモダンが調和した街の雰囲気が散歩好きを引き寄せ、「休日に訪れたい街」として人気となっている。「よい街にはよいカフェがあるはず」ということで、商店街取材班は居心地のよい店を探しに松陰神社前駅に降り立った。


\食べ歩いた3店はこちら/
1:「STUDY(スタディ)」
2:「せたがや縁側cafe」
3:「松﨑煎餅 松陰神社前店」
コラム:「カフェで読みたい良書を探しに」


駅から徒歩10秒の地域密着食堂

スポットその1:「STUDY(スタディ)」

松陰神社前駅の目と鼻の先にある「STUDY」は、大きな回転扉が目印

最初に訪れたのは、勉学によって明治維新の立役者を育てた吉田松陰の精神にあやかって名付けられたという「STUDY(スタディ)」。オーナーの鈴木一史さんと店長の岡本三四郎さんに話を伺った。

ーー鈴木さんは「STUDY」を2009年に立ち上げて以来、松陰神社通りのさまざまな店舗の内装デザインも手がけています。この場所にカフェを作ろうと思ったきっかけは?

STUDYオーナー・鈴木一史さん
STUDYオーナー・鈴木一史さん
「店舗デザインや内装の仕事は、人間関係が広がりにくい業種のため、『人が集まる飲食店を開きたい』と考えるようになりました。物件を探しがてら松陰神社通りへ散歩に訪れた時、駅と商店街に人々が滞留するこの街の雰囲気を『すごくいい』と感じたんです」
「STUDY」のオーナー鈴木一史さん。松陰神社通りにある人気店舗の内装デザイン・施工も多数手がけている
STUDYオーナー・鈴木一史さん
STUDYオーナー・鈴木一史さん
「でもね、自分たちでは『カフェ』をやっているつもりはないんです。ドリンクメニューもしっかり提供していますが、目指しているのは胃袋を満たす大衆食堂なんです」
STUDY店長・岡本三四郎さん
STUDY店長・岡本三四郎さん
「ここ数年、街が盛り上がるにつれおいしいコーヒーを淹れてくれるカフェが増えましたが、日常使いできるコスパのいい食堂は意外と少ないんです」

ーー飲み物だけでなく、食べ物が充実しているわけですね。客層も幅広いようです。

店内はベビーカーでも入りやすいよう、席の間隔を広めに設定している
鈴木さん
鈴木さん
「常連さんは周辺の住人や、仕事などで街に関わる方々が中心です。突出した個性やこだわりはあえて持たず、フラットでオープンな場所であることを心がけています」
「山口県下関産の減農薬コシヒカリ『ほったらかし米』に合う料理を、コスパよく提供しています」(岡本さん)
岡本さん
岡本さん
「週末の夜に遊びに来る繁華街ではなく住宅街ですから、いかに日常的に楽しんでもらえるかに気を配っています。週に一度は利用してほしいと考え、平日は定番メニューに加え、食べ飽きないよう季節の食材を取り入れた週替りのメニューも用意しています」

\取材時の週替りランチはこちら/
「ポークカツトマトソース&サラダ仕立て」(スープ、サラダ、ドリンク付き1100円)

トマトソースを添えたロースカツに、サラダ仕立ての葉物野菜をたっぷり合わせたもの。ご飯かバケットかを選択できるなど飽きさせない工夫も

ーー野菜が盛りだくさんのメニューは嬉しいです。和食の要素も入っているのがいいですね。

岡本さん
岡本さん
「メニューはキッチンスタッフと試行錯誤して、食堂らしくご飯に合うおかずを基本に組み合わせて胃袋にアプローチしています。『STUDYには野菜不足解消のために来る』と言われるお客さんも多く、残さずお皿がきれいになって返ってくると嬉しいですね」

\国産レモンにひと手間加えました/
「無農薬レモンのビターホットレモネード」(写真右・570円)
「無農薬レモンのビターレモンスカッシュ」(写真左・620円)

無農薬栽培の国産レモンをスパイスと合わせ、オーブンでじっくり蒸し焼きにしたシロップを使ったドリンク。レモンは皮ごと食べることができ、カラメルのような香ばしさと上品な苦味が楽しめる

