町中華から生まれた“もう一つ”の汁無し台湾ラーメン「皿台湾」

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出張先でご当地あったか麺〜札幌・名古屋・大阪〜

2019/01/25

町中華から生まれた“もう一つ”の汁無し台湾ラーメン「皿台湾」

ニンニクや唐辛子で味付けしたピリ辛のミンチやモヤシ、ニラなどをのせた名古屋の「台湾ラーメン」。これを汁無しにアレンジしたのが今や全国区の人気となった「台湾まぜそば」だ。しかし、名古屋にはもう一つ、知る人ぞ知る汁無しの台湾ラーメンがある。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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スープ切れの危機を救った
修業時代の賄いメニュー

最寄り駅の地下鉄名城線・六番町駅から徒歩約11分とアクセスは良いといえないが、お昼時や週末は行列ができる。駐車場は店の前に5台と店西側に5台、計10台が完備

しかも、それはラーメン店から生まれたのではない。名古屋の中心部から少し離れた中川区八剱町にある中華料理店、その名も「人生餃子」が発祥の店だ。店主の水谷伸二さんが名古屋市守山区にある台湾ラーメンの有名店「江楽」での修業を経て、12年前に開店させた。

店主の水谷伸二さん

「昔から餃子が大好きで、餃子で人を感動させたいと一念発起して会社を辞めて、32歳のときに調理師学校へ通いました。しかし、30代ではどこにも就職できないわけですよ。何とか、パチンコ屋の前にある中華屋で働かせてもらいました。そこで4年働いた後、『江楽』で6年間修業しました」と、水谷さんは振り返る。

壁に貼られたメニューが目を引く店内

「人生餃子」という店名の通り、餃子と「江楽」で学んだ台湾ラーメンと担々麺を看板メニューにしてスタートさせた。店の周りに建ち並ぶ町工場で働く人たちのハートをガッチリと掴み、連日大盛況となった。その反面、早い時間にスープがなくなり、営業時間内であっても店を閉めざるを得なくなった。

ガツン!とパンチのある味わいに箸が止まらない!

「私が考えた賄いは、一緒に働いていた若いスタッフたちにも大好評でした」

「一度に仕込むスープの量も決まってますから、頭を抱えていました。そんなとき、修業時代に賄いで作った汁無しの台湾ラーメンを思い出したんです。いつか自分の店を持ったら、絶対にそれを売り出そうと思っていました」

炒めたモヤシとニラ、ミンチ、鷹の爪がたっぷりとのる「台湾ラーメン」

「人生餃子」の「台湾ラーメン」(700円)は、炒めながらニンニクや唐辛子、醤油などで味付けしたモヤシとニラ、ミンチを麺の上にのせるのが特徴。汁無しの台湾ラーメンもそのプロセスは同じだという。とりあえず、作ってもらうことに。

強火で手早く炒めるので、モヤシはシャキシャキの食感

油通ししたモヤシにニラとミンチを合わせて強火で炒め、ニンニクや鷹の爪をくわえてピリ辛でパンチのある味わいに。ちなみに使用するモヤシは1人前当たり約280グラムとたっぷり。コンロの横には茹で麺機があり、モヤシなどを炒めるのと同時進行で麺を茹でる。

麺は中太のストレート。時間が経ってものびにくい特注麺を使用している

茹で上げた麺に醤油ベースのタレをかけ、さらに炒めたモヤシとニラ、ミンチをのせて完成。調理時間は5分もかかっていない。お昼時や週末には、ほとんどの客が注文するため、水谷さんは中華鍋を振りっぱなしになるという。

中華らしい豪快な盛り付けに食欲がそそられる

これが修業時代の賄いから生まれた汁無しの台湾ラーメン、その名も「皿台湾」(700円)。「汁無し台湾ラーメン」ではストレートすぎるため、「皿にのせた台湾ラーメン」ということから「皿台湾」と命名した。店のオープンから約3ヵ月後の2007年2月のことだった。

席まで運ばれたときがいちばん美味しい状態になるように絶妙な火加減で仕上げてある

モヤシとニラ、麺を頬張ると、ニンニクと唐辛子の味と風味がガツン!と広がる。まさに台湾ラーメンの味そのものだが、いちばんの違いは麺。通常よりも茹で時間を短くして、パスタのアルデンテのような食感に仕上げてあるのだ。噛んだときの小麦の風味とモヤシのシャキシャキ感、ニンニクと唐辛子のパンチが相まって、箸が止まらなくなる。

世間に認知されるよりも目の前の客のお腹と心を満たしたい

「皿台湾をPRするため、カウンター席で皿台湾を注文したお客さんに、ざわざわテーブル席を経由して運んだこともあります(笑)」

「隣に座った人が『皿台湾』を食べているのを見て、注文されるお客さんが多かったですね。で、また近くのお客さんが頼む、という感じで連鎖反応的に広がっていきました。今では皿台湾目当てで来られるお客さんがほとんどですが、まだ、ここ3年くらいのことですよ」

壁に貼られたメニューはすべて手書き。見ていてホッと和む

一方、「台湾まぜそば」が発祥の店「麺屋はなび」で誕生したのは皿台湾が登場してから1年後の2008年。にもかかわらず、Facebookやinstagramなどで拡散され、瞬く間に市内から県内、そして関東や関西にまで広がっていった。この差はいったい何なのか。筆者なりに分析してみた。

「皿台湾」は、ほかにも「皿かれー台湾」(750円)と「皿たんたんめん」(750円)も用意している

まず、着目したのは客層である。台湾まぜそばは女性も好んで食べるが、水谷さんによると、皿台湾は9対1で男性、それも現場仕事をして腹を空かせた男たちが大半である。注文した皿台湾が目の前に運ばれると、「食べたい」という本能に支配され、まるで何かに取り憑かれたように無我夢中で食べてしまうのだ。そこにSNS用に写真を撮る余裕はない。実際、台湾まぜそばと比べてSNSでの拡散は圧倒的に少ない。

ひと皿に中華の調理技術が凝縮されている

また、他店がマネをしないのは、調理プロセスにも理由がある。モヤシの油通しにはじまり、具材を炒める際の火加減や味のバランス、麺の茹で具合など、皿台湾には中華の調理技術が凝縮されていて、一朝一夕ではできないのである。

「これからも町の中華屋としてお客さんに喜んでいただけるように精進します!」

「お腹一杯食べて、お客さんに元気になってもらうのが中華屋の使命だと思っています。ニンニクがガツンときいた皿台湾はその象徴です。ウチのような町の中華屋の、唯一無二のメニューとして輝く存在でありたいですね」と、水谷さん。今日も店を訪れる客のお腹と心を満たすために中華鍋を振り続けている。

Yahoo!ロコ人生餃子
住所
愛知県名古屋市中川区八剱町3-61-1

地図を見る

アクセス
六番町駅[3]から徒歩約11分
日比野(名古屋市営)駅[2]から徒歩約20分
中島(愛知県)駅[出口]から徒歩約23分
電話
052-352-6118
営業時間
火~土 11:00~14:30(L.O.14:00) 17:30~21:00(L.O.20:30)
定休日
毎週月曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材・文・撮影/永谷正樹

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