\ガッツリ派も大満足/
「タコライス with 温泉卵」(ランチ1100円・アボカドは+150円)

野菜、肉、米などをバランスよく採れるタコライスは、アボカド(150円)やパクチー(100円)をトッピング可。「空間のオシャレ感と、料理の質実剛健さとのギャップも楽しんでいただければ」(岡本さん)
岡本さん
岡本さん
「ランチタイム以外でも提供している定番メニューの『タコライス with 温泉卵』もオススメです」

ーーウイークデーランチもそうですが、見た目のよさやボリュームだけでなく、手作りならではの丁寧さを感じます。

岡本さん
岡本さん
「ありがとうございます。食堂が日常生活に根付くためには、クオリティと価格のバランスが大切ですよね。でも、単に安いだけでなく適度な贅沢感も味わってほしい。そのためにキッチンスタッフ全員でメニューを常にブラッシュアップしています」

\手作りのお弁当もあるよ/

テイクアウトできるお弁当(800円〜)は、営業時間内なら終日買うことができる(内容は時間帯によって変化するので店頭の看板をチェック!)
岡本さん
岡本さん
「1年ほど前からお弁当の提供も始めました。意外だったのは、お客さんから『STUDYのお弁当があると助かるよ』という言葉をかけられたこと」

ーーどういう意味でしょうか?

岡本さん
岡本さん
「仕事や子育て、家事で忙しく、手料理を支度する余裕のない方が『気軽に手作り料理を食べることができる』と歓迎してくれたんです。常連さんが主に利用してくれると想定していたので、これにはハッとさせられました」

ーーなるほど、STUDYのランチやお弁当は、この街で暮らす人々にとっては「愛すべき手作りの日常食」なんですね。

「自分の“やりたいこと・やるべきこと”を淡々とこなしているだけなんです。キャッチーなことを言えなくてすみません(笑)」(鈴木さん)

ーー鈴木さんはSTUDYのほかにも、ケーキショップの「MERCI BAKE(メルシーベイク)」や古書店の「nostos books(ノストスブックス)」など、松陰神社通りにある有名店の内装を何軒も手がけていることから、「街作りのキーマン」と呼ばれることもあります。

鈴木さん
鈴木さん
「『街を盛り上げるぞ』という大それた気持ちはないんです。ただ、この街に関わる人が住みやすくなる工夫をし続けた結果、『普通にいい感じだよね』と笑って暮らせればそれで十分。松陰神社通りではそれがすごくうまくいったので、いつの間にか魅力が生まれたのでしょうね」

取材をしたのは2018年の年末。店先で鈴木さんの写真を撮影していると、通りを歩く地元の人から「よいお年を」という声が何度もかかり、そのたびに笑顔で手を振って応えていたのが印象的だった。

STUDY

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


目利きが見つけた地方の名品に出会う

スポットその2:「せたがや縁側cafe」

「甘酒」の文字に疲れた体が引き寄せられてしまう

2軒目に訪れたのは、「甘酒」の提灯が軒先に揺れる「せたがや縁側cafe」。小さな店だが、店内には何やらおいしそうな物が見え隠れしている。

せたがや縁側cafeオーナー・加藤文人さん
せたがや縁側cafeオーナー・加藤文人さん
「うちは、甘酒を使ったカフェメニューと、全国のおいしいものを扱う食料品店です」
間口1間程度の小さな店にはおいしいものがずらりと並ぶ
加藤さん
加藤さん
「散歩で疲れた体には甘酒が効きますよ。1杯いかがですか?」

ーーぜひお願いします!

\“飲む美容液”をいただきます/
「玄米甘酒ストレート」(300円)

「ストレートのほか、『玄米甘酒カプチーノ(450円)』『ミルク甘酒(300円)』などもご用意できます」(スタッフ米山さん)

ーー甘酒は“飲む美容液”と呼ばれるだけあって、体の隅々まで染み込んでいきそうな滋味があります。でも甘酒特有の臭いがないのが不思議です。

加藤さん
加藤さん
「砂糖を使わずに玄米を米麹で仕込んでいるので、ノンアルコールで臭みが少ないんです。癖が強いのは酒粕と砂糖で作った甘酒の特徴で、実は自分も苦手。以前『PICAリゾート(ピカリゾート)』というアウトドアリゾート会社を運営していた時に、売店で販売する自然食品を探す過程でこの甘酒に出会ったんです」
コップ1杯の甘酒をいただくと冷えた体が芯から温まるのを感じる

ーーPICAリゾートというと、グランピングが楽しめるキャンプ場の先駆けですよね?

加藤さん
加藤さん
「ご存知なら話が早い(笑)。アウトドア・アクティビティを楽しむ方は、食べ物にもこだわる方が多いので、こういった自然食材への関心が高かったですね。その時に『こんなおいしい甘酒があるのか』と驚いたので、10年くらい前にPICAリゾートの運営を退き、青山のファーマーズマーケットで甘酒をアレンジしたドリンクを提供し始めたんです」

ーーそれがなぜお店を作ることに?

加藤さん
加藤さん
「青山ではキッチンカーでの販売でしたが好評で、『本店はどこにあるの?』とよく聞かれたので『それなら実店舗を作ろう』と思ったわけです。でも最初は三軒茶屋周辺で物件を探したんですがなかなか見つからない」

\カフェメニューの原液がこちら/
「楽らく玄米」(900円)

水や豆乳、牛乳などで割って楽しむほか、ドレッシングの甘みやヨーグルトのジャム代わりにオススメなんだとか

ーー最初から松陰神社通りで探したわけではなかった?

加藤さん
加藤さん
「全然意識してなかった(笑)。不動産会社の紹介で生まれて初めて訪れたところ、古き良き街並みの面影が色濃く残っているし、商店街のサイズ感もちょうどいい。ここなら自分たちの選んだ食品が受け入れてもらえると感じて即決しました」
日常の料理に欠かせない旬の野菜が店頭に並ぶことも

ーー甘酒のほかには発酵食品を多く扱っていますが、商品選びの基準は?

加藤さん
加藤さん
「基準は2つで、添加物を使わず昔ながらの手法で作られた物と、料理にチョイ足しするだけでおいしくなる物。それらを突き詰めたら、地方に古くから伝わる伝統的な発酵食品に行き着いたんです」

\最近のイチオシはこちら/

「すんき」(写真右・700円)
「濱納豆」(写真中央・300円)
「自然派みそ」(写真左・900円)

加藤さんが特に推す「すんき」とは、赤カブの茎や葉を刻み、塩を一切使わずに植物性の乳酸菌で発酵させた漬物のことで、爽やかな酸味が特徴

ーー昔の人の知恵は素晴らしかったわけですね。

加藤さん
加藤さん
「そうなんです。最近のお気に入りは、長野県木曽地方の漬物の『すんき』です。2018年に始まった発酵食品ソムリエの資格を取得したんですが、そこで『すんき』に造詣の深い東京農大の岡田早苗先生から直に話を聞いて木曽に出掛け、自分用の『マイすんき』を作らせてもらったほど魅力的な食品なんです」
全国各地から集めた調味料も豊富にそろう。写真右から「福寿醤油のみりん」(450円)、「鮎魚醤」(1100円)、「にくしょう」(1350円)など、チョイ足しで料理のグレードをグンと上げてくれる

ーーお客さんはどのような方が多いですか?

加藤さん
加藤さん
「甘酒はボロ市などがきっかけで訪れる遠方の方に喜ばれています。珍しい調味料は甘酒を気に入ってくれた地元の方々が『この店が選んだ品なら間違いない』と信頼して日常的に使ってくれるので、ウチの店もだいぶ商店街になじんだんじゃないかな(笑)」

せたがや縁側カフェ

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


江戸から続く老舗の味をカフェスタイルで

スポットその3:「松﨑煎餅 松陰神社前店」

松陰神社前駅から徒歩1分程度の場所にある「松﨑煎餅 松陰神社前店」。地域の人も使いやすいよう、店先には自転車の駐輪スペースを用意している

江戸時代中期の1804年に、現在の港区にあたる芝魚籃坂(しばのぎょらんざか)で創業した「松﨑煎餅」。現在は銀座5丁目に本店を構える老舗が、松陰神社通りに2016年にオープンさせたのがここ「松﨑煎餅 松陰神社前店」

ーー200年以上の長い歴史を持つ老舗が、なぜ商店街に店を出したのでしょうか?

松﨑煎餅 松陰神社前店店長
松﨑煎餅 松陰神社前店店長
「1865年には本店を、後に銀座となる弥左衛門町に移しますが、当時は“街の菓子屋”として、お客様との会話を楽しみながら販売していたそうです」
広々とした店内にはスロープが設けられるなど、バリアフリーにも配慮されているので子供連れのファミリーでも使いやすい

ーー当時煎餅は日常使いのお菓子だったんですね。

松﨑煎餅 松陰神社前店店長
松﨑煎餅 松陰神社前店店長
「それがやがて、贈答用の高級菓子として珍重されるようになったわけです。そういった積み重ねた伝統は守りつつ『地域密着』の原点に回帰し、松﨑煎餅をまだ知らない人にも“新しい・楽しいせんべいライフ”を送ってもらおうと、本店以外では初の路面店として、カフェ併設のコンセプトストアを商店街に出すことにしたんです」

\松陰神社前みやげの新定番/
「しょーいん君三味胴(しゃみどう)」(写真右・130円)
「松葉ロゴ三味胴」(写真左・130円)

コンセプトストア限定の三味胴はおみやげにも

ーー松陰神社通りを選んだ理由は?

松﨑煎餅 松陰神社前店店長
松﨑煎餅 松陰神社前店店長
「代官山や谷根千、吉祥寺など、さまざまな場所を検討しましたが、8代目が友人からユニークな考えの個人店が多い松陰神社通りを紹介されたところ、街の雰囲気が弊社の目指すブランドの方向性とマッチすると感じたのだそうです」

\コンセプトストアの限定品/
「八穀おこげ」(写真右・432円)、「揚餅(バジル)」(写真中央・378円)、「揚餅(マヨネーズ)」(写真・左378円)

スタンドパック仕様は松陰神社前店とモトスミ・ブレーメン通り店の限定販売。8代目の松崎宗平氏はマヨネーズ味(左)がお気に入りだとか

ーーここでしか買えない煎餅もあるんですか?

松﨑煎餅 松陰神社前店店長
松﨑煎餅 松陰神社前店店長
「弊社の定番商品は、江戸時代から作り続けている小麦粉を使った瓦煎餅の『三味胴(しゃみどう)』ですが、松陰神社前店限定として『しょーいん君三味胴(130円)』のほか、川崎のコンセプトストア『モトスミ・ブレーメン通り店』と2店舗限定の『松葉ロゴ三味胴(130円)』をご用意しています」

ーーカフェスペースでは抹茶も楽しめるんですね。

散歩の疲れを抹茶の爽やかな苦味で癒やしたい
松﨑煎餅 松陰神社前店店長
松﨑煎餅 松陰神社前店店長
「注文をいただいてから1服ずつお点てしています」

\お点前頂戴します/
「抹茶」(三味胴つき・540円)

凛とした味わいに思わず背筋が伸びる

ーー商店街散歩で抹茶が楽しめるとは思いませんでした。新旧の魅力が混じり合う松陰神社通りらしい一服ですね。

松﨑煎餅 松陰神社前店店長
松﨑煎餅 松陰神社前店店長
「食事も楽しんでいただけるよう、オーガニックフード・ケータリングユニットの『MOMOE(モモエ)』の定食をご用意しています。季節や収穫によって多少内容は変わりますが、自然・有機栽培された緑黄色野菜、葉物、根菜などを化学調味料を使わずに調理し、7種類の盛り合わせにしています」

\野菜のランチがうまい/
「お惣菜7種盛り定食」(1080円)

色鮮やかに仕上げられた野菜の惣菜を盛り込んだ定食(野菜の収穫によってメニューが変化する場合もあり)

ーー薄味ですが満足感のあるおいしさです。ここが煎餅屋さんだということを忘れてしまいそうです。

松﨑煎餅 松陰神社前店店長
松﨑煎餅 松陰神社前店店長
「お茶や食事を楽しまれた後に『ここって、銀座にある松﨑煎餅の店だったのね』と気づかれる方もいらっしゃいます(笑)」

生活の場である商店街で居心地のよい空間を作るという、昔ながらの商店にも通じる老舗の新しい試みは“松陰神社通りらしさ”をさらに豊かにしていきそうだ。

松﨑煎餅 松陰神社前店

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


「“松陰神社前ブーム”と言われますが、店を出しさえすれば流行るという段階ではなくなりました」とSTUDYの鈴木さんが話す松陰神社通り。用事がなければ訪れる機会の少ない街だが、じわりじわりと静かに熟成が進む松陰神社通りは、街歩き好きなら途中下車して体験する価値のある場所だと感じた。

コラム:「カフェで読みたい良書を探しに」

「nostos books(ノストスブックス)」

松陰神社前ブームのきっかけの一つとなった「nostos books」。この店の内装もSTUDYの鈴木さんが手がけたもの

学問で日本の歴史に貢献した吉田松陰ゆかりの街だから、というわけではないけれど、松陰神社通りをブラブラしていると、ちょっとアカデミックな気分になる。そんな時に立ち寄りたいのが、古書店の「nostos books(ノストスブックス)」だ。

本好きならそこにいるだけで血中文化濃度が高くなりそうな店内。よい古書店をぶらつくことも読書体験の一部なのだ

ーー美しい本の背表紙を眺めているだけで文化的な気分になります。

nostos booksディレクター・山田なつきさん
nostos booksディレクター・山田なつきさん
「本の好きな方はそうですよね(笑)。日本の芸術や文化を応援するというテーマを軸に、それらにつながりを持つ国内外のアートやグラフィックなど、カルチャー周りの書籍をメインにセレクトしています」

\思い出の書籍に再会/
「映画だけしか頭になかった」(著・植草甚一)

「J・J」こと植草甚一氏は、語りかけるような穏やかな文体で映画やジャズなどを解説し、日本のポップカルチャーの基礎を築いた人物の一人

ーー学生時代に読んだ植草甚一さんの本を見つけてしまいました。これを読んでずいぶん知ったかぶりをしてました(笑)。

山田さん
山田さん
「この街が注目されるに従って、お店に訪れる方々の年代も広がりつつあります。こういった名著を懐かしむ世代もいらっしゃれば、『こんな面白い人がいたんですね』と初めて出会う若い方も」

ーー人生を変えるような本に意図せずに出会えるのが古書店の魅力ですよね。

\本好きがうなる雑貨も/
「Magazine Bag」(2万8080円)

デザインレーベル「レアジェム(raregem)」とnostos booksのコラボによるマガジンバッグ。中仕切りがあるので1冊でもしっかり自立するため本が傷みにくくなる

ーー雑貨も扱っているんですね。このトートバッグはマガジンラックのようで面白いです。

山田さん
山田さん
「本をしまう本棚から、気になる本をリビングや寝室など好きなところへ運べるという、家具と読む場所の中間となるバックです。積み重ねてしまった本はそのままでは読みづらくなりますよね。ですから、手に取りやすいように雑誌1冊でもキチンと自立するようにデザインしているんです」
「トレジャー・ハンティング」の文字と海賊船が描かれた大きな窓ガラスから店内をのぞくだけでワクワクする

良書との出会いはカフェ巡りをより豊かなものにしてくれる。選びぬかれた本に埋没できる「nostos books」は、松陰神社通り散歩で必ず訪れたい文化の発信地なのだ。

ノストス ブックス

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


取材メモ/nostos booksの山田さんいわく、「この街の人は手作りを好む気風がある」とのことで、どの店もオーナー個人の心意気が反映されているため、“おしゃれ”だけでは言い尽くせない居心地のよさを感じる商店街でした。

構成・取材・文・写真=杉山元洋

次回、2019年1月30日(水)は「なかのぶスキップロード」を公開予定!

“中延は麺がうまい”という情報をキャッチした取材班が遭遇した逸品とは?

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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